自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第407話 迷宮都市 地下14階 丸椅子の組み立て&ガーグ老からの提案について相談

 女性冒険者に抱き着かれていたのを見なかった事にすると言ってあげたのに、何故なぜか落ち込んでいる様子の旭を不思議に思いつつ、私はホームの自宅に戻ってきた。

 午後からは、昨日作ってもらった脚の部分と補強材を組み立てる事にする。
 まずは、ネジの長さを決めて購入しに行こう。

 1辺の脚の長さを5cmにしたから、それ以上は必要かな?
 ある程度の長さがないと駄目だろう。

 ホームセンターに移動して、ネジを大量に購入する。
 住人さんが持っていた、電動ドリルを使用した方が組み立て作業が早く済む。

 他に作業台や固定治具も、DIY好きな住人さんがそろえてくれていたので助かった。
 空き部屋に作業台を置いて、その上に丸座面を治具で固定する。

 最初は、角度を付けた4本の脚をつける作業から始めよう。
 2本の補強材を十字になるよう、木工ボンドを塗って組合わせていく。

 同じ作業を180個分だ!
 先は長い……。
 全てが終わる頃には3時間が経過していた。

 安全地帯のテントから兄達を回収して再び送り出し、作業の続きを始める。

 補強材にネジを入れる穴を4か所、電動ドリルで開ける作業だ。
 穴の位置をスケールで測り、印を付けた所に電動ドリルを当てる。
 これは簡単に出来るので次々と処理をしていった。

 穴を開けた補強材の片側に木工用ボンドを塗って、丸座面の中心に合わせての貼り付け作業。
 残念ながら50個までで本日は時間切れ。

 続きは明日頑張ろう。

 安全地帯に戻り兄と旭を回収。
 2人がトイレ&休憩を済ませた後で、再びテント内に移動。

 今日の夕食は、先週解禁したソースを使用した『焼きうどん』とスープにしよう。
 焼きそばの麺は、まだ作れないので使用するのは『うどん』にする。

 フライパンで切ったキャベツ・ニンジン・玉ねぎとハイオーク肉の薄切りを一緒にいため、でたうどんを加え、上からソースを掛けて混ぜながら更に炒める。
 
 ソースの焼ける香ばしい匂いが漂ってきましたよ~。

 リリーさんとケンさんにも作り方を教えたので、今日の夕食は2パーティーとも『焼うどん』とスープらしい。

 最近、『うどん』も配達する食材リストに追加されたようだ。

 『肉うどん』・『五目あんかけうどん』の他に、『焼うどん』もダンジョン内メニューに追加する事が出来た。

 別のフライパンに半熟の目玉焼きを作り、『焼うどん』の上に載せて完成。
 兄達の分は1玉だと足りないと思い、1.5玉を使用している。

 具沢山スープも飲めば、お腹はふくれるだろう。
 『焼うどん』を初めて食べた2パーティーが、その味に感動している。

「こりゃ『肉うどん』とは、また全然違う味だな~。俺は、こっちの方が好きだ!」

「サラちゃんといると、本当にダンジョン内の食事が美味しくなるね~。ケン、ちゃんと作り方を覚えておくんだよ」

 そういうダンクさんとアマンダさんの皿を見ると麺の量が多い。
 冒険者達には1玉じゃ足りないんだろうな。

 食後のデザートに2色のキウイフルーツを配り食べ終えると、12月に予定しているクリスマス会の話になった。

「サラちゃん。先週教えてくれた椅子取りゲームの他に、何か遊びは考えているのかい?」

 アマンダさんからの質問に、私は考えていたゲームを答えた。

「以前、子供達には教えてあげたんですけど、『ダンクさんが転んだ』という遊びも大人数で出来るので、それをしようかと思っています」

「何だ!? 俺の名前を使った遊びがあるのか?」

 ダンクさんが自分の名前を出されて驚いている。
 ダルマ・・・の代わりに、3文字が思い付かなかったので名前を勝手に拝借してしまったんだよね。

「名前を使用してしまってごめんなさい。えっと、今から一緒にやってみますか?」

「おおっ! どんな遊びか興味がある」

 自分の名前を使われた事については頓着とんちゃくしないのか、ダンクさんが立ち上がってやる気をみせる。 

 遊び方の説明をして、最初の鬼役を私がする事にした。
 話を聞いていたアマンダさんのパーティーも参加すると言うので、全部で15人だ。

 土魔法で壁を作り、ゲーム開始の合図を大きな声で叫ぶ。

「始めの一~~~歩!」

 振り返ると流石さすが冒険者達、子供達とは違い予想外に遠い距離にいる。
 いやでも、これ最終的には鬼役に近付く必要があるので、あまり離れていない方がよい気がしないでもない。

