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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第460話 世界樹の精霊王との邂逅 獅子王の次代 ルード 1
【ルード】
突然通信の魔石で父から呼び出され、久し振りに王宮へと足を向けた。
俺の父親は、獣人族を束ねる獅子王だ。
腹違いの兄弟が何人もいるお陰で、俺は跡を継ぐ事には興味がなく比較的自由に生活している。
王宮を離れているのも、不要な権力争いに巻き込まれたくないからだ。
王なんて自由の利かない立場には、なりたいやつが継げばいいだろう。
城内に入ると侍従が1人付き添い、このまま王の下へ同行するという。
なんだ?
今日は何かあるのか?
俺は嫌な予感がし、速攻で回れ右をして帰りたくなった。
きっと行動を把握されて、逃げないように侍従が見張りの役割を果たしているんだな。
ここで逃げたりしたら、侍従が後で罰を受ける事になる。
それは本意じゃない。
仕方ないな、話を聞くだけ聞いて後は他の兄弟に任せるか。
侍従が案内したのは王の間だった。
これは予想以上に大事らしいと眉を顰める。
現在、獣人族の間に問題が起こっていると聞いた事はなかったが……。
獣人族は種族がかなり多い。
その中でも好戦的な種族同士が、しばしば揉め事を起こす。
王の仕事は、この種族間を取り持つ事に終始していると言ってもいいくらいだ。
必然、獣人の中でも長命で力の強い獅子族が王として立つ事になったらしい。
俺はごめんだがな。
重厚な扉が、左右に配置された近衛によって開かれた。
王の間には中央の玉座に獅子王が座り、左右に第一王妃・第二王妃が控えている。
その隣りには、それぞれの長子が立っていた。
複数いる側室達とその長子の姿はない。
俺の母親は第二王妃だが、何故三男の俺が呼ばれたんだ?
他の面々はと見渡すと、王の前に世界樹の精霊王とその養い子であるティーナが2匹の契約竜と更にはペット扱いのフェンリルの子供を腕に抱いている。
そして、そのフェンリルの許嫁の姿もあった。
他にも白狼族・白頭鷲族・白虎族、獣人族の中でも比較的長命な種族の族長とその次代達もいるようだ。
王が俺の姿を確認すると、第一声を放つ。
「これで全員揃ったようじゃ。皆、お前の事を待ちくたびれておったわ。あまり王宮を離れて遠くに行くものではないぞ。さて、時間もない事だ。手短に用件を済まそう。此度、世界樹の精霊王からの要請で巫女姫の転生先へ護衛を任された。巫女姫の傍に、お前達も転生する事になろう。再び、この世界に戻るまでしかと護衛せよ!」
はっ!?
なんだそれ?
初めて聞く話に呆気に取られていると、王の間にいる者達には話が伝わっていたのか、精霊王の下へ行き額に魔法陣を描かれた後で姿を消していく。
いやいや、待ってくれ!
もしかして呼ばれたのは、その護衛役に選ばれたからじゃないよな?
動揺し焦っている俺に向かって、巫女姫のティーナが精霊王と共に歩いてくる。
そしてティーナがその、紫色の瞳を煌めかせながら言うのだ。
「ルード! 一緒に転生する事を立候補したと聞いたわ! 面倒くさがりの貴方が、よく承諾したものだと思ったけど……。まぁ、滅多に経験出来ない事だもの。まだ小さいフェンリルの子も一緒だから、よろしくお願いするね」
あ~、親父にやられた!
誰がいつ立候補なんてしたんだよ!
俺が精霊の森で、ティーナに怪我の治療をしてもらった事を知っていたのか!?
