自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第373話 迷宮都市 夢に出て来た妹 3

 夢を見ている最中に、あぁこれは夢だと気付く事がある。
 私は再び香織かおりちゃんの夢を見ていた。

 相変わらず、夢の中は暗く周囲の景色は見えない。
 ただ香織ちゃんの想いが伝わってくるだけだ。

『お父さん、お母さんに会いたいなぁ。賢也けんやお兄ちゃん、沙良さらお姉ちゃん、あかね……お姉ちゃん?、はるちゃん、まぁちゃん。私だけ家族と離れ離れなんて寂しいよ……。』

 うん?
 うんんっ?

 私は夢を見ながら首をかしげる。
 香織ちゃんは産まれる前に亡くなってしまったので、家族の名前は知らないはずだ。

 当然、後に生まれた双子達の存在も知らないだろう。
 なのに、何故なぜ名前を呼ぶ事が出来るの?

 この子は、日本での私達の事を知っているようだ。
 それは一体どうやって知ることが出来たのか……。

『今日も沙良お姉ちゃんの夢を見た。弟の双子達に、可愛い花柄のワンピースを着せている。幼馴染のしずくちゃんとも御揃おそろいだった。今はまだ小さくて分からないと思うけど、双子達はいずれ自分が男の子だと気付くんじゃないかな? お姉ちゃんは私の代わりに妹として可愛がっているみたい。遥ちゃんと雅ちゃんの未来が心配です。』 

 えっ!?
 何々、どういう事?

 もしかして私の夢を香織ちゃんが見ているの?

『沙良お姉ちゃんに初めて彼氏が出来た。私はまだ恋とかよく分からないんだけど……。色々とすごいモノを見てしまった気がする。そっか、赤ちゃんはそうやって出来るんだね。ちょっと恥ずかしい事を裸でしなくちゃいけないんだ……。私には刺激が強かった! まだ8歳だから性教育は早すぎかも?』

 おおうっ、ちょっと待て!
 香織ちゃんは、私を通じて日本での出来事を見ているのかしら?

 そして、少なくとも8歳の時に見ていた私は20歳を超えてる?
 初めての彼氏は22歳の時だった気がする。
 
 で、何で私の初体験を見てるのぉ~。
 嫌ぁ~、妹に見られるとか恥ずかし過ぎるんですけど!?

 しかも夢を見ている香織ちゃんは8歳だ!
 確かに小学2年生で性教育は早すぎるし、刺激が強い出来事だろう。

 もしかして香織ちゃんは、私の人生をダイジェストに夢の中で追体験している可能性が高いのか?
 それはちょっと知りたくなかったかも……。

 色々とやらかしてるしねぇ~。

『今年の家族旅行は海だった。ハンフリー領は海に面してないから、私は初めてこんなに大量の水がある事を知った。お姉ちゃんは日焼けしたくないと、日焼け止めを塗ってお母さんと一緒にパラソルの下で涼んでいる。賢也お兄ちゃんは、まだ小さくて泳げない双子達に浮き輪をかぶせ海の中で引っ張って遊んであげていた。茜……お姉ちゃんは、海で遊ぶより食べ物に夢中らしい。焼きそばに焼きとうもろこしを買ってもらい、お父さんと一緒に食べている。楽しそうでいいなぁ~、私は家族旅行なんて一度も連れていってもらった事がないよ……。』

 どうやら私が見ているこの夢は、時系列がつながっていないので完全なランダムらしい。
 家族で海に行ったのは、私が小学5年生と6年生の時だ。

 6年生の時は海に行って日焼けで真っ赤に腫れ上がり痛い思いを経験したので、ちゃんと日焼け止めを塗って海にはあまり入らなかった気がする。

 こんな頃、1家に1台エアコンは無かった時代なので、海の家ではTVやエアコンが有料になっており1時間100円必要だった。

 海の家で初めてエアコンを体験した時は、室内で涼しく過ごせる事に感動したなぁ~。
 翌年、お父さんがエアコンをリビングに付けた時は、家族全員で集まって眠ったっけ……。

 香織ちゃんは、家族旅行に一度も連れていってもらった事がないらしい。
 お父さんは家族をとても大切にする人だったので、長期休暇の時は必ず色々な場所に連れていってくれた。
 
 山登りや海水浴やキャンプにサイクリングと子供達が楽しめるように考えてくれていたのだと思う。

 自分が社会人になって、やっと気付いた事だけど。
 仕事が忙しいと、休みの日はゆっくりしていたいと思うのが普通だ。
 家族サービスで、自分の休みを返上してくれたお父さんには感謝しかない。

 家族旅行の楽しい思い出は、今も色せる事なく覚えているよ。
 
 海水浴では、お盆休みに行くからクラゲに刺された事。
 夜には海岸で花火をして遊んだ事。

 山登りでは、急に山の天気が崩れたため急いでカッパを着て登った。
 雷が鳴っていたので少し怖かったな。

 秋になると沢山飛んでるトンボを見る事も楽しかったし、頂上でお雑煮を食べようとしてお母さんがお餅を忘れ急遽きゅうきょお握りを雑炊にして食べた事もあったなぁ~。

 キャンプに行った時は、急な雨に降られテント内に浸水して車に避難したっけ……。
 ハプニングも楽しい思い出としてちゃんと残っている。

 毎回、大人数のお弁当を早起きして作るお母さんも大変だった事だろう。

 なにせ7人分だ。
 お握りを握るだけでも手が火傷しそうだよ。
 まだラップが無くて、素手に塩を付けて握っていた時代だからね。

 産まれていれば、香織ちゃんも一緒に家族旅行に沢山行けたはずなのに……。
 親が違うだけで、ここまで環境は変わってしまうんだと思い胸が痛くなった。

『あ~、テステス。沙良お姉ちゃん、聞こえる? 時間がないからよく聞いてね! ……に……ウナギを食べさせて……く……い。』 
  
 最後のは、私宛のメッセージだった。
 
 いつ頃のものか不明だけど、どうやら香織ちゃんは鰻を食べたいらしい。
 日本で私が食べているのを夢で見て興味を持ったみたいだ。

 香織ちゃん、お姉ちゃんが絶対探して見付けるから!!
 会えたら、迷宮ウナギを沢山食べさせてあげるね!

 そんな親元に居なくていいよ。
 もうすぐ本当の両親を召喚するから、私達と一緒に住もう。

 今まで出来なかった事を沢山一緒にしようね~。
 
 そこで夢は途切れ目が覚めた。
 きっと香織ちゃんは同じ異世界に居る。

 私が今まで見た一連の不思議な夢は、きっと正夢に違いない。
 これは兄に相談するべき案件だ。

 時計を見ると早朝6時。
 少し早いけど、兄を起こして相談に乗ってもらおう!

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