自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第453話 迷宮都市 新居へ家具の設置&木琴の演奏

 食事が済むと兄達はいつものように、ご老人達と将棋を始める。
 私はこれから新居に行って家具の設置をする予定だ。

 ガーグ老から、残り5部屋分の家具を受け取り家具工房を後にする。
 5部屋分の家具は、私の部屋の物とは違い装飾が控えめだった。
 
 いやはっきりいうと、王族仕様と貴族仕様くらい落差が激しい。
 どうして私の家具だけに、あんなに沢山の文様や人物が描かれているんだろう?

 実際、異世界の家で寝る事はないんだけど……。

 少し歩いた時点で、時短のため新居の庭へ移動。
 家の中央にある玄関から中に入り、2階へと上がっていった。

 どの部屋も大きさは同じなので、私は6部屋の扉に血液を登録して家具を設置する。
 一応、私の家具が置かれた部屋は一番奥の右側にしておいた。

 扉には侵入者防止結界が付いているけれど、1つでも盗まれたりしたら大変だよね。
 ガーグ老達は無料で製作してくれたので、実際の値段は想像するしかない。

 どう考えても、私の部屋だけで一千万以上しそう……。

 お礼は料理で良いと言ってくれる優しい人達だ。
 次回は事前に準備して、もう少し手の込んだ料理を作らなければ!

 地下29階で狩った蟹が使用出来たら、豪華なメニューになるのに残念。
 きっと換金額も高いに違いない。

 全ての部屋に家具を設置した後は、『肉うどん店』に向かう。
 1週間後にはクリスマス会で木琴の演奏を発表する予定なので、最終チェックを兼ねて仕上がり具合を確認しに行くのだ。

 あっ!
 ダンジョンにカエルの魔物がいるか聞くのを忘れていたよ!
 
 楽曲を変更する必要があるかもしれないので、もうひとつ教えておこう。

 『肉うどん店』に入ると、子供達と母親達が楽しそうに『木琴』を演奏しながら歌っているところだった。
 月曜日から土曜日は店が営業しているので、一緒に演奏出来るのは日曜日だけなのかも知れないな。

「こんにちは~」

「オーナー! いらっしゃいませ。先週教えてもらった曲は、もう覚えましたよ~」

 母親の1人が、そう笑顔で報告してくれる。
 渡した楽器を気に入ってくれているみたいだ。

「実は、今日も新しい曲を覚えてほしいんです。来週、私の家に子供達を呼んでパーティをする予定なんですけど、その時に『木琴』を演奏してもらえませんか?」

「わぁ~、僕達が皆の前で演奏していいの?」

「お母さん、私やりたい!」

 子供達は自分に出来る事を知って、かなり嬉しそうだ。
 このくらいの年齢の子供は発表の場があると、見てほしい気持ちが強いんだろう。

 異世界では音楽は貴族のたしなみで、庶民が楽器を持つ事など不可能に近い。
 その楽器を演奏出来るのは、かなりのアドバンテージになる。

 楽器を弾ける事が何より誇らしいのかも知れないな。

 母親達は逡巡しゅんじゅんした後で、子供達の希望を叶える事にしたらしい。
 了解を得たので新しい楽曲を披露ひろうしよう。

 新しい楽曲は、前回の失敗を踏まえて生き物が出てこない歌にした。
 『幸せなら手をたたこう』、この曲も簡単なので直ぐ弾けるようになるだろう。

 最初にドレミの音階で歌いながら曲を覚えてもらい、次に歌詞を書いた羊皮紙を渡して一緒に歌ってみる。

 曲に合わせて、皆が同じ動作をするのも楽しいと思う。
 1番が弾けるようになったら、2番3番も同じ繰り返しなので難しくはないはずだ。

 子供達が一生懸命練習している間に、母親達へ左手の音階を教えていく。
 彼女達は来週皆の前で演奏するとあって、かなり真剣な表情で音を聴いていた。

 もうドレミの位置は完璧なので、そんなに心配する必要はないんだけどね。

 2時間後。
 親子で合奏したら、息もぴったり合って上手く弾けていた。
 あと一週間あるので大丈夫だろう。

 金曜日の夜、リハーサルをしたら完璧かな?
 お土産に2色のキウイフルーツを渡して店を出る。
 最後に兄達を迎えにいこう。

 『肉うどん店』から家具工房まで歩いていると、上空に2匹の白ふくろうが旋回しているのが見えた。

 『ポチ』と『タマ』が、先行して家具工房へと飛び去っていく。
 きっと私が向かっている事を、ガーグ老に知らせにいったのだろう。

 私が迷宮都市内を歩いていると、かなり頻繁ひんぱんに見かけるんだけど……。
 いつも何処どこにいるんだろう?

 家具工房に到着して門を開くと、シルバーとフォレストが駆け寄ってくる。
 寂しかったのかな?

 将棋の対局は既に終了していたようで、旭が満面の笑みを浮かべている事から全勝したのだと思われる。
 兄は勝っても顔に出す事はしないから勝敗は不明だけど、ご老人達の悔しそうな表情を見る限り負けてはいないだろう。

「サラ……ちゃん、その言いにくいんだが……。今日使用した『バーベキュー台』を、5台とも買い取らせてはくれんかの?」 
 
 あぁ、『バーベキュー』なら料理が苦手なご老人達でも美味しく食べる事が出来るだろう。
 材料を切るだけなので手間もかからないしね。

「いいですよ。沢山家具を製作してもらったお礼にプレゼントします」

「おおっ、そうか! ありがたいわ。ついでといっては何だが、その……秘伝のタレももらえると嬉しい」

勿論もちろん、お譲りします」

 『焼肉のタレ』がないと、味付けが塩・胡椒のみとなってしまう。
 冒険者には銀貨3枚(3万円)で購入してもらっているけど、稽古を付けてくれるお礼に融通しよう。

 アイテムBOX内に入っている陶器の壺に入れ替えた『焼肉のタレ』を渡すと、ガーグ老は大切そうに両手で持ちとても嬉しそうだった。

 そばにいた三男のキースさんが、代わりに受け取ろうとしていたけれど断っている。
 これは自分以外触らせない心算つもりなのかしら?

 そういえばアマンダさんもダンクさんも『焼肉のタレ』と『ソース』は、料理担当者に渡していなかった気がする……。

 それ、スーパーで100円で購入したものですけどね。

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