自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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<外伝> 椎名 賢也

椎名 賢也 35 ダンジョン 家族の職業

 ほらよくドラマや映画で、主人公が身の安全を図るためにしているだろう?

 残念ながら俺の知識は医学に特化しているので、PCは全然分からない。
 精々せいぜい論文を書く時にWordを使用する事くらいだ。

 Excelも臨床りんしょう結果をまとめるのに、簡単な関数くらいしか使わないしな。

 家族で一番PCに詳しいのは仕事にしている双子達だろう。
 俺の学生時代にPCはまだ一般的に普及されておらず、初めて使用したのは病院の医局だった。

 最初は書類を手書きする方が早いと感じていたが、慣れるとPCで作成した方が早くなっていく。
 外科部長になる頃には、ほとんどの書類を手書きで書く事は無くなっていた。

 ノートPCの需要も増えた所為せいか、1家に1台は当たり前。
 その内携帯がスマホへと移行し、PCを家で使用する事も少なくなったようだが俺はPC派だった。

 やはりキーボードがある方が入力がしやすい。
 当時50歳だった俺には、スマホの画面は小さくて目が疲れる事もある。

 今は若くなったお陰で視力も良くなっていてスマホの画面でも問題ないが、ネットにつながらないし電話も出来ないから活用する機会は少なくなってしまった。
 
 アパートの住民が持っていたスマホだしな。
 一応、目覚まし時計代わりにはなっているか。
 
 その点、双子達は学生時代から授業でPCを使用している分、俺よりPCには詳しくて当然だろう。
 
 双子達の職業は確か、SE(システムエンジニア)とかいうものだった。 
 プログラマーとの違いが、何度聞いてもさっぱり理解出来なかった記憶がある。

 きっと俺がしたかった、自動でDATAを消去する事なんか簡単に出来るんだろう。

 父親は銀行マンだったので俺の資産運用をお願いしていた。

 母はピアノ教室の先生をしていたが60歳を機に辞め、現在は知り合いに100坪の畑を借り日参して充実した老後を送っている。

 色々な野菜を育てるのが楽しいらしい。
 父はそれに付き合わされて、一緒に畑仕事をしているみたいだ。 

 採れたての新鮮な野菜は甘くて美味しいと、沙良がよく言っていた。
 残念ながら俺は自分で料理をしないので、母が作った野菜を食べる機会は余り無かったが……。 

 あかねは警察学校に入り今は刑事をしているんだったか。
 旦那はバディを組んでいた相手だ。
 休日には近所の空手道場で子供達に空手を教えている。

 行方不明になって捜査をしてくれているのが身内とか嫌すぎるな。
 いや管轄が違ったら問題ないのか?
 俺の部屋は鑑識とかが入っていたりするんだろうか?

 行方不明の捜査がどう行われているか分からない。
 事件性がなければ放っておかれるか? 
 あかねが警察組織にいる以上、何もしないわけにはいかないか。 

 あぁ、やっぱりPC内は調べられているだろうな……。
 考えたら気分が落ち込んできた。

 警察関係者に俺の性癖がモロバレとか恥ずかしすぎて泣けてくる。
 男性諸君、もしPCに秘蔵コレクションがあるなら自動消去する事を強く勧めたい。

 俺のように突然行方不明になったり死んだりする事もあるから、見られて困る物は残さない方がいいだろう。

 沙良は経理事務の仕事をしていたので数字には強い。
 節約は趣味みたいだが、余り物欲が無いのもあるんだろうな。

 母親がピアノ教室の先生だったのに、兄妹でピアノを弾けるのは沙良だけだった。
 俺は弁護士になりたくて勉強一色の生活だったし、茜は空手道場に毎日通っていて習う時間がなかった。

 双子達はピアノより、ゲームをする事の方が楽しかったみたいだ。
 オンラインゲームに夢中だった。

 〇ァミコン時代とは違い、PCでゲームをしていた。
 彼らは復活の呪文の言葉を書き写す事も無かっただろう。

 復活の呪文の言葉の書き写しに失敗して続きが出来なくなり、また最初からやり直しをした時は泣きそうになったなぁ~。

 余り長い時間ゲームをしていると、怒った母親にゲームの電源プラグをコンセントから抜かれた事もあったっけ……。
 もう何十年も前の事なのに、こんなどうでもいい記憶は忘れないで覚えているらしい。

 余程印象深く残っていたのだろうか?
 確かに電源を抜かれて強制終了させられた時は、母親に対して殺意がいた。

 子供は夢中になると時間を忘れてしまうものだ。

 沙良は要領がよくて、一度もゲームの事で怒られた事は無かった。
 ピアノの時間とゲームの時間を上手く両立させていた。

 思春期になると恋人と長電話して、同じように母親から電話線を抜かれていたが……。
 今みたいに携帯がない時代だったので、電話は全て家の電話で掛ける事が当たり前だった。

 会話を聞かれたくない時は、テレカを持って近所の公衆電話から掛ける事も多かった。
 あの時のテレカ代は高かったなぁ。
 話している間に、どんどんテレカの数字が減っていくのを見るのは財布に痛い。

 実家の近所の公衆電話は、携帯電話が普及してから無くなってしまった。

 それから色々便利になっていき最終的には現金を使わずカード決済だ。
 財布から万札が消えて久しい。

 ほとんどのお店がカードで支払い出来る。 
 日本での便利な生活に慣れてしまうと、異世界に転生させられたらつらいかも知れない。

 俺は沙良のホームのお陰で、生活環境が大きく変わる事がなかったので幸せだ。

 旭、こんな異世界転移だったらお前も楽しめるかもな。
 若いって素晴らしいぞ?
 
 若さあふれるばかりに、新しい扉も開いてしまったが……。

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