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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第525話 椎名 響 3 美女になった親友
そして再び彼女の口から地球の食べ物の名前が出た。
「テリヤキチキンピザも食べたいですね」
「あぁ、それもいいな。ツナマヨポテトピザも捨てがたい……」
俺は相手の反応を見るため即答する。
そして、彼女の顔をじっと見つめた。
どうやら向こうも気が付いたらしい。
テリヤキ味を知っているという事は、日本人の可能性が高い。
もう一声とばかりに、カレーや寿司の話題を振ると彼女が食いついてきた。
これはもう、当たりで間違いないな。
まさか、この異世界で日本人に会う事になるとは思わなかった。
しかも相手は、外交上非常に重要な人物だ。
俺達が楽しそうに会話をしている姿を見て、王妃となった妻が目を吊り上げ睨み付けてくる。
普段は俺の事を気にもかけない癖に、女性と会話をしているだけで怒りを露わにするとは……。
嫉妬でもしている心算か?
相手は今日の来賓者の中で、一番の重要人物なんだぞ?
機嫌を損ねる訳にはいかないと、何故気付かないんだ。
こんな無知で頭の悪い女が、この国の王妃だと思うとぞっとする。
どうにか父親諸共いなくなる方法はないものか……。
そんな事を考えながら晩餐会が恙なく終わった後、俺は彼女に興味を持ち酒の席へ誘う事にする。
エルフの国は別大陸にあるので、今夜を逃すともういつ会えるか分からない。
同じ日本人同士なら気兼ねなく会話が出来るだろう、そう思っていた。
貿易品に関し話をするという建前で、貴賓室へと案内する。
俺達の事をじっと見つめる王妃の視線を背中に感じてはいたが、敢えて無視した。
人払いを済ませ部屋に入ると、彼女から次々と質問が浴びせられる。
知っている地名を幾つか答えると、頷きを返していた。
なんだ?
まるで謎々のような会話だな。
この部屋には2人きりだというのに、どうして遠回しに聞く必要が?
もっとこうはっきり、住んでいた場所とか年代とか言えばいいじゃないか……。
焦れた俺が口を開こうとすると、彼女が人差し指を口に当てる。
これは内緒話の合図だ。
誰かに聞かれると不味い内容だという意味だろう。
だが、一体誰に……。
そして地名が更に細かくなった時、その場所に住んでいないと分からない名前が同時に出て驚く。
ひょっとして、同じ町内に住んでいた?
彼女もこの偶然を不思議に思ったのか、首を傾げてみせる。
それにしても、正面から見ると本当に美しい。
女性のエルフに会ったのは彼女だけだが、こんなに綺麗な容姿を見るのは生まれて初めてだ。
その吸い込まれそうな紫の瞳が、彼女の容姿と相まりとても神秘的に見える。
これが眼福ってやつだろうか?
つい目の前の彼女に見惚れていると、唐突に将棋を一局指さないかと誘われた。
今までの会話中、将棋のしの字も出てないのに?
疑問に思いつつ、出来るならと相手をする事を了解した。
すると突然、室内に体格の良いご老人が現れる。
よもや刺客かと思い、俺は即座に席を立ち佩いていた剣を抜き警戒態勢を取った。
近衛は信用出来ず、俺は日頃から剣を鍛えていた。
王族という立場は常に命を狙われる危険がつき纏う。
特に王妃に子供が出来てからは、注意が必要だった。
すると彼女が、そのご老人は自分を護衛している影衆だと言う。
影衆? 忍者みたいな者か?
問題ない事を確認し、一先ず剣を納め席に着く。
彼女がご老人から手渡されていたのは、手作りの将棋盤と駒だった。
対局を初めて直ぐに違和感を覚える。
彼女の指し方は、俺の親友にどことなく似ているような?
10分後――。
「参りました」
そう負けを認めた彼女が続けた言葉は、日本語での名前だった。
「響かよ!」
「やっぱり樹だったか!」
再び姿を隠した影衆のご老人に聞かれたくないようなので、そのまま日本語での会話を続ける。
しかしこの美女が、俺の親友とは……。
何かの間違いであってほしかった。
見惚れたのがバカバカしい。
中身を知ると非常に残念な気持ちになるじゃないか!
その後、樹は影衆に部屋の外で待機するよう指示を出し、2人で本格的に不味い酒を飲み始めた。
色々話を聞くと、樹はエルフではなくハイエルフという種族で寿命が1,000年以上あるらしい。
記憶が戻ったのは180年程前で、現在は300歳だと聞き目が点になる。
女の体になったため、かなり不便を感じているようだ。
お前は男のままでいいよな~と羨ましがっている。
それでも180年、女として生きてきたんだから問題ないんじゃないか?
通算したら、女の方が長いだろうに……。
樹は男としての自覚があるままなので、違和感しかないと言っていた。
でもほら、ちょっと興味が湧くよな?
その色々と……。
酒が進み大人の会話が始まると、男とは絶対出来ないと嘆く。
身近な女性は、女官と近衛騎士しかおらず手も出せなかったようだ。
そりゃ、残念。
300歳で未経験とは、30歳で童貞の俺の方がまだましか。
そして同時に異世界に転生した俺達の時代がズレていた事も気に掛かる。
しかも、何故2人一緒だったのか……。
樹が国に戻ったら、また籠の鳥状態になると聞いて不憫になる。
それは幾ら何でも可哀想だ。
何とか親友を自由にしてやりたい。
俺に会えた事で帰国を延ばすらしいので、その間に上手い方法を探してみよう。
そう言ってやると、樹が感極まったのか俺に抱き着いてくる。
いや、あんまり密着されると困るんだが……。
この体は女に耐性がなさすぎる!
