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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第351話 冒険者ギルドマスター オリビア・ハーレイ 5 従魔登録 2
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私は会議室に入る前に大きく深呼吸をする。
今からお会いするサラ様はハイエルフの王族だけど、現在お忍びで冒険者として活動していらっしゃる。
お忍びが成功しているかどうかは、この際置いておくとして……。
私が不自然な態度を取って、サラ様達がお忍びで冒険者をしている事がバレるのは非常にまずい。
なるべく普段通りに接しないと、副ギルドマスターのウォーリーと秘書のオリーが不審がるだろう。
っていうか2人とも名前が似すぎて、ややこしいのよ!
全然関係ない事を思いながら会議室の扉を2回ノックした後、室内にオリーと入った。
既にウォーリーが端に座っていたので、私は真ん中の席に座る。
テーブルを挟んで正面はサラ様だった。
私は初めてお会いするハイエルフの王族のお姿を、こんな近くで見る事が出来て密かに感動していた。
これは後で父に自慢してやろう。
サラ様は本当にヒルダ様と似ていらっしゃる。
あの特徴的な紫の瞳は姿変えの魔道具で変えているのかしら?
それにしても普通は王族がお忍びで人族の国に来られる時は、治癒術師2人のように人族の姿に変化する物だけど……。
サラ様は何故か容姿はそのままで、年齢と体型を変えられたようだ。
身長が12歳くらいの人族の平均しかない。
ステータスには18歳とあったけれど、あれから1年経過して19歳に表記上はなっている筈。
態々お小さい姿を取られるのは、人族に侮ってほしいためなのかしら?
治癒術師の1人は完全な人族に変化しているが、サラ様の身長に合わせてかステータス表記の平均年齢身長よりこちらも低かった。
人族にしては可愛らしい容姿をしている。
この方は男性冒険者に人気だろうな。
最後の兄と名乗る治癒術師は190cmくらいだろうか?
こちらは容姿も整っているので、一瞬ハーフエルフに見えるかも知れない。
以前調査した時は、殆ど話す事は無い寡黙な青年と報告書に書かれていた。
多分、本来の身分や年齢から人族と会話するのは、お嫌だったのではないかと思われる。
存在を秘匿されたサラ様の侍医を任せられる程の高名な御方だ、王宮の序列は第2位だろう。
私では対等に口を利く事も許されない。
緊張感で一杯の私は、最初に秘書のオリーが口にした言葉に唖然となる。
こいつ!
あれほど無礼な態度は取らないようにと忠告したのに、挨拶もせずいきなり用件を話し出すとは何事だ!
調査報告書ではサラ様は非常に温厚なタイプであると書かれていたけど、オリーの非礼に顔付きが変わった。
その瞬間、まさに羊の皮を被った狼が姿を現す。
はっきりと年長者である事を理解させられた。
口調が変化し穏やかな雰囲気は消え、命令し慣れた物言いになった。
その余りに怒気を孕んだ声を聞いて、私はゾッとする。
今にも影衆の当主が王族に無礼を働いた罪で、オリーの首を一閃する姿を想像してしまったからだ。
幸いと言っていいものかオリーの首は無事で、サラ様のおっしゃった事に腹を立て部屋を出ていってしまったが……。
王族の前での殺生を避けたのか、早晩あの男は消されるだろう。
解雇しようと思っていた所だから、理由として丁度良い。
迷宮都市でトップの稼ぎを誇るパーティーリーダーを怒らせたのだから、従業員規則違反で懲戒解雇だ。
オリーが部屋を出た後で、上司の私が連帯責任を取らされるかも知れないと身構えたけれど、サラ様は不問にして下さるようだ。
その後オリーの態度を謝罪してテイムした方を尋ねると、なんとテイムされたのはサラ様ご本人だった!?
