自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第418話 迷宮都市 サヨさんとカニすき鍋&タケルの両親

 サヨさんに、兄達を迎えに行ってきますと断ってからホームで異世界へ移動。
 私が不在の間に、サヨさんが夕食の準備をしてくれている。

 マッピングで兄達の場所を調べると、既に教会で待っていた。

 華蘭からんから歩いて教会までいき、兄達とホームの自宅に戻ってくる。
 タケルの家で何の話をしたのかは、後で聞いてみる事にしよう。

「サヨさん、こんにちは。今日も、妹の頼みを聞いてもらいありがとうございます」

「サヨさん、いらっしゃい」

「2人とも、お帰りなさい。今日はカニすき鍋よ」

 夕食は、寒いので鍋がいいとカニすきをする事にした。
 迷宮都市は、海に面していないので海鮮が入手出来ない。
 ダンジョン産の迷宮サーモンと迷宮ウナギは、どちらも川魚だ。

 地下20階層までの常設依頼の中でも、蟹の魔物は出てこなかったし……。
 元日本人のサヨさんは蟹が食べたかったようだ。

 面倒くさがり屋の2人のために、蟹はタラバガニとズワイガニの2種類を用意。
 本当に私が転移した日が12月24日で良かった。

 年末年始のご馳走ちそう用に、アパートの住人さん達の冷凍庫には蟹も入っていたからね!
 おせち料理用の、少しお高い蒲鉾かもぼこもイクラや数の子も入っていたし!

 事前に自然解凍をしていたタラバガニとズワイガニ、切った白菜・シイタケ・蒲鉾かまぼこ・絹ごし豆腐を、出汁に白醤油・みりん・砂糖で味を調えた鍋の中に入れひと煮立ちするまで待つ。

 その間に兄達は手洗い&トイレを済ませ席に着いた。
 今日はイクラも食べよう。
 
 ご飯の上に、イクラをたっぷり載せてサヨさんに手渡すと嬉しそうな表情になる。
 まぁ、これも異世界では食べられないだろうなぁ。

 兄と旭の分は文字通りのイクラ丼だ。
 私とサヨさんは、お茶椀で頂く。

 鍋の蓋を取って、今日は旭が鍋奉行なべぶぎょうをするらしい。
 サヨさんに、タラバとズワイどちらがいいか聞き菜箸さいばしで取り分けている。
 私と同じくサヨさんはズワイガニ派だった。

 鍋をする時は、私より腕の長い兄達にしてもらえると助かるんだよね。
 座高も高いから取りやすいだろう。

 全員の分がそろったら、「いただきます」と挨拶をして夕食開始。 
 ここはやっぱり、最初に蟹から食べよう!

 冷凍物だから生に比べるとどうしても甘みは少ないし身離れも悪いけど、それでも蟹は美味しいよね。
 兄達もタラバガニの足の部分を食べて満足そうにしている。

 サヨさんは、イクラご飯から食べているようだ。
 私はズワイのカニ爪を口に入れる。

 甲殻類が大好きな私は、マッピングでいつか輪島の朝市に行きたいなぁと思ったのだった。

 勿論もちろん、北海道に行けたら最高なんだけど……。
 他県に行けるようになるには、まだまだLvが足りない。

 めは雑炊にして、最後まで美味しくカニすき鍋を味わった。
 体が温まった後にはアイスだろうと、デザートには〇ーゲンダッツを出す。
 兄と旭は抹茶、サヨさんはバニラ、私はチョコ味。

 食べ終わったアイスのカップを、サヨさんが名残惜なごりおしそうに見ていた。
 アイスは溶けちゃうから、お土産には渡せないんですよね~。

 その後、サヨさんを華蘭からんまで送り届けて自宅に戻ってくる。
 リビングでは、兄達が串カツをつまみにビールを飲んでいた。
 前回、旭に渡した串カツの残りをアイテムBOXから出したようだ。

