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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第405話 迷宮都市 子供達と芋掘り体験 2&結婚式の相談
さつま芋の収穫作業から2時間。
そろそろ渡した麻袋もパンパンになっている頃だろう。
桶にお湯を出して、兄と旭に土で汚れた子供達の手や顔を洗ってもらう。
私はその間に『大学芋』の準備開始。
蒸かし芋や焼き芋は家で作る事が出来るから、今日しか食べる事が出来ないメニューにした。
既に収穫済みのさつま芋を一度蒸かしてから一口サイズに切り、油できつね色になるまで揚げる。
油切りをしたら、市販に売っている『大学芋のタレ』を混ぜ合わせれば完成。
これも昔はなかったんだよね~。
どんどん便利な物が売られるようになったのは、共働きが増え専業主婦が少なくなった所為なんだろう。
家事をする時間が少なくて済む便利な商品は、今後も沢山出てきてほしい。
土塗れだった子供達の顔は、2人が手拭いを使用して綺麗にしてあげていた。
兄は使用後のスコップも洗ってくれたようだ。
「皆、芋掘りは楽しかった?」
子供達に感想を尋ねると、笑顔になって返事をしてくれる。
「うん! 楽しかった~。紫のお芋は初めて見たよ!」
「沢山掘れた~! どんな味がするか楽しみ!」
匂いでお腹が空いてきたのか、待ちきれない様子だ。
「これは、さつま芋を使った『大学芋』という料理よ。まだ熱いから、少し冷まして食べてね」
取り皿に『大学芋』を入れ、並んで待っている子供達にフォークと一緒に手渡す。
全員に配り終わると、「いただきます!」と口を揃えて食べ出した。
「お芋が甘くて美味しい~」
「紫のお芋は甘いんだね~」
一口食べた子供達が、その甘さに頬を緩めている。
ドライフルーツや生の果物とは、また違った甘さだと思う。
それに芋類は炭水化物なので、お腹も膨れるだろう。
小さな子供達は、1本も食べればお腹一杯になってしまうかも知れない。
その後、普段食べている野菜がどう生っているのかを、畑に育てられている野菜を見ながら説明をしてあげた。
農家の子供でもない限り、野菜がどんな状態で生っているか知らないだろう。
この世界には庶民が通える学校がないので、知る事の出来る知識が限られている。
なるべくなら、多くの事を知ってほしい。
今回は芋掘りの体験だったけれど、他にも沢山経験させてあげたいな。
今は将来出来る仕事が冒険者しかない。
もっと色々な職業に就く事が出来るといいんだけど……。
冒険者はリスクの高い職業だ。
支援している子供達は、親が亡くなっているので慎重に冒険者の仕事をするとは思う。
けれど、何があるか分からない。
いつか誰かの死を知る事になるかも知れないと思うと、それだけで胸が痛む。
私は、それに耐える事が出来るだろうか?
野菜の状態に子供達が興味を示していた。
私の説明を聞きながら、うんうんと頷いている。
収穫したさつま芋は蒸し器がないため、茹でたり焼き芋にして食べるんだよと料理方法を伝えた。
寒い季節には豚汁を作ってあげたいけど、味噌はまだ解禁していないから残念だ。
薪を使って料理をするので、焼き芋は竈で出来るだろう。
火加減に注意しないと焼き過ぎて焦げてしまうけど、子供達は私より薪の扱いに慣れているから問題ない。
初めてミリオネの町で、薪を使い料理した時は本当に大変だった。
顔が煤だらけになってしまい、笑われたなぁ。
畑からの帰り道。
今日は少し疲れただろうと思い、子供達を順番にシルバーとフォレストの背中に乗せて歩いて帰る。
麻袋は荷物になるので、マジックバッグに収納した。
その際、麻袋には誰の物か分かるよう炭で名前を書いてあげる。
自分で収穫した物を持って帰りたいだろう。
子供達を各家まで送り届けると、今日のイベントは終了だ。
兄達と2匹をホームへ移転した後で、今夜は母親達と夕食を食べる事を伝える。
兄は特に何も言わず、旭と外食をするみたいだ。
『肉うどん店』に入ると、母親達が編み物をしていた。
子供達は2階の部屋にいるのか姿が見えない。
「こんにちは~」
「オーナー! いらっしゃいませ。今日は、どうされたんですか?」
「ちょっと皆さんに相談があって来ました」
母親達が集まっているテーブルの空いた席に座ると話を切り出した。
「内緒で兄達の結婚式をしようと思っているんだけど、この地方ではどんな結婚式をしているのかしら?」
「まぁ、内緒で計画されるんですか?」
「えぇ、ちょっと事情があってなるべく早く結婚させてあげたいの」
「そうですね、グッテン領では知り合いを呼んで少し豪華な食事会をする感じでしょうか?」
「えっと、教会で式を挙げたりはしない?」
「教会で、ですか? それは聞いた事がありませんけど……」
話を聞いた所によると、異世界では教会で結婚式をしたりはしないそうだ。
衣装も、普段より少しお洒落な感じの物を着る程度らしい。
結婚した2人を祝う披露宴のようなものかな?