あ~それは、色々とまずいです。
従魔登録の書類は、本書を王都にある冒険者ギルト統括本部に送る必要がある。
そこに2匹の種類の違う魔物をテイムした事を記載すれば、サラ様は注目されてしまうだろう。
案の定、副ギルドマスターのウォーリーが声を荒らげた。
「一体どうやったら2匹同時にテイム出来るんだ!?」
いや本当に私も聞きたい。
ハイエルフの王族でも、ここまで規格外の能力を持った方を知らないんですが……。
これが同じ日でなければ、また違ったのだけど……。
「勿論、企業秘密です」
サラ様は、にっこり笑顔で躱された。
まぁ話せる事ではないし、冒険者は自分の能力を秘密にする。
ウォーリーも、それ以上の追及はしなかった。
「ギルマス、早いとこ従魔登録してやってくれ。さっきから2匹の魔物が俺を睨んでくるんだ。そいつらは相当Lvの高い魔物だな。良くテイムもされているし、問題無いだろう?」
言われて2匹の魔物を見ると、牙を剥いている。
先程、主人であるサラ様がオリーに対し怒りを露わにしたから、私達は敵認定されてしまったらしい。
サラ様が後ろを振り返り様子を見ようとした時には、2匹の魔物が牙をしまい尻尾を揺らしていた。
これは相当テイム魔法Lvが高いな。
私は従魔登録に必要な首輪と書類をサラ様に手渡した。
少し手が震えてしまっているのは、お目こぼし下さるだろう。
そして返却された書類に記載されている魔物の種類を二度見する。
今まで王族の前で緊張していた所為で気付けなかったけど、確かにシルバーウルフの毛が金色だった。
え?
ゴールデンウルフなんて、迷宮都市のダンジョンにいませんが?
一体どこの大陸の魔物ですかね?
カルドサリ王国内には生息していませんよ……。
サラ様?
私にいない魔物の従魔登録をしろとおっしゃる?
それは良きに計らえという事でしょうか……。
暗に書類の改ざんを指示されて、私は泣きたくなった。
精霊信仰を主としているエルフは嘘を嫌う。
それは守護精霊が嘘を吐くと加護をくれなくなるからだ。
ハーフエルフの私にも、ちゃんとステータスに守護精霊の加護が表記されている。
この場合、王族に指示をされたんだから大目に見てもらえるわよね?
きっとサラ様の守護精霊には世界樹の精霊王が付いている筈だから、後で執り成して下さると信じてますよ!
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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今からお会いするサラ様はハイエルフの王族だけど、現在お忍びで冒険者として活動していらっしゃる。
お忍びが成功しているかどうかは、この際置いておくとして……。
私が不自然な態度を取って、サラ様達がお忍びで冒険者をしている事がバレるのは非常にまずい。
なるべく普段通りに接しないと、副ギルドマスターのウォーリーと秘書のオリーが不審がるだろう。
っていうか2人とも名前が似すぎて、ややこしいのよ!
全然関係ない事を思いながら会議室の扉を2回ノックした後、室内にオリーと入った。
既にウォーリーが端に座っていたので、私は真ん中の席に座る。
テーブルを挟んで正面はサラ様だった。
私は初めてお会いするハイエルフの王族のお姿を、こんな近くで見る事が出来て密かに感動していた。
これは後で父に自慢してやろう。
サラ様は本当にヒルダ様と似ていらっしゃる。
あの特徴的な紫の瞳は姿変えの魔道具で変えているのかしら?
それにしても普通は王族がお忍びで人族の国に来られる時は、治癒術師2人のように人族の姿に変化する物だけど……。
サラ様は何故か容姿はそのままで、年齢と体型を変えられたようだ。
身長が12歳くらいの人族の平均しかない。
ステータスには18歳とあったけれど、あれから1年経過して19歳に表記上はなっている筈。
態々お小さい姿を取られるのは、人族に侮ってほしいためなのかしら?
治癒術師の1人は完全な人族に変化しているが、サラ様の身長に合わせてかステータス表記の平均年齢身長よりこちらも低かった。
人族にしては可愛らしい容姿をしている。
この方は男性冒険者に人気だろうな。
最後の兄と名乗る治癒術師は190cmくらいだろうか?
