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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第486話 迷宮都市 両親の召喚 2 両親に与えられた能力
私が泣きながら抱き締め返すと、どうしてか父の腕が緩む。
「……俺が分かるのか?」
そしておかしな事を言われた。
???
若返ってはいるけど子供の頃から見てきた顔だ。
整形したのならともかく、普通は分かると思うけど?
何故、そんなに驚いた表情をしているのか不思議だった。
「あなた。そのお嬢さんは、どなた?」
一見すると、夫が見知らぬ少女を抱き締めているように見えるのか、母の声が僅かに険を孕んだものになる。
どうして娘と分かったのか、理由を答えられず父がたじろいだ。
「お母さん。私、別人になってるけど沙良だよ!」
「えっ? あの子は、8年前に亡くなっているわ。質の悪い冗談を言わないで」
「あ~、信じてもらえるように手紙を書いたから読んでほしい!」
一旦、父から離れ手紙を取り出し母へと渡した。
不審人物を見るかのような母へ兄がすかさずフォローを入れる。
「母さん、沙良の言っている事は本当だ。何が書いてあるかは知らないが、取り敢えず手紙を読めば分かると思う」
兄から言われて、漸く渡した手紙を母が読み出した。
どうしたら娘だと分かるだろうかと散々頭を悩ませて書いた内容は、2人だけの秘密の事柄だった。
ダンクさんが父親との秘密を母親に暴露したように、2人だけの秘密なら兄も知らないからね。
その前に筆跡で判断出来るかも知れないけど、念のため保険として内容を厳選したのだ。
父は知らない件だから、口に出すのは控えた方がいいだろう。
既に夫婦として50年以上連れ添った相手でも、お互い秘密の1つや2つくらいあるだろうし……。
私が書いたのは、母が結婚前に付き合っていた男性との事。
父には何もなかったと言ったそうだけど、実は初めての相手だったらしい。
他には子供の頃、誘拐されたエピソードを書いた。
私が書いた手紙を読み進めていくうちに、母の表情がどんどん変化していく。
最後まで読み終わると手紙を封筒の中に入れ、これから夕食を作る予定だったのだろう、していたエプロンのポケットへ仕舞い込む。
そして何も言わず待っていた私を抱き締めた。
「沙良……なのね。あなたは亡くなったものとばかり……。生きていてくれたなんて嬉しいわ!」
「お母さん、突然で驚いたよね。私も会えて嬉しい! 実はこの場に雫ちゃんと旭のお母さん、それにお婆ちゃんのサヨさんがいるんだよ? 事情を説明するから、まずはテーブル席に着いて話そう」
「えっ!? どういう事?」
混乱する母と父をリビングのテーブル席に着かせ、私は【詫び状】と書かれた4枚の封筒と【召喚された方へ】と書かれた2枚の封筒を渡し読んでもらう事にする。
私、兄、旭、旭のお母さんの手紙が6通分。
読むのも時間が掛かるだろうと、その間に緑茶を淹れた。
私達も同じテーブル席に座り2人が読み終わるまで、お茶を飲みながら待つ。
全て読み終えた母が深い溜息を吐いた。
父は唖然とし、一言「カルドサリ……王国だと?」と呟いた後に固まっている。
「ええっと、この手紙の通りなら結花さんは誰かしら?」
「は~い私です! 隣にいるのが雫よ?」
「嘘でしょ? 結花さん若すぎ!」
「今は20歳なの。羨ましい?」
母と友達である旭のお母さんは、母に向かって軽口を叩く。
「じゃあ、私のお母さんは……」
「美佐子……大人になったわね」
問われたサヨさんが、ハンカチで目元を押さえながら母へと言葉を掛ける。
「本当に……お母さんなの?」
「ええ、そうですよ。私もあなた宛ての手紙を書いてみたの、読んでちょうだいね」
サヨさんから渡された手紙を母は震える手で受け取り読んでいく。
読み進めていくうちに私の時と同様、表情が変わった。
サヨさんが何と書いたのかは分からない。
やっぱり母との秘密だろうか?
