自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第437話 ガウトの町&パーティー募集の張り紙

 ガウトの町に入ると、早速さっそく冒険者ギルドに向かう事にする。
 初めての町なのでマッピングを使用し目的地を探すと、入り口から20分程の距離にあった。

 シルバーとフォレストは、迷宮都市でしか従魔登録をしていないのでホーム内でお留守番をしている。
 本当は一緒に連れて歩きたかったんだけど、迷宮都市から馬車で1週間掛かる町に今日いる事がバレてしまうのであきらめた。

 私達の事は、誰も知り合いがいないので問題ないだろう。

 冒険者ギルドは日中の所為せいか、冒険者が少ない。
 まずは受付嬢に申請しよう。

「こんにちは。パーティー募集をしたいんですけど、お願い出来ますか?」

「はい大丈夫ですよ。この用紙に必要事項を記入して下さい」

 渡された羊皮紙に羽根ペンで募集内容を記入していく。
 これは、迷宮都市で最初に見かけたものだ。
 このパーティー募集を見れば、雫ちゃんが気付いてくれる可能性がある。

 【活動拠点 地下1階 募集1名】
 魔法士(男)・魔法士(男)・魔法士(女)の3人
 追加で槍士(女)or剣士(女)or魔法士(女)1名募集中
 連絡はリーダー サラまで(雫ちゃん連絡待ってます) 

 最後の言葉は日本語で書いた。
 異世界の人には何が書いてあるか分からないだろうけど、雫ちゃんなら読む事が出来る。 

 この張り紙は冒険者ギルドの壁に張り出されるので、もしここに雫ちゃんがいれば受付嬢に伝言を残してくれるはず

 私達では見付ける事が出来ないので、これくらいしか方法が思い付かなかった。
 後はこのガウトの町を歩き回るか、ダンジョンの安全地帯で確認するか……。

 記入した用紙を受付嬢へ手渡して、後は任せる事にする。
 ダンジョンを攻略する冒険者は浅い階層なら1週間、深い階層では1ケ月潜りっぱなしになる。

 偶然、地上で出会える確率はかなり低いだろう。
 これからどうするか兄達と相談しよう。

「お兄ちゃん。雫ちゃんに見付けてもらえるように、今からダンジョンに行く?」

「ここは地下10階までのダンジョンだったな。ガウトしかいない魔物が出現するかも知れないし、常設依頼を確認してから行ってみるか。旭みたいにダンジョンマスターになっている人間がいたら、知らない魔物がいる可能性がある」

 ダンジョンマスターは、確か3体召喚出来るんだよね。
 もし人間だったら可哀想かわいそうだけど、私の召喚魔法はLvが10毎に1人しか呼べないので助ける事は難しい。

 申し訳ないけど、全員を救い出す事は不可能だ。

「じゃあ、資料室で確認しよう」

 2階に上がり資料室の常設依頼を調べると、リースナーのダンジョンと出現する魔物は同じだった。
 どうやらここには、ダンジョンマスターがいないみたいでほっとする。

 ダンジョン特有の魔物が出現するのは、地下10階層以上ある大型ダンジョンだけか……。
 ちょっと新しい魔物がいるかも知れないと期待した事は内緒だ。

 特に目新しい発見もなく常設依頼を確認後、冒険者ギルド前の乗合馬車に乗りダンジョンへと向かう。
 馬車内では、この町を拠点にしている男性冒険者3人と一緒になった。

「おや? 新顔だね。3人パーティーなのかい? 俺達も3人なんだけど、よければパーティーを組んでほしいな」

 やけに軽い調子で、一緒にパーティーを組もうと誘われてしまった。
 地下1階では4人組が多いけど、それ以降の階層では6人組が普通だからね。

 人数的に丁度いいと思ったのかな?
 年齢は20代前半に見える。
 そして、3人とも非常に見た目が良い。

 う~ん?
 あまり冒険者には見えないなぁ……。

「あぁ、悪い。もう追加のメンバーが決まっているんだ」

 私が答える前に兄が断りを入れた。
 まぁ返事の内容は決まっているから誰が返事をしてもいいんだけど、普段は人と会話をしないのに珍しい。

「そっか、なら仕方ないな」

 そうあっさりと言って、男性冒険者は身を引いた。
 もっとしつこくされると思っていたので、肩透かしをされた気分になってしまう。

 なんだかとらえどころのない人だ。
 その後は、お互い無言でやり過ごす。

 リースナーの町で会った男性冒険者から感じた嫌な視線を、この人達からは全く受けない。
 女性には興味がないのかしら?

