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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第500話 迷宮都市 両親の召喚 16 ガーグ老と父の剣戟&息子達のお嫁さん?
★第16回ファンタジー小説大賞。5/3207位で『特別賞』を受賞しました!!
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ガーグ老へ指示された剣を部下の1人が手渡すと、受け取った剣を懐かしそうに見つめていた。
姫様の剣だと言っていたけど、下賜された物なんだろうか?
「この剣は、儂がお仕えしていた方の形見の品である。姫様がドワーフの名匠シュウゲンに打ってもらった物だ。父親殿は剣の腕に覚えがありそうだでな。帯剣している鈍らでは、儂の剣と一合も保つまい。この剣を貸して進ぜようぞ。早速だが、手合わせ願おう!」
ガーグ老の仕えていた姫様は、亡くなっていたようだ。
王族の形見の品を分けてもらえる程、忠誠心が高かったのかも知れない。
私とよく似たお孫さんも亡くしたと聞いていたので、自分より若い2人が先に逝ってしまい悲しかっただろうな。
しかし父が剣を使える事を直ぐに見抜くなんて驚いた。
武術を極めた人には、見た目で判断出来るのかしら?
父はガーグ老から仕合を申し込まれ、少し躊躇した後で短く嘆息し差し出された剣を受け取った。
「ご老人。俺も本気で剣を振るうのは随分久し振りになる。どうか、お手柔らかに頼む」
「なに、謙遜するでない。見たところ腕は鈍っておらぬようだ」
ガーグ老は父の方を見てニヤリと笑う。
そう言われて父は諦めたのか、剣を一振りし切っ先を上げた。
「それでは、お相手しましょう」
言葉と同時に父が先に動いた。
それから始まったガーグ老との手合わせでは、振るう剣の動きが速すぎて見えず打ち合う剣戟の音だけが聞こえた。
父は魔物相手に本気を出していなかったらしい。
かなり高Lvのガーグ老と、何合も剣を交わす事が出来るとは……。
これは兄も予想だにしなかったのか、2人の姿を目で追いながら驚いた表情を見せていた。
やっぱり銀行マンは、仮の姿じゃないんだろうか?
2人が剣を交わす姿を、ご老人達はさして驚いた様子もみせず真剣な眼差しで見守っている。
5人の息子達と2人のお嫁さんは逆のようで、口を大きく開け唖然としていたようだ。
暫く剣戟の音が続いた後、唐突に音が途絶える。
どうやら立ち合いは終了したらしい。
父がガーグ老へと一礼し借りた剣を返却しようとすると、
「いや、その剣は父親殿が持っていてくだされ。これから娘さんのために必要になるだろうて」
それを固辞し、姫様の形見の剣を父に譲渡すると言う。
それはガーグ老にとって、とても大切な品ではないのかしら?
「それはありがたい。購入した剣では、少々不安を覚えていた所だ」
何故か父は、渡された剣を素直に受け取っていた。
武器屋で高い剣を欲しがる素振りを見せていたから、ガーグ老からの申し出は渡りに船だったのだろうか?
父ほどの技量なら、もう少し高い剣が必要だとは思うけど……。
王族が愛用していた剣なので、かなりの金額になりそう。
それを対価もなく受け取ってしまっても良いの?
「サラ……ちゃん。儂の独断で先行してしまい悪かったの。紹介が途中だったわ。この2人が息子の嫁御……のようだ」
のようだ……って、ガーグ老は信じたくないらしい。
現実逃避をするように、お嫁さん達から顔を背けている。
「フランクの妻で、リヒトと申します」
「ジルの妻で、ジュードと申します」
名乗った途端、2人がまたもや片膝を突き騎士の礼をする。
「これ、サラ……ちゃんが驚くではないか! 普通に挨拶をすればいいのだ!」
ガーグ老に叱責され、2人が慌てて立ち上がった。
見上げる程の長身に、どう見ても男性としか思えないその体躯。
そもそも名前からして女性名ではないような……。
異世界には男性と見紛うばかりの女性がいるのかしら?
