自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第439話 迷宮都市 武術稽古&似てない三兄弟

 翌日の日曜日。
 今日は教会の炊き出しに行くので朝が早い。

 思いっきり二日酔いの旭は、昨日散々泣いた事で目がパンパンにれてしまっていた。
 頭痛もするのか顔色も悪い。

 私は旭のためにしじみの味噌汁としぐれが入ったお握り2個、法蓮草の胡麻和えとだし巻き卵を用意する。
 兄と私は、ピザトーストとツナ入りオムレツだ。

 朝食の準備が出来るまで、いつものように兄がコーヒーを飲みながらTVでニュースを見ている。
 旭はTVの音が辛いのか、リビングではなくダイニングに避難していた。

 オムレツを作る時に入れるバターの香りがただよい始めると、兄がTVを消してテーブルの席に着く。
 母は料理が冷める事を嫌っていたので、うちの家族は食事時に遅れる事はしないのだ。

 私も自分で料理をするようになってから、出来立てを食べてほしい気持ちが分かった。

 ちなみに、食事時TVを見ながら食べる事も家ではしない。
 料理を食べながら、一日の出来事を会話で楽しむのが椎名家の家訓でもある。

「お兄ちゃん、ピザトーストが焼けたら皿に出しておいてね」

「了解」
   
 2人分のオムレツが出来上がる頃、オーブントースターのチンっという音が鳴った。
 うん、タイミングバッチリ!

「いただきます!」

 旭だけは頭に響くのか、とても小さな声で言う。

 酔い覚ましのしじみ汁を美味しそうに飲んでいた。
 ちゃんと中身のしじみも取って食べている様子。
 美味しいけど、あさりと違い小さくて食べにくいのが難点だ。

 こんな状態で今日の稽古は大丈夫かしら? 
 確かガーグ老の息子さん達が3人くるって話だったけど……。

 旭は今日、6人を相手に立ち回りをしないといけないんじゃないかしら?
 可哀想かわいそうなので、食後に二日酔いの薬を渡してあげよう。

 食事中オムレツの上にケチャップでハートを書いた物と、自分のだし巻き卵を交換してほしいと旭が兄に強請ねだっていたけど、兄はピザトーストに合わないとがんとして譲らなかった。

 その時の旭の顔が随分ずいぶんとショックを受けているようで、私はつい笑ってしまう。
 恋人が自分のお願いを聞いてくれないことを悲しく思ったのかしらね。

 まぁ確かに、ピザトーストにだし巻き卵の組み合わせはないだろう。
 私も、そんなおかしい食べた方はしたくない。

 食後、旭に二日酔いの薬を渡して出掛ける準備をする。
 
 朝7時。
 教会に行くと母親達が既に準備を始めていた。
 もう炊き出しを1年以上続けているので、皆が手慣れている。

 8時30分になると子供達が集まってくる。
 今日も兄と旭が、シルバーとフォレストの背に乗せて遊ばせてあげていた。

 9時になり具沢山スープとパンを2個配り始めると、2匹は子供達から見える位置に横になった。

 どうやら自分達の役割を分かっているらしい。
 もう、うちの従魔が賢すぎる!

 食事を終えた子供達に兄が大きなみかんを配って見送った後、私達はガーグ老の家具工房へ歩き出す。

 上空に白ふくろうが2匹、旋回せんかいしていた。

 私達がこれから行く事を、ガーグ老に伝えるのかな?
 本当に梟便になっているようで、少しうらやましい。

「お兄ちゃん。鳥系の魔物は便利だよね~」

「沙良、これ以上の従魔登録は出来ないぞ? ハニーだって、内緒にしているんだからな」

「うん、分かってるよ。ガーグ老の『ポチ』と『タマ』が優秀だから、ちょっといいなぁと思っただけ」

 兄に釘を刺されて、私は次にテイムするのは大分先になりそうだなぁと考える。
 テイムするのに魔力が必要だから仕方ないか……。

 家具工房の門を開けると、ガーグ老達が全員整列してそろっている。
 やはり私達がくるのを、2匹が教えたようだった。

 そしてガーグ老の隣にいるのが、3人の息子さん達ね。 
  
 思った通り3人共、鍛え上げられた体格をしている。
 とても素敵な筋肉をお持ちで素晴らしい!

 でも何故なぜか、男兄弟にしては全員顔が似ていないのはどうしてかしら?

 1人はガーグ老にとてもよく似ているので、息子さんだと直ぐに分かる。
 他の2人は、どこにもガーグ老の遺伝子が見当たらないんだけど……。
 
 実の息子さんじゃないのかしら?
 連れ子とか?

「こんにちは、今日もよろしくお願いします。えっと、初めまして沙良です」

 私はガーグ老達に挨拶し、次に息子さん達に名前を伝えてお辞儀をする。
 兄達も私に習って自己紹介を始めた。

「よろしくお願いします。沙良の兄の賢也です」

「よろしくお願いします。メンバーの旭です」

「おぉサラ……ちゃん、ようきたな。こやつらが儂の息子達だ。右隣にいるのが長男のゼン、次が……次男はどっちじゃ? 年が分からん、名前も自分達で言うがいい」

 もしもし?
 本当に息子さん達ですよね?
 次男と三男は、名前も覚えていないんでしょうか?

 それともお爺ちゃん、またボケちゃって記憶にないとか……。

「私が長男のゼンと申します」

 長男だと名乗ったのはガーグ老にそっくりな人だった。
 うん、それは理解出来る。
 問題なのは残りの2人だ。

 2人は私達から顔をそむけると、その場で何やら小声で相談を始めた。
 しばらくして2人が自己紹介を再開する。

「私は次男のアシュレイと申します」

「私は三男のキースと申します」

 いやどう見たって、次男と三男の方が長男のゼンさんより10歳以上年上ですよね!?
 私はてっきり、三男がゼンさんだと思っていたので唖然あぜんとなった。

 2人とも老けすぎじゃない?

 そして若輩じゃくはい者の私達に対して、言葉遣いがやけに丁寧すぎる!
 この3人の息子さん達は、普段何をしている人達なのかしら?

 もしかしてガーグ老の後を継いで、王族の警護をしているんじゃないだろうか……。
 普段から王族に対し敬語で話しているので、話し方が癖になっているのかも?

 3人は一糸いっし乱れぬ礼をすると、ガーグ老から指示待ちの状態になった。
 なんだか息子さんといえども、部下のような関係にみえる。
 
 騎士の家で育つと上下関係に厳しいのかな?
 私の知る家族像とは、まったことなっているようだ。

「さて、稽古を始めるとしよう!」

 ガーグ老の一声で、全員が一斉に動き出す。
 相変わらず皆さん統率の取れた動きで……。

 気になって旭の方を見ると、3人の息子さん達が付いていた。
 今日は6人を相手に稽古? をするみたいね。

 旭、後で骨は拾ってあげるから頑張って!
 終わったら、将棋でいくらでもリベンジすればいいのよ!

 私は心の中で、ご愁傷様しゅうしょうさまと小さく呟いたのだった。

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