自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第355話 冒険者ギルドマスター オリビア・ハーレイ 9 王都での冒険者ギルドマスター会議 3

 予定通り、冒険者ギルド統括本部での会議が始まった。
 
 今この会議室には、カルドサリ王国にある冒険者ギルドのギルドマスターが全員出席しているので総勢100名以上居る。

 収支報告はずダンジョンが無い場所の支店から始まり、次に地下10階層までのダンジョンがある支店に移る。

 その後は、ダンジョンの最終攻略階層が浅い順に発表となっていく。
 迷宮都市の順番は、現在最終深部を攻略している冒険者が地下19階層になるので最後から5番目だ。
 
 発表まで2時間以上は掛かるだろう。
 これ、毎年思うけれど書類の提出だけじゃいけないのかしらね?

 各支店のギルドマスターも、態々わざわざ王都まで会議に出席するために往復しなきゃいけないし……。
 時間の無駄のような気がするわ。

 まぁ新しくギルドマスターになった人の就任のお披露目ひろめも兼ねているから、無くせないのかも知れないけど。

 1時間くらい他支店の収支報告を聞き続けまぶたが大分重くなってきた頃に、リースナーのギルドマスターからダンジョンで3種類の魔物が出現しなくなった報告があがる。
 
 魔物の種類は、メタルスライム・ハイオーガ・オリハルコンゴーレムだった。
 この3種類の魔物は、リースナーの冒険者ギルドではかなりの収入が見込める。

 特にメタルスライムは特殊金属でカルドサリ王国内では、リースナーのダンジョンしか出現しない魔物だ。
 更に本来ダンジョンの深層でしか出現しないハイオーガとオリハルコンゴーレムも、何故なぜか10年くらい前から地下10階層しかないダンジョンに突然出現するようになった。

 ダンジョンでは、今まで居なかった魔物がある日突然出現する現象が度々起こる事がある。
 そして大抵の場合は、そのダンジョンにしか出現しない魔物だったり本来の階層とは違う場所に出現したりするのだ。

 だが、今回のようにわずか10年程で魔物が出現しなくなったという話は聞いた事が無い。

 発表しているギルドマスターも、意気消沈している様子だ。
 これはかなり痛いな……。

 迷宮都市の今期の収支はサラ様達のお陰で、過去最高金額を叩き出した。
 今後もサラ様達が迷宮都市を拠点にされている間、記録は更新され続けるだろう。

 素直に嬉しいと思えない事が残念だ。
 会議が終了したら、私は新たな取引先を確保するために奔走ほんそうしなければいけない。

 サラ様~、程々って言葉をご存じですか?
 もういっそのこと、新しいお店を経営して魔物肉を使用してほしいです!

 会議開始から2時間後、ようやく私の順番が回ってきた。
 迷宮都市を不在にする期間をなるべく減らそうとした所為せいで、ペガサスの上で仮眠を取っただけの私は眠さがピークに達している。
 
 何をされるか分からないサラ様が居るのに、4週間も迷宮都市を離れる事なんて出来なかった。
 あぁ、今日も胃がしくしくと痛み出す。

 迷宮都市の収支報告の数字を淡々と読み上げていると、前年度とは一桁違う数字に周囲から驚きの声が漏れる。

 その事に少しだけ気分が浮上した。
 やはり利益をあげている支店は注目されるし、同じギルドマスター同士で地位もあがるのだ。

 皆から羨望せんぼう眼差まなざしで見られた事に、それだけじゃない事は知らないだろうと密かに悲しくなった事も事実だ。
 なんというか、とても複雑な気分で収支報告を終えた。

 残り4支店は、カルドサリ王国内で深部が100階層を超えると言われているダンジョンがある場所だ。

 摩天楼まてんろうのダンジョンがあるヒューの発表順位は最後だ。
 現在地下50階層を攻略している冒険者が居るので、ここ数10年の間は独走状態に近い。

 まさか地下50階層を攻略しているのは、セイ様がいらっしゃるパーティーなんじゃないか?
 ちらとそんな事を思いながら、最後の収支報告が終了する。

 その後は、この1年で冒険者カードを剥奪はくだつした冒険者の処分が発表された。

 一度冒険者カードを剥奪されると、カードを発行する魔道具に情報が登録されるので、処分された冒険者はカルドサリ王国内で再び冒険者活動をするのは不可能になる。

 現在冒険者ギルドは国をまたいで活動している訳じゃないので、他国でなら冒険者登録は可能な状態だった。
 ただ何事にも例外はあり余りにも悪質だと判断された場合は、冒険者ギルド統括本部がブラックリストに載せ他国の冒険者ギルドに配布する事になっている。

 ブラックリストに載った冒険者は、どの国に行っても冒険者として活動出来なくなるので最後は別大陸に移動するしかないが、大陸を渡るには非常にお金が掛かるので難しいだろう。

 1年間で冒険者ギルドカードを剥奪された人数は120人だった。
 この数字は毎年余り変わらない。
 
 カルドサリ王国内で考えれば、多くも少なくもない人数である。
 
 3時間に亘る会議が終了し、私は次の予定のために会議室から一番に出た。
 
 まずは王都の商業ギルドで口利きを頼まなくてはいけない。
 以前、大量のコカトリスの卵と迷宮サーモンの依頼をしたから、今回の迷宮ウナギも何とかなると信じたい。 

 次はオークションに今回出品するシルバーウルフと迷宮タイガーの皮の納品だ。

 私は今日中に何としても王都を出発する心算つもりでいるので、それらの工程を精力的にこなし何とか無事に終わらせる事が出来て安心する。

 騎獣屋に金を払いペガサスに乗った瞬間、疲労が限界に達していた私は眠ってしまった。
 目が覚めてから、よく落ちなかったなと肝を冷やす。

 注意して飛んでくれたペガサスの首をでて、感謝の気持ちを表しておいた。
 この高さより落ちたら無事では済まなかっただろう。

 丸1日意識が無かったので、体感で2日後に無事迷宮都市に戻ってきた。

 父にお礼を言ってペガサスを返却し、冒険者ギルドに何も無かった事を確認しに行く。
 まずはサラ様の動向をチェックだ。

 副ギルドマスターのウォーリーの部屋に入るなり、かける私の第一声は決まっている。

「何も問題は無かったか?」

「あぁ、嬢ちゃんがマジックバッグ30㎥を3個購入したらしい。ものすごい数のトレントが換金されたってアレクが騒いでいたな」

 そして期待していた答えは返ってこなかった……。

 えぇ分かってます、大量のトレントですね!
 サラ様~、私は過労死してしまいそうですよ~!!

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