自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第325話 迷宮都市 ミリオネの子供達へのプレゼント 2

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 子供達の家の庭で、簡易テーブルと魔道調理器を出して昼食の準備だ。
 まずは『フィッシュバーガー』用の『ナン』を子供達50人+私達3人分を焼かなければいけない。

 フライパンを5枚同時に駆使くしし、兄と旭にもファイヤーボールを使用してオーブン代わりになってもらう。

 2人とも最初の1枚を、火加減が上手く出来ずにがしてしまった。
 責任もってその『ナン』は自分で食べて下さい。

 53枚の『ナン』を焼き上げたらアイテムBOXに収納し、今度は『キッシュ』作り開始。
 兄にコカトリスクイーンの卵を2個、電子切開してもらう。

 最後まで『チーズオムレツ』と迷ったけど、調理の手間を考えて『キッシュ』の方にした。
 こちらも兄と旭に手伝ってもらい、5枚のフライパンで同時に焼き上げる。

 『ナン』で火加減を覚えたのか、2人とも今度は焦がす事はなかった。
 焦がした『ナン』を自分達で食べる事になったのが大きいのかも知れない。

 この後にリースナーの町へ行くので、生地に余裕がないんです。
 把握しているのは1ケ月前の人数だから、子供達が増えている可能性だってある。

 1人だけ食べられないなんて可哀想かわいそうな事になったら大変だ!
 一緒に食べるのに、私達だけ別メニューにする訳にはいかない。

 焼きあがった『キッシュ』をアイテムBOXに収納。
 この頃になると、庭に10歳以下の留守番組が匂いにつられてやって来た。

 『キッシュ』には手に入ったバターと生クリーム(牛乳の上うわずみ)を使用したので、バターの良い香りに誘われたんだろう。

「お姉ちゃん。今日は何を作ってくれるの?」

 この子は最初に行った時、1番目の家に居た女の子だ。

「ふふっ、今日は皆が食べた事ない物ばかりだから食べるまで内緒よ!」

「わぁ~、そうなんだ! お姉ちゃんが作る料理はいつも美味しいから楽しみ!」

 頬を染めて目をキラキラさせている様子に子供は本当に可愛いと思う。
 
 次は業務用寸胴鍋で『シチュー』を作る。

 こちらにもバターと牛乳を使用し、入れるお肉は私の好みでコカトリスキングにした。
 味は日本の物と同じだと思う。

 お店で出している『シチュー』には牛乳が入っていないので、少しコクが足りないなんちゃて『シチュー』だからね。

 異世界のバターはミルクカウという魔物の牛乳から作られているためか、とても美味しかった。
 普段日本で使用している物じゃなくて、少しお高い〇つ葉バターの味に近いかも?
 
 無塩バターだったので、お菓子にも使用出来るよ。
 
 完成した『シチュー』は、依頼を済ませた子供達が来てから温め直せばいいのでそのまま置いておく。

 メインの揚げ物を開始。

 てのひらサイズの大きな迷宮サーモンのフライを次々揚げて、油切りをしたらアイテムBOXに収納を繰り返す。
 
 53枚全ての迷宮サーモンのフライを揚げ終わると、また別の揚げ物用鍋をマジックバッグから取り出した。

 今回は『フライドポテト』をカリカリの食感にするために、オリーブオイルに2割程ラードを入れて使用する。
 ラードを処理するのが面倒だと思っていたけど、使用後の油を鍋ごとアイテムBOXに収納すれば良い事に気がついた。

 そうすれば次回使用する時も、熱い状態のまま出てくるので直ぐに揚げ物が調理出来る。

 53人分の『フライドポテト』を大量に揚げて、塩をまぶしてアイテムBOXに収納する事を繰り返す。

 これで熱々の状態のまま食べられるだろう。
 B級冒険者になったので多少の不思議は問題ない。
 食べるのも子供達だけだからね。

 これで昼食に出す料理は完成!
 子供達は喜んでくれるかな?

 私が料理を作っている間、兄と旭が子供達に紙芝居を読んで聞かせてあげていた。
 子供達は、初めて聞く物語に興味津々で絵に釘付けだ。

 兄は『かぐや姫』、旭は『人魚姫』を披露ひろうするらしい。
 日本でも不思議な話として知られている有名な話だけど、そのチョイスはどうかな~。

 まず『かぐや姫』は竹を切ったら、10cmくらいの人間がいる事がもうおかしい。
 その後、物理法則を無視して人間の大きさになっていく過程は理解出来るだろうか?

 そして求婚者に無理難題をふっかけ、最後には月へ帰るとんでもない内容だ。
 子供達の様子を見てみると、皆口を開けてポカーンとしている。

 まぁ、そうだよね~。

 何故なぜ、もっと分かりやすい話にしなかったのかな?
 『赤ずきんちゃん』と『シンデレラ』は話すのに飽きたのかしら……。

 旭が話す『人魚姫』。
 これもハンフリー公爵領は海に面していないので、ず子供達には海がどういった物か分からないだろう。

 あるのは川だけで、見渡す限り水が溜まった状態は見た事も聞いた事もないからだ。
 そして主人公の人魚姫は人間じゃなく『人魚・・』だった。

 下半身が魚の種族は異世界にいるのかな?
 エルフやドワーフや獣人が居る事は、子供達も知っているだろうけど……。

 海でおぼれている王子様を助け、その恋ゆえに美しい声と引き替え両足を得るのだ。
 人間になる条件として王子様の愛が得られない場合は、海の泡となって消える事も了解する。

 本当は自分が助けた事を伝えたくても、誤解したままの王子様は他の人間と結婚してしまう事になった。
 
 このままだと海の泡となる妹を助けたくて、姉達はこのナイフで王子様の心臓を突き刺せば良いと言う。
 けれど愛する人の心臓を刺す事は、人魚姫には出来ない。
 結局、姉達が苦労して手に入れたナイフを使う事なく最後は海の泡となり消えてしまうお話だ。

 これ、究極の片思いの話だよね~。

 まだ幼い子供達は恋愛した経験も無いから、ちょっと理解出来ないんじゃないかしら?

 それでも女の子は異世界でも早熟そうじゅくなのか、人魚姫の事を可哀想かわいそうだと思っていたみたい。
 男の子達は気付かない王子様に対して、文句を言っていたけどね。

 読み終わった後で感想を聞きながら、子供達が仕事から帰ってくるのをのんびりと待つ事にした。

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