自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第458話 迷宮都市 兄のマンションをホームに設定 2

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 落ち込んでいる兄をはげまそうと、私は自分の時を思い出し良い事を話してあげた。

「お兄ちゃん。マンションをホームに設定したから、全ての物が新品になっているよ? 高いお酒とか、壊れた高価な物ってない?」

 美容液が新品になっていた事や、保存状態が悪く虫食い穴があったカシミヤのセーターが元通りになったのが凄く嬉しかったんだよね~。
 兄にもそういった物が、1つや2つはあるだろう。

 それまで床に両手を突いて打ちひしがれていた兄が、突然むくりと顔を上げ体を起こして視線をお酒の陳列されている棚に向ける。

 あ~一番気になるのは、お酒ですか……。
 まぁ、うちのアパートの住人さんが飲んでいた物は、そんなに高い物じゃないよね。

 兄は立ち上がると、無言でお酒の方へ歩き出す。
 なにやら1本1本手に取り、確かめているみたいだ。

 そして、ガッツポーズを繰り出した。
 予想通り高価なお酒が新品の状態になった事を喜んで、元気になったかしら?
 何故なぜか旭も喜んでいたのは、自分が持ち込んだお酒なのかな……。

 次に兄が確認したのは、腕時計だった。
 動かなくなっていたのだろうか?
 こちらも、腕にめて満足気にしている。

 腕時計も高い物は、車が買える値段がするから嬉しいよね。
 兄の機嫌が直ったようなので、引っ越しの準備を始めよう。

「今住んでいる所で、マンションに必要な物は持っていってね。私もこのマンションに住むから、自分の部屋の物をアイテムBOXに入れて部屋には何もない状態にする心算つもり

「あぁ、俺達も引っ越しの準備が必要だな。一度部屋に戻るか」

 そのままアパートへ移動して、私は自分の部屋にある全ての物を収納する。
 すると、何もない状態の室内を見て胸にくるものがあった。

 30歳から独り暮らしを始めて、このアパートには26年もお世話になったのだ。
 もう本当の自分の家みたいに感じていた。

 今日は引っ越しの準備で忙しいから、後日ちゃんと掃除にこよう。
 
 兄達の準備は出来たかな?
 隣の部屋に行くと、旭が冷蔵庫を開けてビールを収納している所だった。

「お兄ちゃん。マンションに持っていく物は、もう他にない?」

「あぁ、あれで最後だ」

「じゃあ、部屋にある物は収納するね。忘れている物があれば、取り出すから言ってくれればいいよ」

 そう言って私は、兄達が住んでいた部屋の物を全て収納した。
 これでこのアパート12部屋は、何もない状態になる。

 兄のマンションに戻り、各部屋でそれぞれ荷解き? した。
 旭は特に自分の家が欲しいとは言わなかったので、引き続き兄と一緒に住む事にするようだ。
 まぁ明日結婚式を挙げる2人が別居する必要はないので、何も聞かないでおこう。 

 アイテムBOXがあるお陰で、引っ越しも随分ずいぶんと楽に出来るなぁ。

 私は今まで使用していた、愛着のある家具や日用品を次々と室内に設置していく。
 生活家電は、時間がある時にマンションの住人さんの物を見て交換しよう。

 異世界に来て8年も経っているから、使用していた家電もそろそろ寿命だろう。
 いやまぁ、同じ物が新品の状態で364個あるんだけど……。
 
 どうせなら、ちょっとお高い家電も使ってみたいしね。

 スマホも交換しようかな?
 電話もメールも出来無いしネットもつながらないので、目覚まし時計代わりに使用しているだけだけど。

 取り敢えず、必要な物は全て部屋に設置出来た。
 住んでいたアパートの間取りは3LDKだったので、このマンションより1部屋少ないだけだ。

 まぁ1部屋の大きさに違いがあるけど、最近新築を建てたばかりの私の家より全然狭いからね。
 あちらは、1階が150坪もある1部屋だから比べるのも間違っているか。

 そろそろお昼だ。
 ここはやっぱり引っ越し蕎麦だろう。

「お兄ちゃん。お昼は蕎麦でいいよね?」

 兄の部屋に行き声を掛けると2人とも賛成してくれたので、以前サヨさんと食べに行ったお蕎麦屋さんに行く事にする。

 兄が愛車を運転したいというので、私は遠慮させてもらう。
 ホーム内は、走行車両が1台もないので兄がスピードを出すと思ったからだ。
 
 信号を無視しても事故にはならない。
 きっと、お蕎麦屋さんまでノンストップで走り抜けるだろう。

 私は少しだけ悪戯心いたずらごころを出し、兄に車と2匹どちらが速いか競争しようと提案してみた。
 兄は自分の愛車の方が速いだろうと言って、勝つ事を疑いもしない。
 
 でも2匹はLvが45になっているんだよね~。
 しかも人を乗せていない状態だ。
 思い切り全力疾走出来るだろう。

 さて勝つのはどちらかな?

 私は2匹に負けないように頑張ってね! と激励げきれいの言葉を掛け、一足お先にお蕎麦屋さんへ移動した。
 これでシルバーとフォレストは、私の居場所に向かい駆けてくるだろう。

 お蕎麦屋さんは実家の近所にあるので、兄の家からは30Kmくらいだ。
 時速60Kmで走れば30分。
 120Kmで走れば15分という所か……。

 5分後、シルバーとフォレストが到着。
 えっと、時速360Kmで走ってきたのよね?

 〇ルシェの最高時速って何Kmだっけ?
 10分後、兄の運転する車が到着。

 先に着いている2匹を見て、唖然あぜんとしていた。

 うん、私も驚いたよ!
 普段どれだけ手加減して走ってくれているのか、はっきり分かった。

 時速360Kmも出されたら、振り落とされる未来しか思い浮かばない。

 風魔法を使用して空気抵抗を失くせばいいのかも知れないけど、ちょっとイメージがかず私では無理だろう。

 そんな事をするより、お願いした方が早いし。
 
 お願い?
 誰に?

 なんだか、自分の記憶がおかしい。
 私、若年性認知症の疑いがあるんじゃ?

 もしくはリーシャの脳に問題があるのかも……。
 沙良として生きていた48歳当時、まだ記憶は正常だったんだから。

 病気はヒールで治せないんだよね~。
 これは一度、脳の検査を兄にお願いした方がいいだろうか?

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