自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
271 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第397話 ガーグ老 14 新しい2つの物語&家具職人としての再出発

 土曜日の度に息子から聞く御子の話には、楽しい物だけでなく対策を考えなければならない物も多い。

 御子が哺乳類系の魔物相手に、魔石取りの練習を始めたと聞いた時は微笑ましいと思ったものだ。
 
 儂らが護衛をしていた時は、植物系の魔物しか魔石取りをしようとせなんだ。
 少しずつ冒険者として成長していなさる。

 ただ、御二方おふたかたに内緒でハニービーをテイムされた事を聞いて唖然あぜんとなった。
 ついこの間、シルバーウルフをテイムされたばかりだというに。

 調教も済んでない間に2匹目をテイムされるとは予想外だった。
 しかもまったく違う種族ではないか!

 2匹目をテイムする場合は同じ種族にするのが普通だ。
 その方が調教が楽であるからだが……。

 ハニービーには『ハニー』と名付けられたらしい。
 御子よ、その残念なネーミングセンスは本当に姫様譲りのようであるな。

 しかしキラービーを統率する立場の魔物をテイムするとなると、相当Lvが高くないと無理だろう。
 コロニー全体も、テイマーの眷属扱いとなるからだ。

 例えば、今回テイムしたハニービーが6匹のコロニーを形成していた場合。
 この6匹はテイマーの従魔と同様に扱う事が出来る。

 1匹をテイムするだけで、7匹テイムする事と同じと言えば分かりやすいか。
 ゆえに魔物でも統率する立場にある種族はテイムされにくい。

 それを、やはり見つめただけでしてしまったそうだ。
 この事は当然、50人の『万象ばんしょう』全員に固く口止めさせた。

 儂は御子の事が心配でならん。
 また、ハーフエルフの御方に叱られてしまわないだろうか?

 役に立ちもしないマジックキノコをテイムされるよりは、偵察に使用出来るハニービーの方がましであるが……。

 地下13階では、森の中に紫のぶどうが生っているらしい。
 そして地下12階のように、ランダムで1本だけ生るのは緑のぶどうだったそうだ。

 この頃になると、ハーフエルフの御方は果物採取をメインにされ地下11階から別行動されるようになった。
 ちなみに地下11階にランダムに生るのは梨という果物で儂も食べた事がない。

 御子達はパーティーの意味を分かっておるのかの?
 息子達も警護を分かれてしなければならず、今は10人ずつ付いておるそうだ。
 
 ダンジョンでの夕食後、一緒に食べている冒険者が自分達も子供達に読み聞かせをしたいと言って御子に物語を読んでもらったらしい。
 
 また新しい物語である『シンデレラ』。

 この話の内容を聞いた時、つい御子の境遇を思い胸が痛んだ。
 御子は、本当の家族とは一緒に育つ事は出来ず寂しい思いをしたに違いない。

 自分の娘ではない子供を優しく育ててくれたのは、さぞかし立派な御方だろう。

 しかし、一体この物語はどこの国のものなのだ?
 ねずみを馬に変え、南瓜かぼちゃを馬車に変える事が出来る魔法士が居る国なぞあったかの?

 姿変えの魔道具ならあるが、流石さすがにねずみを馬に変える事は到底無理だ。
 体積が違い過ぎる。

 そして元がねずみなら、馬のようには走れまい。
 
 疑問なんだが、ガラスの靴で踊ったりしたら靴が割れたりせんのだろうか?
 それ以前にく事自体苦痛を伴いそうだ。

 ドレスを新調したのなら、鹿革の革靴を用意すればよいものを……。

 そして最後にまた、王子と結婚する話になっておる。
 人族の王子と結婚するのだけは、やめて下され!

 もうひとつは『赤ずきんちゃん』という物語だ。
 
 これには言葉を解する高位の魔物が出てくる。
 それは出会ったら死を意味するくらいの化け物だ。

 何故なぜ、狩人ごときが簡単に討伐出来るのか不思議だわ。
 
 もしや戦闘民族である、ケスラーの民かの?
 もしくは完全変態出来る獣人だろうか?

 これは、深い考察が必要になる話だった。
 きっと狩人が、どの種族であるか当てる事を目的としているのだな。

 この2つの物語を、どうやら冒険者達が練習して子供達に聞かせるみたいだ。
 子供が楽しめる娯楽は少ないから、良い思い出になろう。
 

 家具職人としての仕事は、工房主が細かい技術を丁寧に教えてくれる。
 儂らも家具等作った事がないから、非常に勉強になった。

 精々せいぜい野営時に雨をしのぐため、その場で掘っ立て小屋を作るぐらいだったからの。
 細かい装飾については精霊に願い、風魔法で美しい模様を描いてもらう事にした。

 いや、儂らに芸術的なセンスはない。
 武術にはげむしかない脳筋連中だからな。

 その点、精霊は美しい物を好むので、儂がするより数倍良い物が出来上がる。
 それを見た工房主が、もう教える事はないと言って引退しおった。

 わずか数か月で家具職人の工房を引き継ぐ事になってしまう。

 職人とは一体……。
 それで良いのか?

 半信半疑ながら工房で仕事を続けていたが、次々と注文が入ってきた。
 皆、何故なぜかトレント素材の家具ばかりだった。

 まぁこれで安定した職業に就いたのだから御子に会う時、無職ではなくなった。
 迷宮都市に職人として住んでいる大儀名分たいぎめいぶんも出来たな。

 その後、儂らの工房は人気になり予約待ちの状態が続くようになった。
 これは風の精霊に感謝せねばならん。

 元影衆の皆も、良い老後の趣味が出来たと楽しそうにしておる。
 勿論もちろん、利益は御子に渡す心算つもりですぞ!

 ダンジョンで稼ぐ1週間分にもなりませんが……。
 お小遣い程度にはなるであろう。

 姫様もよく、新年になると『お年玉』を欲しがったのぉ。
 王族の予算が幾らでもあるというのに、じじいの儂らからお金をせびるとは……。

 意外と守銭奴しゅせんどでいらした。

 来年は、御子にも『お年玉』を渡せると良いが……。

 --------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 --------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