ちっ、内緒にしていた筈なんだがな。
しかも、可愛がっているこいつも一緒かよ。
ティーナの腕に抱かれている雌のフェンリルに視線を向けると、期待に満ちた目で俺の事を見つめてくる。
このフェンリルの子供は、女王が産んだ6匹の子供の中で一番体が小さい個体だったらしい。
成人まで成長出来ないと憐れんだ女王が、竜王から精霊王の養い子へ卵を預けた話を聞きティーナに託したのだ。
俺は少しばかりポカをやり、重傷を治してもらったティーナに恩がある。
あの時は、本当にもう駄目かと覚悟を決めていたんだ。
当時100歳だったティーナの姿は、ハイエルフの王族らしく成長が遅かったため10歳くらいにしか見えなかった。
森の中で横たわっていた獅子姿の俺を見るなり、「おっきい猫さんだ!!」と叫ばれた時は愕然としたものだ。
どう考えても、猫には見えんだろ。
その後、怪我をしてる事に気付き、森の中央にある世界樹の葉からポーションを作り出し治療してくれたんだが……。
世界樹の精霊王が育てたこの少女は、かなりの箱入り娘で心配になった俺は度々様子を見に行っていた。
2匹の竜族と契約している事にも驚いたが、フェンリルの子供まで育て出すとは……。
フェンリルの女王は気位が高い。
他種族に自分の子供を預けるなんて聞いた事もなかった。
ティーナは小さなフェンリルに毎日自分の魔力を限界まで与えるので、その度に魔力欠乏で昏倒してしまう。
赤竜のセキと聖竜のセイが、傍にいながらいつもオロオロしていた。
この頃の2匹は、まだ小さかったからなぁ~。
竜族も成長が遅いので、契約したティーナには良かったかも知れないがな。
俺はその時、既に成人を済ませ200歳を過ぎていた。
精霊王が放任主義だった所為で、兄代わりとなり子供達の面倒をついつい見る事になってしまった。
これも何かの縁か……。
精霊の森で偶然出会った子供の成長をずっと見続けてきたんだ。
それが少し伸びた所で、大した問題はないだろう。
まだ子供のフェンリルも心配だしな。
こいつに、巫女姫の護衛は荷が重すぎる。
アレと対になって産まれた巫女姫は、相手に見付からないよう世界を違える必要があった。
それに転生先の人生で、少しは箱入り娘として物知らずではなくなるだろうし。
真剣な表情で卵を産みたいと言われた時に、答えられなかった俺も情けないが……。
いや見た目が少女の相手に、生殖行為を一から説明するのは勘弁してほしい。
誰だ、子供が卵で産まれるなんて言ったのは!
そうして俺は獅子王に嵌められ、ティーナの転生先に送り出される事になったのだった。
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
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これからもよろしくお願い致します。
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突然通信の魔石で父から呼び出され、久し振りに王宮へと足を向けた。
俺の父親は、獣人族を束ねる獅子王だ。
腹違いの兄弟が何人もいるお陰で、俺は跡を継ぐ事には興味がなく比較的自由に生活している。
王宮を離れているのも、不要な権力争いに巻き込まれたくないからだ。
王なんて自由の利かない立場には、なりたいやつが継げばいいだろう。
城内に入ると侍従が1人付き添い、このまま王の下へ同行するという。
なんだ?
今日は何かあるのか?
俺は嫌な予感がし、速攻で回れ右をして帰りたくなった。
きっと行動を把握されて、逃げないように侍従が見張りの役割を果たしているんだな。
ここで逃げたりしたら、侍従が後で罰を受ける事になる。
それは本意じゃない。
仕方ないな、話を聞くだけ聞いて後は他の兄弟に任せるか。
侍従が案内したのは王の間だった。
これは予想以上に大事らしいと眉を顰める。
現在、獣人族の間に問題が起こっていると聞いた事はなかったが……。
獣人族は種族がかなり多い。
その中でも好戦的な種族同士が、しばしば揉め事を起こす。
王の仕事は、この種族間を取り持つ事に終始していると言ってもいいくらいだ。
必然、獣人の中でも長命で力の強い獅子族が王として立つ事になったらしい。
俺はごめんだがな。
重厚な扉が、左右に配置された近衛によって開かれた。
王の間には中央の玉座に獅子王が座り、左右に第一王妃・第二王妃が控えている。
その隣りには、それぞれの長子が立っていた。
複数いる側室達とその長子の姿はない。
俺の母親は第二王妃だが、何故三男の俺が呼ばれたんだ?
