自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第421話 迷宮都市 通信機の購入&薬師ギルドマスター

 翌日土曜日。

 兄達の朝食を作った後、私は奏屋かなでやに行きダンジョン産の果物を卸して店を出る。
 今日は魔道具屋で通信機を、薬草ギルドでは小豆あずきを購入する予定だ。

 お店に入ると店主が直ぐに対応してくれる。

「おやサラちゃん、いらっしゃい。まだ羽毛の処理は出来ていないよ?」

 先週コカトリス(キング・クイーン)の羽毛処理を依頼したばかりなので、2週続けてきた私に驚いているようだ。

「こんにちは。今日は通信の魔道具があると聞いて、購入しにきました」

「通信の魔道具を個人で持つのかい? あれは1回の使用に銀貨1枚(1万円)の魔石が必要になる物だけど……。まぁ冒険者なら魔石はダンジョンで狩れば問題ないか。数は幾つ必要なんだ?」

「3台お願いします。必要になる魔石ですが、どの魔物の物ですか?」

「迷宮都市のダンジョンなら、ゴブリンメイジやハイゴブリンだな。サラちゃん達なら、楽勝で倒せるだろう」

 そう言って、店主は店内にある通信機を3台持ってきてくれた。
 大きさはB5サイズくらいで、思ったよりも小さい。

 各通信機には番号が振られており、魔道具に内容を書いた羊皮紙を読み取らせ、その番号を押せば相手の通信機に表示される仕組みらしい。

 FAXに近いだろうか?
 どの程度の距離まで可能か確認すると、カルドサリ王国内であれば何処どこでも届くらしい。

 他国の魔道具は売っているのか尋ねると、それは禁制品だと教えてくれた。
 基本的に魔道具は自国内の物しか販売はされていないみたいだ。

 あぁ、だから他国の諜報員ちょうほういんが持っていた物だとすぐに分かったのか……。
 他国の魔道具が販売されないのは、自国の魔道具を作る職人の保護も兼ねているのかも知れないな。

 1台金貨5枚(5百万円)と、相変わらず魔道具は高い。
 もしもの為に持っておいた方が気休めにはなるだろう。

 あっ、でもホーム内ってカルドサリ王国じゃないから使えないじゃん!
 う~ん、あまり使う機会はないかも知れない……。

 今回は、おまけにウォータスライムの魔石を入れると水が出る魔道具を3個くれた。 

 この水は美味しいのかな?
 魔法が使えない冒険者や旅人には重宝しそうな魔道具だ。

 店主にお礼を言って店を出る。
 さて、次は初めての薬師ギルド。

 ポーションの調合をしている場所だから、鍋に薬草を入れてかき混ぜている魔女を思い浮かべてしまう。
 実際は研究員みたいな白衣を着た集団かも?

 カマラさんから貰った詳細な住宅地図を見ると、歩いて20分程の距離だった。
 ダンクさんから不審者の情報を聞いたばかりなので、いつも以上にマッピングで周囲を警戒しながら歩き出す。

 20分後、薬師ギルドの前に到着。
 今日は私の後を付ける人物は見当たらずほっとする。

 広さは商業ギルドと変わらない。
 受付にいるのは若い女性だった。

「こんにちは、小豆が欲しいんですが売っていますか?」

 店内には何も陳列ちんれつされていないので、客の注文を聞いてから商品を出すスタイルなのだろう。

「はい、ございます。お客様は、初めてですよね? 薬師ギルドカードがあれば割引になりますが、登録なさいますか?」

 これも商業ギルドと同じようだ。
 まぁ安くなるならと、薬師ギルドカードを登録する。
 登録料は銀貨10枚(10万円)、紛失した場合の再発行手数料は銀貨20枚(20万円)だった。

 血液を採取後に手渡されたカードには、「サラ・19歳・第1号」とだけ書かれている。
 私は小豆を5kg・銀貨3枚(3万円)注文して、客のいない店内を見回す。

 いくつかの席があるだけで、本当に何もなかった。
 ここには一般人が来る事はないんだろうなぁ。

 ポーションは魔道具屋に直接卸しているから、冒険者や住人は魔道具屋に買いに行くからね。

 受付嬢が店の奥から注文した小豆を抱えて持ってくるのと、その後ろにいたお婆さんが現れたのは同時だった。

「初めましてだね、私は薬師ギルドのマスターをしているゼリアだよ。あんたがいつもダンジョンで薬草を採取する娘かい?」

 おおっ、何故なぜか薬師ギルドマスターがご登場だ!
 
「初めまして、沙良と申します。確かにダンジョンの薬草を私が採取してきていますが……」

 先週ハニーのコロニー54匹に毎日薬草採取をしてもらい、冒険者ギルドで大量に換金したばかりだ。
 量が多い事に文句でも言われるのだろうかと、少し身構える。

「あぁ、やっぱりそうじゃないかと思っていたんだよ。サラという名前は珍しいから。毎週、薬草を採取してくれる事に一言お礼をと思ってね」

 あぁ良かった。
 量が多過ぎると怒られるわけじゃなかったみたい。
 
「お礼なんて必要ありません。薬草採取は趣味みたいなものですから、気にしないで下さい」

「そうはいくまい。これだけの量を採取するのも大変だろうしね。希望通り、ポーションの値段は下げておくから安心おし。それにしても、冒険者ギルドのオリビアは大変そうだ。あぁ、私はリースナーの冒険者ギルドマスターをしているやつの姉だから心配しないでいいよ」

 ???

 話の内容がいまいち理解出来ないけど、薬草が沢山手に入ったからポーションの価格を安くしてくれるという事だろうか?

 オリビアさんは、何か苦労する必要があるのかしら?
 そして、リースナーの冒険者ギルドマスターのお爺さんと姉弟なのか……。
 心配するなとは、どういう意味なのかさっぱり分からない。
   
 リースナーの冒険者ギルドマスターのお爺さんは食いしん坊で、教会の炊き出しの最中によく現れた。
 ついでに具沢山スープを飲んで帰っていったけど……。
  
 オリハルコンゴーレムを毎週換金した所為せいか、サラちゃんと言って可愛がってくれたお爺さんだ。
 迷宮都市に拠点を移す時は、子供達より盛大に泣いて見送ってくれた気がする。

 顔をよくみると、ゼリアさんはお爺さんに少し似ているかな?
 性別が違うので、言われなければ姉弟だとは分からないけどね。

 折角せっかくだし、毒消しに特化したポーションを作れないか聞いてみる事にしよう。

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