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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第417話 迷宮都市 サヨさんと実家へ&演舞の衣装作り
日曜日。
教会の炊き出しをしていると、再びタケルが護衛を連れてやってきた。
今日も、子供達にと食料の入ったマジックバッグをはにかみながら兄に渡している。
私は、以前貰ったマジックバッグを返却してお礼を伝えた。
今日これから家に遊びに来ないかと熱心に誘われ、基本的に人のよい兄はOKしたらしい。
兄と一緒に旭も付いていくそうだ。
これは3角関係になりそうね……。
大丈夫かしら?
タケルの名前が気になっていたけど、私は今日サヨさんと予定があるので不参加だ。
兄達と別れ、サヨさんを迎えにいく。
華蘭の老紳士に、サヨさんが「昼食と夕食は適当に食べて下さいな」と言った時の表情が忘れられない。
1人で侘しい食事をさせる事になってしまい、すみません……。
サヨさんとホームの自宅に帰ってくると、早速実家に移動する。
「サヨさん、ここが私の両親の家です」
「まぁ、娘の家に連れてきてくれたのね。嬉しいわ、どんな所に住んでいるのか気になっていたのよ。あの子のいない間に勝手に入ってしまって大丈夫かしら?」
「母親と娘の私なら、母は怒ったりしないです。実はサヨさんに結婚写真を見てほしくて、招待したんですよ。家族写真も沢山あるので、茜や遥斗・雅人も見て下さいね」
そう言って、実家の門を開け2人で中に入っていく。
サヨさんは、庭に沢山の花や木が植えてあるのを見て懐かしそうにしていた。
ここに植えられた植物は、異世界にはないものが殆どだ。
玄関の鍵を開けリビングまで移動するまでの間にも、壁に家族の写真が額縁に入れられて飾られている。
その内のひとつ、大きく引き伸ばされた両親が海外旅行に行った時の写真にサヨさんの足が止まった。
これは40代くらいの時、まだ白髪もない若々しい両親の姿だ。
「大人になって……。隣に写っているのが、旦那さんなのかしら?」
20歳当時の姿しか覚えていないサヨさんは、母の写真を手でなぞる。
「はい、お父さんです。まだ2人共、若い頃の写真です」
「あぁ忘れていたわ、あの子はもう私と同じ年になっているんだったわね」
サヨさんにテーブルの席に座ってもらい、私は5冊のアルバムを持ってきた。
「これが、両親の結婚式の写真です」
そう言いながら1冊目のアルバムをサヨさんに手渡す。
1枚目は母が1人で白無垢を着ている写真。
私は事前に用意していたハンカチを、そっとサヨさんの手に渡す。
ずっと心配してきた末娘の写真を見たら、泣いてしまうだろうと思ったのだ。
サヨさんは無言で長い間、じっと一枚の写真を見つめたままだった。
その目からはじんわりと涙が溢れている。
零れ落ちる前に、ハンカチで目元を押さえていた。
2枚目の写真は色打掛で、赤地の着物に鶴亀や鳳凰が金糸で刺繍されたものだった。
母の時代は、結婚式の衣装として和装が定番だったのだろう。
まだウエディングドレスは浸透していなかった。
私はサヨさんが写真を見ている間に、お茶の準備をする。
今日は玉露にしよう。
熱湯ではなく50度~60度くらい温度の低いお湯で入れるのがこつだ。
そうすれば甘みのある緑茶を味わう事が出来る。
今は両親が写っている写真を見ているサヨさんに湯呑を渡すと、一口飲んで「美味しいわね」と言ってくれた。
父が結婚の挨拶に行く前に、サヨさんはこちらの世界で転生してしまったので父の事は知らないだろう。
イギリス人とのハーフなので、父の顔は日本人離れしていて背も高い。
娘の結婚相手を見て何を思っているのかは、私では分からなかった。
その後、続くページには兄が生まれた時の写真が載っている。
初めての子供が生まれて、両親も幸せそうな顔をしていた。
私が生まれた頃の写真もある。
茜、遥斗、雅人の赤ちゃんの写真も懐かしいな。
それら一枚一枚を、サヨさんは目を細めて嬉しそうに見ていた。
段々と家族の人数が増えていく写真の中で、両親は年を取り子供の私達は大きくなっていく。
子供の頃、茜は髪も長くスカートを履いていたけど、その後は髪を伸ばす事なくスボンを履くようになってしまった。
逆に双子達は小学校に上がる前は、女の子の服を着ている写真しかなかったのでサヨさんは性別が逆になっているわねと笑っていた。
