自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第353話 冒険者ギルドマスター オリビア・ハーレイ 7 王都での冒険者ギルドマスター会議 1

 サラ様がお忍びで迷宮都市に来られてから、年に一度の冒険者ギルド会議に参加するため、迷宮都市を離れる事になった。

 私は不在の間くれぐれも何事も無いようにと祈りながら、いつもは2週間かけて王都に行く行程を短縮する手段を使用する事に決める。

 早馬で駆けても良かったけれど、少しでも不在にする時間を減らそうとハーレイ家でテイムされているペガサスを借り受けたいと父に願い出る事にしたのだ。

 本来なら余程緊急の用事がなければ(本国への連絡時等)使用する事は滅多にない従魔で、空を飛んだ方が早く王都に行ける。

 早馬で行けば約1週間。
 ペガサスで行けば3日だ。

 ギルド会議に出席して、その日にとんぼ返りをすれば往復1週間不在にするだけで済む。
 毎年行う会議内容は、各支店の営業報告と処分した冒険者(冒険者ギルドカードの剥奪はくだつ)のすり合わせだけなのでそんなに時間はかからない。

 この機会に摩天楼まてんろうのギルドマスターである、ヒュー・マケイラと王族のお忍びの件を共有する必要があった。
 いずれ(なるべく早くして頂きたい)迷宮都市のダンジョンを攻略した後、サラ様達は摩天楼《まてんろう》のダンジョンがあるグッテン領へ拠点を移す事になるだろう。

 その時に対応したのでは遅い問題が幾つもあるので、準備しなければいけない事を書類にまとめてきたのだ。

 まぁ、それだけじゃ対応するのは不充分だろうけど……。
 私も散々苦労しているんだから、ヒューも少しは突発的な事態におちいって胃の痛みを味わえばいい。

 少なくとも書類を渡してやる私は優しいと思う。

 父にペガサスの使用許可を貰い、留守を副ギルドマスターのウォーリーに任せ3日後王都に到着した。

 ギルドマスター会議の開始3時間前だ。

 いつもなら同じ宿に前泊しヒューと夕食を食べながら情報交換するので、宿に宿泊していない私の事を心配しているかも知れない。

 ペガサスを騎獣屋に預け、王都での定宿へ足早に向かう。
 宿の受付に宿泊しているヒューを呼び出してもらう事にした。

 数分後、部屋から出てきたヒューと挨拶を交わしそのまま彼の部屋にお邪魔する。
 冒険者ギルドの早馬で手紙を送る事を避けたのは、情報がれると困るからだ。

「オリビア、今回は随分ずいぶん遅かったね。会議に間に合わないかと思ったじゃないか。もしかして、迷宮都市で何かトラブルでもあったのかい?」
  
 ハーレイ家とは違う、情報系の名家であるマケイラ家の一族は男女例外なく容姿端麗たんれいだ。
 その美貌びぼうでもって、情報を収集する役目だから当然なんだろう。

 このヒューという男も、ハーフエルフにしてはかなり美形だった。
 銀髪にエメラルド色の緑の瞳をした、魅惑みわく的な容姿をしている。

 対してうちのハーレイ家は武の家系なので、容姿はそれ程でもない。
 必要なのは美貌びぼうではなく、王族を警護するための武術だ。

 役割が正反対な事もあってか、ハーレイ家とマケイラ家は折り合いが悪い。
 当主2人の仲は険悪だった。

 お互いの父親がギルドマスターをしていた頃は、ギルドマスター会議で角を突き合わせていたらしい。
 それに対し何故なぜか母親同士は同じ人族という事もあってか、仲が良かったみたいだ。

 ほんの幼少期の頃は、ヒューと婚約していた事もあった。
 だがエルフと人族では、どうしても出生率が低く2番目の子供を授かる事が出来ず、お互い後継ぎの私達の婚約は解消された。

 その後、愛妻家だった両当主は再婚をしないまま現在に至る。

 エルフは情が深いと言われている。
 基本的に一夫一婦制の種族だ。

 ハイエルフの王でさえ、王妃以外の妻は絶対にめとらない。
 側室なんか作りでもしたら、王宮には血の雨が降る事になるだろう。

 だから尚更、サラ様の存在が王族の系譜けいふに記載されていない事が不思議で仕方ない。
 ただ、この謎は深く掘り下げない方が無難ぶなんだろう。

「ごめんなさい、心配をかけてしまって悪かったわ。実は迷宮都市に、お忍びで王族の方が冒険者としていらしているの。近い内に貴方が管理している摩天楼のダンンジョンへ、拠点を移すと思うから心しておいてね。サラ様とおっしゃる王女様よ。かなり変わった方だから、注意書きを書類にまとめてきたわ」 
 
 私は返事もそこそこに、時間が無いのでサラ様の事を簡単に伝え書類を彼に渡した。
 ヒューは受け取った書類に目を通すと、早速1番目の項目で視線が止まる。

「あ~オリビア? この1番目にやる事が理解出来ないんだけど……。どうして路上生活者の支援を、冒険者ギルドがする必要があるのかな? 特に子供達の家を購入して住まわせるのは、いくら何でもやりすぎだと思うけど……」

「それはね、サラ様が大変お優しいからよ! 迷宮都市に来て最初にした事は何だと思う? 教会の炊き出しに参加して、自ら料理を作って子供達に提供したの! その後、160人程いた子供達が住める家を購入されたのよ? もし摩天楼の町で子供達が路上生活をしていたら、絶対に同じ事をされるわ。そうなると目立つでしょ?」

「確かに目立つだろうね。相当な金額が必要になるけど、上納金が減っても大丈夫だろうか?」

「そこは心配しなくても大丈夫よ! 王族自らが支援していらっしゃるんだもの、本国に報告はいってるでしょ。私達はサラ様が胸を痛めないように、町を平和な状態にしておく義務があるの。2番目の身体不自由な冒険者に対する職業の斡旋あっせんも頑張って頂戴ちょうだいね」

「これは、かなり予算が必要になってくる案件だね。それにしても人族なんて道端に落ちている石ころと同然だと思っている王族にしては、サラ様という女性は変わっていらっしゃる」

「えぇ、本当にお優しい方なのよ(上納金を上げるように、大量の魔物を換金して下さるからね!)。きっと、摩天楼のダンジョンでも大変ご活躍されると思うわ(大量の魔物の処分に困るがいいわ!)」

「ありがとう。知らなかったら、サラ様が情報共有をされていないとお怒りになる所だった。あ~それで大変言いにくいんだけど……。実は摩天楼のダンジョンにも、お1人男性の王族の方がお忍びで冒険者をしていらっしゃるんだよ」

「はぁっ? その情報、ハーレイ家に伝わってないんですけど?」

 私は言われた瞬間、眉間にしわを寄せてヒューをにらみつけた。

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