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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第354話 冒険者ギルドマスター オリビア・ハーレイ 8 王都での冒険者ギルドマスター会議 2
「私は勿論ハーレイ家には連絡する心算だったのだけど、うちの父が猛反対してね。ほらオリビアの家とはアレだから、王族の方が来られた事は内緒にしておけって……。今まで黙っているのは心苦しかったよ、いやもう本当にすまない」
そう言ってヒューは、私に向って頭を下げた。
確かにヒューの父親とうちの父親の相性は最悪だけど……。
それでもカルドサリ王国内では、ハーレイ家の方が立場は上の筈。
王族が国内に来られている事を知らせないとは、いくら何でも勝手がすぎる。
余程うちの父の事が気に入らないのか……。
自分だけ王族の存在を知っている事で、マウントを取りたかったのだろう。
あ~もう、子供みたいな幼稚な真似は止めてほしい。
私の進退に関わる大事なことだ。
「お父上には、私から厳重注意の勧告をさせてもらうわ。流石に見逃せないから。で、摩天楼のダンジョンにいらっしゃる王族の方は、いつからお忍びで来られているの?」
「え~っと、かれこれ20年くらいになると思う。知っているかも知れないけど、S級冒険者のセイ様とおっしゃる方だよ。以前は迷宮都市で冒険者をしていたと言ってみえたからね」
うん?
20年前に迷宮都市で冒険者をしていた、現在S級のセイ様という方?
なんか最近20年前という言葉を聞いた気がする。
何だったかしら……。
私は僅かに引っ掛かるその単語をどこで聞いたか記憶を探ってみる。
そして20年間石化され、つい最近冒険者ギルドカードを更新したクランリーダーの事を思い出した。
あぁ!
そうだ、確かにいらっしゃった。
黒目黒髪で、ジョンのクラン『輝く流星』の魔法士兼マスコットのセイ様。
嘘でしょ!?
全然気が付かなかったわよ!
姿変えの魔道具で人族に変化していたのなら、分からないのも仕方ないけど……。
あの方は男性なのに身長が160cmくらいしかなく、頻繁に男性冒険者に言い寄られてた記憶しかない。
クランメンバー全員から、凄く可愛がられていたし……。
背がお小さい人族に変化するのは、最近では王族の流行りなの?
これを知ったら、父がマケイラ家に突撃しそう。
また大喧嘩するんじゃないかしら……。
「セイ様の事は知っているわよ。ただ、王族の方だとは気が付かなかったけどね。ヒューは人族の姿をしていらっしゃるのに、どうやって分かったの?」
「あぁ、それは興味があってつい人物鑑定をしてしまったんだよね。いや~、あの時は腰を抜かしそうになったよ! MPが人族じゃ有り得ない数字だったから、直ぐにハイエルフの王族だって分かったんだ」
あぁ、私と同じ過ちを犯したのか……。
今でも首が繋がっているという事は、きっとサラ様と同様お優しい方なんだろう。
迷宮都市に居た時も、あまり自己主張をしない穏やかな性格をしていらした。
いつもにこにこされて、周りには不思議と優しい空気が流れていたわ。
私もサラ様達のステータス確認とヒルダ様に似た容姿をしていなければ気付けなかっただろうな。
でもサラ様が秘匿された方である事だけは、ヒューにも伝える訳にはいかない。
「そう、良く無事だったわね。セイ様の影衆はちゃんと護衛されているの?」
「それが……、セイ様に直接確かめる訳にもいかず居るかどうか分からないんだよ。元々マケイラ家は情報収集が専門だから、影衆の気配はつかめなくてね。父にも分からないらしいけど、王族の方だから最低10人は影衆が護衛してるんじゃないかと思う」
確かに情報収集を旨とする彼の家系では、影衆の気配を感じ取る事は出来まい。
私も一度セイ様とお会いするべきだろうか?
でもお忍びで冒険者をされているのなら、下手に接触すればご迷惑になるかも知れないな……。
本当は当時のクランリーダーのジョンが生きている事をお伝えしたいけど、石化状態から治療された事が分かれば理由を言及なさるだろう。
とても親しくされていたから、ジョンのパーティーが帰還しないと言って泣かれていた。
結局、クランは解散になり迷宮都市を去ってしまったのだ。
ヒューに迷宮都市に来られた王族の事を情報共有しようとして、逆にセイ様の事を教えてもらう事になってしまった。
カルドサリ王国に、お忍びで冒険者をする王族の方が2人もいらしゃるとは……。
この国には、何か王族が興味を持たれるようなものがあるのだろうか?
