自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第645話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(30階) 兄のLv50の恩恵&サヨさんとメンバーのLv上げ

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 その後、3日間。
 毎日卵に兄達が石化の治療をしてくれた。
 基礎値が高くMPが多いしずくちゃんのお母さんにもお願いしてみたけど、知識の差なのか石化の治療は無理らしい。
 皆に竜の卵を披露ひろうすると、いつきおじさんが興味を示し、
 
「風太は元気かなぁ」

 と言いながら卵をでていた。
 風太って誰? ペットでも飼っていたんだろうか?
 解除された石化部分を父が鑑定し、風竜だと教えてくれる。
 シュウゲンさんとかなで伯父さんが無事孵化ふかするといいなと言い、卵へ大切そうに触れていた。
 私は母のお腹にいる香織かおりちゃんに、石化された竜の卵を発見した事を報告し兄達が治療出来たら孵化するかも知れないと伝える。
 ドラゴンの話を聞きたがっていたから、沢山たくさん話してあげよう。
 産まれたら、一緒に遊べるかも知れないね。

 兄がLv50になったので、恩恵を確認するとハイヒールを覚えたみたい。
 父に聞いたら、残念ながら何も覚えられなかったと言う。
 父の能力は特殊過ぎて派生する魔法がないのかな? Lv100に期待しよう。
 兄が卵ヘハイヒールを掛けると、ヒール使用時に比べ倍の面積の石化が解除された。
 そこで翡翠ひすい色だとばかり思っていた殻の表面に黄金色が現れる。
 父に再びその場所を鑑定してもらったら、光竜の可能性が出てきた。
 どうやら、この卵は風竜と光竜の間に出来た子供らしい。

 属性違いの竜がつがいになる場合もあるのかぁ。
 母親はどちらだろう? 子供が父親の属性でも、魔力を与え育てられるのかしら?
 そう考えて、ふと育たないと直感が告げる。
 竜に対する知識がないのに、何故なぜそう思ったのかは分からない。

「奏伯父さん。竜は両親から魔力を貰って育つんですよね?」

「あぁ、そうだと思う」

「じゃあ、属性違いの両親の場合は?」

「母親の属性なら問題ないが……。父親の属性だと難しいだろうな」

 ふむ母親は子供に魔力を与えられるけど、父親は無理だという事だろう。
 もしかしたら、この卵は父親の属性で育てられなかったのかも知れない。
 石化状態なのは、子供が亡くなる前に時を止めたかった?
 人間がコールドスリープを試すように、未来へ希望をたくしたのか……。
 まだ半分以上石化状態の卵をアイテムBOXに収納し、助けてあげられたらいいなと思う。
 子供が生きていれば、私なら何とか出来ると妙な自信があった。

 土曜日。
 兄達と一緒に奏屋かなでやへ果物を卸した後、雫ちゃんのお母さんを迎えにいき薬師ギルドへ。
 受付嬢へ応接室に案内され、3人が用意されたポーションへ浄化とヒールを掛けていく。
 数分後にゼリアさんが現れ浄化代とヒール代を渡す際、今日も雫ちゃんのお母さんに対し敬う態度を見せる。
 皆、ゼリアさんがボケていると知っているから反応せず薬師ギルドを後にした。

 華蘭からんに寄りサヨさんと一緒にホームへ戻ってくる。
 午後からは、雫ちゃんとお母さんに樹おじさんとサヨさんと母のLv上げをする予定。
 昼食は兄達行きつけの、お寿司屋さんで食べ、シュウゲンさんが支払ってくれた。
 祖父が事前に父から金貨を日本円に換金していたようだ。
 ここは一家の家長として支払いたかったのかな?

 旭家と血のつながりはないけど、しずくちゃんのお母さんは奏伯父さんの娘だから全員が身内になる。
 サヨさんは孫と曾孫ひまごが増え嬉しそう。
 見た目年齢が、おかしな事になっているのは今更だ。
 旭が曾孫だと知り少し驚いていたけどね。

 食事を終えた後、全員で異世界の家の庭へ移転する。
 摩天楼まてんろうのダンジョンで収納した魔物を出し、Lv上げをしてもらおう。
 妊娠している母には、無理をしないよう父が付き添い注意しながら倒している。
 接近戦は避け、一度昏倒させてから魔法を撃つよう指示を出していた。
 サヨさんは、祖父に見守られながら薙刀なぎなたで魔物の首をねている。
 そのいさましい姿を懐かしそうに見ているんだけど、結構強烈だよね~。

 雫ちゃんとお母さんも楽しそうに魔物を倒し、樹おじさんは槍で無双していた。
 3時間後、Lvが上がり皆喜んでいる様子。
 サヨさんがLv30に上がった事で変化が現れる。

「お母さん。少し若返ったんじゃない?」

 78歳だったサヨさんの見た目年齢が、60代に変わっていたのだ。
 やはりLvと寿命の関係から、高齢でLvが上がった場合は若返りの効果があるらしい。
 これを異世界の人は知っているんだろうか?
 70歳を過ぎてから一気にLvを30まで上げる人はいないだろうから、知られていない情報かも……。

「まぁ、本当?」

 母に言われ驚くサヨさんの前に姿見を出してあげた。
 鏡で自分の顔をしげしげと見つめた後、サヨさんは納得したのか顔をほころばせる。   

「少し、顔のしわが減ったわ」

 と嬉しそう。
 後で老紳士が気付くかな? 大丈夫だろうか?
 このままLv上げをして、どんどん若返るようならこれ以上は止めた方がいいかも知れない。
 他のメンバーはLv35に上がったから、あと一度Lv上げをすれば40になるだろう。
 母もLv40になればHPが上がり体力が付くので、高齢出産の不安も少しは軽減される。
 テイムした従魔も主人のLvと同じになるし、雫ちゃん達も安全に攻略出来ると思う。
 飛び跳ねるフォレストウサギの高さが心配だけど……、きっと加減しながら走ってくれるよね?

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