自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第393話 ガーグ老 10 地下12階でのダンジョン内警護&御子が使用する規格外のテイム魔法

 地下12階のダンジョン警護を始めて6週間。
 御子はどうやら、マジックキノコという魔物がお気に入りの様子だ。

 地面に倒れている魔物を、槍で楽しそうに突き刺しておられる。
 その方法で槍術を身に付ける事は出来まいが……。

 姫様と違い、剣術に興味は無いのだろうか?
 自衛のために儂がお教えしたいくらいだ。

 その後、ダンジョン内の森の中で新たな果物を発見された。
 見ると桃である。

 夕食時に、冒険者から桃は毎日1本だけ違う場所に生ると教えられていた。

 そんな不思議な果物があるのか?
 珍しい桃を見付ける事が出来た御子は、運が良いらしい。
 
 しかし翌日からは、ハーフエルフの御方が毎日その桃を探し出し収穫されている。
 そばで護衛していた者に聞いたら、迷う事なく走っていかれるそうだ。

 何故なぜ、生っている場所が分かるのか?
 不思議な御方だ……。

 翌週。
 御子はまた夕食時に新しい料理を披露ひろうされる。
 『キッシュ』とは、見た事も聞いた事もない卵料理だ。

 更に一緒に食事をしている冒険者達が、収穫した桃で賭け事を始め出した。
 いやお主ら、桃はハーフエルフの御方が毎日収穫しなさるぞ?
 賭け事にならんのではないかの。

 思いがけず、毎日違う場所に生る桃の収穫を予想出来た冒険者は多くなかったようだ。
 御子は苦笑しているが、あまり賭け事の場にいてほしくない。

 あれははまると身を滅ぼす恐ろしいものだ。
 一度、楽をしてお金を稼ぐ事を覚えると止められなくなる。

 御子にはどうか健全に育ってほしい……。

 それから御子は今まで魔石取りを御二方おふたかたに任せておったが、マジックキノコで練習をされるようになった。

 はて?
 何のための練習だろうか?

 マジックキノコは植物系の魔物だから、解体ナイフを入れても血は出たりせぬが……。
 魔石取りの練習になっておるのかの?

 治癒術師の御二方は、その様子をなんだか残念な子を見るような目で見られておった。
 やはり儂と同じ気持ちでいなさるのだろう。

 そしてまた夕食時に新たな料理を披露ひろうされる。
 今度は『チーズフォンデュ』という食べ物らしい。

 これは、毎週新しい料理が増えていくのではないか?
 警護中に腹が鳴りそうだわ!

 ダンジョン内で粗食に耐えている儂らの前で勘弁してほしい。
 夕食時は苦行になりそうだな。

 して、それらの料理はいつお店で食べる事が出来るのかの?
 まだ『肉うどん』と『シチュー』しか食べてないのだが……。

 夕食を食べ終えた後で、御子が出された桃に複数の冒険者から悲鳴が上がる。
 どうやら今週も賭けをしていたようだ。

 そんな中、王都からきたという『白銀はくぎんつるぎ』である冒険者パーティーがやってくる。

 その瞬間、冒険者達は一斉にその場を引き上げマジックテントの中に入ってしまった。
 勿論もちろん、御子達もその場から立ち去る。

 『白銀はくぎんつるぎ』とやらのパーティーとは、接触したくないようだ。
 翌日から、御子達はマジックテントから出てこなくなった。
 
 儂らは動きがないので、マジックテント周辺の安全地帯で待機する。

 金曜日の夜。
 『白銀はくぎんつるぎ』のパーティーがテント内に入ってからしばらくすると、御子が出てきてマジックテントを回収しその場から消える。

 移転されてしまったようだ。
 儂らもダンジョン内から撤収しよう。

 今回は護衛する必要がないので、駆け足程度の速度で地上に帰還した。
 
 土曜日は皆の楽しみである『肉うどん店』での食事だ。
 すると店内に『月曜から製麺店で販売開始 うどん一玉 鉄貨3枚』と書かれた看板が置いてある。

 ふむ、うどん・・・だけを販売する事にしたのだな。
 『肉うどん』はお昼には売切れてしまう人気メニューだから、良い方法かも知れん。

 翌週月曜日から御子達は『白銀はくぎんつるぎ』を避けたのか、地下12階の安全地帯には寄らず果物を採取して地下10階に戻ってきた。

 儂らは移動距離が長くなり息も絶え絶えだ。
 あの者らが地下12階から居なくなるまで、地下10階を拠点とするらしい。

 そこでとんでもないものを見る事になった。

 御子がシルバーウルフを見つめたかと思うと、なんと魔物がでテイムされるではないか!?

 思わずあごが外れそうになるくらい唖然あぜんとなったわ。
 
 普通テイム魔法を使用する時は、ある程度魔物を弱らせこちらの方が強者である事を示して従わせる方法が一般的だ。
 それでも魔物との相性があるので、全ての種族に効果的な方法とは言えない。
 
 後は騎獣屋を営んでいる者達が、門外不出の技でテイムする方法もあるにはあるが……。
 それにしたって、見ただけで・・・・・テイムなぞ出来るはずがない。

 御子がシルバーウルフに一切攻撃をしていなかった事は、そばに居たから分かる。
 治癒術師の御二方も驚いている様子だった。

 テイムされたシルバーウルフは、嬉しそうに尻尾まで振っておる。
 従魔になって直ぐは、主人の指示にあらがう事が多い魔物がだ!

 テイムLvが低い内は、我慢強く調教する必要があるというに……。

 御子は、それら全ての工程をすっ飛ばしてしまっている。
 テイム魔法の概念を、この日儂は改める事となった。

 そして言うまでもなく、この事は影衆の皆に他言無用をく。
 これでまた御子の秘密が増える事になってしまった。

 これ程簡単に魔物をテイムする事が知れたら、狙う国が出てくるだろう。
 飛行可能な魔物1体だけでも、欲しい国は多い。

 姫様がテイムされた白ふくろうの『ポチ』と『タマ』でさえ、戦場に放てば相手の布陣を知る事が出来るだろう。
 テイムLvが高ければ、主人との間で念話が可能になり即時に状況を把握する事も可能になる。

 御子よ、貴方の持っている幾多の能力は有能過ぎる。
 それは絶対に知られてはなりません。

 今はまだ大人しい南大陸のアシュカナ帝国ですが、あの帝国の王は野心家だ。
 来年には大陸制覇せいはに向けて動きがあると聞いておる。

 数年の内に、このカルドサリ王国のある大陸を攻めてくるだろう。
 各国は諜報ちょうほう合戦に忙しいようだ。

 迷宮都市にエルフの諜報員がいるように、アシュカナ帝国の者も紛れ込んでいるやも知れん。
 
 無邪気むじゃきにテイム出来たシルバーウルフの頭をでている御子を見て胸がざわつく。
 万が一情報が漏れた後、果たして儂らで御子達をお守りする事は出来るだろうか?

 しかし、シルバーウルフに『シルバー』と名付けられるとは……。
 姫様と一緒で、ネーミングセンスはないようだわ。

 その後、御子は現在拠点にしている場所に移転しシルバーウルフを置いてきたようだ。
 
 ハーフエルフの御方に、マジックキノコはテイムしないようにと注意されておられる。
 御子は気に入った様子であったが、あの魔物は何の役にも立ちはしまい。

 無駄にMPを消費するので、注意されるのは正解だな。

 それに対し、納得いかないご様子であったが……。
 従魔をペットと勘違いされておられるようだった。

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