自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
303 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第429話 迷宮都市 地下14階 増えた魔物&魔力酔い

「はい、金貨10枚・銀貨10枚(1千10万円)で販売が開始になりました。迷宮都市だけの限定品ですけど、数に限りがあるのでダンジョンで直接販売する許可も頂いてます」

「そりゃすごいじゃないか! キングビーの猛毒が消せるポーションなんて聞いた事がない! あぁ、お礼を先に言うべきだった。リリーを治してくれてありがとう。販売許可が下りてるなら、まだ在庫はあるだろうか? 出来れば人数分、購入しておきたいんだが……」

勿論もちろんありますよ。先程の分と併せて7本、金貨70枚・銀貨70枚(7千70万円)お願いします」

 ダンクさんからお金を受け取り、『毒消しポーション6本』を渡す。

「これがあれば俺達冒険者はとても助かる。エリクサーは、貴族じゃないと購入出来ないからな。お兄ちゃんに頼んで作ってもらったのか?」

「はい、浄化の魔法が必要だったみたいです。内緒にしておいて下さいね!」

 私が人差し指を立てながら口元に持っていき秘密の仕草しぐさをすると、そこにいたメンバー全員が同じ仕草で返してくれる。

 本当にダンクさんとアマンダさんのパーティーは、色々融通が利くので助かるなぁ。

「そう言えば、今日は1人人数が少ないですね。魔法士の方は、どうされたんですか?」 

「あぁ、地下14階までくるのにやたら魔物が多くてな。途中でハイエーテルを飲んだんだが、どうも腹を壊したみたいだ」

「えっ! 消費期限切れのハイエーテルを飲んじゃったんですか?」

 私はポーションを使用した経験はあるけど、魔力が減る事がほとんどないのでエーテルは飲んだ事がない。  

 アイテムBOXに入っているので、消費期限とか考えなかったし……。 

「いや、単なる魔力酔いだな。魔力酔いの症状は人によって違うから、頭痛が起きたり眩暈めまいがしたりするみたいだぞ? 今回は少し回復量が多かったらしい……。テントで1日休めば症状は治るから心配しなくても大丈夫だ」

 魔力酔いの症状があるなんて知らなかったなぁ~。
 私達3人は、今まで大丈夫だったのかしら?

 そう言えば、リースナーの町で金曜日になると兄がよくお腹を壊していたっけ……。
 でもエーテルは飲んだ事がないから、魔力酔いとはまた違うかも?

「そうなんですか、安心しました。じゃあ、私はもう行きますね」

「おおっ、『毒消しポーション』ありがとな!」

 ダンクさん達から少し離れた場所で、ハニーの所へ移転する。
 少し時間が早いけど、ちょっと気になる情報を聞いたのでアマンダさん達が心配になり、一度安全地帯に戻る事にした。

 ハニーを地下13階に送り届け、ついでに兄も回収し一緒に地下14階の安全地帯に戻る。
 ダンクさんが言っていた、魔物の数が増えてるのが引っかかるのだ。

 アマンダさん達のテント前には彼女以外のメンバーがそろっている。
 アマンダさんはどうしたのか尋ねると、やはり魔物の数が多く魔力を使用し過ぎたため、ハイエーテルを飲んだものの魔力酔いの状態で寝込んでいるそうだ。

 私は兄と顔を見合わせる。
 ここに来るまでにダンクさんのメンバーである魔法士の件も伝えていたから、不審に思ったのだ。

 私達はマッピングでなるべく魔物を避けながら、最短距離で走って駆け抜けるから普段と違う様子に気が付かなかったのかな?

 魔物が増えるといえば、スタンピードを思い出すけど……。
 この世界では、ダンジョンから魔物が出る事はないと言われている。
 そもそも出現階層をまたいだりもしないしね~。

 他国の亡くなった諜報員ちょうほういんと、ダンジョンの魔物が増える事には関係があるのだろうか?
 
 アマンダさんのパーティーメンバーは、リーダーが心配で今日は攻略を休むそうだ。
 でもマジックテントが1つしかないので、外で待機していたらしい。
 
 確かに、具合が悪い時は1人にしてあげた方がいいだろう。
 私は以前アマンダさんのパーティーに組み立ててもらった普通のテントを、そのままの状態でアイテムBOXから出し提供してあげた。

 皆に笑われてしまったけど、私達がテントを組み立てるのは無理だから仕方ない。
 私はケンさんに、体調を崩しているアマンダさんへ桃を食べさせてあげて下さいと2個渡しておいた。