リーシャの姿しか見た事のないサヨさんは、私の成人式の写真を見て美佐子にそっくりだと言って、また涙を零す。
母に似たのは私と遥斗だけだ。
兄と茜に雅人は父に似ている。
娘に似た孫を見て嬉しくなったのだろう。
遥斗の成人式の写真を見て「この子は本当に男の子なの?」と、とても驚いていて笑ってしまった。
残念ながら家族全員がそう思っています。
5冊のアルバムを見終わると、サヨさんがその中の一枚の家族写真が欲しいと言う。
私はサヨさんが選んだ写真をアルバムから抜き取って、写真立ての中に入れ渡してあげた。
手渡された写真立てを、サヨさんが大事そうに両手で持つ。
これはきっと、老紳士には内緒にしておく必要があるから部屋には飾れないだろうけど……。
もう一度玉露を淹れて、サヨさんに私達がどんな風に育ってきたか話してあげる事にした。
子供の頃の思い出、家族旅行に行った時の事、孫の私達がどんな職業に就いたのか、話は尽きない。
そのひとつひとつの出来事を、サヨさんは頷きながら聞いていたのだった。
両親を召喚するまで、もう少しだけ待っていて下さいね。
昼食は、お蕎麦を食べたいというサヨさんと家族でよく行くお蕎麦屋さんに行った。
2人とも天麩羅蕎麦を注文し、お蕎麦を食べるのも久し振りだったサヨさんは幸せそうに食べている。
私はざる蕎麦の方が好きなので、冬でもざる蕎麦を食べる。
この店の蕎麦掻きが入った善哉を薦めると、甘い物好きなサヨさんは頂くわと言って完食してしまった。
年齢の割によく食べるなぁと感心したけど、考えたら母もかなり食べる方だった。
これは血筋だろうか?
ホームの自宅に戻って演舞の衣装作り開始だ。
サヨさんが型紙を起こしている間に、私はミシンの準備をする。
女性は色が違う方がよいだろうと、今回は赤色にした。
男性は袖なしのデザインだけど、異世界の女性は肌の露出した服は着ないので袖ありだ。
サヨさんが起こした型紙に合わせ、慣れない手付きで裁断をしていく。
この日は、6人分の裁断が終了した所で時間となった。
続きは、また来週する事にしよう。
これから兄達を迎えに行かないと。
タケルの両親から、何か話は聞けただろうか。
その前に、タケルは2人が恋人だと気が付いたかしら?
兄と旭はタケルの恋心を知っていないようだけど……。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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今日も、子供達にと食料の入ったマジックバッグをはにかみながら兄に渡している。
私は、以前貰ったマジックバッグを返却してお礼を伝えた。
今日これから家に遊びに来ないかと熱心に誘われ、基本的に人のよい兄はOKしたらしい。
兄と一緒に旭も付いていくそうだ。
これは3角関係になりそうね……。
大丈夫かしら?
タケルの名前が気になっていたけど、私は今日サヨさんと予定があるので不参加だ。
兄達と別れ、サヨさんを迎えにいく。
華蘭の老紳士に、サヨさんが「昼食と夕食は適当に食べて下さいな」と言った時の表情が忘れられない。
1人で侘しい食事をさせる事になってしまい、すみません……。
サヨさんとホームの自宅に帰ってくると、早速実家に移動する。
「サヨさん、ここが私の両親の家です」
「まぁ、娘の家に連れてきてくれたのね。嬉しいわ、どんな所に住んでいるのか気になっていたのよ。あの子のいない間に勝手に入ってしまって大丈夫かしら?」
「母親と娘の私なら、母は怒ったりしないです。実はサヨさんに結婚写真を見てほしくて、招待したんですよ。家族写真も沢山あるので、茜や遥斗・雅人も見て下さいね」
そう言って、実家の門を開け2人で中に入っていく。
サヨさんは、庭に沢山の花や木が植えてあるのを見て懐かしそうにしていた。
ここに植えられた植物は、異世界にはないものが殆どだ。
玄関の鍵を開けリビングまで移動するまでの間にも、壁に家族の写真が額縁に入れられて飾られている。
その内のひとつ、大きく引き伸ばされた両親が海外旅行に行った時の写真にサヨさんの足が止まった。
これは40代くらいの時、まだ白髪もない若々しい両親の姿だ。
「大人になって……。隣に写っているのが、旦那さんなのかしら?」
20歳当時の姿しか覚えていないサヨさんは、母の写真を手でなぞる。
「はい、お父さんです。まだ2人共、若い頃の写真です」
「あぁ忘れていたわ、あの子はもう私と同じ年になっているんだったわね」
