自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第394話 ガーグ老 11 地下12階でのダンジョン内警護&御子の披露された気になる料理

 夕食時には、地下10階の13パーティー全てに『バーベキュー』用の料理道具をプレゼントされていた。
 御子よ、そんなに料理道具をそろえる必要はあったのかの?

 一体、アイテムBOXの中にはどれくらい入るのだろうか?
 ちなみに、まだ在庫があると嬉しいのだが……。
 
 冒険者全員が、楽しそうにバーベキューをしている様子を見ているだけの状態はつらいわ。
 あの丸ごと焼いた、ニンニクも食べてみたいのぉ。

 ダンジョンで収穫されたみかんを配り、食べ終えた皮を使用すると油汚れが落ちると妙な知識も披露ひろうされておった。

 翌日。
 地下10階の安全地帯から駆け出していった御子達は、途中で姿を消してしまわれた。

 移転で他の階層に行かれたのか……。
 御子に内緒で護衛をしているので儂ら影衆の事をご存じないのは仕方ないとはいえ、度々移転されてしまうと職務が全う出来ぬ。

 どの階層に行かれたのか分からぬため、無暗むやみに探す事は時間の無駄だ。
 地下10階の安全地帯に戻ってこられるまで、ここで待機するより他はないだろう。

 3時間程で、御子達が安全地帯に戻ってこられた。
 怪我人がテント前で待っていたので、少年の姿をされた御方が治療される。

 相変わらず見事な光魔法を使いなさる。
 しかし怪我の治療前に必ず水で洗い流すあの行為は、何かのまじないだろうか?

 光の精霊は、水の精霊と親和性が高い。
 両方の加護を受けておられるのかも知れんな。
 それもまた珍しい事だ。

 その後は特に変わった事もなく、5日間のダンジョン攻略を終えられた。
 土曜日に『肉うどん店』に食べに行ったが、御子が夕食時に披露ひろうされておった料理は残念ながら追加されておらなんだ。

 儂も『キッシュ』という卵料理を食べてみたかった……。

 翌週月曜日。
 地下10階を拠点にすると思っていた儂らは、地下10階を過ぎても止まらぬ御子達を見て悲壮ひそうな顔になる。

 結局地下12階まで走る事になった。
 今日は楽が出来るだろうとぬか喜びした分、疲労は大きい。

 地下11階からは、ダンジョンの広さが倍に増えるので2階層といえども4階層以上を移動した計算になる。
 地下1階から地下14階までを全力疾走しっそうしたのと同じだった。 
 
 もし地下13階に拠点を移せば、その距離は地下16階以上となるだろう。
 もう瀕死ひんしの状態の儂らでは無理だわ。

 ちゃんと息子は間に合ってくれるかの……。

 地下12階の安全地帯には寄らず地下12階と11階で果物の収穫をした後、地下10階に戻られる。

 なんと移動距離の多い警護だ! 
 これなら普通に地下12階で攻略してくれた方がましだわ。

 安全地帯に到着すると、地下12階で一緒に夕食を食べていた7パーティーもそろっておった。
 『白銀はくぎんつるぎ』が居る地下12階から移動してきたようだ。

 夕食はその者らも併せて大人数での食事会となっていた。
 これ程まで、御子の周りに好意的な冒険者が居ると嬉しいものじゃな。

 皆に好かれておる事がよく分かる様子だ。
 楽しそうに今日も皆で『バーベキュー』をしておられる。

 これ皆の者、もの欲しそうな顔をするでない。
 我ら影衆は護衛対象が食事中の時こそ、気を抜いてはならんのだ。

 特に御子の毒見役がいない場合は……、まぁご本人が調理されておられるからその心配はなかろうが……。

 それにしても旨そうに食べおる。
 儂らの携帯食料は味気なくていかんな。

 その後5日間のダンジョン攻略は地下10階でされた。
 気になっておった『白銀はくぎんつるぎ』のパーティーも、地下10階に上がってくる事はなかった。

 翌週月曜日。
 今日は最初から地下12階まで行かれるだろうと、儂らも気合を入れて付いていく。
 が、なんと地下12階から地下10階に移動後、再び地下12階まで戻られるではないか!?

 酸欠で死にそうになったわ……。

 わずか数時間で地下16階までの距離を移動した事になる。
 地下13階の警護をする時は、この距離を休憩なしで全力疾走しっそうされるだろう。
 
 息子達『万象ばんしょう』にとっても、良い試練になるだろうて。

 人生何事も修行だ!
 御子達の姿を見失うでないぞ?

 地下12階に戻られたのは、『白銀はくぎんつるぎ』のパーティーが居なくなったからのようだ。
 
 あの者達からは強欲な匂いがしたので、御子の前から消えてくれて良かったわ。
 まだ儂らが御子の前に姿を現すには早い。

 まずは良好な関係を築いてから、エルフの国にお誘いしようと思っている。
 そしてお亡くなりになった姫様の事を沢山お話ししましょう。

 ちょっと変わった御方であったが……。
 貴方の母君は自由をこの上なく愛しておいでだった。
 王宮での生活は、さぞかし窮屈きゅうくつに感じた事だろう。

 家族の前では姫君らしく大人しい猫を被っておられたが、儂の前では元気一杯に笑い少々柄の悪い所もある姫様でいらした。

 いつか話を聞いてもらえるその日を、とても楽しみにしていますぞ。

 それから中断していた地下12階の攻略が始まる。
 御子は果物採取の最中に倒した魔石取りが出来ない魔物を、アイテムBOXに入れたまま忘れておったらしい。

 大量の魔物を出し、魔石取りの依頼をして怒られていたようだ。
 御二方の持っている解体ナイフの素材は、ミスリルとオリハルコンではないかの?

 あんな高価な素材で解体ナイフを作る鍛冶屋などおらんだろう。
 特注で作られたのか……。

 剣を扱う事のない治癒術師の方々ではあるが、ナイフさばきは見事なものだ。
 出血を最小限に抑えながら魔石を取り出している。

 これは体の構造にも、かなりお詳しいであろうな。
 もしかすると儂ら影衆より、暗殺に向いておるかも知れん。

 これだけの技能を持っているなら、一瞬で命を刈り取る事も出来そうだ。
 御子のそばには最強の護衛が付いていると言ってもよい。
 
 だが、あまり御子の事をしかってくれるな。
 その御方はハイエルフの王族であり王女様なのだ。

 いくら兄妹同然に育ったからと言っても、身分の差をくつがえす事は出来まい。
 御子も涙目になって可哀想かわいそうではないか。

 反省しておられるようだから、ほどほどにしてあげなされ。
 
 御二方が魔石を取り出す間中、御子は取り出された魔石を黙々と洗っていらしたのだった。

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