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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第359話 冒険者ギルドマスター オリビア・ハーレイ 13 薬師ギルドでの商談 2
私はその意味を汲み取り、癒し草・魔力草について一切利益を出さず換金額のままの値段で薬師ギルドに卸す事にした。
その代わり、迷宮都市で販売されている最低ポーションの価格を下げるように指示を出したのだ。
これで子供達もポーションを銀貨1枚で購入出来、サラ様も安心なさる事だろう。
B級冒険者はポーションではなく、ハイポーションかエクスポーションを常備するのが普通だから薬師ギルドが赤字になる事はない。
ポーションを買うのは子供達と町の人達だけだ。
その縁もあって、薬師ギルドの上級薬師は冒険者ギルドに好意を持って接してくれる。
実は今まで誰もダンジョン内の薬草を薬師ギルドに卸した事が無かったから分からなかったらしいが、ダンジョンで採取した薬草は効能が高い事が判明した。
これは凄い事実だ。
薬師ギルドでも、かなり話題になったと聞く。
実際、いつも使用している癒し草とダンジョン産の癒し草でポーションを作った所、効果に1.5倍の差があったらしい。
魔力草でも同様にエーテルを作った所、こちらも1.5倍の差が認められた。
これが安定した結果なら原料費が少なく済むので、薬師ギルドはダンジョン産の癒し草&魔力草を卸した私にとても感謝していると言っていた。
長く迷宮都市の冒険者ギルドマスターをしていたが、私もそんな事があるとは初耳だ。
今までダンジョン内の森に生えている薬草採取を、冒険者の誰もしなかったのだから分かりようも無い事だった。
そもそもダンジョンに入るにはC級冒険者以上でなくてはならない。
そしてダンジョン内に森があるのは、深部が10階層を超える大型ダンジョンだ。
大型ダンジョンを攻略するのはB級冒険者なので、常設依頼にもない薬草採取をするという発想がないのだろう。
依頼料は魔物の換金額を考えると雀の涙程しかないし、危険な魔物が居るダンジョンで地面を見ながら薬草を探す事は難しい。
迷宮都市では常設依頼には追加したものの、今まで換金されたのはサラ様達のパーティーだけだった。
まぁ、そうなるだろう。
薬草採取はF級かE級の仕事だから、常設依頼に追加した所でB級冒険者達は見向きもしない筈だ。
薬師ギルドは、この新たに発見された効能の違いを現在研究しているようだが……。
きっと、思惑通りに事は運ばないだろう。
何せ採取する冒険者が居ないのだから……。
捕らぬ狸の皮算用にならないように、忠告しておいた方が親切だろうか?
対応に出て来てくれた上級薬師に、本日の用件を伝える事にする。
「迷宮ウナギが沢山換金されたので、精力剤用のポーションを注文したい。納期はどれくらいかかるだろうか?」
薬師ギルドでは商業ギルドのような駆け引きは必要ないので、単刀直入に言う。
薬師ギルドで注意する事はただ一つ、製造を秘匿しているポーションの作り方を聞く事だけだ。
「迷宮ウナギが沢山あるのですか? 具体的な量はどれくらいでしょう?」
上級薬師の表情が密かに喜んでいるようにみえる。
精力剤は結構高いからなぁ。
まぁ、お年を召した方々に人気の商品だ。
「料理店に卸す分もあるから、全てではないけれど最低50匹は用意出来る」
「まぁ、そんなに大量にあるんですか? そうですね……、50匹をポーションにするには1ヶ月はみて頂く事になると思います」
「あぁ、それで問題ない。で、この量の注文が毎週3ヶ月は続く可能性が高いのだけど、対応は可能だろうか?」
「はいっ?」
私の言葉に上級薬師は絶句し固まってしまった。
これまでの状況から考えて、きっとサラ様が毎週換金されると思う。
暫くして上級薬師は口を開いた。
「大変申し訳ないのですが、当ギルドでは月に1度しか注文を受ける事は出来ません」
「あぁいいんだ、無理を承知で聞いてみただけだから。じゃあ今回の分を、素材担当者に渡しておくよ」
「よろしくお願い致します。あの、癒し草と魔力草ならどれだけでも購入させて頂きますので……」
いや、それは無理だ。
薬草採取はサラ様達しかしないから、量はこれ以上増えないだろう。
薬師ギルドの思惑が透けて見える。
私は上級薬師に礼を言い素材担当に迷宮ウナギ50匹を引き渡すと、本日の仕事をしに冒険者ギルドに向かった。
残り3週間分の迷宮ウナギ……。
300匹はどうしたら?