唯一女性らしいといえるのは、口紅を付けている所だけど……。
普段は付けないのか唇から大きくはみ出してしまっている。
夫である息子2人は、妻と視線を合わせようとはしなかった。
ガーグ老の身内が怪しすぎる!
年齢が逆に見える息子達に、一番年上だと思われる妻? 2人。
そりゃ、ガーグ老も嬉しい表情を見せない訳だ。
紹介されて、私のパーティーメンバーは全員引いているしね。
中断してしまった紹介を再開してくれたので、改めて追加メンバーに自己紹介してもらう事にする。
両親の後に、旭の妹2人も名乗った。
「それにしても、誰も似ておらんの……」
ガーグ老の口から漏れた言葉に、つい心の中で反論してしまう。
いやいや息子さん達程ではないですよ!
こちらは確かに別人なので似てはいませんが旭のお母さん以外、年齢と性別は合ってますからね?
お互いの紹介も終了し、「さて、稽古を始めるとしよう!」と言うガーグ老の一声で稽古が始まった。
増えたお嫁さん2人が旭の方に歩いていく姿を見て、今日は生き残れるだろうかと心配になってしまう。
父は稽古を受ける必要がないと言われ、手持ち無沙汰になったのか雫ちゃんの相手をする事にしたらしい。
知り合いに教えてもらった方が、雫ちゃんもやり易いだろう。
母と旭のお母さんには、ガーグ老の四男と五男が指導に当たるようだ。
ガーグ老から、急所を狙う技を幾つか教えてもらい実践していく。
何度も隙を突こうと頑張ってみたけど、今日も軽くあしらわれてしまった。
相手が強すぎて、自分が上達しているのか分からないんだけど……。
私がダンジョンの魔物を倒しても良いか聞くと、「まだ止めた方がよかろう」と言われる。
残念ながら槍術のLvを上げる道のりは遠そうだ。
ガーグ老からOKのサインが出るまで、兄は槍での接近戦を許してくれないだろう。
2時間程で終了の合図が出る。
旭の方を恐る恐る見ると、生ける屍と化していた。
お嫁さん達、強そうだったもんね!
稽古相手が増えるとは思っておらず、油断していたんだろうな。
雫ちゃんと、お母さんを守るために強くなるんだよ~。
雫ちゃんは父に稽古を付けてもらったのが嬉しいのか、にこにこと笑っている。
それとも、初恋相手によく似た父が稽古相手だった事に喜んでいるのか……。
どちらにせよ旭との差が激しい事に変わりはない。
初めて槍を手にした2人の母親は、少し疲れているみたいだ。
兄は満足した出来だったのか、口元に笑みを湛えている。
初日の稽古は、約1人を除き概ね問題なかったようだ。
昼食の準備を始める前にガーグ老に耳打ちし、昨日の結果を聞くため家具工房へと一緒に向かう。
工房内に入ると、ガーグ老が尋問で聞き出した情報を話してくれた。
「あの2人は、毒を口に仕込んでおった。幸い、持っていた毒消しポーションを飲ませて延命させたがの。なかなか口を割らんで閉口したわ。それで分かった事だが、サラ……ちゃんを見張っていたのは、王の嫁探しのためらしい。既に8人の妻がいるのに、たわけた事を抜かしよる。若く見目好い女子を連れ帰る心算のようだな」
成程……。
リーシャの容姿に目を付けられたのか……。
若い女性と聞いて、雫ちゃんと旭のお母さんの事が心配になった。
「旭の妹2人も選ばれる可能性がありますか?」
「いや、それはないであろう。サラ……ちゃんだけが、ターゲットのようだ。秘密裏に攫うのが目的ならば、事を大きくするのは本意ではなかろう」
「分かりました。ありがとうございます」
尋問した2人の男性についての処分は聞かない事にする。
私を9人目の嫁にしたいとは……。
アシュカナ帝国の王は、かなりの女好きらしい。
理由が分かったものの、これでは対処のしようがない。
相手が諦めるまで待つのは時間が掛かりすぎる。
この先、何度も同じ手合いを送り込まれると少々厄介な問題になりそうだった。
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読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
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姫様の剣だと言っていたけど、下賜された物なんだろうか?
