自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
204 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第330話 迷宮都市 夢に出て来た妹 2

 1日で2つの町を回り、流石さすがに疲れていたのかお風呂に入ったらそのまま湯舟で眠ってしまったみたいだ。

 寒さで目が覚める。 

 そしてまた妹の夢を見た。
 前回見た夢とは違い、始めの方は香織かおりちゃんの気持ちが寂しさであふれていた。

『お母様、滅多に会えなくて寂しいよ。お父様は仕事で忙しいから、いつもご飯を独りで食べてるんだよ。お茶会にも行きたい、私も友達が欲しいのに……』

 妹が何処どこにいるのか、夢の中では景色が見えず声のみだったのが歯がゆくて仕方が無い。

 母親と滅多に会えない環境ってどういう事?
 聞いた感じからすると、この子はまだ幼い。
 母親の愛情が充分に必要な時期だろう。

 父親は仕事で忙しく、娘と一緒にご飯を食べる時間もないのか……。
 母親とも父親とも会えず、どうやら香織ちゃんは家で一人きりで過ごしているみたいだ。

 お茶会に参加したいと言っているので、裕福な生まれらしい。
 でも、お友達が居ないと泣いている。

 もしこの世界に生まれ変わっているのならば、貴族なのかも知れないな。

『お父様から誕生日プレゼントを貰った。毎年、同じぬいぐるみだ。私の事をいつまで、ぬいぐるみを欲しがる子供だと思っているんだろう。そんな事より、せめて誕生日くらい一緒に遊んでくれたらいいのに……』

 父親は子供が欲しい物も把握していないのか……。

 そして、母親からはプレゼントも貰えないらしい。
 この子は兄妹も居ない様だから、毎年寂しい誕生日を過ごしているみたいだ。

 うちの子に生まれていれば、誕生日はお母さんがご馳走ちそうを作って誕生日ケーキを焼き、家族全員からのプレゼントを貰う事が出来たのに……。

 お誕生日会は、とても楽しい思い出になったはずだ。

 誕生日ケーキの上に飾られた年齢分のロウソクが毎年増えていく事も、お母さんの弾くピアノに合わせて家族全員にハッピーバースデーの歌を歌ってもらい、ロウソクを吹き消す瞬間も私はとても好きだった。

 30歳を過ぎる頃には、ロウソクの数を嬉しい物だとは思えなくなってしまったけど……。
 39歳の時は、飾られたロウロクまみれの誕生日ケーキに気分がえたよ。

 まぁそれでも、毎年誕生日を祝ってくれる家族には感謝しているし、ケーキはとても美味しく頂いた。

 そして場面が変わる。

『私何も悪い事してないのに……。毎日棒で打たれて痛い……。それにお腹が空いてるの、いつまで耐えればいいのかな……。お父様、私こんなに痩せちゃったのに気付いてもくれないのね。何度も、視線を送ったのに……』

 また虐待されている……。

 子供を棒で打つなんて、一体誰がそんな事をするのか!
 母親とは滅多に会えないと言っていたからきっと別人だろう。
 そしてお腹が空くまで、食事を抜かれているの?

 仕事で忙しいという父親は、一体何をしているんだ。
 自分の子供が虐待されているというのに気付かないなんて!

 痩せている事くらい、普段からしっかり娘の状態を把握していれば簡単に分かる事でしょう?
 助けてほしいと願い視線を送るという事は、香織ちゃんが言えない状況にあるみたいだ。

 虐待している本人が近くに居るのか……。

 以前にも見た、この夢は一体何なのだろう?
 産まれる事が出来なかった、妹の香織かおりちゃんから助けを求める声なの?

 これが現在進行形で起きている事なら、ダンジョンを攻略している場合じゃない。

 でもこの世界に生まれてきている確証もなければ、夢の中の声だけでは手掛かりも無くどうやって探せばいいのか……。

 本当だったら今すぐにでも駆けつけて助け出してあげたいくらい、夢の中の香織ちゃんは追い詰められている。

 とても気になる夢だったので、お風呂から上がった後も中々寝付けなかった。

 翌日。
 私は久し振りに寝坊した。

 兄に起こされて、6時半だと言われ飛び起きる。
 7時には教会で炊き出しの準備を始めなければいけない。
 
 朝食を作っている余裕が無かったので、アイテムBOX内にあるコンビニ弁当を2人に渡して先に食べてもらった。

 私は急いで外出着に着替え、朝の準備を済ませる。
 アイテムBOX内のお握りを1個食べたら、シルバーとフォレストを呼んで教会の炊き出しに向かった。

 5人の母親達と今日は子供達も一緒だ。

 私達がスープを作っている間、子供達はシルバーとフォレストの背に乗って楽しそうに遊んでいる。
 2匹には、ゆっくり走ってあげるようにお願いしてあるので振り落とされる心配はない。

 大人の母親達より、子供達の方が従魔に慣れるのが早いのかな?
 
 8時になると子供達がやって来た。
 今日も1時間早い集合だ。

 兄と旭が小さな子供から順番に、シルバーとフォレストの背に乗せてあげている。

 2匹は子供達に大人気らしい。

 9時になり、パンと具沢山スープを配り始める。
 全員に行き渡った所で「頂きます」と挨拶をして皆が食べ始めた。

 今日は家持ちの冒険者達も来るので、劇が終わったら皆で『バーベキュー』をする予定だ。

 9時30分頃、アマンダさんとダンクさんのパーティーが到着。
 その後、家持ちの冒険者パーティーがぞくぞくと教会に集まってくる。

 サヨさんも、編み物教室の仲間と一緒に劇を見に来てくれた。
 母親達のいる隣の場所をキープしたようだ。

 こんな大勢に見られて、果たして劇の内容は大丈夫かしら?
 前回みたいな事にならないといいんだけど……。

 物語を知っているサヨさん、ごめんなさい。
 多分、別物になると思います……。

 --------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 --------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