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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第365話 オリー・リザルト 2 冒険者ギルドの解雇
会議室に入ると、既に副ギルドマスターと今回従魔登録をしにきた3人組の冒険者が席に着いていた。
6人全員で来る必要はないので、残りのパーティーメンバー3人はギルド1階に隣接している飲食店で待機でもしているんだろう。
真ん中に座っている少女は、後数年もすれば誰もが振り返るだろうというくらい綺麗な容姿をしている。
少女の右側にいる青年からは、何処か怜悧な印象を受けた。
左側にいる少年は、少女と同い年くらいだろうか?
いずれにしても、迷宮都市では見かけない程に若いパーティーだった。
ここのダンジョンはカルドサリ王国内にある大型ダンジョンの1つなので、当然攻略をしに来るのはB級冒険者ばかりだ。
大抵地方の地下10階層までのダンジョンを攻略した後に迷宮都市に来るので、30歳以上になっている。
それなのに、この3人は10代にしか見えなかった。
C級冒険者か?
リーダーは一番年長者に見える右側の青年だろう。
3人ともワイバーン製の革鎧を着ているので、そこそこ稼ぎはあるらしい。
体が華奢だから貴族出身の魔法士か……。
テイム魔法が使える貴族は多くない。
それはテイム魔法を秘匿していて、一族以外の人間に情報を渡す事がないからだ。
テイム魔法が使えるだけで、かなりのアドバンテージがあるので当然だろう。
同じように、一子相伝の魔法もあるくらいだからな。
ただ、どういう訳か公爵家や侯爵家の人間にはテイム魔法が使用出来る者がいない。
なので、少なくともテイムした人間は伯爵家以下の出身だろう。
俺は3人の身分を推測し、自分の方が上であると認識した。
ギルドマスターから冒険者には丁寧に接しろといつも言われていたが、その必要性を感じなかったので今回も普段通り必要な事のみを確認するために口を開く。
「従魔登録をしたいとか。テイムした方はどなたですか?」
俺にしてみれば最大限の対応だった。
テイムしたのは誰だ? と聞かなかった自分を褒めてやりたい。
すると、返事をすると思っていた青年ではなく少女が質問に答える。
「すみません、まずは貴方は誰でどういう立場の人ですか? 受付嬢からは、ギルドマスターが対応すると言われてたんですけど、貴方がギルドマスターなんですか?」
俺に自分から自己紹介をしろというのか!
貴族間では、身分の低い者から名前を名乗るのが礼儀だ。
そのため、俺は冒険者ギルドで働くようになって自分から名前を言った事はない。
今回は、俺がギルドマスターだと思われているようだから訂正する必要がある。
嫌々だったが名前を名乗る事にした。
「いえ、私はギルドマスターではありません。秘書のオリーです」
「では最初にそう仰って下さい。でなければ貴方がギルドマスターだと勘違いする所でした。そして秘書の方なら、何故他の2人について紹介をしないのですか? 紹介が無いと私達は誰かも分からない人達と同席する事になるんですが」
なんだこの少女は!
公爵家出身の俺に向かって説教か?
言われた言葉がとても不愉快で、つい顔を顰める。
「オリーさん、貴方は冒険者ギルドの職員に向いていないようです。今、思い切り顔に不快だと表情が出てましたよ。相手が年端もいかない小娘に、あって当然の常識を言われたくらいで腹が立つのなら秘書をお辞めなさい。交渉人としても失格です」
俺の態度に少女が更に言及し、あろうことか上から目線でギルド職員を辞めろとまで言ってくる。
その一瞬で頭に血が上り、これ以上同席するのは御免だと俺は会議室を出ていった。
何なんだ!