「この剣は、儂がお仕えしていた方の形見の品である。姫様がドワーフの名匠シュウゲンに打ってもらった物だ。父親殿は剣の腕に覚えがありそうだでな。帯剣している鈍らでは、儂の剣と一合も保つまい。この剣を貸して進ぜようぞ。早速だが、手合わせ願おう!」
ガーグ老の仕えていた姫様は、亡くなっていたようだ。
王族の形見の品を分けてもらえる程、忠誠心が高かったのかも知れない。
私とよく似たお孫さんも亡くしたと聞いていたので、自分より若い2人が先に逝ってしまい悲しかっただろうな。
しかし父が剣を使える事を直ぐに見抜くなんて驚いた。
武術を極めた人には、見た目で判断出来るのかしら?
父はガーグ老から仕合を申し込まれ、少し躊躇した後で短く嘆息し差し出された剣を受け取った。
「ご老人。俺も本気で剣を振るうのは随分久し振りになる。どうか、お手柔らかに頼む」
「なに、謙遜するでない。見たところ腕は鈍っておらぬようだ」
ガーグ老は父の方を見てニヤリと笑う。
そう言われて父は諦めたのか、剣を一振りし切っ先を上げた。
「それでは、お相手しましょう」
言葉と同時に父が先に動いた。
それから始まったガーグ老との手合わせでは、振るう剣の動きが速すぎて見えず打ち合う剣戟の音だけが聞こえた。
父は魔物相手に本気を出していなかったらしい。
かなり高Lvのガーグ老と、何合も剣を交わす事が出来るとは……。
これは兄も予想だにしなかったのか、2人の姿を目で追いながら驚いた表情を見せていた。
やっぱり銀行マンは、仮の姿じゃないんだろうか?
2人が剣を交わす姿を、ご老人達はさして驚いた様子もみせず真剣な眼差しで見守っている。
5人の息子達と2人のお嫁さんは逆のようで、口を大きく開け唖然としていたようだ。
暫く剣戟の音が続いた後、唐突に音が途絶える。
どうやら立ち合いは終了したらしい。
父がガーグ老へと一礼し借りた剣を返却しようとすると、
「いや、その剣は父親殿が持っていてくだされ。これから娘さんのために必要になるだろうて」
それを固辞し、姫様の形見の剣を父に譲渡すると言う。
それはガーグ老にとって、とても大切な品ではないのかしら?
「それはありがたい。購入した剣では、少々不安を覚えていた所だ」
何故か父は、渡された剣を素直に受け取っていた。
武器屋で高い剣を欲しがる素振りを見せていたから、ガーグ老からの申し出は渡りに船だったのだろうか?
父ほどの技量なら、もう少し高い剣が必要だとは思うけど……。
王族が愛用していた剣なので、かなりの金額になりそう。
それを対価もなく受け取ってしまっても良いの?
「サラ……ちゃん。儂の独断で先行してしまい悪かったの。紹介が途中だったわ。この2人が息子の嫁御……のようだ」
のようだ……って、ガーグ老は信じたくないらしい。
現実逃避をするように、お嫁さん達から顔を背けている。
「フランクの妻で、リヒトと申します」
「ジルの妻で、ジュードと申します」
名乗った途端、2人がまたもや片膝を突き騎士の礼をする。
「これ、サラ……ちゃんが驚くではないか! 普通に挨拶をすればいいのだ!」
ガーグ老に叱責され、2人が慌てて立ち上がった。
見上げる程の長身に、どう見ても男性としか思えないその体躯。
そもそも名前からして女性名ではないような……。
異世界には男性と見紛うばかりの女性がいるのかしら?