日本みたいに、大袈裟な感じではないのかも知れない。
となると、あまり準備は必要ないのかしら?
指輪をしている人も見かけないし、最低限場所と料理があれば問題なさそうだ。
誓いの言葉も、指輪の交換も、誓いのキスもないのかぁ~。
当然、「ちょっと待った~」という場面も出てこないだろう。
少し物足りない感じはするけど、それが異世界での標準ならば仕方ない。
場所は、注文している新築が間に合えばいいのだけど……。
料理に関しては、私が事前に作っておけばいい。
せめてウエディングケーキくらいは用意してあげたかったな~。
ケーキカットの場面は、結構憧れると思うんだよね!
2人の初めての共同作業。
コカトリスの丸焼きを切ってもらうのは、流石に大き過ぎるか……。
そんなに大きいテーブルもないしね。
相談に乗ってもらった事にお礼を言い、夕食は私が作る事にした。
まだ食べた事がない料理がいいだろうと、折角ソースを解禁したので『お好み焼き』を作る事にする。
ネギとキャベツを細かく刻んで、ハイオーク肉を薄切りにする。
揚げ玉を入れた方が美味しいけど今回はなしで。
小麦粉と卵に出汁の素を入れ、切った野菜と混ぜ合わせる。
長芋も欲しかった~。
熱した2つのフライパンに生地を丸くして入れ、ハイオーク肉を載せる。
私はひっくり返すのが苦手なので、小さめの物を作った。
子供達は1枚で、母親達には2枚食べてもらえばよい。
片面が焼けたらひっくり返して火を通す。
最後に上からソースを掛ければ完成だ。
食べ易いよう6等分して皿の上に載せる。
子供達を呼んでこようと思っていたら、匂いに釣られて既に降りてきていたらしい。
同時に2枚しか作れないので、焼けた順番に食べてもらう事にした。
紅生姜・花かつお・青のり・マヨネーズと、無い物が多いお好み焼きだけど、初めて食べた母子達には好評だった。
「オーナー! この料理は簡単に出来て、美味しいですね~」
作り方を見ていた母親が声を上げる。
スープのように煮込んだり、うどんやパスタを茹でる必要がない分、短時間で出来る料理だ。
忙しい時には助かるだろう。
「お姉ちゃんの作る料理は、いつも美味しい~!」
「僕この『お好み焼き』大好きだよ!」
子供達が、口の周りにソースを付けながら絶賛してくれている。
作った料理を美味しそうに食べてくれると、私も嬉しいよ!
最後に自分の分を焼いて、私も食べる事にする。
うん、なんちゃって『お好み焼き』だ。
まだまだ、異世界には足りない物が多すぎる。
帰りを心配する兄のために、あまり遅くならないよう気を使い母子と楽しく話ながら食事を終えた。
勿論、自宅に戻ったら2人が帰りを部屋で待っていた事は言うまでもない。
そして当然時間もチェックされた……。
お父さん、お母さん、兄が門限に厳しすぎるんですけど~!!