たかが冒険者の癖に、一体何様の心算で俺に意見なんてしやがる。
ムカムカとする気持ちを抑えきれないまま、自分の部屋に戻った。
冒険者ギルドの仕事は、本当に俺に向いてないな。
叔父が斡旋してくれた仕事だが、辞めてやろうか……。
王都に居る時は湯水のごとく使っていた金も、迷宮都市に来てからは反省し安宿に泊まり給料を貯金していた。
王都の屋敷を売却した時の金には、一切手を付けていない状態だ。
冒険者ギルドを辞めたとしても、暫くは暮らしていけるだろう。
部屋に戻ってから1時後、ギルドマスターがやってきた。
なにやら表情が硬い。
これはきっと先程の件について、何か言われるんだろうなと覚悟した。
流石に、会議室から対応中の冒険者を無視して出ていったのはまずかったか……。
「オリー。私の言った事が、理解出来なかったようで残念だよ。お前は、今日この場で解雇する」
突然予想外の言葉を聞き、先程まで自分から辞めようと思っていた事など吹き飛んでしまった。
「はっ? 俺を解雇って、どういう理由なんだ!」
「お前は、あの3人が毎週どれだけの素材を提出しているか知らないんだろう。参考までに教えてやるが、先週5日間の換金額は金貨495枚(4億9千5百万円)だ。これがどういう意味か分かるか?」
たった5日の換金額が金貨495枚だと!?
俺の給料は銀貨30枚(30万円)なのに!
冒険者が、そんなに儲かるなんて知らなかった……。
「勘違いするなよ? 普通は毎週こんな量の魔物を狩ってきたり出来ない。彼らは、この迷宮都市で間違いなくトップにいる冒険者達だ。お前が不誠実な対応をしたお陰で、迷宮都市を去ったりしたら冒険者ギルドが受ける損害は計り知れない。冒険者に対して丁寧に接しろと何度も注意した筈。解雇の理由は従業員規則違反だ」
「そんな事、分かる訳ないだろう! くそっ、全てあの女の所為だ!」
そう叫ぶと、ギルドマスターは俺を憐れむように見て一言呟いた。
「まぁ、せいぜい残り短い時間を有効に生きるといい」
なんだ、その縁起でもない言葉は……。
俺はまだ35歳だ!
長命なハーフエルフよりは長生き出来ないだろうけど、まだ50年以上は死ぬ訳にはいかない。
ギルドマスターは、俺を秘書室から追い出して入室許可を取り消したのだった。
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
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これからもよろしくお願い致します。
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6人全員で来る必要はないので、残りのパーティーメンバー3人はギルド1階に隣接している飲食店で待機でもしているんだろう。
真ん中に座っている少女は、後数年もすれば誰もが振り返るだろうというくらい綺麗な容姿をしている。
少女の右側にいる青年からは、何処か怜悧な印象を受けた。
左側にいる少年は、少女と同い年くらいだろうか?
いずれにしても、迷宮都市では見かけない程に若いパーティーだった。
ここのダンジョンはカルドサリ王国内にある大型ダンジョンの1つなので、当然攻略をしに来るのはB級冒険者ばかりだ。
大抵地方の地下10階層までのダンジョンを攻略した後に迷宮都市に来るので、30歳以上になっている。
それなのに、この3人は10代にしか見えなかった。
C級冒険者か?
リーダーは一番年長者に見える右側の青年だろう。
3人ともワイバーン製の革鎧を着ているので、そこそこ稼ぎはあるらしい。
体が華奢だから貴族出身の魔法士か……。
テイム魔法が使える貴族は多くない。
それはテイム魔法を秘匿していて、一族以外の人間に情報を渡す事がないからだ。
テイム魔法が使えるだけで、かなりのアドバンテージがあるので当然だろう。
同じように、一子相伝の魔法もあるくらいだからな。
ただ、どういう訳か公爵家や侯爵家の人間にはテイム魔法が使用出来る者がいない。
なので、少なくともテイムした人間は伯爵家以下の出身だろう。
俺は3人の身分を推測し、自分の方が上であると認識した。
ギルドマスターから冒険者には丁寧に接しろといつも言われていたが、その必要性を感じなかったので今回も普段通り必要な事のみを確認するために口を開く。
「従魔登録をしたいとか。テイムした方はどなたですか?」
俺にしてみれば最大限の対応だった。
テイムしたのは誰だ? と聞かなかった自分を褒めてやりたい。
すると、返事をすると思っていた青年ではなく少女が質問に答える。
「すみません、まずは貴方は誰でどういう立場の人ですか? 受付嬢からは、ギルドマスターが対応すると言われてたんですけど、貴方がギルドマスターなんですか?」
俺に自分から自己紹介をしろというのか!