唯一女性らしいといえるのは、口紅を付けている所だけど……。
普段は付けないのか唇から大きくはみ出してしまっている。
夫である息子2人は、妻と視線を合わせようとはしなかった。
ガーグ老の身内が怪しすぎる!
年齢が逆に見える息子達に、一番年上だと思われる妻? 2人。
そりゃ、ガーグ老も嬉しい表情を見せない訳だ。
紹介されて、私のパーティーメンバーは全員引いているしね。
中断してしまった紹介を再開してくれたので、改めて追加メンバーに自己紹介してもらう事にする。
両親の後に、旭の妹2人も名乗った。
「それにしても、誰も似ておらんの……」
ガーグ老の口から漏れた言葉に、つい心の中で反論してしまう。
いやいや息子さん達程ではないですよ!
こちらは確かに別人なので似てはいませんが旭のお母さん以外、年齢と性別は合ってますからね?
お互いの紹介も終了し、「さて、稽古を始めるとしよう!」と言うガーグ老の一声で稽古が始まった。
増えたお嫁さん2人が旭の方に歩いていく姿を見て、今日は生き残れるだろうかと心配になってしまう。
父は稽古を受ける必要がないと言われ、手持ち無沙汰になったのか雫ちゃんの相手をする事にしたらしい。
知り合いに教えてもらった方が、雫ちゃんもやり易いだろう。
母と旭のお母さんには、ガーグ老の四男と五男が指導に当たるようだ。
ガーグ老から、急所を狙う技を幾つか教えてもらい実践していく。
何度も隙を突こうと頑張ってみたけど、今日も軽くあしらわれてしまった。
相手が強すぎて、自分が上達しているのか分からないんだけど……。
私がダンジョンの魔物を倒しても良いか聞くと、「まだ止めた方がよかろう」と言われる。
残念ながら槍術のLvを上げる道のりは遠そうだ。
ガーグ老からOKのサインが出るまで、兄は槍での接近戦を許してくれないだろう。
2時間程で終了の合図が出る。
旭の方を恐る恐る見ると、生ける屍と化していた。
お嫁さん達、強そうだったもんね!
稽古相手が増えるとは思っておらず、油断していたんだろうな。
雫ちゃんと、お母さんを守るために強くなるんだよ~。
雫ちゃんは父に稽古を付けてもらったのが嬉しいのか、にこにこと笑っている。
それとも、初恋相手によく似た父が稽古相手だった事に喜んでいるのか……。
どちらにせよ旭との差が激しい事に変わりはない。
初めて槍を手にした2人の母親は、少し疲れているみたいだ。
兄は満足した出来だったのか、口元に笑みを湛えている。
初日の稽古は、約1人を除き概ね問題なかったようだ。
昼食の準備を始める前にガーグ老に耳打ちし、昨日の結果を聞くため家具工房へと一緒に向かう。
工房内に入ると、ガーグ老が尋問で聞き出した情報を話してくれた。
「あの2人は、毒を口に仕込んでおった。幸い、持っていた毒消しポーションを飲ませて延命させたがの。なかなか口を割らんで閉口したわ。それで分かった事だが、サラ……ちゃんを見張っていたのは、王の嫁探しのためらしい。既に8人の妻がいるのに、たわけた事を抜かしよる。若く見目好い女子を連れ帰る心算のようだな」
成程……。
リーシャの容姿に目を付けられたのか……。
若い女性と聞いて、雫ちゃんと旭のお母さんの事が心配になった。
「旭の妹2人も選ばれる可能性がありますか?」
「いや、それはないであろう。サラ……ちゃんだけが、ターゲットのようだ。秘密裏に攫うのが目的ならば、事を大きくするのは本意ではなかろう」
「分かりました。ありがとうございます」
尋問した2人の男性についての処分は聞かない事にする。
私を9人目の嫁にしたいとは……。
アシュカナ帝国の王は、かなりの女好きらしい。
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◇小説家になろうでも同時連載中です◇