どうやら樹は本当に女の自覚がないようだった。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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「テリヤキチキンピザも食べたいですね」
「あぁ、それもいいな。ツナマヨポテトピザも捨てがたい……」
俺は相手の反応を見るため即答する。
そして、彼女の顔をじっと見つめた。
どうやら向こうも気が付いたらしい。
テリヤキ味を知っているという事は、日本人の可能性が高い。
もう一声とばかりに、カレーや寿司の話題を振ると彼女が食いついてきた。
これはもう、当たりで間違いないな。
まさか、この異世界で日本人に会う事になるとは思わなかった。
しかも相手は、外交上非常に重要な人物だ。
俺達が楽しそうに会話をしている姿を見て、王妃となった妻が目を吊り上げ睨み付けてくる。
普段は俺の事を気にもかけない癖に、女性と会話をしているだけで怒りを露わにするとは……。
嫉妬でもしている心算か?
相手は今日の来賓者の中で、一番の重要人物なんだぞ?
機嫌を損ねる訳にはいかないと、何故気付かないんだ。
こんな無知で頭の悪い女が、この国の王妃だと思うとぞっとする。
どうにか父親諸共いなくなる方法はないものか……。
そんな事を考えながら晩餐会が恙なく終わった後、俺は彼女に興味を持ち酒の席へ誘う事にする。
エルフの国は別大陸にあるので、今夜を逃すともういつ会えるか分からない。
同じ日本人同士なら気兼ねなく会話が出来るだろう、そう思っていた。
貿易品に関し話をするという建前で、貴賓室へと案内する。
俺達の事をじっと見つめる王妃の視線を背中に感じてはいたが、敢えて無視した。
人払いを済ませ部屋に入ると、彼女から次々と質問が浴びせられる。
知っている地名を幾つか答えると、頷きを返していた。
なんだ?
まるで謎々のような会話だな。
この部屋には2人きりだというのに、どうして遠回しに聞く必要が?
もっとこうはっきり、住んでいた場所とか年代とか言えばいいじゃないか……。
焦れた俺が口を開こうとすると、彼女が人差し指を口に当てる。
これは内緒話の合図だ。
誰かに聞かれると不味い内容だという意味だろう。
だが、一体誰に……。
そして地名が更に細かくなった時、その場所に住んでいないと分からない名前が同時に出て驚く。
ひょっとして、同じ町内に住んでいた?
彼女もこの偶然を不思議に思ったのか、首を傾げてみせる。
それにしても、正面から見ると本当に美しい。
女性のエルフに会ったのは彼女だけだが、こんなに綺麗な容姿を見るのは生まれて初めてだ。
その吸い込まれそうな紫の瞳が、彼女の容姿と相まりとても神秘的に見える。
これが眼福ってやつだろうか?
つい目の前の彼女に見惚れていると、唐突に将棋を一局指さないかと誘われた。
今までの会話中、将棋のしの字も出てないのに?
疑問に思いつつ、出来るならと相手をする事を了解した。
すると突然、室内に体格の良いご老人が現れる。
よもや刺客かと思い、俺は即座に席を立ち佩いていた剣を抜き警戒態勢を取った。
近衛は信用出来ず、俺は日頃から剣を鍛えていた。
王族という立場は常に命を狙われる危険がつき纏う。
特に王妃に子供が出来てからは、注意が必要だった。
すると彼女が、そのご老人は自分を護衛している影衆だと言う。
影衆? 忍者みたいな者か?
問題ない事を確認し、一先ず剣を納め席に着く。
彼女がご老人から手渡されていたのは、手作りの将棋盤と駒だった。
対局を初めて直ぐに違和感を覚える。
彼女の指し方は、俺の親友にどことなく似ているような?
10分後――。
「参りました」
そう負けを認めた彼女が続けた言葉は、日本語での名前だった。
「響かよ!」
「やっぱり樹だったか!」
再び姿を隠した影衆のご老人に聞かれたくないようなので、そのまま日本語での会話を続ける。
しかしこの美女が、俺の親友とは……。
何かの間違いであってほしかった。
見惚れたのがバカバカしい。
中身を知ると非常に残念な気持ちになるじゃないか!
その後、樹は影衆に部屋の外で待機するよう指示を出し、2人で本格的に不味い酒を飲み始めた。
色々話を聞くと、樹はエルフではなくハイエルフという種族で寿命が1,000年以上あるらしい。
記憶が戻ったのは180年程前で、現在は300歳だと聞き目が点になる。
女の体になったため、かなり不便を感じているようだ。
お前は男のままでいいよな~と羨ましがっている。
それでも180年、女として生きてきたんだから問題ないんじゃないか?
通算したら、女の方が長いだろうに……。
樹は男としての自覚があるままなので、違和感しかないと言っていた。
でもほら、ちょっと興味が湧くよな?
その色々と……。
酒が進み大人の会話が始まると、男とは絶対出来ないと嘆く。
身近な女性は、女官と近衛騎士しかおらず手も出せなかったようだ。
そりゃ、残念。
300歳で未経験とは、30歳で童貞の俺の方がまだましか。
そして同時に異世界に転生した俺達の時代がズレていた事も気に掛かる。
しかも、何故2人一緒だったのか……。
樹が国に戻ったら、また籠の鳥状態になると聞いて不憫になる。
それは幾ら何でも可哀想だ。
何とか親友を自由にしてやりたい。
俺に会えた事で帰国を延ばすらしいので、その間に上手い方法を探してみよう。
そう言ってやると、樹が感極まったのか俺に抱き着いてくる。
いや、あんまり密着されると困るんだが……。
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