「お母さん。私……、凄く会いたくて仕方なかったのよ? お互いもう、お婆ちゃんになっちゃったわね……」
「あら、そんな事ないわよ。まだ充分若いじゃない。最後の記憶より大分年を取っているけど、78歳の私に比べたら女盛りと言えるんじゃないかしら?」
「あっ! 私が召喚したから、2人とも36歳若返ってるのよ。今の姿を見た方が早いかも?」
アイテムBOXから姿見を2枚取り出し、両親の前に置いてあげた。
母は鏡に映った自分の姿を見て、ちょっと嬉しそうな表情になる。
まぁ女性だからね~。
単純に若返った姿になるのは喜ぶだろう。
父は現在の姿を見ても微動だにしなかった。
何故だか1人遠い目をしている。
一気に色々な事を知って、脳がパンク状態なのかも?
少し落ち着いただろうかと私は両親を召喚した時、床に落ちていた封筒をそれぞれ手渡した。
2人同時に召喚したため、封筒には【召喚された椎名 美佐子様へ】・【召喚された椎名 響様へ】と書いてある。
【召喚された椎名 美佐子様へ】と書かれた封筒
『椎名 沙良様から召喚された方へ
すべての元凶は私です。
この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。
まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。
剣と魔法のファンタジーである所の異世界です。
椎名 沙良様に合わせて、年齢は設定させて頂きました。
また、異世界の能力3つをご確認下さい。
椎名 美佐子様の能力
【緑魔法】
●成長 植物を成長させる事が出来ます。Lvが上がる度に収穫までの日数が少なくなります。
●光合成 植物の種を急成長させ相手を拘束出来ます。攻撃にも使用可能。またHPを回復します。
●交配 植物の種を掛け合わせ、新たな品種を作り出す事が可能です。
まずは「ステータス」と唱え、能力の確認をお勧めします。
最後に、このような不幸な目に遭わせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』
【召喚された椎名 響様へ】と書かれた封筒
『椎名 沙良様から召喚された方へ
すべての元凶は私です。
この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。
まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。
剣と魔法のファンタジーである所の異世界です。
椎名 沙良様にあわせて、年齢は設定させて頂きました。
なお既に覚えた能力はそのままとさせて頂きます。
椎名 響様の能力
【特殊魔法】
●換金 異世界の通貨を日本円に交換可能です。逆は出来ません。
●交易 ホーム内にある物を異世界の通貨と交換可能です。逆は出来ません。
●鑑定 物に対して、名称・素材・価値を知る事が出来ます。
まずは「ステータス」と唱え、能力の確認をお勧めします。
最後に、このような不幸な目に遭わせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』
-------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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「……俺が分かるのか?」
そしておかしな事を言われた。
???
若返ってはいるけど子供の頃から見てきた顔だ。
整形したのならともかく、普通は分かると思うけど?
何故、そんなに驚いた表情をしているのか不思議だった。
「あなた。そのお嬢さんは、どなた?」
一見すると、夫が見知らぬ少女を抱き締めているように見えるのか、母の声が僅かに険を孕んだものになる。
どうして娘と分かったのか、理由を答えられず父がたじろいだ。
「お母さん。私、別人になってるけど沙良だよ!」
「えっ? あの子は、8年前に亡くなっているわ。質の悪い冗談を言わないで」
「あ~、信じてもらえるように手紙を書いたから読んでほしい!」
一旦、父から離れ手紙を取り出し母へと渡した。
不審人物を見るかのような母へ兄がすかさずフォローを入れる。
「母さん、沙良の言っている事は本当だ。何が書いてあるかは知らないが、取り敢えず手紙を読めば分かると思う」
兄から言われて、漸く渡した手紙を母が読み出した。
どうしたら娘だと分かるだろうかと散々頭を悩ませて書いた内容は、2人だけの秘密の事柄だった。
ダンクさんが父親との秘密を母親に暴露したように、2人だけの秘密なら兄も知らないからね。
その前に筆跡で判断出来るかも知れないけど、念のため保険として内容を厳選したのだ。
父は知らない件だから、口に出すのは控えた方がいいだろう。
既に夫婦として50年以上連れ添った相手でも、お互い秘密の1つや2つくらいあるだろうし……。
私が書いたのは、母が結婚前に付き合っていた男性との事。
父には何もなかったと言ったそうだけど、実は初めての相手だったらしい。
他には子供の頃、誘拐されたエピソードを書いた。
