自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
124 / 781
<外伝> 椎名 賢也

椎名 賢也 60 ダンジョン 地下10階 親友が妹に召喚された 1

 2時間程、お互いの話をしていた後で沙良が旭に質問した。

「旭さぁ。ダンジョンマスターって何かする必要ある?」
 
「いや? ダンジョンマスターの仕事は何もないよ」

「じゃ、外に出たいよね?」
 
「そりゃ勿論もちろん出たいよ! 俺11年間、ここでずっと1人だもん」

 何で今更、分かっている事を聞くのか不思議だったが次の瞬間、妹の斜め上だった発想をこの時ばかりは感謝した。

「分かった。召喚! 旭 尚人あさひ なおと

「へっ?」

 なんと妹は、異世界にいる目の前の旭を召喚したのだ!
 一体、誰がそんな発想をするだろうか?

 普通は、ここにいない誰かを呼ぼうとするだろう。
 しかも旭は既に異世界に転移させられた後だ。
 召喚出来るとは流石さすがに俺でも考えない。

 そして旭の体が光り再び光の粒子が消える頃には、20歳当時の姿に変わっていた。

 医大で勉強漬けだった日々を思い出す。
 あの頃も、ずっと家庭教師をしていた。

 うん、高校3年生からの家庭教師代は絶対請求してやろう。
 5年間分だから、さぞかし高額になるに違いない。

 お礼だと言っていたお店もおごってもらってないしな。
 しかし夢の話が本当の事だったなんて、不思議な事もあるもんだ。

 何だ?
 テレパシー的な何かか?

 お互い考えている事が偶然同じで、波長が合ったんだろうか……。
 結局、Dカップ美女である「FOXEY」の涼子りょうこちゃんには会えずじまいだった。

 旭、全然お礼になってないぞ?    

「やっぱり~、こうなると思ったんだよね。『手紙の人』律儀りちぎだからさ。はい、これ姿見ね」

 沙良は自分のした事を当然の結果だと思っているのか、大して感動する様子も見せずアイテムBOXから姿身を取り出して旭に姿を確認するようにうながす。

 自分の姿を鏡で確認した旭は、驚いて目を見開いている。

 そりゃビックリするだろう。
 俺も相当驚いている。

 沙良がテーブルの下に落ちていた封筒を取り上げた。
 見慣れた封筒だ。

 封筒には【召喚された方へ】と書かれている。

椎名 沙良しいな さら様から召喚された方へ
 すべての元凶は私です。
 この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。
 まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。
 剣と魔法のファンタジーである所の異世界です。
 椎名 沙良しいな さら様にあわせて、年齢は設定させて頂きました。
 また、貴方様の能力を変更致しました。
 なお、既に覚えた能力はそのままとさせて頂きます。
 
 旭 尚人あさひ なおと様の能力
【時空魔法】 
 ●アイテムBOX 容量無限・時間停止。
【光魔法】
 ●ヒール 怪我を治す事が出来ますが、病気を治す事は出来ません。
 ●ホーリー HPを回復します、アンデッド系を攻撃します。
 ●ライトボール 攻撃魔法・照明替わりにもなります。

 まずは「ステータス」と唱え、自分の能力を確認する事をお勧めします。
 最後に、このような不幸な目にわせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますようお祈り申し上げます。』

 おおっ、本当に沙良に召喚されたんだな!

 これでダンジョンマスターじゃなくなるから、ダンジョンから出る事も出来るだろう。

 俺は気掛かりだった事が解決して安心した。
 沙良に毎回ダンジョンの地下10階まで連れてきてもらうのは、少々面倒だと思っていたのだ。

「だって、手紙に『地球世界・・・・の人間・・・を、呼び出せる』って書いてあったじゃん! 取りえずステータス確認してみれば?」
 
「本当っ? ステータスっと」

 旭は驚愕きょうがくから立ち直ると、満面の笑みで自分のステータスを確認して報告してくれた。

【現在のステータス】
 旭 尚人あさひ なおと 20歳
 レベル 25
 HP 1,170
 MP 1,170
 魔法 時空魔法(アイテムBOX)
 魔法 光魔法(ヒールLv2・ホーリーLv10・ライトボールLv10)
 魔法 火魔法(ファイアーボールLv10・ファイアーアローLv10)
 魔法 水魔法(ウォーターボールLv10)
 魔法 土魔法(アースボールLv10)
 魔法 風魔法(ウィンドボールLv10)
 魔法 石化魔法(石化Lv10) 
 魔法 雷魔法(サンダーアローLv10) 
 魔法 闇魔法(ドレインLv0)

 ヒールレベルが上がらなかったのは、治療の必要がなかったからだろう。
 俺達も魔法で魔物を先制攻撃しているので、怪我を負う事はない。

 ドレインも同じ理由で使用した事がないんだろうな。
 そして魔法Lvは10がMAXらしい。

「そろそろ、いいかな? ドラゴンいないし自宅へ帰りたいんだけど」

 ダンジョンマスターではなくなって、感激している旭を他所よそに沙良が言った。

 お前は少しは旭の気持ちを気遣きづかえよ!
 俺達2人からの視線を受けても、沙良は平気らしい。

 まぁ旭もダンジョンから出られるようになったんだから、ここにずっといる必要もないだろう。

「じゃあ帰ろう!」
 
「了解!」

 沙良が設置したテーブルや椅子なんかを片付け始めた。
 部屋の周囲を見渡してから、旭に当分ここには来ないから忘れ物をしないように言っている。

 良かったな、旭。
 等身大人形を仕舞しまっておいて。

 あのままだったら、きっと沙良に見られてたぞ?

 生活感あふれる地下10階は、全ての物が収納されて何もない部屋になった。
 まさに、立つ鳥跡をにごさず。

 これからは、沙良のホーム内で日本と同様の生活を送ってくれ。

 --------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 --------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