--------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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そろそろ渡した麻袋もパンパンになっている頃だろう。
桶にお湯を出して、兄と旭に土で汚れた子供達の手や顔を洗ってもらう。
私はその間に『大学芋』の準備開始。
蒸かし芋や焼き芋は家で作る事が出来るから、今日しか食べる事が出来ないメニューにした。
既に収穫済みのさつま芋を一度蒸かしてから一口サイズに切り、油できつね色になるまで揚げる。
油切りをしたら、市販に売っている『大学芋のタレ』を混ぜ合わせれば完成。
これも昔はなかったんだよね~。
どんどん便利な物が売られるようになったのは、共働きが増え専業主婦が少なくなった所為なんだろう。
家事をする時間が少なくて済む便利な商品は、今後も沢山出てきてほしい。
土塗れだった子供達の顔は、2人が手拭いを使用して綺麗にしてあげていた。
兄は使用後のスコップも洗ってくれたようだ。
「皆、芋掘りは楽しかった?」
子供達に感想を尋ねると、笑顔になって返事をしてくれる。
「うん! 楽しかった~。紫のお芋は初めて見たよ!」
「沢山掘れた~! どんな味がするか楽しみ!」
匂いでお腹が空いてきたのか、待ちきれない様子だ。
「これは、さつま芋を使った『大学芋』という料理よ。まだ熱いから、少し冷まして食べてね」
取り皿に『大学芋』を入れ、並んで待っている子供達にフォークと一緒に手渡す。
全員に配り終わると、「いただきます!」と口を揃えて食べ出した。
「お芋が甘くて美味しい~」
「紫のお芋は甘いんだね~」
一口食べた子供達が、その甘さに頬を緩めている。
ドライフルーツや生の果物とは、また違った甘さだと思う。
それに芋類は炭水化物なので、お腹も膨れるだろう。
小さな子供達は、1本も食べればお腹一杯になってしまうかも知れない。
その後、普段食べている野菜がどう生っているのかを、畑に育てられている野菜を見ながら説明をしてあげた。
農家の子供でもない限り、野菜がどんな状態で生っているか知らないだろう。
この世界には庶民が通える学校がないので、知る事の出来る知識が限られている。
なるべくなら、多くの事を知ってほしい。
今回は芋掘りの体験だったけれど、他にも沢山経験させてあげたいな。
今は将来出来る仕事が冒険者しかない。
もっと色々な職業に就く事が出来るといいんだけど……。
冒険者はリスクの高い職業だ。
支援している子供達は、親が亡くなっているので慎重に冒険者の仕事をするとは思う。
けれど、何があるか分からない。
いつか誰かの死を知る事になるかも知れないと思うと、それだけで胸が痛む。
私は、それに耐える事が出来るだろうか?
野菜の状態に子供達が興味を示していた。
私の説明を聞きながら、うんうんと頷いている。
収穫したさつま芋は蒸し器がないため、茹でたり焼き芋にして食べるんだよと料理方法を伝えた。
寒い季節には豚汁を作ってあげたいけど、味噌はまだ解禁していないから残念だ。
薪を使って料理をするので、焼き芋は竈で出来るだろう。
火加減に注意しないと焼き過ぎて焦げてしまうけど、子供達は私より薪の扱いに慣れているから問題ない。
初めてミリオネの町で、薪を使い料理した時は本当に大変だった。
顔が煤だらけになってしまい、笑われたなぁ。
畑からの帰り道。
今日は少し疲れただろうと思い、子供達を順番にシルバーとフォレストの背中に乗せて歩いて帰る。
麻袋は荷物になるので、マジックバッグに収納した。
その際、麻袋には誰の物か分かるよう炭で名前を書いてあげる。
自分で収穫した物を持って帰りたいだろう。
子供達を各家まで送り届けると、今日のイベントは終了だ。
兄達と2匹をホームへ移転した後で、今夜は母親達と夕食を食べる事を伝える。
兄は特に何も言わず、旭と外食をするみたいだ。
『肉うどん店』に入ると、母親達が編み物をしていた。
子供達は2階の部屋にいるのか姿が見えない。
「こんにちは~」
「オーナー! いらっしゃいませ。今日は、どうされたんですか?」
「ちょっと皆さんに相談があって来ました」
母親達が集まっているテーブルの空いた席に座ると話を切り出した。
「内緒で兄達の結婚式をしようと思っているんだけど、この地方ではどんな結婚式をしているのかしら?」
「まぁ、内緒で計画されるんですか?」
「えぇ、ちょっと事情があってなるべく早く結婚させてあげたいの」
「そうですね、グッテン領では知り合いを呼んで少し豪華な食事会をする感じでしょうか?」
「えっと、教会で式を挙げたりはしない?」
「教会で、ですか? それは聞いた事がありませんけど……」
話を聞いた所によると、異世界では教会で結婚式をしたりはしないそうだ。
衣装も、普段より少しお洒落な感じの物を着る程度らしい。
結婚した2人を祝う披露宴のようなものかな?