私が書いた手紙を読み進めていくうちに、母の表情がどんどん変化していく。
最後まで読み終わると手紙を封筒の中に入れ、これから夕食を作る予定だったのだろう、していたエプロンのポケットへ仕舞い込む。
そして何も言わず待っていた私を抱き締めた。
「沙良……なのね。あなたは亡くなったものとばかり……。生きていてくれたなんて嬉しいわ!」
「お母さん、突然で驚いたよね。私も会えて嬉しい! 実はこの場に雫ちゃんと旭のお母さん、それにお婆ちゃんのサヨさんがいるんだよ? 事情を説明するから、まずはテーブル席に着いて話そう」
「えっ!? どういう事?」
混乱する母と父をリビングのテーブル席に着かせ、私は【詫び状】と書かれた4枚の封筒と【召喚された方へ】と書かれた2枚の封筒を渡し読んでもらう事にする。
私、兄、旭、旭のお母さんの手紙が6通分。
読むのも時間が掛かるだろうと、その間に緑茶を淹れた。
私達も同じテーブル席に座り2人が読み終わるまで、お茶を飲みながら待つ。
全て読み終えた母が深い溜息を吐いた。
父は唖然とし、一言「カルドサリ……王国だと?」と呟いた後に固まっている。
「ええっと、この手紙の通りなら結花さんは誰かしら?」
「は~い私です! 隣にいるのが雫よ?」
「嘘でしょ? 結花さん若すぎ!」
「今は20歳なの。羨ましい?」
母と友達である旭のお母さんは、母に向かって軽口を叩く。
「じゃあ、私のお母さんは……」
「美佐子……大人になったわね」
問われたサヨさんが、ハンカチで目元を押さえながら母へと言葉を掛ける。
「本当に……お母さんなの?」
「ええ、そうですよ。私もあなた宛ての手紙を書いてみたの、読んでちょうだいね」
サヨさんから渡された手紙を母は震える手で受け取り読んでいく。
読み進めていくうちに私の時と同様、表情が変わった。
サヨさんが何と書いたのかは分からない。
やっぱり母との秘密だろうか?
「お母さん。私……、凄く会いたくて仕方なかったのよ? お互いもう、お婆ちゃんになっちゃったわね……」
「あら、そんな事ないわよ。まだ充分若いじゃない。最後の記憶より大分年を取っているけど、78歳の私に比べたら女盛りと言えるんじゃないかしら?」
「あっ! 私が召喚したから、2人とも36歳若返ってるのよ。今の姿を見た方が早いかも?」
アイテムBOXから姿見を2枚取り出し、両親の前に置いてあげた。
母は鏡に映った自分の姿を見て、ちょっと嬉しそうな表情になる。
まぁ女性だからね~。
単純に若返った姿になるのは喜ぶだろう。
父は現在の姿を見ても微動だにしなかった。
何故だか1人遠い目をしている。
一気に色々な事を知って、脳がパンク状態なのかも?
少し落ち着いただろうかと私は両親を召喚した時、床に落ちていた封筒をそれぞれ手渡した。
2人同時に召喚したため、封筒には【召喚された椎名 美佐子様へ】・【召喚された椎名 響様へ】と書いてある。
【召喚された椎名 美佐子様へ】と書かれた封筒
『椎名 沙良様から召喚された方へ
すべての元凶は私です。
この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。
まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。
剣と魔法のファンタジーである所の異世界です。
椎名 沙良様に合わせて、年齢は設定させて頂きました。
また、異世界の能力3つをご確認下さい。
椎名 美佐子様の能力
【緑魔法】
●成長 植物を成長させる事が出来ます。Lvが上がる度に収穫までの日数が少なくなります。
●光合成 植物の種を急成長させ相手を拘束出来ます。攻撃にも使用可能。またHPを回復します。
●交配 植物の種を掛け合わせ、新たな品種を作り出す事が可能です。
まずは「ステータス」と唱え、能力の確認をお勧めします。
最後に、このような不幸な目に遭わせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』
【召喚された椎名 響様へ】と書かれた封筒
『椎名 沙良様から召喚された方へ
すべての元凶は私です。
この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。
まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。
剣と魔法のファンタジーである所の異世界です。
椎名 沙良様にあわせて、年齢は設定させて頂きました。
なお既に覚えた能力はそのままとさせて頂きます。
椎名 響様の能力
【特殊魔法】
●換金 異世界の通貨を日本円に交換可能です。逆は出来ません。
●交易 ホーム内にある物を異世界の通貨と交換可能です。逆は出来ません。
●鑑定 物に対して、名称・素材・価値を知る事が出来ます。
まずは「ステータス」と唱え、能力の確認をお勧めします。
最後に、このような不幸な目に遭わせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』
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