自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
356 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第482話 旭 樹 7 現在のステータス&第一王妃の魔の手

 俺の懐妊の報告は、その日の間に王宮中へ知れ渡った。

 報告を聞いたひびきが、政務を放り出して第二王妃の宮へとやってくる。
 ショックで寝込んでいた俺は、相手の顔を見るのも嫌で女官長に追い出すよう指示を出す。
 
 本来慶事けいじであるはずの懐妊を、俺が少しも喜んでいない様子を見て女官達も困惑していた。
 王に会おうとしない俺の態度にあきらめたのか、女官長はかなり穏便な言葉で伝え響に帰ってもらったようだ。

 自分が妊娠した事は何かの間違いじゃないかと考えてみたが、確かに結婚してから月の物・・・がなかった。
 そして初夜から3ヶ月経った今、つわりが起きたという事だろう。

 否定出来る材料がひとつもない。

 そこで俺は思い出す。
 もうすっかり忘れてしまっていた、曾婆ひいばあちゃんの宣託せんたく内容を……。

 もしかして【苦痛】を伴うお役目は、この事かっ!?

 てっきり精神的な苦痛とばかり……。
 肉体的なものだとは思ってもみなかった。
 出産は苦痛というより【激痛】だ!

 しかも俺の子供を産んでくれる女性・・を大切にしろって、俺自身・・・の事じゃね~か!
 となると運命の相手は響だったのか?

 まぁ、こいつと生涯を共にする事が出来なくても全然構わないんだが……。
 いや俺達もう既に結婚してるし!

 王族に離婚は有り得ないから、一生を共にする事は確定だ。
 しかもハイエルフと人間では寿命が違い過ぎる。
 俺は響が旅立った後、独りとり残されるんだろうな……。

 そんなかなり先の事に想いをせ、しばし現実逃避に浸る。
 これが曾婆ひいばあちゃんが言った、俺のお役目なら子供を産み育てる事が使命なんだろう。

 きっとそれが終わったら、日本に帰れるはずだ……多分。
 こちらの世界では180年経っているが、日本に戻った時に浦島太郎状態じゃない事を祈ろう。

 結花ゆか尚人なおと、俺の家族に早く会いたくなってきた。
 もうこうなったら覚悟を決めて産むしかない。

 もう少し気持ちの整理に時間が掛かりそうだが……。
 現実に俺のお腹の中には新しい生命が宿っているんだから、大切に守ってやらないと。

 あぁ、お酒はしばらく飲めないなぁ~。
 後、他に気をつける事は何だったか?

 俺は結花が妊娠した時の事を思い出し、注意事項を確認していった――。

 翌日。
 再び俺の宮を訪れた響が満面の笑みを浮かべて、「おめでとう!」と言ったので殴っておいた。

 こいつには賢也君と沙良ちゃんと茜ちゃん? の他に、交通事故で亡くしてしまった子供がいる。
 29歳の時だった。

 だから俺に子供が出来たと知り、素直に喜んだのだろう。
 亡くしてしまった子供の事を、ずっと気にしていたから……。

 第一王妃との間に出来た王子は、後で聞いた所に依ると行為なしで【秘伝薬】に頼ったものであったらしい。

 彼女とは完全な政略結婚で、王宮内の第一派閥である筆頭貴族の娘だとか。
 同性同士じゃなくても、【秘伝薬】で妊娠出来ると知り驚いた。

 それなら不妊に悩んでいる夫婦にも需要がある。
 エルフの国の財政がうるおう訳だ。
 外交を担当している兄達は強気の貿易が出来るだろう。

 とにかく響は子供が出来た事を大いに喜び、俺の世話を甲斐甲斐かいがいしく焼こうとする。
 毎日宮を訪れては何か食べたい物はないかと尋ねたり、心が穏やかになるようにと宮廷楽師を呼んでは演奏させて聞かせた。

 まぁ日本でも胎教という言葉がある通り、それはあながち間違いではないんだろう。
 ただ響のその行動が、どうやら第一王妃のかんさわったらしい。

 それから度々たびたび第一王妃の手の者と思われる人物から狙われるようになる。

 庭を歩いていると上から物が落ちてきたり、階段に油をかれたり、懐妊祝いに毒を盛った品を渡したりと……。
 まぁ、よく飽きないなぁと思う程、頻繁ひんぱんに手を出してくる。