 自分達のテントに入り、兄をホームの自宅に送り届け次は旭を回収しにいく。

「サラちゃん、ちょっと早くない? 何かあったの?」

 いつもは3時間後、安全地帯のテント内で待っている所を迎えにいくので旭が不思議そうな顔をする。

「うん、家で話すね」

 そう言って旭と一緒に安全地帯まで走り、ホームの自宅へと戻った。

 本日のお弁当は、エビマヨ・ニラ玉・春巻き・搾菜ザーサイ炒め。
 卵スープ&ウーロン茶と一緒に頂きます。

「今日は魔物の数がいつもより多かったみたいで、ダンクさんのパーティーメンバーの魔法士とアマンダさんが、魔力を使用し過ぎてハイエーテルで回復したんだけど魔力酔いになったらしいの」

「魔力酔いって何?」

「う~んと、一気に減った魔力を回復する時に起きる症状みたい」

「へぇ~、魔力がゼロになると昏倒するのは体験済みだけど、魔力酔いにはなった事がないな~」

「きっと私達が、エーテルを飲んだ事がないからだと思う。考えたら不思議な物だよね? 魔力を回復させるって、どんな仕組みなんだろうなぁ」

「エーテルの回復量も分からないしな。割合なのか、一定の数量なのか……。それより俺は、魔物の数が増えている方が気になる」 

「私も気になったから、攻略を早く引き上げたんだよ。また、誰かが魔物寄せを使用したのかな?」

「もしそうなら、狙いがあるはずだ。同じ種類の魔物が集まってくるんじゃないのか?」

「聞いた感じでは、同じ種類ってわけじゃなさそうだったよ」

「俺達も注意しておこう。他国の諜報員といい、嫌な感じがする」

「了解! 今は別々で行動しているから、何かあれば通信の魔道具で連絡するね!」

「あぁ、もし危険だと感じたら沙良、お前は移転して逃げるんだ」

 真剣な表情で忠告する兄を安心させるように、私は力強くうなずいた。

「分かってる。能力は極力隠しておきたいけど、命あっての物種だから!」

 兄は胡乱うろんげな視線を私に向けた後で溜息を吐いた。
 どうやら信用されていないみたいだ。

 心配性の兄が、いつかハゲませんように……。

「ガーグ老の息子さん達3人が、来週稽古に加わるらしいよ~」

 こういう時は話題転換しよう。

「えっ! ガーグ老の息子さんなら現役の人達じゃない?」

 旭の顔が真っ青になる。
 きっと自分の指導役が増える事を懸念けねんしたんだろう。
 多分それは正解だと思う。

「少しは役に立つと言っていたから、武術を極めた人達だと思う」

「何で俺ばっかり……。昨日も、お手柔らかにってお願いしておいたのに、全然手加減してくれなかったよ!」

「その分、将棋でえげつない勝ち方してたがな」

 どうやら3人のお爺さんを、将棋で叩きのめしたらしい……。

私怨しえんがあった事は認めるけど……。あれはもう稽古じゃなく、本格的な実戦に近いものだった! あのお爺さん達は何者なの!?」

「王族の警護をしていたくらいだ、腕も実力も相当なものがないと出来ないだろうが」

「俺は一体、何と戦う事を想定されているんだろうか……」

 がっくりと項垂うなだれてしまった旭を慰めるかと思いきや、兄は食欲の方が勝るのか黙々とお弁当を食べ続けていた。

 うん、2人は体育会系男子だったわ。
 兄はサッカー、旭はバスケ。
 しごきは当然の部活に入っていたので、下手な慰めは不要らしい。 
  
「リリーさんがキングビーの毒針で刺されたから、『毒消しポーション』を飲んでもらったの。ちゃんと効果があって、治療出来たよ。後、人数分を販売しておきました」

「そうか、俺達が自分で試すのもどうかと思っていたから効果が分かって良かったな。使用したのはLv2だが、毒性によっては治療出来ない可能性がある。薬師ギルドは、キングビーの毒消し専用とうたってくれると思うが一応伝えておけ」

「その場合は、浄化Lvに依るのかポーションのランクに依存するのか不明な点が多いよね。ゼリアさんは鑑定結果を言わなかったけど……」

「薬師ギルドでは隠したい事もあるんだろう。俺達は完全な部外者だからな」

「まぁ、そうだよね~。ポーションを作れるようになるには3年掛かかるって言ってたし、秘匿ひとく事項が多そうなギルドだから当たり前かぁ」 

「旭、食べないんだったら俺が代わりに食べてやるぞ?」

 兄が放心状態の旭に声をかける。

「駄目、俺の分を取らないで~!」

 兄に言われた言葉を本気にした旭が、あわてて残りのお弁当を口に入れる。
 ハムスターのように、両頬をパンパンにしながら食べる姿を見て兄は笑っていたのだった。

 --------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 --------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