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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第358話 冒険者ギルドマスター オリビア・ハーレイ 12 商業ギルド&薬師ギルドでの商談 1
商業ギルドか……。
今回の担当者は若手だといいなぁと思いながら、歩いて15分の距離まで向かう。
担当者が古参の古狸だと足元を見られて買い叩かれる心配がある。
やはり商人には海千山千の者が多い。
迷宮都市のトップは私だけれど、商業ギルドマスターには敬意を払っている心算だ。
私では及ばない太い販売ルートを確保しているからね。
冒険者ギルドと同じく24時間営業の商業ギルドの中に入り、若い受付嬢に建築部門の担当者に会いたい旨を告げる。
そのまま応接室に案内され、担当者を呼んでくるので待っていてほしいと言われた。
来客用の個室なのか、冒険者ギルドの会議室より飾られている装飾品が多い。
今回は商談に来たのだが、冒険者ギルドマスターだと知られているので受付嬢が優遇したのだろう。
暫く待っていると、3回ノックの音がした後に中年男性が入ってくる。
顔を見て、貴族担当のカマラだった事にがっかりした。
こいつは一筋縄じゃいかないな。
今回の商談は厳しいものになるだろう。
サラ様の期待に応えられるだろうか?
少し心配になってきた。
もっと経験不足の若手を寄越せばいいものを……。
まぁ私がギルドマスターである以上、それは無理か。
相手も言い負けると分かっている新人は、ぶつけてこないだろう。
「ギルドマスター、お久し振りですね。して今日は、どのようなご用件でしたかな?」
流石に古参は時間を無駄にしないな。
「あぁ久し振り。今日はトレントを買い取らないか提案にきた。少しばかり良い状態の物が換金されたんだ」
ここで重要なのは、大量にあるから出来るだけ高値で買い取ってほしい事を態度に出さない事だ。
相手に貴重な品である事をアピールして、少々高値を付けてでも買い取らせたいと思わせなければならない。
まぁそんなに簡単にいくような相手じゃないけど。
カマラはトレントの言葉に、一瞬ピクリと眉を上げて話の続きを促してきた。
「等級は如何ほどの商品でしょうか?」
「間違いなくA級品だ」
高級木材になるトレントは厳格に等級が決められている。
傷のついた場所、大きさ、数に依ってA級~D級と分かれていた。
迷宮都市ダンジョンの階層では、地下14階にしかトレントは出現しない。
冒険者は見えない風魔法を使用するトレントを余り狩りたがらないので、常設依頼に出してある金額はA級品を基準にしている。
恐らくこの魔物を安全に狩ってこられるのは、魔法士がいるパーティーだけだろう。
しかも体長5mもあるので、マジックバッグを圧迫する。
こんなに沢山狩るのは容量の多いマジックバッグを持った、サラ様達のパーティーくらいだ。
まぁ実際にはアイテムBOXの方に収納されているだろうけど。
「A級品ですか……」
おや?
思ったより、カマラの反応がよくないな。
トレントのA級品なら、喜んで買い取ってもらえると思っていたのだけど。
「残念ですが今回は買取する事は出来ません。お客様が新築の家を建てられるのですが、冒険者の方なので自分達で狩ったトレントを資材に提供して下さったのです。ええ、勿論A級品ですよ? 沢山あるからと仰っていましたので、商業ギルドの方でも少し買い取らせて頂きました。タイミングが悪かったようです。もしかして冒険者ギルドで換金をされたのは同じ方なのかも知れませんね、誰とは申せませんが……」
サラ様~!!
何で私の販売ルートを潰すんですか!
心を折りにいくスタイルですか?
もう私のライフは0です……。
「もしかしたら同じ冒険者かも知れないな。良い品だったから商業ギルドに話を先に持ってきたんだが、既に購入された後じゃ仕方ない。他の買取希望を出している所へ話をしに行くよ」
「いえ、ご期待に沿えず申し訳ありません。また何かよい話があれば、お待ち申し上げております」
「あぁ、その時は寄らせてもらおう」
私はサラ様から与えられた試練に涙目になりながら、商業ギルドを後にした。
あぁっ!
