自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第644話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(30階) 竜の卵への石化治療

 石化した竜の卵を慎重にアイテムBOXへ収納し、再び鉱物を探す。
 3時間で採取した青色と黄色の鉱物をシュウゲンさんへ見せると、これも宝石になる物らしい。
 武器の素材になるような鉱物は少ないのかな?
 安全地帯へ戻ると旭が半泣きになっている。
 どうしたのか聞くと、山吹やまぶきが突撃して倒した魔物をアイテムBOXへ収納したら怒って相手にしてもらえず、仕方なく兄と一緒にフォレストへ騎乗し攻略したみたい。
 あぁ、獲物を横取りされたと思ったのか……。

「沙良ちゃん。山吹やまぶきに機嫌を直すよう、お願いして~」

「じゃあ、山吹やまぶきが倒した魔物を出してあげて」

 旭がテント前に10匹の魔物を出すと、そっぽを向き寝そべっていた山吹やまぶきが立ち上がり、自分の狩った魔物に前足を載せマジックバッグへ次々と入れる。
 そうした後、私の前にきて再び魔物を10匹出した。

山吹やまぶき、ありがとう!」

 お礼を言い頭をでてあげると、嬉しそうに私の周りをくるくると回る。

「旭は、山吹やまぶきがマジックバッグを持っているのを知らなかったんだよ。荷物になると思って、アイテムBOXへ収納しちゃったみたいなの。これからは、ちゃんと山吹やまぶきがマジックバッグに入れるのを待ってくれると思う。反省してるみたいだから騎乗させてあげてね!」

 私の言葉を聞いた山吹やまぶきは、本当? と言うように旭をじっと見つめた。
 理由を知った旭が、山吹やまぶきの前で土下座し謝っている。
 その行動の意味は従魔に分からないと思うけど、体を自分より低くし頭を下げている行為に思う所があったのだろう。
 山吹やまぶきは「ウォン」と一声鳴き、旭の肩に前足を載せポンポンと叩く仕草しぐさをした。
 まぁ、今回は許してやろうといった所かしら?
 この件は事前に旭へ連絡しなかった私のミスだから、後で謝っておこう。

 兄と父はアイテムBOXを持っていないから、マジックバッグに収納する時は一度従魔から降りて魔物に触れる必要がある。
 きっと、その前にフォレストと泰雅たいがが自分のマジックバッグへ入れて気付いたんだろう。
 山吹やまぶきが機嫌を直したのを見た2匹が、自分達の狩った魔物を私の前に出してくれた。
 その数50匹! 3時間で、かなり沢山の魔物を倒したらしく隣で兄が苦笑している。

「今日はフォレストが魔物に突っ込んでいくから驚いた。お前に獲物を渡したかったんだな」

「従魔達へマジックバッグを渡したからね~。いつきおじさんが、ポシェットをマジックバッグにしてくれたんだよ」

「そうか。フォレスト、良い物をもらったな」

 兄の言葉に、フォレストが尻尾をフリフリさせ頭を上下に動かしている。
 うんんっ? もしかして、兄の言った事が分かってる?
 攻略日は毎日一緒のテントで寝ているし、兄にとても懐いているからテイム魔法が習得出来たのかな?
 そう思い兄へ聞いてみると、まだ覚えていないみたいだ。
 でもフォレストの状態を見る限り、時間の問題のような気がするなぁ。
 兄は本当に、このままテイム魔法を習得しそう。
 旭は……無理か。

「フォレスト、泰雅たいが。沢山魔物を倒してくれてありがとう!」

 お礼を言い頑張ったねと頭をでると、少しドヤ顔をする2匹に笑ってしまう。
 従魔達は表情ゆたかだ。
 シュウゲンさんをホームの実家に送り、私達は迷宮都市のダンジョンへ戻る。
 夕食後、兄と旭をテントへ送る前に話があると言い席に着いてもらった。
 お願い事は食後にした方がいい。
 デザートはマンゴーを出したから兄の機嫌も良いはずだ。

