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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第327話 迷宮都市 ミリオネの子供達へのプレゼント 4
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そうそう迷宮都市のダンジョンで換金しなかった武器も渡してあげなくちゃね。
庭の隅に大きな布を広げて、リザードマンが持っていた武器を大量に出す。
年長者を呼んで、冒険者をしている子供達と分けてねと言うと本当に嬉しそうだった。
武器は高いから、なかなか買い替える事が出来ないんだろう。
最後に珍しい魔物を見せてあげようと、タートル(体長3m)をアイテムBOXから出して見せてあげたら驚き過ぎたのか、皆顎が外れるんじゃないかと思うくらい口を開けっぱなしにしていたよ。
「お姉ちゃん……。もしかして、この魔物もプレゼントじゃないよね?」
「ごめんね~、亀は数が少ないからプレゼントしてあげられないの」
「ううんっ、大丈夫! ちょっと心配だったから……」
これでミリオネの町の予定は終了だ。
帰る準備をしていると、1人の少年が子供達の庭に入ってきた。
確かもうこの子はC級冒険者になって、子供達の家から出ていった子だ。
初めて会った時は、まだ9歳だったから今は16歳くらいだろうか?
大きくなって、私の背をとっくに追い越してしまった。
少年は私に気付いて小走りに近付くと、抱き着いてきた。
「お姉ちゃん、会いたかった~!」
体は大きくなってもミリオネの町で4年半を一緒に過ごした子供は、相変わらず私の事を姉のように慕ってくれているらしい。
私より20cmは身長の高いその少年をしっかりと抱き締め返す。
傍から見たら、きっと私の方が抱き着いているように見える構図だろう。
「久し振り、元気だった?」
「うん、僕ね今はリースナーのダンジョンを攻略してるんだよ!」
「あら? じゃあ今日はどうしたの?」
「僕達が育った家の子供達に、ダンンジョンで狩ったファングボアを届けに来たの」
あぁ、家を出た冒険者の子供達はちゃんと支援をしてあげているんだ。
優しい子に育ってくれたみたいで胸が暖かくなる。
自分が受けた恩をちゃんと返す事が出来ているんだね。
ミリオネとリースナーの町は馬車で半日しか離れていない。
行こうと思えば1日で往復出来る距離だ。
この子の事は、とてもよく覚えている。
3歳年上の兄が居て、弟の面倒を一生懸命見ていたからだ。
兄弟なので一緒の家に住めるようにしてあげたら、泣いて喜んでくれた。
冒険者として活動出来るようになり、毎日お腹一杯食べられるようになった事を感謝しているとお礼を言いながら私の手を握り締めた事がある。
その手はとても小さくて、彼らが今まで碌に食べる事が出来なかったんだと実感させられた。
そんな兄弟の成長を4年半見守り続けた。
1年後には、栄養不足で痩せていた2人が町の子供達と同程度まで大きくなった。
私との【約束】をきちんと守って、見違えるように清潔な姿にもなっている。
もう誰も、路上生活をしていたと気付く人は居ないだろう。
差別を受ける事はとても辛い。
暗かった表情も明るくなって自然な笑顔が増えた。
弟を守るために全身ハリネズミのような猜疑心の塊だった兄は、周りを無駄に警戒する事が無くなった。
後で知った事だけど父親が帰ってこなくなり母親に捨てられてから、この子は全く話さなくなってしまったらしい。
ショックな出来事があると、失声症になってしまう子供の例は日本でも聞いた事がある。
突然両親が居なくなり路上生活をする事になったのだから、それはもうかなりの衝撃を受けたに違いない。
私と出会ってから話すようになったとお礼を言われたけど、特に何かをした訳じゃないから原因がさっぱり分からないんだよね~。
ただ3年間、一言も話さなかった事で彼の言動は少し同年代の子供と比べると幼い感じがするのは確かだ。
「僕ね、お姉ちゃんのお嫁さんになるから待っててね!」
そんな少年が、突然かなりぶっ飛んだ事を言った。
えっ!?
今何と言った?
お婿さんになるの言い間違いよね?
しかもこれ、逆プロポーズされているのか私。
そう言ってもらえるのは嬉しいのだけど、現実問題この子と結婚する事は出来ないんだよね~。
色々間違った発言だと思うけど、何と答えたら良いものか……。
返答に困っていると、兄が旭の脇を突いている。
?
旭を見ると、なんだか顔色が悪い。
そして少年を連れ出してしまった。
5分程して2人が庭に戻ってくると、少年は何故か涙目になっている。
一体、何があったのか……。
旭が、お嫁さんになれない事を言い聞かせてくれたんだろうか?
そして先程の返事を私はしなくても大丈夫かな……。
結局、問題を先送りにして今日の所は撤収する。
ごめんなさい、次回会う時までに返事を考えておくわね。
出したタートルをアイテムBOXに収納し子供達に別れを告げると、皆が大きく手を振って町の外まで見送ってくれた。
こんなに喜んでくれるのなら、次はもう少し早く会いに行こう。
迷宮都市では普通に食べられている『肉うどん』も食べさせてあげたいし、『バーベキュー』をするのも楽しいかも知れない。
殆どの子供達に背を抜かれて寂しい思いをしたけれど、まぁ大きく育ってくれたので町の人達の支援が行き届いているんだろうと思う事にした。
次はリースナーの町だ。
マッピングで人が居ない事を確認して移転する。
複数回繰り返すと、リースナーの町の入り口に辿り着く。
この町の子供達に会うのも1年振りくらいだ。
皆大きくなっているだろうか?