大量のトレントが、また明日換金されるというのに販売先の目途が立ってないとは……。
公爵に口利きを頼みたいけれども、甥を解雇したばかりだしその上行方不明となっている。
実際には死亡しているので、死体は見付からないだろう。
影衆の仕事は完璧だ。
公爵がいくら甥の捜索をしても、この事件は迷宮入りとなるだろう。
最後まで馬鹿な男だった。
王族であるサラ様の胸を触るように依頼を出すとは……頭が悪いにも程がある。
影衆の当主が知れば、引き受けた冒険者も全員虐殺されるぞ?
お陰で冒険者ギルドも、とばっちりを受けた。
サラ様お付きの治癒術師の方に忠告をされてしまったじゃないか!
余程、大切に思われているんだろう。
彼の怒りは相当なものだった。
あぁ、例の締め上げた3人組冒険者は不能にされたかもしれないな。
それくらいで済めば安いものだろう。
命を取られる事を思えば、一生勃たない事くらい何という事は無い。
はぁ~、トレントの件は家に帰ってから父に相談しよう。
昨日喧嘩したままだし、上手く煽てればご機嫌でサラ様のお役に立てると頑張ってくれるだろう。
その夜、父は隠居して暇だったのか喜んでトレントの在庫を引き受けてくれた。
サラ様のために他国まで行って、高値で売ってくると張り切っている。
やれやれ、これでトレントの在庫処分の算段がついた。
明日は迷宮ウナギを薬師ギルドでポーションにしてもらう話を付けに行かなければ……。
ギルドマスターの仕事とは一体……。
私の残業代、20%増しで請求しても良いですか?
翌日。
薬師ギルドに顔を出すと、最近顔見知りになった上級薬師が対応してくれる。
迷宮都市では、今まで常設依頼に癒し草と魔力草の記載はしていなかった。
迷宮都市付近では森がないし、ダンジョン内で薬草採取をのんびりする冒険者が居なかったからだが……。
サラ様から地下11階の森のダンジョンで採取した薬草を、買い取ってほしいと言われた時は驚いたものだ。
何故危険なダンジョン内で、呑気に薬草採取をしていらっしゃるのですか?
しかも全然お金にならない物を、どうして大量に採取してこられるのか……。
すぐ理由に思い至る。
サラ様は子供達の支援をされる程、大変お優しい方だった。
冒険者になってすぐの子供達には、ポーション(銀貨3枚)は高い。
迷宮都市では原料を他から買い取る必要があるので輸送費がかかる。
それをサラ様は案じられたのだろう。
ご自身で採取された物を、薬師ギルドに卸してほしいと言われるのだな。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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迷宮都市のトップは私だけれど、商業ギルドマスターには敬意を払っている心算だ。
私では及ばない太い販売ルートを確保しているからね。
冒険者ギルドと同じく24時間営業の商業ギルドの中に入り、若い受付嬢に建築部門の担当者に会いたい旨を告げる。
そのまま応接室に案内され、担当者を呼んでくるので待っていてほしいと言われた。
来客用の個室なのか、冒険者ギルドの会議室より飾られている装飾品が多い。
今回は商談に来たのだが、冒険者ギルドマスターだと知られているので受付嬢が優遇したのだろう。
暫く待っていると、3回ノックの音がした後に中年男性が入ってくる。
顔を見て、貴族担当のカマラだった事にがっかりした。
こいつは一筋縄じゃいかないな。
今回の商談は厳しいものになるだろう。
サラ様の期待に応えられるだろうか?