他の面々はと見渡すと、王の前に世界樹の精霊王とその養い子であるティーナが2匹の契約竜と更にはペット扱いのフェンリルの子供を腕に抱いている。
そして、そのフェンリルの許嫁の姿もあった。
他にも白狼族・白頭鷲族・白虎族、獣人族の中でも比較的長命な種族の族長とその次代達もいるようだ。
王が俺の姿を確認すると、第一声を放つ。
「これで全員揃ったようじゃ。皆、お前の事を待ちくたびれておったわ。あまり王宮を離れて遠くに行くものではないぞ。さて、時間もない事だ。手短に用件を済まそう。此度、世界樹の精霊王からの要請で巫女姫の転生先へ護衛を任された。巫女姫の傍に、お前達も転生する事になろう。再び、この世界に戻るまでしかと護衛せよ!」
はっ!?
なんだそれ?
初めて聞く話に呆気に取られていると、王の間にいる者達には話が伝わっていたのか、精霊王の下へ行き額に魔法陣を描かれた後で姿を消していく。
いやいや、待ってくれ!
もしかして呼ばれたのは、その護衛役に選ばれたからじゃないよな?
動揺し焦っている俺に向かって、巫女姫のティーナが精霊王と共に歩いてくる。
そしてティーナがその、紫色の瞳を煌めかせながら言うのだ。
「ルード! 一緒に転生する事を立候補したと聞いたわ! 面倒くさがりの貴方が、よく承諾したものだと思ったけど……。まぁ、滅多に経験出来ない事だもの。まだ小さいフェンリルの子も一緒だから、よろしくお願いするね」
あ~、親父にやられた!
誰がいつ立候補なんてしたんだよ!
俺が精霊の森で、ティーナに怪我の治療をしてもらった事を知っていたのか!?
ちっ、内緒にしていた筈なんだがな。
しかも、可愛がっているこいつも一緒かよ。
ティーナの腕に抱かれている雌のフェンリルに視線を向けると、期待に満ちた目で俺の事を見つめてくる。
このフェンリルの子供は、女王が産んだ6匹の子供の中で一番体が小さい個体だったらしい。
成人まで成長出来ないと憐れんだ女王が、竜王から精霊王の養い子へ卵を預けた話を聞きティーナに託したのだ。
俺は少しばかりポカをやり、重傷を治してもらったティーナに恩がある。
あの時は、本当にもう駄目かと覚悟を決めていたんだ。
当時100歳だったティーナの姿は、ハイエルフの王族らしく成長が遅かったため10歳くらいにしか見えなかった。
森の中で横たわっていた獅子姿の俺を見るなり、「おっきい猫さんだ!!」と叫ばれた時は愕然としたものだ。
どう考えても、猫には見えんだろ。
その後、怪我をしてる事に気付き、森の中央にある世界樹の葉からポーションを作り出し治療してくれたんだが……。
世界樹の精霊王が育てたこの少女は、かなりの箱入り娘で心配になった俺は度々様子を見に行っていた。
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フェンリルの女王は気位が高い。
他種族に自分の子供を預けるなんて聞いた事もなかった。
ティーナは小さなフェンリルに毎日自分の魔力を限界まで与えるので、その度に魔力欠乏で昏倒してしまう。
赤竜のセキと聖竜のセイが、傍にいながらいつもオロオロしていた。
この頃の2匹は、まだ小さかったからなぁ~。
竜族も成長が遅いので、契約したティーナには良かったかも知れないがな。
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精霊王が放任主義だった所為で、兄代わりとなり子供達の面倒をついつい見る事になってしまった。
これも何かの縁か……。
精霊の森で偶然出会った子供の成長をずっと見続けてきたんだ。
それが少し伸びた所で、大した問題はないだろう。
まだ子供のフェンリルも心配だしな。
こいつに、巫女姫の護衛は荷が重すぎる。
アレと対になって産まれた巫女姫は、相手に見付からないよう世界を違える必要があった。
それに転生先の人生で、少しは箱入り娘として物知らずではなくなるだろうし。
真剣な表情で卵を産みたいと言われた時に、答えられなかった俺も情けないが……。
いや見た目が少女の相手に、生殖行為を一から説明するのは勘弁してほしい。
誰だ、子供が卵で産まれるなんて言ったのは!
そうして俺は獅子王に嵌められ、ティーナの転生先に送り出される事になったのだった。
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