「お兄ちゃん。前にダンクさんの両親を石化から治療したでしょ? 石化された魔物も治療出来るかな?」

「石化された魔物? 魔物同士は戦わないから、そんな状態にならないだろう」

「え~っと……。今日洞窟で鉱物を採取していた時、壁の中に石化した卵を見付けたから出してみるね」
 
 兄がそれ以上何かを言う前に、私は1m程ある竜の卵を出した。

「沙良……。鉱物を採取していたんじゃないのか? それにしても、大きな卵だな」

 兄はあきれたように私を見て言う。

「シュウゲンさんに確認したら、竜の卵なんだって!」
   
「「竜!?」」

 2人の声がハモった。
 
「石化の状態だから、治療出来ないかと思って……。お兄ちゃん、お願い! 治してあげて!」

 私は両手を組み、上目遣いにウルウルさせた瞳で兄をじっと見つめる。
 必殺のお願いポーズに兄は動じなかったけど旭は釣れたようで、

賢也けんや、試してみよう!」

 と言ってくれた。

「また厄介やっかい代物しろものを……」
 
 兄は旭の言葉を無視し渋面じゅうめんになる。
 
「沙良。分かっているだろうが竜は大きくなるんだぞ? 一体、何処どこで飼う心算つもりだ」

「ホーム内なら、人目に触れないでしょ? Lvが上がって、いける範囲も増えたし大丈夫だよ」

 Lv50の恩恵で、ホーム内は555km移動可能だ。

「石化の解除をしても、卵が孵化ふかするとは限らない。中で死んでいる状態かも知れないぞ?」

「うん、分かってる。でも、生きている可能性もあるよね?」

「やってみるが、あまり期待はするなよ」

「お兄ちゃん、ありがとう!」

 もっと難色を示すだろうと思っていたら、意外と早く兄が了解してくれる。
 竜が見たいんだろうか?
 兄が席を立ち、石化した竜の卵に手を触れた。
 
「くっ……。魔力を持っていかれる。旭、お前もヒールを掛けてくれ」
 
 兄に呼ばれ、旭があわてて席を立ち竜の卵に手をかける。
 私は卵の変化を見逃さないよう、じっと見続けた。
 灰色だった卵の表面が徐々に色を変えていき、しばらくすると翡翠ひすい色が現れた。
 でもその部分は極僅ごくわずかで兄達が手を触れている場所だけだ。
 魔力残量が少なくなったのか、旭がアイテムBOXからハイエーテルを2本取り出し兄へと渡す。
 2人が魔力を回復させ更に治療を続けた。
 5分程すると、兄は卵から手を離してしまう。

「魔力が足りないな……。それともヒールLvが10じゃ難しいのかも知れん。今日は、これ以上無理だ」

 ダンクさんの両親のように、直ぐに石化が解除されると思っていた私はがっかりしてしまった。
 ヒールLvかぁ……。

「お兄ちゃん、今日Lvは上がった?」

「46になった」
 
「Lv50だと、魔法Lvが20まで上げられるようになるの。それに、新しい魔法を覚えられるかも知れない」

「何でそんな事が分かるんだ?」

「てっ、『手紙の人』にお願いしておいたから! ほら、色々と融通ゆうづうを利かせてくれるでしょ?」

「あぁ、ポイントカードの件か……。俺もハイヒールを覚えられるよう、お願いしておこう」

 少し顔色が悪い兄達へお礼を言い、テントに送り部屋へ戻った。
 大分、無理をさせてしまったかも知れない。
 卵はアイテムBOXに入れておけば時間が停止しているから、毎日少しずつ石化治療をしてもらおう。
 さっきは、ついLv50の恩恵を口に出してしまいバレないか冷や冷やしたよ!

 ヒールよりハイヒールの方が効果がありそうなので、私からも『手紙の人』にお願いした方がいいかな?
 あれ? 父からLv50になった恩恵を聞いてない。
 何だったか明日、聞いてみよう。
 兄達のLvが、早く50に上がらないかな~と思いながら眠りにいた。

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