少し心配になってきた。
もっと経験不足の若手を寄越せばいいものを……。
まぁ私がギルドマスターである以上、それは無理か。
相手も言い負けると分かっている新人は、ぶつけてこないだろう。
「ギルドマスター、お久し振りですね。して今日は、どのようなご用件でしたかな?」
流石に古参は時間を無駄にしないな。
「あぁ久し振り。今日はトレントを買い取らないか提案にきた。少しばかり良い状態の物が換金されたんだ」
ここで重要なのは、大量にあるから出来るだけ高値で買い取ってほしい事を態度に出さない事だ。
相手に貴重な品である事をアピールして、少々高値を付けてでも買い取らせたいと思わせなければならない。
まぁそんなに簡単にいくような相手じゃないけど。
カマラはトレントの言葉に、一瞬ピクリと眉を上げて話の続きを促してきた。
「等級は如何ほどの商品でしょうか?」
「間違いなくA級品だ」
高級木材になるトレントは厳格に等級が決められている。
傷のついた場所、大きさ、数に依ってA級~D級と分かれていた。
迷宮都市ダンジョンの階層では、地下14階にしかトレントは出現しない。
冒険者は見えない風魔法を使用するトレントを余り狩りたがらないので、常設依頼に出してある金額はA級品を基準にしている。
恐らくこの魔物を安全に狩ってこられるのは、魔法士がいるパーティーだけだろう。
しかも体長5mもあるので、マジックバッグを圧迫する。
こんなに沢山狩るのは容量の多いマジックバッグを持った、サラ様達のパーティーくらいだ。
まぁ実際にはアイテムBOXの方に収納されているだろうけど。
「A級品ですか……」
おや?
思ったより、カマラの反応がよくないな。
トレントのA級品なら、喜んで買い取ってもらえると思っていたのだけど。
「残念ですが今回は買取する事は出来ません。お客様が新築の家を建てられるのですが、冒険者の方なので自分達で狩ったトレントを資材に提供して下さったのです。ええ、勿論A級品ですよ? 沢山あるからと仰っていましたので、商業ギルドの方でも少し買い取らせて頂きました。タイミングが悪かったようです。もしかして冒険者ギルドで換金をされたのは同じ方なのかも知れませんね、誰とは申せませんが……」
サラ様~!!
何で私の販売ルートを潰すんですか!
心を折りにいくスタイルですか?
もう私のライフは0です……。
「もしかしたら同じ冒険者かも知れないな。良い品だったから商業ギルドに話を先に持ってきたんだが、既に購入された後じゃ仕方ない。他の買取希望を出している所へ話をしに行くよ」
「いえ、ご期待に沿えず申し訳ありません。また何かよい話があれば、お待ち申し上げております」
「あぁ、その時は寄らせてもらおう」
私はサラ様から与えられた試練に涙目になりながら、商業ギルドを後にした。
あぁっ!
大量のトレントが、また明日換金されるというのに販売先の目途が立ってないとは……。
公爵に口利きを頼みたいけれども、甥を解雇したばかりだしその上行方不明となっている。
実際には死亡しているので、死体は見付からないだろう。
影衆の仕事は完璧だ。
公爵がいくら甥の捜索をしても、この事件は迷宮入りとなるだろう。
最後まで馬鹿な男だった。
王族であるサラ様の胸を触るように依頼を出すとは……頭が悪いにも程がある。
影衆の当主が知れば、引き受けた冒険者も全員虐殺されるぞ?
お陰で冒険者ギルドも、とばっちりを受けた。
サラ様お付きの治癒術師の方に忠告をされてしまったじゃないか!
余程、大切に思われているんだろう。
彼の怒りは相当なものだった。
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サラ様のために他国まで行って、高値で売ってくると張り切っている。
やれやれ、これでトレントの在庫処分の算段がついた。
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ギルドマスターの仕事とは一体……。
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翌日。
薬師ギルドに顔を出すと、最近顔見知りになった上級薬師が対応してくれる。
迷宮都市では、今まで常設依頼に癒し草と魔力草の記載はしていなかった。
迷宮都市付近では森がないし、ダンジョン内で薬草採取をのんびりする冒険者が居なかったからだが……。
サラ様から地下11階の森のダンジョンで採取した薬草を、買い取ってほしいと言われた時は驚いたものだ。
何故危険なダンジョン内で、呑気に薬草採取をしていらっしゃるのですか?
しかも全然お金にならない物を、どうして大量に採取してこられるのか……。
すぐ理由に思い至る。
サラ様は子供達の支援をされる程、大変お優しい方だった。
冒険者になってすぐの子供達には、ポーション(銀貨3枚)は高い。
迷宮都市では原料を他から買い取る必要があるので輸送費がかかる。
それをサラ様は案じられたのだろう。
ご自身で採取された物を、薬師ギルドに卸してほしいと言われるのだな。
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◇小説家になろうでも同時連載中です◇