サラ様~!
ウナギ料理店を開店して下さい!
ギルドマスターの部屋に入ると、直ぐに常備しているポーションを飲んだ。
あぁ、胃がしくしくと痛む。
直ぐには販売ルートを開拓出来ないので、冷凍倉庫を増やす必要がありそうだ。
また財務統括に煩く言われそうで気分が萎える。
先日マジックバッグに大量の経費が掛かったばかりだ。
財務からしてみれば、短い間に大金が支出する事態は避けたいだろう。
気持ちは分かるが、迷宮ウナギは1ヶ月もすれば腐り始めるのだ……。
高級魔魚を腐らせる訳にはいかない。
昨日、商業ギルドに行ったばかりなのに、また倉庫の契約に行く事になるとは思いもしなかった。
サラ様達が3ヶ月毎に拠点を変える事だけが救いか。
迷宮ウナギが大量に換金されるのは、3ヶ月の間だけだろう。
その後は地下15階に拠点を移される筈。
私は、地下30階まで必要になる期間を思わず計算した。
順調に3ヶ月毎、地下1階層を降りられるとすると……。
現在は地下14階なので、あと16階層ある。
3ヶ月×16で48ヶ月。
ゔっ、下手に計算するのではなかった。
後4年もいやが……迷宮都市にいて下さるらしい。
サラ様、もっと早く攻略してくれてもいいんですよ?
もしくは途中で飽きて、摩天楼のダンジョンに向われても迷宮都市は大丈夫です!
上納金は、これまで以上に頑張って納めますから!
その翌週、他領から来た3人組の冒険者達は迷宮都市から去った……。
この所、他領からきた冒険者達の動きがおかしい。
今はサラ様が迷宮都市にいらっしゃるので、よく注意をしておかなければ……。
これ以上、問題を起こされないように他領から来た冒険者は私が一度面接をした方が良いだろうか?
ギルドマスターの仕事、辞めたくなってきたんですが……。
早期退職金って貰えるんですかね?
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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その代わり、迷宮都市で販売されている最低ポーションの価格を下げるように指示を出したのだ。
これで子供達もポーションを銀貨1枚で購入出来、サラ様も安心なさる事だろう。
B級冒険者はポーションではなく、ハイポーションかエクスポーションを常備するのが普通だから薬師ギルドが赤字になる事はない。
ポーションを買うのは子供達と町の人達だけだ。
その縁もあって、薬師ギルドの上級薬師は冒険者ギルドに好意を持って接してくれる。
実は今まで誰もダンジョン内の薬草を薬師ギルドに卸した事が無かったから分からなかったらしいが、ダンジョンで採取した薬草は効能が高い事が判明した。
これは凄い事実だ。
薬師ギルドでも、かなり話題になったと聞く。
実際、いつも使用している癒し草とダンジョン産の癒し草でポーションを作った所、効果に1.5倍の差があったらしい。
魔力草でも同様にエーテルを作った所、こちらも1.5倍の差が認められた。
これが安定した結果なら原料費が少なく済むので、薬師ギルドはダンジョン産の癒し草&魔力草を卸した私にとても感謝していると言っていた。
長く迷宮都市の冒険者ギルドマスターをしていたが、私もそんな事があるとは初耳だ。
今までダンジョン内の森に生えている薬草採取を、冒険者の誰もしなかったのだから分かりようも無い事だった。
そもそもダンジョンに入るにはC級冒険者以上でなくてはならない。
そしてダンジョン内に森があるのは、深部が10階層を超える大型ダンジョンだ。
大型ダンジョンを攻略するのはB級冒険者なので、常設依頼にもない薬草採取をするという発想がないのだろう。
依頼料は魔物の換金額を考えると雀の涙程しかないし、危険な魔物が居るダンジョンで地面を見ながら薬草を探す事は難しい。
迷宮都市では常設依頼には追加したものの、今まで換金されたのはサラ様達のパーティーだけだった。
まぁ、そうなるだろう。
薬草採取はF級かE級の仕事だから、常設依頼に追加した所でB級冒険者達は見向きもしない筈だ。
薬師ギルドは、この新たに発見された効能の違いを現在研究しているようだが……。
きっと、思惑通りに事は運ばないだろう。
何せ採取する冒険者が居ないのだから……。
捕らぬ狸の皮算用にならないように、忠告しておいた方が親切だろうか?