 乗合馬車を降り、入場料の銀貨1枚(1万円)を払ってダンジョンに入る。 
 今回はダンジョン内の地図を購入していないので、私の先導で安全地帯まで駆け抜けた。

 地下1階の安全地帯に到着後、マジックテントを設置。
 テントに入り、ホームの自宅で昼食にしよう。

 土曜日なので、お弁当の準備はしていなかった。
 兄と旭がアイテムBOX内にある物でいいと言うので、久し振りにベーカリーの総菜パンを出す。

 カレーパン・焼きそばパン・コロッケパンと3個も食べれば、兄達もお腹がふくれるだろう。
 私はウインナーロールとグラタンパンにしよう。

 オーブントースターで軽くリベイクする間に、紅茶を淹れる。
 ちょっと野菜が足りないな……。
 作り置きしたコーンサラダも出しておくか。

 リベイクした総菜パンを食べていると、兄が先程乗合馬車で会った男性達の事を話し出す。

「さっきの3人。あれはハーフエルフだな」

「えっ!? 何で分かったの?」

 確かにちょっと顔が良かった気がするけど、私には普通の人間に見えた。

「なんとなく、魔力量が分かるからだ」

「うん、俺も感じたよ~。オリビアさんと一緒かな? って思ったもん」

 旭までそんな事を言う。

 以前、魔道具屋の主人にマジックバッグの容量の違いは、魔法使いは分かると注意された事を思い出した。
 2人が簡単に魔力草を見付けられるのも、魔力を感じ取っているからなんだろうか?

 残念ながら、私には感じる事が出来ないらしい。

「ふ~ん。カルドサリ王国って他種族とは交易をしていないって聞いたけど、ハーフエルフの人は結構いるんだね」

「あぁ、そういえばタケルが300年くらい前の第二王妃はエルフだったと言っていたな。その頃は、他種族とも交流があったんだろう」

「その話、初耳なんですけど!?」

「この間、家に招待された時に聞いた話だからな。『善哉ぜんざい』のインパクトが大きすぎて、話すのを忘れていた」

「あ~あの『善哉』! ちょっとしょっぱかったよね~」

「あれは、隠し味になっていなかったな……」

 タケルの家で出された『善哉』は、塩が入り過ぎていたようだ。
 甘みを増すために、ほんの少し入れると美味しくなるんだけどね。 

 元日本人の母親か妹は、あまり料理が得意じゃなかったのかしら?

「じゃあ第二王妃に付いてきた人達が人間と結婚したから、ハーフエルフの人が多いのかも知れないって事?」

「本当の所は分からんが、ガウトの町に3人もハーフエルフがいるなんて驚いた」

「ミリオネでもリースナーの町でも、見かけなかったよね?」

「俺の知る限りじゃ、初めて会ったのはオリビアさんだな」

 不思議な事もあるんだなぁ~。
 これから、やけに綺麗な人を見た時は兄達に人間かどうか聞いてみる事にしよう。

 食事を終えてテントから出ると、私達の近くに先程の男性冒険者達がテントを設置している。
 目が合うと手を振ってきたので無視する訳にもいかず、こちらも手を振り返す。

 やけにフレンドリーな人達だ。

 近くにいた女性冒険者に聞き込み調査を開始しよう。
 
「こんにちは。少しお時間いいですか?」

「あら、可愛らしい新人さんね。こんにちは。今は休憩中だから大丈夫よ」

「このダンジョンを攻略している女性冒険者の中に、サと名前が付く方を知っていますか?」

「そうね……、地下1階を拠点にしている女性冒険者にはいないわよ。女性冒険者は少ないから、地下9階を攻略している私達のクランリーダーに聞けば分るかも? 人を探しているの?」

「はい。ガウトの町で紹介された女性冒険者と待ち合わせをしているんですけど、紹介状の名前の部分がかすれてしまってとしか分からないんです」

「まぁそれは大変ね。今日の夕方、ちょうどリーダーが地上に帰還するから聞いてあげましょうか?」

「本当ですか? 助かります!」

「名前が分かって会えるといいわね」

 そう彼女が請け負ってくれたので、私達は夕方までクランリーダーが帰ってくるのを待つ事にした。

 ガウトの町に雫ちゃんがいるといいな、そう期待して……。

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