偶然にしては出来すぎていると考えるのは、思い過ごしであってほしい。
ヒューと話している間に、冒険者ギルド会議の時間が迫ってきていた。
そろそろ宿を出よう。
私はヒューと一緒に部屋を出て、王都の冒険者ギルド統括本部へと向かった。
会議室に入り、席に座る事が出来たのは始まる30分前。
今回はペガサスで空を飛んできたので、かなりの強行軍だった。
毎年代わり映えしない収支報告を聞く間、寝ないように注意しよう。
テーブルに置かれた各支店の収支報告書をパラパラとめくっていると、後ろから声を掛けられた。
「オリビア嬢、サラちゃんは元気にしておるかの?」
振り返るとリースナーのギルドマスターで白髪のご老人がいた。
あまり会話をした事がないのに、突然サラ様の名前が出て驚いてしまう。
確かサラ様達は、迷宮都市に来る前にリースナーのダンジョンを攻略されていらしたな。
2年の間に面識を持ったのか……。
「ええ、こちらでも活躍してますよ。元気が有り余っているようですね」
「そうかそうか、儂の町のダンジョンでも楽しそうにしておった。居なくなってしまって寂しいのう。サラちゃんの作るスープは絶品じゃった。魔物も上手に狩ってくれてなぁ、可愛らしゅうて兄の心配は尽きんかったろう。時にオリビア嬢、お仲間のサラちゃんは少しばかり間が抜けておるようじゃ、よくよく注意されよ。なに老い先短い老人の戯言じゃから、聞き流すがよかろうて」
そう言って、ご老人は自分の席に戻っていった。
一見、好々爺に見えるこのご老人は白狼族と人間とのハーフ獣人だ。
獣人も人族より寿命が長いが、これは種族によってかなり差があると聞く。
少なくともリースナーのギルドマスターは、ここ100年交代してはいない。
サラ様~、リースナーのギルドマスターにバレてるじゃありませんか!
副ギルドマスターのウォーリーにも直ぐ気付かれたし……。
獣人は勘が鋭い。
たとえハーフと言えども、その血を半分受け継いだ者には要注意だな。
あぁ、会議が始まる前に何かもう疲れてしまった。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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そう言ってヒューは、私に向って頭を下げた。
確かにヒューの父親とうちの父親の相性は最悪だけど……。
それでもカルドサリ王国内では、ハーレイ家の方が立場は上の筈。
王族が国内に来られている事を知らせないとは、いくら何でも勝手がすぎる。
余程うちの父の事が気に入らないのか……。
自分だけ王族の存在を知っている事で、マウントを取りたかったのだろう。
あ~もう、子供みたいな幼稚な真似は止めてほしい。
私の進退に関わる大事なことだ。
「お父上には、私から厳重注意の勧告をさせてもらうわ。流石に見逃せないから。で、摩天楼のダンジョンにいらっしゃる王族の方は、いつからお忍びで来られているの?」
「え~っと、かれこれ20年くらいになると思う。知っているかも知れないけど、S級冒険者のセイ様とおっしゃる方だよ。以前は迷宮都市で冒険者をしていたと言ってみえたからね」
うん?
20年前に迷宮都市で冒険者をしていた、現在S級のセイ様という方?
なんか最近20年前という言葉を聞いた気がする。
何だったかしら……。
私は僅かに引っ掛かるその単語をどこで聞いたか記憶を探ってみる。
そして20年間石化され、つい最近冒険者ギルドカードを更新したクランリーダーの事を思い出した。
あぁ!
そうだ、確かにいらっしゃった。
黒目黒髪で、ジョンのクラン『輝く流星』の魔法士兼マスコットのセイ様。
嘘でしょ!?
全然気が付かなかったわよ!
姿変えの魔道具で人族に変化していたのなら、分からないのも仕方ないけど……。
あの方は男性なのに身長が160cmくらいしかなく、頻繁に男性冒険者に言い寄られてた記憶しかない。
クランメンバー全員から、凄く可愛がられていたし……。
背がお小さい人族に変化するのは、最近では王族の流行りなの?
