自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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<外伝> 椎名 賢也

椎名 賢也 50 ダンジョン 地下8階 テントが増える謎 1

 翌日夜9時。
 テントから出ると安全地帯にはまだ人がいた。

「こんばんは。これから探索に行ってきますね」

 沙良がテント近くにいたゼルダさんに挨拶をすると、彼は気さくに手を振って送り出してくれる。

「気をつけてな~」

 地下8階の男性冒険者は、地下1階にいた冒険者とは随分ずいぶん態度が違うようだ。
 沙良や俺に対して、嫌な視線を感じる事がない。

 最終攻略組のクランリーダーのパーティーだから稼ぎは充分あるんだろう。
 年齢の若い2人組のパーティーが、地下8階を攻略する意味も理解しているのかあなどった様子も見せない。

 どちらかと言うと、沙良より俺に対しての視線を感じるんだが……。

 沙良は今日もオリハルコンゴーレムにまっしぐらだ。
 置いていかれないように並んで走り出す。

 目がお宝発見と言っているぞ?
 楽しそうなので、まぁいいか。

 途中で出現するアンデッド達を魔石に変え、沙良の先導でオリハルコンゴーレムの下まで辿たどり着く。
 ようやく私の出番とばかりに、出会い頭にサンダーアローを撃って倒したオリハルコンゴーレムをさっさとアイテムBOXに収納している。
 
 このまま行くと地下8階は過去最高金額を叩き出しそうだ。
 沙良は上機嫌で鼻歌を歌いながら、次のオリハルコンゴーレムへと向かっていく。

 この階層は俺が無双するため、安全が確保されていて余裕があるのかスキップまでしている。
 一応ダンジョンを攻略中だから、もう少し緊張感を持ってくれ。

 ったく危機感の欠片も無いな。
 沙良の身に危険が及ぶ事が無いのはいい事だが、普通はもっと苦戦する魔物だぞ?

 実際、ミリオネの森の討伐から俺達は簡単に魔物を倒してしまっているが、格上の相手をした事が無いので実力の程が分からない。

 冒険者として稼ぎは既に一流だろう。
 地下8階では、リースナーの冒険者達のトップになる事は間違いなかった。

 MP・HPの初期値が高いお陰で、魔法の威力が通常より高いのとイメージ力の差だろう。
 日本人は子供の頃からアニメや映画を見ているので、魔法のイメージが付きやすい。
 
 沙良は、まだ魔法Lv0から使用出来ないがいずれ練習するはずだ。
 あいつは何気に負けず嫌いで、しかも節約が大好きだ。
 無駄なMP消費を勿体もったいないと考えるだろうな。

 発想がたまに斜め上の事があるが、考察自体は好きでよく実験している。
 俺にない発想は面白いが、危険な事もあるのでよく見ておかないといけない。

 映画を見た後で、アクションシーンを魔法で再現出来ないか聞かれた時は本当に困った。
 いつかベランダから飛び降りて実験するんじゃないかと不安だ。

 最初は椅子ぐらいから始めてくれると助かるんだが……。
 椅子から落ちた程度なら、ヒールを掛ければ怪我は治る。

 3階のベランダから飛び降りると運が悪ければ頭を打って即死だ。

 異世界で魔法が使えるようになってから、興味の対象が広がったので目が離せない。
 
「お兄ちゃん」

 お前にお兄ちゃんと呼ばれると、ドキッとするよ。
 今度は何を思いついた。

「オリハルコンゴーレムで、戦装束を作成したら格好いいと思わない?」

「思わない。誰が着るんだ? 重くて動けないだろう」

 俺は解体ナイフを注文する気でいるが、まだ内緒だ。

「そこは必要最低限にして、戦乙女みたいな感じで出来ないかな?」

 お前が着るんかい!
 身長が155cmしかないのに似合わないだろう。

「沙良。冒険者は機動力が重要だ。動きが遅くなるのは危険度が増すから却下」
 
「え~、そんな事言ったって今まで怪我した事もないのに危険な目にうかな?」

「可能性として捨てきれない。どうせ買うんだったら、革鎧でワイバーン製のやつにしておけ」 
 
「ワイバーンか……」

 飛竜の名前を出した事で、どうやら意識はオリハルコンから離れたらしい。
 地下10階にドラゴンがいると信じている妹は、下位竜のワイバーンにも興味があるんだろう。

 竜騎士とかあこがれていそうだ。

 3時間後。
 安全地帯に戻ると、地下8階の冒険者達はもう全員眠りに就いているようだ。
 
 ?

 テントの数が1つ増えている気がする。

 沙良は気付かなかったみたいだが、日頃から周囲をよく観察する癖が付いたお陰で些細ささいな変化に俺は結構敏感だ。

 一応気に留めておこう。

 自宅でトイレ休憩をした後、2度目の攻略に向かう。
 その後も順調に魔物を狩って1日の攻略を終えた。

 それからもテントの数が増えた謎現象は、夜になると度々起こり俺は理由が分からないままだった。

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