 響しか知らない事だが、俺には影衆かげしゅう当主率いる10名の精鋭部隊が常に姿を隠し付き従っていた。

 女官長も元騎士の出身でかなり腕は立つ。
 エルフにしては結構な年齢なので、不思議に思っていたが肉体Lvが相当高いのだろう。

 俺の専属護衛である影衆達は、ハイエルフである俺の寿命に合わせるためにダンジョンにこもりかなりLvを上げたと聞く。

 この世界の仕様では、肉体Lvが上がると何故なぜか寿命が延びる仕組みになっていた。
 エルフであるガーグ老が現在800歳なのを考えると、女官長も500歳を優に過ぎているかも知れないな。

 どうあっても勝てないはずだ。
 初夜に関しては、もう見事な采配だったとしか言えない。
 
 ちなみに現在俺のステータスは、こうなっている。

 【ヒルダ・エスカレード 300歳】
 ★加護(世界樹の精霊王・火の精霊・水の精霊・土の精霊・風の精霊)
 レベル 70
 HP 8,520
 MP 8,520
 剣術 Lv20
 槍術 Lv20
 盾術 Lv20
 体術 Lv20
 魔力操作 Lv20
 魔法 火魔法(ファイアーボールLv20、ファイアーアローLv20・ファイヤーニードルLv20)
 魔法 水魔法(ウォーターボールLv20、ウォーターアローLv2・ウォーターニードルLv20)
 魔法 土魔法(アースボールLv20、アースアローLv20、アースニードルLv20)
 魔法 風魔法(ウィンドボールLv20、ウィンドアローLv20・ウィンドニードルLv20)
 魔法 氷魔法(アイスボールLv20、アイスアローLv20、アイスニードルLv20)
 魔法 雷魔法(サンダーボールLv20、サンダーアローLv20・サンダーニードルLv20)
 魔法 テイム魔法(テイムLv20)▼
 【従魔のステータス】
 ●ポチ Lv70(消費MP300)HP700/MP700 白ふくろう(雄)
 使用魔法 ウィンドボールLv20(MP消費40)
      念話Lv20(MP消費0)→主人より半径200Km以内で使用可能。
      移転Lv20(MP消費0)→主人より半径200Km以内で使用可能。
      変態Lv20(MP消費0)→20種類の鳥型魔物の姿に変態出来る。またその性質も受け継ぐ事が可能。
                   
 ●タマ Lv70(消費MP300)HP700/MP700 白ふくろう(雌)
 使用魔法 ウィンドアローLv20(MP消費40)
      念話Lv20(MP消費0)→主人より半径200Km以内で使用可能。
      移転Lv20(MP消費0)→主人より半径200Km以内で使用可能。
      変態Lv20(MP消費0)→20種類の鳥型魔物の姿に変態出来る。またその性質も受け継ぐ事が可能。           

 俺は120歳の時に初めてLvが上がったため基礎値が120と高い。
 Lvが50になると、魔法Lvの上限が解除されLvが最高20になる。
 更にLvが100に上がれば、魔法Lvは最高50になるそうだ。

 180年の間、ちょくちょく王宮を抜け出してLv上げに勤しんだ結果Lv70となった。
 これは歴代の王族の中でも最高Lvだと自負している。

 そもそも王族は、外敵がいない事からLvを上げる必要性がなかった。
 1人に10名の影衆が付き常にその身の安全を確保しているし、王宮には滅多な人物は入れない。

 例外は精霊殿に住む事を許される【存在を秘匿された御方】だけだろう。
 時空魔法適性持ちで移転が出来ると聞く。

 その警護に当たるのは、影衆当主率いる50名の精鋭部隊【万象ばんしょう】。
 それだけ厳重に守られるのは、エルフ国最後の砦と言われる所以ゆえんか……。 
 
 さながら最終兵器のような存在だ。
 人や物資を無尽蔵むじんぞうに移転出来るなら戦況が一変する。

 ちなみに現在エルフの国は、どの国とも戦争をしていない。
 これは過去に多くの国を殲滅せんめつした歴史から、無謀な戦を仕掛けようとする国がもう残っていないからだと思う。

 そんな中でもLvを上げた俺は、相当な変わり種だったかも知れない。
 いや、Lvが上がるのなら最高まで上げるのが男のロマンじゃないか?

 まぁ、そんな訳で俺自身もかなり強い方だ。
 
 だから懐妊を知った第一王妃が、あらゆる手を使い策略を巡らせようと特に危険は感じなかった。
 そう、毒見役の女官が倒れるまでは……。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