こちらは容姿も整っているので、一瞬ハーフエルフに見えるかも知れない。
以前調査した時は、殆ど話す事は無い寡黙な青年と報告書に書かれていた。
多分、本来の身分や年齢から人族と会話するのは、お嫌だったのではないかと思われる。
存在を秘匿されたサラ様の侍医を任せられる程の高名な御方だ、王宮の序列は第2位だろう。
私では対等に口を利く事も許されない。
緊張感で一杯の私は、最初に秘書のオリーが口にした言葉に唖然となる。
こいつ!
あれほど無礼な態度は取らないようにと忠告したのに、挨拶もせずいきなり用件を話し出すとは何事だ!
調査報告書ではサラ様は非常に温厚なタイプであると書かれていたけど、オリーの非礼に顔付きが変わった。
その瞬間、まさに羊の皮を被った狼が姿を現す。
はっきりと年長者である事を理解させられた。
口調が変化し穏やかな雰囲気は消え、命令し慣れた物言いになった。
その余りに怒気を孕んだ声を聞いて、私はゾッとする。
今にも影衆の当主が王族に無礼を働いた罪で、オリーの首を一閃する姿を想像してしまったからだ。
幸いと言っていいものかオリーの首は無事で、サラ様のおっしゃった事に腹を立て部屋を出ていってしまったが……。
王族の前での殺生を避けたのか、早晩あの男は消されるだろう。
解雇しようと思っていた所だから、理由として丁度良い。
迷宮都市でトップの稼ぎを誇るパーティーリーダーを怒らせたのだから、従業員規則違反で懲戒解雇だ。
オリーが部屋を出た後で、上司の私が連帯責任を取らされるかも知れないと身構えたけれど、サラ様は不問にして下さるようだ。
その後オリーの態度を謝罪してテイムした方を尋ねると、なんとテイムされたのはサラ様ご本人だった!?
あ~それは、色々とまずいです。
従魔登録の書類は、本書を王都にある冒険者ギルト統括本部に送る必要がある。
そこに2匹の種類の違う魔物をテイムした事を記載すれば、サラ様は注目されてしまうだろう。
案の定、副ギルドマスターのウォーリーが声を荒らげた。
「一体どうやったら2匹同時にテイム出来るんだ!?」
いや本当に私も聞きたい。
ハイエルフの王族でも、ここまで規格外の能力を持った方を知らないんですが……。
これが同じ日でなければ、また違ったのだけど……。
「勿論、企業秘密です」
サラ様は、にっこり笑顔で躱された。
まぁ話せる事ではないし、冒険者は自分の能力を秘密にする。
ウォーリーも、それ以上の追及はしなかった。
「ギルマス、早いとこ従魔登録してやってくれ。さっきから2匹の魔物が俺を睨んでくるんだ。そいつらは相当Lvの高い魔物だな。良くテイムもされているし、問題無いだろう?」
言われて2匹の魔物を見ると、牙を剥いている。
先程、主人であるサラ様がオリーに対し怒りを露わにしたから、私達は敵認定されてしまったらしい。
サラ様が後ろを振り返り様子を見ようとした時には、2匹の魔物が牙をしまい尻尾を揺らしていた。
これは相当テイム魔法Lvが高いな。
私は従魔登録に必要な首輪と書類をサラ様に手渡した。
少し手が震えてしまっているのは、お目こぼし下さるだろう。
そして返却された書類に記載されている魔物の種類を二度見する。
今まで王族の前で緊張していた所為で気付けなかったけど、確かにシルバーウルフの毛が金色だった。
え?
ゴールデンウルフなんて、迷宮都市のダンジョンにいませんが?
一体どこの大陸の魔物ですかね?
カルドサリ王国内には生息していませんよ……。
サラ様?
私にいない魔物の従魔登録をしろとおっしゃる?
それは良きに計らえという事でしょうか……。
暗に書類の改ざんを指示されて、私は泣きたくなった。
精霊信仰を主としているエルフは嘘を嫌う。
それは守護精霊が嘘を吐くと加護をくれなくなるからだ。
ハーフエルフの私にも、ちゃんとステータスに守護精霊の加護が表記されている。
この場合、王族に指示をされたんだから大目に見てもらえるわよね?
きっとサラ様の守護精霊には世界樹の精霊王が付いている筈だから、後で執り成して下さると信じてますよ!
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