貴族間では、身分の低い者から名前を名乗るのが礼儀だ。
そのため、俺は冒険者ギルドで働くようになって自分から名前を言った事はない。
今回は、俺がギルドマスターだと思われているようだから訂正する必要がある。
嫌々だったが名前を名乗る事にした。
「いえ、私はギルドマスターではありません。秘書のオリーです」
「では最初にそう仰って下さい。でなければ貴方がギルドマスターだと勘違いする所でした。そして秘書の方なら、何故他の2人について紹介をしないのですか? 紹介が無いと私達は誰かも分からない人達と同席する事になるんですが」
なんだこの少女は!
公爵家出身の俺に向かって説教か?
言われた言葉がとても不愉快で、つい顔を顰める。
「オリーさん、貴方は冒険者ギルドの職員に向いていないようです。今、思い切り顔に不快だと表情が出てましたよ。相手が年端もいかない小娘に、あって当然の常識を言われたくらいで腹が立つのなら秘書をお辞めなさい。交渉人としても失格です」
俺の態度に少女が更に言及し、あろうことか上から目線でギルド職員を辞めろとまで言ってくる。
その一瞬で頭に血が上り、これ以上同席するのは御免だと俺は会議室を出ていった。
何なんだ!
たかが冒険者の癖に、一体何様の心算で俺に意見なんてしやがる。
ムカムカとする気持ちを抑えきれないまま、自分の部屋に戻った。
冒険者ギルドの仕事は、本当に俺に向いてないな。
叔父が斡旋してくれた仕事だが、辞めてやろうか……。
王都に居る時は湯水のごとく使っていた金も、迷宮都市に来てからは反省し安宿に泊まり給料を貯金していた。
王都の屋敷を売却した時の金には、一切手を付けていない状態だ。
冒険者ギルドを辞めたとしても、暫くは暮らしていけるだろう。
部屋に戻ってから1時後、ギルドマスターがやってきた。
なにやら表情が硬い。
これはきっと先程の件について、何か言われるんだろうなと覚悟した。
流石に、会議室から対応中の冒険者を無視して出ていったのはまずかったか……。
「オリー。私の言った事が、理解出来なかったようで残念だよ。お前は、今日この場で解雇する」
突然予想外の言葉を聞き、先程まで自分から辞めようと思っていた事など吹き飛んでしまった。
「はっ? 俺を解雇って、どういう理由なんだ!」
「お前は、あの3人が毎週どれだけの素材を提出しているか知らないんだろう。参考までに教えてやるが、先週5日間の換金額は金貨495枚(4億9千5百万円)だ。これがどういう意味か分かるか?」
たった5日の換金額が金貨495枚だと!?
俺の給料は銀貨30枚(30万円)なのに!
冒険者が、そんなに儲かるなんて知らなかった……。
「勘違いするなよ? 普通は毎週こんな量の魔物を狩ってきたり出来ない。彼らは、この迷宮都市で間違いなくトップにいる冒険者達だ。お前が不誠実な対応をしたお陰で、迷宮都市を去ったりしたら冒険者ギルドが受ける損害は計り知れない。冒険者に対して丁寧に接しろと何度も注意した筈。解雇の理由は従業員規則違反だ」
「そんな事、分かる訳ないだろう! くそっ、全てあの女の所為だ!」
そう叫ぶと、ギルドマスターは俺を憐れむように見て一言呟いた。
「まぁ、せいぜい残り短い時間を有効に生きるといい」
なんだ、その縁起でもない言葉は……。
俺はまだ35歳だ!
長命なハーフエルフよりは長生き出来ないだろうけど、まだ50年以上は死ぬ訳にはいかない。
ギルドマスターは、俺を秘書室から追い出して入室許可を取り消したのだった。
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