これを知ったら、父がマケイラ家に突撃しそう。
また大喧嘩するんじゃないかしら……。
「セイ様の事は知っているわよ。ただ、王族の方だとは気が付かなかったけどね。ヒューは人族の姿をしていらっしゃるのに、どうやって分かったの?」
「あぁ、それは興味があってつい人物鑑定をしてしまったんだよね。いや~、あの時は腰を抜かしそうになったよ! MPが人族じゃ有り得ない数字だったから、直ぐにハイエルフの王族だって分かったんだ」
あぁ、私と同じ過ちを犯したのか……。
今でも首が繋がっているという事は、きっとサラ様と同様お優しい方なんだろう。
迷宮都市に居た時も、あまり自己主張をしない穏やかな性格をしていらした。
いつもにこにこされて、周りには不思議と優しい空気が流れていたわ。
私もサラ様達のステータス確認とヒルダ様に似た容姿をしていなければ気付けなかっただろうな。
でもサラ様が秘匿された方である事だけは、ヒューにも伝える訳にはいかない。
「そう、良く無事だったわね。セイ様の影衆はちゃんと護衛されているの?」
「それが……、セイ様に直接確かめる訳にもいかず居るかどうか分からないんだよ。元々マケイラ家は情報収集が専門だから、影衆の気配はつかめなくてね。父にも分からないらしいけど、王族の方だから最低10人は影衆が護衛してるんじゃないかと思う」
確かに情報収集を旨とする彼の家系では、影衆の気配を感じ取る事は出来まい。
私も一度セイ様とお会いするべきだろうか?
でもお忍びで冒険者をされているのなら、下手に接触すればご迷惑になるかも知れないな……。
本当は当時のクランリーダーのジョンが生きている事をお伝えしたいけど、石化状態から治療された事が分かれば理由を言及なさるだろう。
とても親しくされていたから、ジョンのパーティーが帰還しないと言って泣かれていた。
結局、クランは解散になり迷宮都市を去ってしまったのだ。
ヒューに迷宮都市に来られた王族の事を情報共有しようとして、逆にセイ様の事を教えてもらう事になってしまった。
カルドサリ王国に、お忍びで冒険者をする王族の方が2人もいらしゃるとは……。
この国には、何か王族が興味を持たれるようなものがあるのだろうか?
偶然にしては出来すぎていると考えるのは、思い過ごしであってほしい。
ヒューと話している間に、冒険者ギルド会議の時間が迫ってきていた。
そろそろ宿を出よう。
私はヒューと一緒に部屋を出て、王都の冒険者ギルド統括本部へと向かった。
会議室に入り、席に座る事が出来たのは始まる30分前。
今回はペガサスで空を飛んできたので、かなりの強行軍だった。
毎年代わり映えしない収支報告を聞く間、寝ないように注意しよう。
テーブルに置かれた各支店の収支報告書をパラパラとめくっていると、後ろから声を掛けられた。
「オリビア嬢、サラちゃんは元気にしておるかの?」
振り返るとリースナーのギルドマスターで白髪のご老人がいた。
あまり会話をした事がないのに、突然サラ様の名前が出て驚いてしまう。
確かサラ様達は、迷宮都市に来る前にリースナーのダンジョンを攻略されていらしたな。
2年の間に面識を持ったのか……。
「ええ、こちらでも活躍してますよ。元気が有り余っているようですね」
「そうかそうか、儂の町のダンジョンでも楽しそうにしておった。居なくなってしまって寂しいのう。サラちゃんの作るスープは絶品じゃった。魔物も上手に狩ってくれてなぁ、可愛らしゅうて兄の心配は尽きんかったろう。時にオリビア嬢、お仲間のサラちゃんは少しばかり間が抜けておるようじゃ、よくよく注意されよ。なに老い先短い老人の戯言じゃから、聞き流すがよかろうて」
そう言って、ご老人は自分の席に戻っていった。
一見、好々爺に見えるこのご老人は白狼族と人間とのハーフ獣人だ。
獣人も人族より寿命が長いが、これは種族によってかなり差があると聞く。
少なくともリースナーのギルドマスターは、ここ100年交代してはいない。
サラ様~、リースナーのギルドマスターにバレてるじゃありませんか!
副ギルドマスターのウォーリーにも直ぐ気付かれたし……。
獣人は勘が鋭い。
たとえハーフと言えども、その血を半分受け継いだ者には要注意だな。
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◇小説家になろうでも同時連載中です◇