 さて、気になっていたタケルの両親の話を聞こう。

「お兄ちゃん、タケルの家はどうだった? やっぱり両親のどちらかが元日本人?」

「あぁ間違いない。タケルが、珍しい料理を食べさせてくれたんだが『善哉ぜんざい』だった。白玉は入っていなかったがな」

 えっ!
 折しも今日、サヨさんとお蕎麦そば屋さんで食べたばかりだ。
 
「じゃあ、『小豆あずき』があるって事だよね? 乾物屋さんでは見かけた事がなかったんだけど……。ニンニクと一緒で、普通には食べられていないのかな?」

「どこに売っているか聞いたら、タケルは薬師ギルドで『小豆』は購入出来ると言っていたぞ?」

脚気かっけの治療薬として効能があるから、薬草と同じ扱いなのかもしれないね。薬師ギルドかぁ、一度も行った事がないから今度行ってみようかな? 善哉ぜんざいなら、この季節にぴったりだし炊き出し時に子供達に食べさせてあげれば喜ぶと思う。お砂糖はこの世界じゃ高いから、ハニービーの蜂蜜を入れたらいいし」

「ハニービーの蜜袋だって売っている物は高いだろう」

「ダンジョンで狩れば、無料でしょ? お砂糖は作る事が出来ないから、購入しないと駄目よね?」

「俺達が稼いでいる事は子供達も知っているんだから、砂糖を使用しても問題ない気がするがな」

「それはそうだけど、異世界で購入した事がないんだよね。多分奏屋かなでやに売っていると思うけど、代用品があるならそれを使うわ」

「沙良ちゃん、子供達は食べた事がないから嬉しいと思う。作ってあげたら喜ぶよ!」

 旭がそう太鼓判を押してくれたので、来週の炊き出し時に作る事にした。
 土曜日は薬師ギルドに行ってみるか……。

「それで、タケル自身に元日本人の可能性はないの?」

「いや、あいつはこの世界の人間だろうな。少し日本の話題を振ってみたが、反応がなかった」

「賢也がサッカーの話をしたけど、首をかしげてたよ? そうそう、タケルの家まで貴族の馬車に乗っていったんだけど、乗合馬車とは違って揺れが少なかった。なんか、魔道具が使用されているんだって~」

 じゃあ、やっぱりタケルの両親のどちらかが元日本人なのだろう。
 そして馬車にも魔道具が使われているとは驚きだ。

「『善哉ぜんざい』を作ったのは、家の料理人じゃなく母親らしい。母と妹は料理が得意だと、自慢していたからな」

「妹さんがいるんだ。会う事は出来た?」

「それが……。沙良、お前と同い年らしい。12歳から王都の魔法学校に通って15歳で卒業したが、何故なぜか帰ってこないんだと。妹は悪役令嬢・・・・が学校にいないから、王子様と結婚出来なかったと泣いていたみたいだって」

「? どういう意味だろう? 伯爵令嬢が、王子様と結婚なんて出来る訳ないじゃない。公爵令嬢だったリーシャなら分かるけど……」

「タケルも、身分が違うからあきらめろとしか言えなかったみたいだ」

「まぁ、伯爵令嬢が玉の輿こしを夢みていたって感じかしら? 私は、王子様なんてまったく興味がないけどね~」  
 
「お前には好きな人がいないのか?」

 兄が急に私の好きな人を聞いてきた。
 自分達だけ幸せなのが心苦しいのかしら?

「う~ん、今はいないかなぁ。私達、秘密が多いし共有出来る相手じゃないと無理だと思う」

 返事を聞いて、何故なぜか旭が兄に肩を叩かれている。
 旭は、兄の肩に頭を乗せていた。

 何かしら?
 この良い雰囲気ふんいきは……。

 私はそんな2人の姿を見て、クリスマス会でサプライズ結婚式をする準備を進めようと思ったのだった。

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