自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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<外伝> 椎名 賢也

椎名 賢也 51 蟹懐石

 5日後。
 冒険者ギルドに換金に行った。

 ゾンビの魔石100個 銀貨500枚
 グールの魔石100個 銀貨500枚
 スケルトンの魔石100個 銀貨500枚
 ゴーストの魔石100個 銀貨500枚
 リビングアーマ50体 金貨250枚
 リッチ30体 金貨150枚
 オリハルコンゴーレム24体 金貨4,800枚、その他色々。

 金額が多すぎて計算する必要もないな。
 沙良は金貨が詰まった大量の袋をマジックバッグにしまってニヤニヤしている。
 
 解体場の親父も嬉しそうだ。
 地下8階の魔物は、解体する必要が無いから手間が省けるんだろう。
 
 土曜日。
 教会の炊き出しの帰りに武器屋に寄って、オリハルコン製の解体ナイフを注文する。

 ミスリルに次いで欲しかったオリハルコンだ。
 異世界に来たら、やっぱりこの2つは持ちたい!
 
 小説でもゲームでも定番の素材に、まだ商品が手に入る前からワクワクしている。
 鉱物が採掘出来るダンジョンはないのだろうか?

 洞窟系のダンジョンとか……。
 地下何十階層とあるような場所には、もしかしたら階層毎に森や海や山となっている場所もあるかも知れない。

 このダンジョンにはないが、宝箱があるダンジョンがないとも限らないしな。
 アダマンタイトとヒヒイロカネも見付けて、解体ナイフをコンプリートせねば。

 俺が異世界の鉱物に思いをせていると、沙良が武器屋に陳列されている商品を手に取って見ていた。
 
 何故なぜハンマーを持っている!
 
 お前にその武器は無理だ。
 槍だって動かない魔物を突き刺す事しか出来てないのに、何を考えてるんだ?
 ハンマーと一緒にぐるぐる回って終わりそうだ。

 俺は沙良から素早くハンマーを取り上げ、商品棚に戻した。
 文句が出たが、振り回されて俺が怪我をする確率が100%だと思うと持たせる訳にはいかない。  

 
 オリハルコン製の解体ナイフを注文する事に、男のロマンを理解していない沙良は案の定難色を示したが、今回は素材を持ち込んでいるので作成金額のみだ。

 武器屋の親父は、解体されていないオリハルコンゴーレムを見て喉から手が出るくらい欲しそうな表情をしていたが、前回ミスリルゴーレムを購入したばかりで店の資金が足りないらしい。
 
 注文は受けてもらったが、オリハルコン製の解体ナイフを作るのは初めてだそうだ。
 武器屋の親父はオリハルコンで剣を作成したいと言っていたが、生憎あいにく剣を使う事はない。

 注文が解体ナイフだった事に少しがっかりしていた。
 滅多に扱う事が出来ない素材らしい。
 
 まぁ、普通地下8階で出てくるような魔物じゃない事は確かだ。
 なんで迷宮ダンジョンでもない、普通の地下10階迄のダンジョンに出現するのか謎だ。
 
 そのお陰で今週は稼げたので文句はない。
 沙良も機嫌がよいらしく今日は外食だ。

 蟹が食べたいと言うので、蟹料理で有名なお店に入る。
 沙良が服を着替えてお洒落しゃれをして来たので、めてやると嬉しそうに笑っていた。

 今日は店に合わせて、普段着ではなく外出用の上下おそろいの服を着ていた。
 今の年齢と容姿に似合う可愛らしい感じの花柄模様が付いている。

 俺はデートという訳じゃないから、ジーパンを止めてチノパンとTシャツにジャケットだ。
 
 店の個室に入り席に着く。
 電子メニューから沙良はズワイ蟹の懐石、俺はタラバ蟹の懐石それぞれ1万円を注文した。
 
 すると本来1品ずつ出てくる料理が、テーブル一杯に全て展開される。
 俺達はあわてて熱い料理から食べ始めた。

「お料理、全部一遍いっぺんに出てきちゃって食べるのが大変だよ!」

「配膳する人がいないから、仕方ないだろう」

「でも、デザートのアイスが溶けちゃうじゃん!」
 
「最初に食べろ。順番は腹に入れば一緒だ」

「ええ~!? あっ! アイテムBOXに収納しておこう! お兄ちゃんのも収納してあげるね」

 最初に何故なぜ気付かない……。
 いくら有能なスキルを持っていても、それじゃあ宝の持ち腐れだ。
 
 沙良は天麩羅と茶碗蒸し蟹爪フライを食べた後、刺身を口に入れて「甘~い」と喜んでいる。
 俺は蟹を食べるのが苦手なので、まだ食べやすいタラバ蟹の懐石にしておいた。

 どうにも、ちまちま取って食べるのが性に合わないのだ。
 タラバ蟹のステーキはボリュームがあって旨かった。
 焼きタラバも香ばしくて文句無し。

 蒸した物や刺身も甘くて、久し振りに蟹を食べた気がする。
 最後は定番である蟹の太巻きを、沙良はこれ以上お腹一杯で食べられないとタッパーに詰めていた。

 でもデザートは、どうせ別腹なんだろう?
 タッパーをアイテムBOXに収納して、当然のようにデザートを出す姿に笑ってしまった。

 抹茶アイスは緑茶が濃厚で甘すぎず、口の中がさっぱりする。
 俺達2人は、久し振りの蟹を充分堪能たんのうして家路に就いた。

 俺は部屋に戻った後に店で飲めなかった日本酒を手酌てじゃくで飲みながら、

 旭、冒険者で何十億と稼いでもお小遣いは3,000円なんだ。
 信じられないだろう?

 と今は亡き親友に愚痴ぐちをこぼしたのであった。

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