自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第564話 迷宮都市 地下15階 秘密のLv上げ12(摩天楼のダンジョン13階~20階)&S級冒険者のセイさん

 父の考え事が一段落したとみて、私はさっさとテントを収納し13階の攻略を始めた。
 時間も押しているから、マッピングで階段を見付け真っ直ぐに突き進む。
 迷宮都市のダンジョン地下30階~地下27階の魔物を倒している私達では、13階の魔物を討伐した所でLvは上がらないだろう。
 初見の魔物は気になるけど、兄達と攻略する時に見ればいいかとスルーする。

 14階に生っている木の実は、カシューナッツだった。
 この階層も移動のためだけに走り抜ける。
 15階の木の実は、マカダミアナッツ。
 いずれも大きなサイズで1個食べたら、お腹一杯になりそう。
 ここで、時間切れとなり迷宮都市へ戻った。

 翌日、木曜日。
 午後から摩天楼のダンジョンへ移動し、16階から攻略する。
 16階の木の実は、ヘーゼルナッツ。
 17階の木の実は、ピーカンナッツ。
 18階の木の実は、ピリナッツ。 
 19階の木の実は、栗。
 20階の木の実は、ココナッツ。

 ん?
 ココナッツも木の実なんだろうか?
 20階の安全地帯に到着後、テントを設置し木の実を探していた私は疑問に思う。
 まぁ、木に生るので問題ないか……。
 そもそもダンジョンの森は、日本と同じ植生をしている訳じゃないからね。

 1階がアンデッド階層だった事から、20階は迷宮都市の28階に当たるのではと予想。
 そろそろ、本腰を入れ攻略しても良いかも知れない。
 テントから出て攻略へいこうとしたら、黒髪・黒目で日本人にしか見えない男性を見掛けた。
 あぁっ!
 もしかしてあの人は、異世界転移したS級冒険者のセイさん?
 会って色々な話を聞きたい!

「お父さん。私達と同じように、異世界に転移した日本人がいるかも知れないの。話をしてもいいかな?」

何処どこにいるんだ?」

 怪訝けげんそうに尋ねる父へ、セイさんが歩いている方向を教える。

ひじりじゃないか!」

 叫ぶと、私を置き去りにし駆け出してしまった。
 父の知り合いなの?
 私もあわてて後を追い駆ける。
 すると2人が再会を喜んでいた。

「突然行方不明になったと思ったら、この世界にいたのか!」

ひびきさんと会えるなんて、驚きました!」

 父からセイさんは銀行の後輩だと紹介してもらう。
 探していた日本人が父の知り合いだったとは……。
 私も初対面の自己紹介をする。
 娘の沙良ですと言うと、セイさんは驚いていた。
 まぁ、似ていないと思ったんだろう。
 リーシャの容姿から父の娘だとは考えにくい。

 今は地上へ帰還する途中で安全地帯に寄ったのだとか。
 一緒にいるメンバーへ断り、セイさんを私達のテント内に案内した。
 私がセイさんの書いた手紙を見付けた話をすると、すごい偶然だねと笑っている。
 予想では60歳以上の姿だと思っていたけど、セイさんは40代後半にしか見えなかった。
 ジョンさん達と迷宮都市のダンジョンを攻略している時点で、45歳のはずなんだけど……。
 それから20年間石化されたジョンさんを考えると、見た目年齢が合わない。

「あの、迷宮都市でジョンさんのクランメンバーだったセイさんですよね?」

「そうだけど……。君はジョンを知っているの?」

「はい。全身が石化状態で発見されましたけど……。治療後、元気に冒険者活動してますよ」

「えっ、ジョンは生きてるの!?」

「はい、今は迷宮都市の地下19階を攻略している最中です」

 帰還しなかったクランリーダーの生存を知り、セイさんが泣き出してしまった。
 確か製麺店のバスクさんが、セイさんはクランメンバーから可愛がられていたと言ってたなぁ。
 旭より身長が低いから、保護対象になっていたのかも?
 その割には「黒炎こくえん」とかいう、物騒ぶっそう渾名あだなが付けられていたけど……。

「良かった。迷宮都市へ会いにいこう!」

 そう言いながら泣き続けているセイさんへ、アイテムBOXからティッシュを取り出し渡す。
 彼はティッシュを受け取り、思い切り鼻をかんだ。
 その後、ティッシュの存在に気付きしばらく固まってしまう。

「なんで、ティッシュが……」

 それを説明するには少々時間が掛かる。
 私はいつもの手紙をセイさんに渡し読んでもらった。

「能力に差があり過ぎるでしょ……」

 手紙を読んだセイさんは再び固まり絶句する。
 気分が落ち着くよう缶コーヒーを差し出すと、

「ずるいなぁ……」

 と言いながらも全て飲み干し満足した表情になった。
 
「そう言えば、お前。運命の相手を探すと豪語ごうごしてたが、見付かったのか?」

「たった今、見付かりました。響さん、お嬢さんを私に下さい!」

 父が何の脈絡もなくセイさんへ尋ねると、予想外の答えが返ってくる。
 それ、私の能力目当てじゃん!

「すみません。3ヶ月後には人妻になるので結婚は無理です」

 私が即座に断ると、セイさんは悲壮ひそうな顔を父へ向ける。
 
「悪いが娘はやれん」

 父にもきっぱりと断られ、セイさんは項垂うなだれてしまった。

「運命の人だと私の勘が告げているのに、先約済みなのか……。それなら、一緒にパーティーを組みたいです!」

 突然のパーティー加入宣言に、父も私も顔を見合わせたのだった。

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