自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第496話 迷宮都市 両親の召喚 12 両親のスキップ制度&母のテイムした従魔

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 ホームから異世界の家の庭に移転し、冒険者ギルドまで歩いて移動する。
 ギルド内に入ると、いつもの受付嬢に両親のスキップ制度を申請した。

 ダンジョンに入る事が出来るC級冒険者のスキップ制度は、冒険者ギルドマスター立ち合いの下で行われるからオリビアさんが合否判定をするんだろう。

 つい先日冒険者登録をしたばかりなので、受付嬢は直ぐにオリビアさんを呼んできてくれた。
 
「サラさん、C級冒険者のスキップ制度を受けるのは2人ですか?」

「はい、私の両親なのでよろしくお願いします」

「ご両親……。じゃあ、これからダンジョンの地下1階で魔物の討伐を見させてもらいます。馬車で移動するので付いてきて下さいね」

 思った通り、スキップ制度はダンジョンの魔物が対象になるらしい。

 オリビアさんに言われ、冒険者ギルドの裏側に停めてある馬車に全員で乗り込んだ。
 動き始めてから振動が少ない事に気付く。

 あぁ、この馬車も貴族仕様の魔道具が使用されているみたいね。
 ギルドマスターが乗る馬車だから、高価な物が用意されているんだろう。

 ダンジョンに到着すると、いつも払う入場料(銀貨1枚)は不要だと言われた。
 私と兄と旭は、スキップ制度を受けないのにいいのかな?

「これから、ファングボアとリザードマンを見付けて1匹ずつ討伐する様子を見ます。制限時間はありませんので準備が出来次第、移動を開始して下さい」
 
 オリビアさんはそう言って最後尾に下がった。
 ギルドマスターは立ち会うだけで、冒険者を手助けする事は一切しない。

 当然、道中に出現する魔物も狩る必要がある。
 父には事前に地下1階の地図を渡してあるけど、地下2階に移動する訳じゃないので余り意味はないだろう。

 先頭を父が進み、その後を母が付いていく。
 私達は2人から少し離れた場所で見守る事にする。

 パーティーメンバーが昇格試験を受ける時、手助けをすると失格になるのでちょっとドキドキしていた。

 最初に発見したのは、ウォータースライム3匹。
 父が魔法を撃たれる前に剣で一閃いっせんする。

 次に出てきたダンジョンネズミは、母が眉間にアースボールを撃ち倒した。
 血抜き処理が必要だと教えてあるので、槍で首を突くのも忘れていない。

 そして本命のファングボア。
 父が発見した直後に走り出し、肉薄したと思ったらファングボアが横倒しになって倒れた。
 見ると、首から大量に出血している。

 ええぇ~!
 剣筋が全く見えなかったんですけど!?
 絶対、旭より強い気がする……。

 最後にリザードマンが出現した時は兄が反応していた。
 今日は瞬殺しちゃ駄目だよ?

 母が先程と同じように眉間を狙い、遠距離からアースボールの魔法を撃って仕留めた。
 うんうん、その後の血抜き処理も完璧だね。

 地下1階に出現する魔物は、魔石取りの必要がないので解体ナイフの出番はない。
 両親の討伐の様子を見たオリビアさんが、合格判定を出してくれた。

 これで、月曜日から一緒にダンジョンを攻略出来る。
 私達はもう少し魔物を狩ると言い、オリビアさんに帰ってもらった。

 父がスライムから魔法を習得する必要があるからね。
 オリビアさんが帰った後で魔法を体に受け、父も4属性魔法を覚える事が出来た。
 
 次は魔物のテイムだ。
 ダンジョン攻略をする際、拠点階までテイムした従魔に騎乗して移動するので、攻略速度を合わせるために足を確保する必要がある。

 両親にはまだ紹介していないけど、私がシルバー・ハニー・フォレストをテイムしている事は話しておいた。

 父がハニービーのコロニーが54匹いると聞き、倒れそうになっていたけど……。
 昆虫は苦手だったっけ……?

 でもうちのハニーは可愛いよ?

 母がケンタウロスをテイムしたいと言ったのには、全員が反対した。
 何故なぜそんな魔物を選んだのか……。
 母の思考が謎すぎる。

 上半身が人型を模している魔物だよ?
 普通、その背中に騎乗したいとは思わないよね?
 ユニコーンなら分かるけど……。
 いやこの世界のユニコーンは、バグってるから止めてほしい。

 全員にテイムしたい魔物を反対され、母は渋々しぶしぶ私と同じシルバーウルフにすると決めたようだ。
 その後、マッピングで地下10階に移動し母が無事シルバーウルフをテイムする。

「あなたの名前は『ボブ』よ!」

 そして母のネーミングセンスは最悪だった。
 まだ私が付けたシルバーの方がマシな気がする。

 シッポを振って喜んでいたシルバーウルフが、名前を聞き「……ウォン?」と小さく吠えたのは聞き間違いじゃないと思う。
 可哀想かわいそうに、これから『ボブ』と母に呼ばれる事になるのか……。

 ダンジョンでの目的を果たし、再び冒険者ギルドに戻り2人のギルドカードを更新する。

 ホームの自宅に戻りC級冒険者になったお祝いを、雫ちゃんと旭のお母さんも呼んで一緒にする事に。
 全員で蟹懐石を食べに行く。

 以前、兄と2人で行ったお店だ。
 前回は料理が全てテーブルの上に置かれてしまい、あわててデザートのアイスをアイテムBOXに収納した事を思い出す。

 今回は勿論もちろん、《タイミング》を選んだよ!
 美味しい蟹料理を食べながら、雫ちゃんに教会の儀式の事を確認しよう。

「う~ん、乙女ゲームのオープニングに、そんな儀式を受ける場面があったような? お母さんはどうだった?」

「確か12歳になる頃、教会に行ったと思う。でも儀式を受けたけど、私は魔法を覚える事は出来なかったわよ?」

「もしかすると私達転移組は『手紙の人』から能力を与えられているから、この世界の呪文を唱えても魔法は発動しないかも知れません」

「えっ! じゃあ私、その教会での儀式を受けたら魔法が使えるようになるの?」

 話を聞いた雫ちゃんが、嬉しそうに手を叩く。

「多分……そうじゃないかと思うんだけど。午後から教会に行ってみようか?」

「うん! 私も魔法を使いたいと思っていたの、楽しみだなぁ~」

 だ……大丈夫かしら?
 ぬか喜びにならないといいんだけど……。

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