対応に出て来てくれた上級薬師に、本日の用件を伝える事にする。
「迷宮ウナギが沢山換金されたので、精力剤用のポーションを注文したい。納期はどれくらいかかるだろうか?」
薬師ギルドでは商業ギルドのような駆け引きは必要ないので、単刀直入に言う。
薬師ギルドで注意する事はただ一つ、製造を秘匿しているポーションの作り方を聞く事だけだ。
「迷宮ウナギが沢山あるのですか? 具体的な量はどれくらいでしょう?」
上級薬師の表情が密かに喜んでいるようにみえる。
精力剤は結構高いからなぁ。
まぁ、お年を召した方々に人気の商品だ。
「料理店に卸す分もあるから、全てではないけれど最低50匹は用意出来る」
「まぁ、そんなに大量にあるんですか? そうですね……、50匹をポーションにするには1ヶ月はみて頂く事になると思います」
「あぁ、それで問題ない。で、この量の注文が毎週3ヶ月は続く可能性が高いのだけど、対応は可能だろうか?」
「はいっ?」
私の言葉に上級薬師は絶句し固まってしまった。
これまでの状況から考えて、きっとサラ様が毎週換金されると思う。
暫くして上級薬師は口を開いた。
「大変申し訳ないのですが、当ギルドでは月に1度しか注文を受ける事は出来ません」
「あぁいいんだ、無理を承知で聞いてみただけだから。じゃあ今回の分を、素材担当者に渡しておくよ」
「よろしくお願い致します。あの、癒し草と魔力草ならどれだけでも購入させて頂きますので……」
いや、それは無理だ。
薬草採取はサラ様達しかしないから、量はこれ以上増えないだろう。
薬師ギルドの思惑が透けて見える。
私は上級薬師に礼を言い素材担当に迷宮ウナギ50匹を引き渡すと、本日の仕事をしに冒険者ギルドに向かった。
残り3週間分の迷宮ウナギ……。
300匹はどうしたら?
サラ様~!
ウナギ料理店を開店して下さい!
ギルドマスターの部屋に入ると、直ぐに常備しているポーションを飲んだ。
あぁ、胃がしくしくと痛む。
直ぐには販売ルートを開拓出来ないので、冷凍倉庫を増やす必要がありそうだ。
また財務統括に煩く言われそうで気分が萎える。
先日マジックバッグに大量の経費が掛かったばかりだ。
財務からしてみれば、短い間に大金が支出する事態は避けたいだろう。
気持ちは分かるが、迷宮ウナギは1ヶ月もすれば腐り始めるのだ……。
高級魔魚を腐らせる訳にはいかない。
昨日、商業ギルドに行ったばかりなのに、また倉庫の契約に行く事になるとは思いもしなかった。
サラ様達が3ヶ月毎に拠点を変える事だけが救いか。
迷宮ウナギが大量に換金されるのは、3ヶ月の間だけだろう。
その後は地下15階に拠点を移される筈。
私は、地下30階まで必要になる期間を思わず計算した。
順調に3ヶ月毎、地下1階層を降りられるとすると……。
現在は地下14階なので、あと16階層ある。
3ヶ月×16で48ヶ月。
ゔっ、下手に計算するのではなかった。
後4年もいやが……迷宮都市にいて下さるらしい。
サラ様、もっと早く攻略してくれてもいいんですよ?
もしくは途中で飽きて、摩天楼のダンジョンに向われても迷宮都市は大丈夫です!
上納金は、これまで以上に頑張って納めますから!
その翌週、他領から来た3人組の冒険者達は迷宮都市から去った……。
この所、他領からきた冒険者達の動きがおかしい。
今はサラ様が迷宮都市にいらっしゃるので、よく注意をしておかなければ……。
これ以上、問題を起こされないように他領から来た冒険者は私が一度面接をした方が良いだろうか?
ギルドマスターの仕事、辞めたくなってきたんですが……。
早期退職金って貰えるんですかね?
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◇小説家になろうでも同時連載中です◇