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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庭の隅に大きな布を広げて、リザードマンが持っていた武器を大量に出す。
年長者を呼んで、冒険者をしている子供達と分けてねと言うと本当に嬉しそうだった。
武器は高いから、なかなか買い替える事が出来ないんだろう。
最後に珍しい魔物を見せてあげようと、タートル(体長3m)をアイテムBOXから出して見せてあげたら驚き過ぎたのか、皆顎が外れるんじゃないかと思うくらい口を開けっぱなしにしていたよ。
「お姉ちゃん……。もしかして、この魔物もプレゼントじゃないよね?」
「ごめんね~、亀は数が少ないからプレゼントしてあげられないの」
「ううんっ、大丈夫! ちょっと心配だったから……」
これでミリオネの町の予定は終了だ。
帰る準備をしていると、1人の少年が子供達の庭に入ってきた。
確かもうこの子はC級冒険者になって、子供達の家から出ていった子だ。
初めて会った時は、まだ9歳だったから今は16歳くらいだろうか?
大きくなって、私の背をとっくに追い越してしまった。
少年は私に気付いて小走りに近付くと、抱き着いてきた。
「お姉ちゃん、会いたかった~!」
体は大きくなってもミリオネの町で4年半を一緒に過ごした子供は、相変わらず私の事を姉のように慕ってくれているらしい。
私より20cmは身長の高いその少年をしっかりと抱き締め返す。
傍から見たら、きっと私の方が抱き着いているように見える構図だろう。
「久し振り、元気だった?」
「うん、僕ね今はリースナーのダンジョンを攻略してるんだよ!」
「あら? じゃあ今日はどうしたの?」
「僕達が育った家の子供達に、ダンンジョンで狩ったファングボアを届けに来たの」
あぁ、家を出た冒険者の子供達はちゃんと支援をしてあげているんだ。
優しい子に育ってくれたみたいで胸が暖かくなる。
自分が受けた恩をちゃんと返す事が出来ているんだね。
ミリオネとリースナーの町は馬車で半日しか離れていない。
行こうと思えば1日で往復出来る距離だ。
この子の事は、とてもよく覚えている。
3歳年上の兄が居て、弟の面倒を一生懸命見ていたからだ。
兄弟なので一緒の家に住めるようにしてあげたら、泣いて喜んでくれた。
冒険者として活動出来るようになり、毎日お腹一杯食べられるようになった事を感謝しているとお礼を言いながら私の手を握り締めた事がある。
その手はとても小さくて、彼らが今まで碌に食べる事が出来なかったんだと実感させられた。
そんな兄弟の成長を4年半見守り続けた。
1年後には、栄養不足で痩せていた2人が町の子供達と同程度まで大きくなった。
私との【約束】をきちんと守って、見違えるように清潔な姿にもなっている。
もう誰も、路上生活をしていたと気付く人は居ないだろう。
差別を受ける事はとても辛い。
暗かった表情も明るくなって自然な笑顔が増えた。
弟を守るために全身ハリネズミのような猜疑心の塊だった兄は、周りを無駄に警戒する事が無くなった。
後で知った事だけど父親が帰ってこなくなり母親に捨てられてから、この子は全く話さなくなってしまったらしい。
ショックな出来事があると、失声症になってしまう子供の例は日本でも聞いた事がある。
突然両親が居なくなり路上生活をする事になったのだから、それはもうかなりの衝撃を受けたに違いない。
私と出会ってから話すようになったとお礼を言われたけど、特に何かをした訳じゃないから原因がさっぱり分からないんだよね~。
ただ3年間、一言も話さなかった事で彼の言動は少し同年代の子供と比べると幼い感じがするのは確かだ。
「僕ね、お姉ちゃんのお嫁さんになるから待っててね!」
そんな少年が、突然かなりぶっ飛んだ事を言った。
えっ!?
今何と言った?
お婿さんになるの言い間違いよね?
しかもこれ、逆プロポーズされているのか私。
そう言ってもらえるのは嬉しいのだけど、現実問題この子と結婚する事は出来ないんだよね~。
色々間違った発言だと思うけど、何と答えたら良いものか……。
返答に困っていると、兄が旭の脇を突いている。
?
旭を見ると、なんだか顔色が悪い。
そして少年を連れ出してしまった。
5分程して2人が庭に戻ってくると、少年は何故か涙目になっている。
一体、何があったのか……。
旭が、お嫁さんになれない事を言い聞かせてくれたんだろうか?
そして先程の返事を私はしなくても大丈夫かな……。
結局、問題を先送りにして今日の所は撤収する。
ごめんなさい、次回会う時までに返事を考えておくわね。
出したタートルをアイテムBOXに収納し子供達に別れを告げると、皆が大きく手を振って町の外まで見送ってくれた。
こんなに喜んでくれるのなら、次はもう少し早く会いに行こう。
迷宮都市では普通に食べられている『肉うどん』も食べさせてあげたいし、『バーベキュー』をするのも楽しいかも知れない。
殆どの子供達に背を抜かれて寂しい思いをしたけれど、まぁ大きく育ってくれたので町の人達の支援が行き届いているんだろうと思う事にした。
次はリースナーの町だ。
マッピングで人が居ない事を確認して移転する。
複数回繰り返すと、リースナーの町の入り口に辿り着く。
この町の子供達に会うのも1年振りくらいだ。
皆大きくなっているだろうか?
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