日本みたいに、大袈裟な感じではないのかも知れない。
となると、あまり準備は必要ないのかしら?
指輪をしている人も見かけないし、最低限場所と料理があれば問題なさそうだ。
誓いの言葉も、指輪の交換も、誓いのキスもないのかぁ~。
当然、「ちょっと待った~」という場面も出てこないだろう。
少し物足りない感じはするけど、それが異世界での標準ならば仕方ない。
場所は、注文している新築が間に合えばいいのだけど……。
料理に関しては、私が事前に作っておけばいい。
せめてウエディングケーキくらいは用意してあげたかったな~。
ケーキカットの場面は、結構憧れると思うんだよね!
2人の初めての共同作業。
コカトリスの丸焼きを切ってもらうのは、流石に大き過ぎるか……。
そんなに大きいテーブルもないしね。
相談に乗ってもらった事にお礼を言い、夕食は私が作る事にした。
まだ食べた事がない料理がいいだろうと、折角ソースを解禁したので『お好み焼き』を作る事にする。
ネギとキャベツを細かく刻んで、ハイオーク肉を薄切りにする。
揚げ玉を入れた方が美味しいけど今回はなしで。
小麦粉と卵に出汁の素を入れ、切った野菜と混ぜ合わせる。
長芋も欲しかった~。
熱した2つのフライパンに生地を丸くして入れ、ハイオーク肉を載せる。
私はひっくり返すのが苦手なので、小さめの物を作った。
子供達は1枚で、母親達には2枚食べてもらえばよい。
片面が焼けたらひっくり返して火を通す。
最後に上からソースを掛ければ完成だ。
食べ易いよう6等分して皿の上に載せる。
子供達を呼んでこようと思っていたら、匂いに釣られて既に降りてきていたらしい。
同時に2枚しか作れないので、焼けた順番に食べてもらう事にした。
紅生姜・花かつお・青のり・マヨネーズと、無い物が多いお好み焼きだけど、初めて食べた母子達には好評だった。
「オーナー! この料理は簡単に出来て、美味しいですね~」
作り方を見ていた母親が声を上げる。
スープのように煮込んだり、うどんやパスタを茹でる必要がない分、短時間で出来る料理だ。
忙しい時には助かるだろう。
「お姉ちゃんの作る料理は、いつも美味しい~!」
「僕この『お好み焼き』大好きだよ!」
子供達が、口の周りにソースを付けながら絶賛してくれている。
作った料理を美味しそうに食べてくれると、私も嬉しいよ!
最後に自分の分を焼いて、私も食べる事にする。
うん、なんちゃって『お好み焼き』だ。
まだまだ、異世界には足りない物が多すぎる。
帰りを心配する兄のために、あまり遅くならないよう気を使い母子と楽しく話ながら食事を終えた。
勿論、自宅に戻ったら2人が帰りを部屋で待っていた事は言うまでもない。
そして当然時間もチェックされた……。
お父さん、お母さん、兄が門限に厳しすぎるんですけど~!!
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◇小説家になろうでも同時連載中です◇