自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
436 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第562話 迷宮都市 地下15階 秘密のLv上げ10(摩天楼のダンジョン11階~12階)&亡くなった冒険者

 翌日、水曜日。
 午前中は、いつもの薬草採取と果物の収穫をして、午後からは摩天楼まてんろうのダンジョンへ移動する。
 摩天楼の都市に着くなり、ポチが上空から父を目指し飛んできた。
 昨日は迷宮都市に帰らなかったのかな?
 一緒にダンジョンを攻略するか聞くと、羽をバタバタさせ答えるので今日も父の右肩に乗ったままらしい。

 さて11階からの攻略開始。
 迷宮都市のダンジョンは地下11階から森に変わっていたけど、ここはどうかな?
 マッピングを使用し11階まで移動すると、やはり森のダンジョンになっていた。
 それなら生っている果物があるかも知れない。
 シルバーに乗ったまま安全地帯へ到着後、直ぐにテントを設置して中へ入る。
 11階を上空から俯瞰ふかんすると、初めて見る魔物の姿を発見。

 森の中にリスの魔物とムササビの魔物がいる。
 そして木には何かが生っていた。
 この形は……胡桃くるみだろうか?
 アイテムBOXに収納し取り出してみると、テニスボール大の胡桃だった。
 どうやら摩天楼のダンジョンでは、木の実が生るようだ。
 ランダムに生る物があるのか探したけど、ここには胡桃しかないらしい。
 へぇ~。
 ダンジョンマスターは、ナッツ好きな人だったのかも?

「お父さん、摩天楼のダンジョンは木の実が生るみたいだよ~」
 
「知らなかったな……。それがあれば……、いや何でもない」

「全部収穫するから、少し待ってね!」

「あぁ、全部か……」

 私は視界に入った胡桃を次々とアイテムBOXへ収納していく。
 これも、お菓子の材料になるから嬉しいなぁ。
 アプリコットと一緒に子供達の巾着へ入れてあげよう。
 全ての胡桃を収穫し、安全地帯から出て攻略に向かう。
 森に近付くと、先程見たリスの魔物が木の枝を移動している姿が見えた。
 
 5m程の高さにいるので、冒険者達は相手にしないだろうなぁ。
 ドレインで昏倒させると、枝からドサッと落ちる。
 体長30cmの小さな魔物で可愛い。
 私がでようとした所、急に父から手をつかまれた。

「沙良、テイムした魔物以外を触るのは危険だ。毒があるかも知れん」

「リスの魔物なのに?」

「日本の動物と同じとは限らない」

 父の顔がやけに真剣だったので、私は言われた言葉に従い手を引っ込めた。
 見た目が可愛い魔物を槍で突き刺すのは躊躇ためらわれ、脳を石化する。
 リスの毛は、化粧筆として高級品だ。
 傷がない状態の方がいいだろう。
 父はその間、飛んできたムササビを切り落としていた。
 魔物だけど容赦ようしゃないな……。

 他は見知った魔物ばかりでLv上げに適さない。
 1時間程で切り上げ12階へ移動。
 安全地帯に到着後、テントを設置し中へ入る。
 木の実を探すとアーモンドを発見!
 こちらも全て収穫する。

 初見なのは、キツツキの魔物とカエルの魔物だった。
 キツツキの魔物は体長1m。
 長いくちばしで体を突かれると穴が空きそう……。
 脳を石化させ倒す。
 カエルの魔物は体長1m。
 見た目は緑色で、アマガエルのような姿に見える。

 王都のダンジョンにカエルの魔物がいると聞いていたけど、摩天楼のダンジョンにもいるのか……。
 鳴き声を聞くと眠ってしまうらしいから注意が必要だ。
 と思っていると、父が首を切断した。
 うん、魔物だしね。
 父は首を切断するのが一番早いと思っているんだろう。

 他に初見の魔物は見当たらず、1時間が経過したのでポチをテント内に置き迷宮都市のダンジョンへ戻った。
 地下15階の安全地帯に入りテント前までいくと、兄からするどい制止の声が掛かる。

「沙良、こっちにくるんじゃない!」

 普段とは違う厳しい表情をした兄を見て、足が止まり動けなくなった。
 
「お兄ちゃん。……何かあったの?」

 私は震える声で、そう尋ねるのが精一杯だった。
 分かってはいたけど……。
 ついに冒険者が亡くなってしまったのかと思ったからだ。
 異世界にきて8年間。
 兄と旭が治療し続けた理由だ。

 私に亡くなる人を見せたくなかったんだろう。
 正直冒険者をしていれば、それは避けられない事だ。
 いつも治療が間に合うとは限らない。
 今までは、ただ運が良かっただけ……。
 覚悟を決めて動かない足を1歩踏み出そうとすると、隣にいた父が私の肩を抱き寄せ兄の方へいかせないようにする。

「沙良、賢也けんやの言う通りにしよう」

 父は落ち着いた静かな声でそう言った後、私を抱き締め離さなかった。
 私はその間、アマンダさんとダンクさんのパーティーメンバーがそろっている姿を見て気分を落ち着かせる。
 しばらくすると、黒い布で包まれた人をパーティーメンバーが沈鬱ちんうつな表情で運び出す。

 テント前から私達のパーティー以外いなくなると、ようやく父が体を離してくれた。
 そこに1人の姿だけなかったのは、母を思い兄がテント内で待機させたのか……。
 しずくちゃんとお母さんは、冒険者活動をしている間に何度も経験があるんだろう。

「待たせたな。テントに入ろう」

 兄は先程とは違い普段通りの声で、私達をうながす。
 テント内に入ると誰も何も言わなかった。
 私は全員をホームへ移転させ、休憩している旭に小声で何があったか尋ねる。

「俺達の所に運ばれた時点で、既に脈がない状態だったんだよ。残念だけど、助けられなかった」

「そう……。怪我の状態がひどかったの?」

「うん。大きな血管が切れていたから、流れた血が多すぎたんだろうね」 

「分かった。教えてくれてありがとう」

 15分後、再びテントに戻りそれぞれ攻略へ向かった。
 戦争では、もっと多くの人命が失われる。
 そこには知り合いの冒険者や子供達も含まれるかも知れない。
 やはり早急にLv上げが必要だ。
 1階層毎に攻略するのは時間が掛かりすぎるかも……。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