自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
224 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第350話 冒険者ギルドマスター オリビア・ハーレイ 4 従魔登録 1

 サラ様が地下10階から地下11階に拠点を移された。
 この分だと最速で最終攻略組と合流するだろう。

 その後3ケ月毎に1階層下に拠点を移し、良質な素材を次々と換金して下さる。
 あぁ、そんなに私に頑張れと言われるのですか……。

 分かっております。
 高値で売らせて頂きますとも!

 そして現在は地下14階に移られたばかりだ。
 この階層、実は迷宮都市では冒険者の試金石しきんせきとなる厄介やっかいな魔物が多い。

 キングビーの毒針で刺された場合、直ちに攻略を中止して帰還しないと毒が回り壊死えししてしまう。
 そこまでしても治療で助かる見込みは五分五分と言った所。

 ここでリーダーの腕が試されるのだ。
 必ず8匹との集団戦闘になるので、余裕を持って倒せなければ回避するしかない。
 無謀に挑戦した挙句あげく、冒険者を続けられなくなれば本末転倒だ。

 いくらクインビーの蜜袋の換金額が高いとは言え、リスク管理が出来ないリーダーに未来は無いだろう。
 
 そして最も換金額が高い迷宮タイガーに至っては、常設依頼に出してはいるが冒険者が狩る事はほとんど無い魔物だった。

 トレントの森深くに居る事が多く、討伐するなら周囲のトレント全てと戦闘になる。
 しかもトレントは、目に見えない風魔法のウィンドニードルを飛ばしてくるので盾を持って進まなければならない。

 討伐難易度で言えば、地下18階層くらいの魔物だ。
 ここを拠点にしているのは、クランリーダー率いるパーティーばかり。

 地下14階を攻略している冒険者には手に余る魔物だろう。
 
 最後に貴族に人気がある迷宮ウナギは川に生息しているので、これもまた冒険者には不人気な魔物だった。
 体長5mもある迷宮ウナギは、水中を自在に移動しウォーターニードルを飛ばしてくる。

 労力の割に中々狩れないとあっては、討伐する気も失せてしまう。
 水中に逃げられれば、それまでの苦労が水の泡だ。

 そういう訳で地下14階に常設依頼は出しているが、換金される事が滅多に無い魔物が多かった。

 なのにサラ様は、1週間で大量の魔物を換金しやが……して下さった。
 こんなに大量にあっても販売ルートが無いんですけど!?

 トレントはまだいい、最悪倉庫に眠らせて市場価格が下がらぬように調整すればいいからだ。

 だけど迷宮ウナギは困る……。

 王都の高級料理店に卸すにしても量があり過ぎだ。
 何故なぜ99匹も狩ってこられるんですか……。

 1匹体長5mもあるのに、私に喧嘩けんかを売っている訳じゃないですよね?

 そして傷の全くない迷宮タイガー29匹!
 シルバーウルフの皮なんて比較にならない程のシロモノをどうしろと……。

 また王都のオークションで、シルバーウルフの皮と一緒に売らなければいけないらしい。

 しかも、この量が毎週3ケ月続くのだ。
 早急に迷宮ウナギの販売先を確保しないと!

 あぁ、考えないようにしていたけれど噂ではトレントの森が1本残らず消えたとか……。
 これも換金される予定でいますよね?
 
 森から消えたトレント……、恐ろしくて数を想像したくない。
 泣いても良いですか?

 私が換金された大量の魔物の処分に四苦八苦していると、受付嬢が部屋に入ってくるなり従魔登録の用紙が何処どこにあるか聞いてきた。

 はっ?
 従魔登録の用紙?

 それは一体誰が必要としているのか……。
 聞いた瞬間、私は嫌な予感で一杯になる。

 冒険者の名前を尋ねてみると、案の定サラ様のパーティーらしい。
 しかも従魔は2匹居ると言う。

 あぁ、今度はどんな問題を起こされるのか。
 迷宮都市に今迄テイムされた魔物は居なかったのに……。

 私は受付嬢に副ギルドマスターを呼んで、サラ様達を会議室に案内するように頼み席を立った。

 何の魔物を誰がテイムされたのか……。

 そもそもテイム魔法は、かなり特殊な方法で習得するから秘伝扱いに近い。
 それこそ一子相伝で伝える事もあるくらいだ。

 テイム魔法が使えると知られると、また危険度が増すんですけど……。

 それより私はこれまで遠目からお会いした事は会っても、直接言葉を交わした事がない。
 突然王族と初めて相対する事になり、緊張で手が震えてきた。

 あぁ心拍も相当上がっているわね。
 今にも自分の心臓が大きく脈打っている音が聞こえてきそう。

 私、サラ様にお会いする前に倒れるんじゃないかしら?
 何か粗相そそうがあったらどうすればいいの?

 治癒術師の御二方おふたかたはフォローして下さるかしら……。

 私は動揺する気持ちを何とか抑え、自分自身を叱咤激励しったげきれいしギルドマスターの部屋から出ていった。

 隣接している部屋に居る秘書のオリーに、迷宮都市で一度も使用された事がない従魔登録用の用紙と首輪を2つずつ準備させると一緒に会議室へと向かった。

 会議室に入る前に、秘書のオリーにはくれぐれも失礼な態度を取らないよう言い聞かせておく。

 この男は迷宮都市があるリザルト公爵のおいだ。

 就職先を斡旋あっせんしてほしいと公爵に頼まれ仕方無く雇ったけれど、貴族の出身である事を鼻にかけ冒険者に対して上から目線な態度を取る事が多い。

 何度注意しても直らなかったので、どこの部署でも使えず結局私が面倒を見る羽目はめになった。
 迷宮都市は独立採算制を取っているが、それでもリザルト公爵領内にある限りしがらみからは抜け出せない。

 人族の貴族なんてエルフにとっては身分を敬う対象にならないと知ってるだろうけど、こうして偶に無理を承知で頼まれる事がある。

 オリーは使えなさで言えば、その最たる者だった。
 公爵の顔を立てて雇い入れ既に5年が経過している。

 この無能者を、そろそろ解雇しても良い頃だろう。

 --------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 --------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