 次は、比較的ゆっくり掛け声をかける。

「ダ~ンクさ~んがこ~ろんだ」

 普通に後ろを振り返ると、皆微動だにしていなかった。
 うふふ~、問題はここからですよ~。

「ダンクさんがころんだ!」 

 早口言葉のように素早く言って急に振り返ってみれば、案の定この遊びが初めての冒険者達は動きを静止出来なかったらしい。

 5人を呼び出し、小指をつないで再び掛け声を掛ける。

「ダ~ンクさ~んがころんだ!」

 次は後半部分を速く言って振り返る。
 ここでも脱落者が3人。

 子供の頃に遊び慣れている2人と、リーダーの2人はまだ残っていた。
 かなり私に近付いてきている。

 これは次に指を切られそうだな……。

「ダンクさんがころんだ!」
 
 全てを速く言ったけど、兄に切られてしまった!
 逃げ出した冒険者達に、「ストップ」と声をかけ10歩以内にいる人にタッチして鬼の交代だ。

「と、こんな感じの遊びです」

「へぇ~、これで反射神経を鍛えるんだな」

 と妙な所にダンクさんが関心を示す。
 いえ、ただの遊びだと思いますけど……。
 
 まぁ多少は、鍛える事も出来るのかな?
 
「後、考えているのは壁と壁の間に物を投げて、それが何だったか当てる物や、中身が見えない箱に手を入れて触っただけで何か当てる遊びですね」

 私の説明だけでは何をするのか分からない様子だったので、2つの壁を作りその後ろに隠れて兄と旭にりんごを投げてもらった。

 それを見たアマンダさんが、「りんごだ!」と回答する。
 そうそう、そんな感じですよ。

 これも投げる速度を変えたり、壁の距離を短くする事で難易度が変わる。
 
「ふ~ん、これは動体視力を鍛えるんだな」  
  
 ダンクさん、だからただの遊びですって~。
 なんだろう? 職業訓練の一環だと思われている。

 箱の中身を当てる遊びについては、当日挑戦してもらう事にした。

 自宅に戻り、お風呂から出てきた2人をテントに送る前に、昨日ガーグ老から言われた提案を2人に相談してみよう。

「お兄ちゃん。昨日カマラさんの紹介で家具職人のガーグ老に会ってきたんだけど、槍の稽古を付けてくれるらしいの。私達、武術に関しては素人でしょ? 良い機会だから、槍術を身につけようかと思って……。メンバーも一緒にどうかと言ってくれたんだけど、興味ある?」

「なんだ? 結局、丸椅子は注文する事にしたのか?」

「全部じゃないよ! 脚の部分と補強材は、丸太から切り出すのが難しそうだったから本職に依頼したの。後の組み立ては自分でやるから」

「ふ~ん、そりゃ大変そうだが頑張れ。武術の稽古か……」

「サラちゃん、俺は剣術を習ってみたいかな? 覚えることで役に立つ事もあると思うし!」

「お兄ちゃんはどうする?」

「習って損はなさそうだ。俺は、お前と一緒の槍術にするよ」

「了解! あと、家具職人さん達は全部で10人いるんだけど、武人みたいに見えるから会った時に驚かないでね!」

「うん? 武人のような家具職人?」

「多分、引退した騎士団の人達だと思う」

「それは珍しい経歴の職人だな。引退したなら、楽隠居らくいんきょでもしてそうなもんだが……」

「家具作りは、老後の趣味みたいなものだって言ってたよ。注文した資材も、料理を食べさせてくれれば良いと言ってお金は受け取らなかったの。優しいお爺さんだった」

「そうか……。じゃあ、お願いするとしよう」
 
「いつでも大丈夫らしいから、日曜日の炊き出し後に行ってみよう?」

「その前に、槍と剣を購入する必要があるがな」

 あぁそうだった、2人は武器を持っていない。
 アイテムBOXに魔物が使用していた武器が沢山あるけど、どうせなら新品を購入した方がよいだろう。

「久し振りに武器屋で買い物だね」

「今回は高い物でも購入するか」

 兄はそう言うと、旭と相談を始めてしまった。
 男のロマン武器についての話が始まりそうだったので、私はとっとと2人をテント内に送り届ける。

 槍術かぁ~、どれだけ稽古をしたらステータス表記されるのかな?
 ちょっと楽しみだ。

 槍で無双なんて出来ちゃうかも知れないな~。

 兄が旭と同じ剣術を選ばなかったのは、基礎のある旭に水をあけられたくなかった所為せいだろうか?

 少しだけ複雑な男心が関係しているんだろうな……と思った事は内緒だ。

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