サヨさんにテーブルの席に座ってもらい、私は5冊のアルバムを持ってきた。
「これが、両親の結婚式の写真です」
そう言いながら1冊目のアルバムをサヨさんに手渡す。
1枚目は母が1人で白無垢を着ている写真。
私は事前に用意していたハンカチを、そっとサヨさんの手に渡す。
ずっと心配してきた末娘の写真を見たら、泣いてしまうだろうと思ったのだ。
サヨさんは無言で長い間、じっと一枚の写真を見つめたままだった。
その目からはじんわりと涙が溢れている。
零れ落ちる前に、ハンカチで目元を押さえていた。
2枚目の写真は色打掛で、赤地の着物に鶴亀や鳳凰が金糸で刺繍されたものだった。
母の時代は、結婚式の衣装として和装が定番だったのだろう。
まだウエディングドレスは浸透していなかった。
私はサヨさんが写真を見ている間に、お茶の準備をする。
今日は玉露にしよう。
熱湯ではなく50度~60度くらい温度の低いお湯で入れるのがこつだ。
そうすれば甘みのある緑茶を味わう事が出来る。
今は両親が写っている写真を見ているサヨさんに湯呑を渡すと、一口飲んで「美味しいわね」と言ってくれた。
父が結婚の挨拶に行く前に、サヨさんはこちらの世界で転生してしまったので父の事は知らないだろう。
イギリス人とのハーフなので、父の顔は日本人離れしていて背も高い。
娘の結婚相手を見て何を思っているのかは、私では分からなかった。
その後、続くページには兄が生まれた時の写真が載っている。
初めての子供が生まれて、両親も幸せそうな顔をしていた。
私が生まれた頃の写真もある。
茜、遥斗、雅人の赤ちゃんの写真も懐かしいな。
それら一枚一枚を、サヨさんは目を細めて嬉しそうに見ていた。
段々と家族の人数が増えていく写真の中で、両親は年を取り子供の私達は大きくなっていく。
子供の頃、茜は髪も長くスカートを履いていたけど、その後は髪を伸ばす事なくスボンを履くようになってしまった。
逆に双子達は小学校に上がる前は、女の子の服を着ている写真しかなかったのでサヨさんは性別が逆になっているわねと笑っていた。
リーシャの姿しか見た事のないサヨさんは、私の成人式の写真を見て美佐子にそっくりだと言って、また涙を零す。
母に似たのは私と遥斗だけだ。
兄と茜に雅人は父に似ている。
娘に似た孫を見て嬉しくなったのだろう。
遥斗の成人式の写真を見て「この子は本当に男の子なの?」と、とても驚いていて笑ってしまった。
残念ながら家族全員がそう思っています。
5冊のアルバムを見終わると、サヨさんがその中の一枚の家族写真が欲しいと言う。
私はサヨさんが選んだ写真をアルバムから抜き取って、写真立ての中に入れ渡してあげた。
手渡された写真立てを、サヨさんが大事そうに両手で持つ。
これはきっと、老紳士には内緒にしておく必要があるから部屋には飾れないだろうけど……。
もう一度玉露を淹れて、サヨさんに私達がどんな風に育ってきたか話してあげる事にした。
子供の頃の思い出、家族旅行に行った時の事、孫の私達がどんな職業に就いたのか、話は尽きない。
そのひとつひとつの出来事を、サヨさんは頷きながら聞いていたのだった。
両親を召喚するまで、もう少しだけ待っていて下さいね。
昼食は、お蕎麦を食べたいというサヨさんと家族でよく行くお蕎麦屋さんに行った。
2人とも天麩羅蕎麦を注文し、お蕎麦を食べるのも久し振りだったサヨさんは幸せそうに食べている。
私はざる蕎麦の方が好きなので、冬でもざる蕎麦を食べる。
この店の蕎麦掻きが入った善哉を薦めると、甘い物好きなサヨさんは頂くわと言って完食してしまった。
年齢の割によく食べるなぁと感心したけど、考えたら母もかなり食べる方だった。
これは血筋だろうか?
ホームの自宅に戻って演舞の衣装作り開始だ。
サヨさんが型紙を起こしている間に、私はミシンの準備をする。
女性は色が違う方がよいだろうと、今回は赤色にした。
男性は袖なしのデザインだけど、異世界の女性は肌の露出した服は着ないので袖ありだ。
サヨさんが起こした型紙に合わせ、慣れない手付きで裁断をしていく。
この日は、6人分の裁断が終了した所で時間となった。
続きは、また来週する事にしよう。
これから兄達を迎えに行かないと。
タケルの両親から、何か話は聞けただろうか。
その前に、タケルは2人が恋人だと気が付いたかしら?
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◇小説家になろうでも同時連載中です◇