自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
231 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第357話 冒険者ギルドマスター オリビア・ハーレイ 11 治癒術師の怒り

 以前、予約投稿を失敗してしまいUPしたお話です。
 既に読んで下さった方もいらっしゃるので、本日は12:10分にもう一話投稿させて頂きます。

 ----------------------------

 ヒューに依頼をしてから6日後、ハーレイ家の庭にグリフォンが到着した。
 もう何度もハーレイ家~マケイラ家間を往復しているので、賢い従魔は案内人を乗せる事もなく1匹でやって来た。

 グリフォンを見ると父が癇癪かんしゃくを起こすので、対応は私がする。

 背にくくり付けられているマジックバッグ100㎥10個を降ろし、返事に書かれていた代金を首に巻き付けられた袋に丁寧にしまって厳重に口を堅くしばった。
 
 何せかなりの金額だ。
 相手先へ確実に届けたい。

 グリフォンに完了した事を伝えるため2度首筋を叩くと、一声鳴いて再び空へと舞い上がった。

 数日前、通信の魔道具に映し出された金額を見て一瞬「高すぎだろっ!」と声が漏れそうになったことが記憶に新しい。
 魔道具の中でも断トツに高いのがマジックバッグではあるが、1個が金貨1,350枚(13億5千万円)もするとは……。
 
 しかも今回は倉庫を借りる時間が無かったので、一気に10個分の金貨13,500枚(135億円)が吹き飛んだ。

 財務を統括している責任者に苦情を言われてしまったじゃないか!
 問題ない、いずれ経費は回収出来ると断言しその場を収めてきたけど、サラ様大丈夫ですよね?

 迷宮タイガー、期待してますよ!
 もう王都でオークションに依頼をかけてきましたから、この魔物なら他国でも高値が期待出来るそうです。

 私は明日、換金される予定のサラ様に間に合って良かったと胸をなでおろしたのだった。

 翌日。

 問題が解決した事で機嫌よく仕事をし、そろそろ就業時間も終わりそうな頃になって治癒術師の兄と名乗られる方が面会にみえた。

 全く理由が分からずにいた私に向かって、副ギルドマスターを呼び出してくれと言われる。
 断る理由もないので部屋に呼ぶよう受付嬢に頼むと、取りえず席に座って待って頂こうと応接室に案内した。

 表情は硬く、何かに怒っているような感じを受けたので私はウォーリーがくるまで気が気じゃない。

 とにかく余り時間がないとおっしゃるので、飲み物もお出しせずに待つ事数分。
 副ギルドマスターのウォーリーが応接室に入ってくる。

 ウォーリーの顔を確認すると、治癒術師の方はかなり怒っている口調でとんでもない事を言った。

「単刀直入に聞く。なんでうちの妹の胸を触れという依頼を出した! お前は変態か?」

 はぁっ!?
 誰が王族の胸を触れなんていう命知らずな依頼を出すんですか?
  
 あまりに言われた内容が衝撃的過ぎて、固まってしまう。
 ウォーリーの方を見ると、かなり動揺している様子だった。

「おい、時間がないんだ。早く答えろ! 回答にっては、お前の息子を不能にしてやる」

「あ~何か誤解があるようだ。まず、そんな依頼を俺は出してない。自分が触れる訳じゃないのに、何の得になるんだ? いや……今の発言は聞かなかった事にしてほしい。で、どうして俺の名前が出たのか気になる。一体、誰からそんな話が出たんだ?」

 ウォーリーは治癒術師の方の質問に、失言しつつそう答えた。

「昨日め上げた、他領から来た3人組の冒険者からだ。確かにウォーリーという名前のギルド職員から依頼されたと言っていたぞ?」

 そこで私は思い当たる。
 それって、オリーの聞き間違いじゃなかろうか……。

「冒険者ギルドにはオリーという名前の職員も居ましたが……。本当にウォーリーと言っていましたか?」

「いや、本人が違うと言っているんだ。別のオリーという人物だろう。で、今オリーは何処どこにいる」

 既に粛清しゅくせいされて、この世にはもういませんが?

 私はウォーリーの手前、そう言う訳にもいかずこれだけは伝えておかなければと口を開いた。

「オリーは業務態度に問題があったので、2週間前に解雇しました。現在は宿を出て、行方不明の状態です」

「ちっ、あいつの方だったか。嫌がらせにしてはたちが悪い。ギルマス、今回の事は一度だけ目をつぶってやるが、もしギルド職員がうちの妹に手を出したら慰謝料を請求して迷宮都市から拠点を移動する。今後、二度と同じ事は繰り返すな。社員の教育を誤ると痛い目にあうぞ、覚えておけ」

 そう忠告し、治癒術師の方は走って・・・去っていかれた。

 オリー!
 あの〇ソやろう!
 
 もう死んで責任を取る者が居ない状態では、冒険者ギルドの教育が悪い事になるじゃないか!
 最後の最後で、何てハレンチな依頼をするんだ!

「名前が似ている所為せいで危うく不能にされる所だった……。怖いお人だなぁ。ギルマス、オリーの消息は本当に分からないのか? 見付けて1発ぶん殴ってやりたい! あいつは一体、何考えてやがる!」

 オリーに間違えられ治癒術師の方の怒りをまともに受けたウォーリーが、憤懣ふんまんやるかたない様子で言い切った。 
 
 それはそうだろう、冤罪えんざいにしても内容がひど過ぎる。
 それに彼は相当怒っていた。

「残念だけど、オリーは探しても見付からないと思う」

「まぁ、前回の様子じゃなぁ。護衛が動いてる可能性が高いか……」

 私の言葉から正確な意味を受け取って、ウォーリーは部屋から出ていった。

 やれやれ、何とかご寛恕かんじょして頂けたのは助かった。
 これで連座責任を問われるのでは、たまったものではない。

 それにしても、またしても他領からきた冒険者だ。
 よくそんなくだらない依頼を受けたな……。

 迷宮都市に来たばかりなんだろうか?
 サラ様にそんな事をして、この迷宮都市で活動はもう出来ないだろう。

 なんだか頭の痛い問題ばかりが起きている気がする。
 これからまだやる事が山積なのに……。

 サラ様~、どうして私がギルドマスターの代にいらっしゃるのですか?

 はぁ~、私は深い溜息を吐きながら大量のトレントを購入してもらうために、商業ギルドの建築部門に行く事を決めた。

 正直、商業ギルドと冒険者ギルドは余り仲がいいとは言えず行くには躊躇ためらいがある。
 これは組織が違う所為せいもあるし、冒険者が直接商業ギルドに買取を依頼しない事も原因だ。

 冒険者は、別に冒険者ギルドで換金しなければいけない決まりはない。
 でも、狩った魔物を解体しないで換金出来るのは冒険者ギルドだけ。

 当然、手間の分を差し引いた数字が常設依頼の金額になっている。
 冒険者も手間をかける必要がないので、冒険者ギルドで換金するのだ。

 商業ギルドでは、その手のサービスをしていないので冒険者が換金に行く事は滅多にないだろう。
 いちいち魔物を解体するより、もう1匹狩る方が効率的だからね。

 まぁ、今回は木材としてトレントを購入してもらうので解体の手間は必要ないんだけど……。

 迷宮ウナギに関しては、明日薬師ギルドに相談に行こう。

 そのまま食べても精力剤としての効果は高いが、専用ポーションに加工してもらえば貴族が高値で買ってくれるだろう。
 人族の貴族は跡継ぎのスペアを必ず準備する必要があるらしい。

 重い腰を上げて、私も部屋から出ていった。

 --------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 --------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