自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第572話 迷宮都市 お礼の『チーズバーガー』&木の妖精

 今日のお昼は『チーズバーガー』と『フライドポテト』。
 以前『フィッシュバーガー』を作ったけど、ここは王道の『ハンバーガー』を食べさせてあげよう!
 確か姫様も好きだったと、ガーグ老が言っていた気がするし……。
 挽肉ひきにく作りはしずくちゃんに任せ、私は『フライドポテト』を揚げる準備をする。
 母には玉ねぎをみじん切りにし、炒めてもらう。
 兄達には、丸く成型したナンを焼くようお願いした。

 挽肉と炒めた玉ねぎにし塩・胡椒こしょう・卵液を加えよく混ぜたら、粘りが出るまでね合わせてのひらサイズの大きさにする。
 よく食べるご老人達は、日本人サイズの『バーガー』1個じゃ足りないだろう。
 ボリューム満点のサイズにしたから、1個食べるだけで満足すると思う。
 女性陣には半分のサイズで丁度よい。

 レタスとピクルスがないのだけが不満だけど、そこはもうケチャップ味で誤魔化ごまかそう。
 大きなハンバーグを母に焼いてもらい、私は皮付きのままくし切りにしたじゃが芋をラード入りの油で揚げていく。
 周囲に調理中の匂いがただよい始めると、風もないのに庭の木の枝が揺れ出した。
 異世界には木の妖精でもいるのかしら?
 私には見えないけど……。

 何かお供えしたら、ご利益があるかも?
 家妖精はクッキーやミルクをあげると、代わりに家事をしてくれる良い妖精だ。
 木の妖精は、何の役に立つか分からないなぁ~。
 先週も何だか食べたいと自己主張していた気がするから、お昼ご飯を少し分けてあげよう。
 完成した『チーズバーガー』半分と『フライドポテト』を皿へ載せ、枝が揺れている木の下に置いた。
 すると枝が大きく動き、バサバサと音を立てる。

 あぁ、やはり妖精・・がいるんだわ!
 どれくらいの量を食べるか分からないので、ナッツ入りのショードブレッドを2本追加した。
 多分、人がいると姿を見せないと思うから私は静かにその場を立ち去る。
 やっぱりファンタジー世界には、不思議な生き物がいるみたい。
 
「お待たせしました。皆さん、今日もありがとうございます。お昼のメニューは、『チーズバーガー』と『フライドポテト』です。揚げたては熱いので火傷に注意しながら食べて下さいね。それでは頂きましょう」

「頂きます!」

 ガーグ老が、料理名を聞き涙ぐんでいる。

「これが、姫様の食べたがっておられた『ハンバーガー』かの……。うむ、旨いのぉ~」

 亡くなってしまった姫様を思い出したのか、ご老人達まで目に涙を浮かべている。
 そして、かなりボリュームのあった『チーズバーガー』は、あっという間に皿から消えた。
 皆さん、そんなにお腹が空いてたんですか?
 大量に揚げた『フライドポテト』と、何故なぜかエールではなく紅茶を飲んでいる。
 やはり忙しくて、今日は午後から仕事なのかも知れないな。

「お兄ちゃん。庭の木に妖精がいたの!」

「何だって?」

「先週から、いるような気配を感じてたんだよ~。料理を作っていると木の枝が揺れ出すから、おかしいと思ってたんだけどね。何かご利益があるかも知れないと、お供えしたら枝をバサバサ揺らしてた!」

 私の話を聞いた、父とガーグ老達が一斉に動きを止める。
 あれ?
 内緒にしておかないと駄目だった?
 妖精は人間に気付かれると、いなくなってしまうのだろうか?

「サラ……ちゃん。木の妖精・・に気付くとは驚いたわ。妖精は、食いしん坊だでな。料理の匂いにかれて集まったのだろう」

「あっ、やっぱり妖精がいるんですね! お兄ちゃん、私の勘が当たったみたいだよ?」

「妖精がいるのか……」

「どんな姿をしてるんだろう? はねが生えた小さくて可愛い妖精かな?」

「うっ、うむ……あれらは人前に姿を現さんで、何とも言えんが……。意外とたくましい男性の姿をしておるかも知れんの」
 
 ガーグ老から妖精像を聞き、私のイメージが崩れ去った。
 いや、そんな妖精は可愛くない。
 きっと子供姿の小さい妖精だよ!

「わぁ~、私も妖精を見てみたいなぁ~」

 雫ちゃんが、私達の話を聞き顔を上気させ興奮していた。
 うんうん、異世界といえば会ってみたい生物だよね~。

「まぁ、じゃあ私も何か作ってお供えしようかしら?」

 と雫ちゃんのお母さんが言う。
 あ~、それは止めた方がいいかも……。
 妖精が逃げ出しそうだ。
 普通にダンジョン産の果物をあげて下さい。
 食事を終え、もう妖精は食べ終わったかしらと木へ近付く。
 そこには皿から料理が消え、文字が書かれた羊皮紙が載っていた。

『サラ様。昼食をありがとうございます。大変美味しかったです。もし可能であれば、細長いクッキーを我が主のガーグ老へ差し入れて下さると助かります。いつも御身のそばで見守っております。』

 ……。
 やけに人間くさい妖精だな。
 私の名前を知っているなら言葉が分かるらしい。
 文字も書けるとは、この世界の妖精は賢いようだ。
 ガーグ老の言った通り、小さな子供ではないかも知れない。
 なんか武人に通じる所がある文面だ。
 嫌ぁ~!
 たくましい男性姿の妖精に、需要はないわよ!

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