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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第674話 迷宮都市 妹の召喚
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手紙を読み終わると、ある一文が気になった。
『冒険者がいる階層には移動出来ません』って、茜は51階より下には行けないという事?
「あの……、これだと茜さんは51階からしか移動出来ませんよね?」
セイさんも同じ疑問を感じたのか、今まで家族に遠慮し黙っていたようだけど質問を投げかけた。
「そこが憎い所だな。武器も防具もなくLv0の状態で、いきなり51階の魔物と戦う羽目になった。今となっては、あれも良い思い出だよ……」
その時の記憶を思い起こしたのか、茜は遠い目になって呟く。
いやいや、普通に考えて無理でしょ!
Lv0で魔物と戦うなんて無謀過ぎる!
「茜、51階の魔物なら相当強い筈よ? 武器がないのに倒せたの?」
「幸い風魔法が使用出来たから、ウィンドウォールで防御しつつウィンドボールを何度も撃った。それで最初の内は魔法Lvを上げ、一つ目の二足歩行していた大きな魔物に狙いを定め、足を徹底的に蹴り続けた。膝を落とし立てなくなった所で、延髄にLvを上げた魔法を撃ち倒したんだ。1ヶ月も掛かり大変だったが1匹倒した後はLvが一気に50まで上がったから、その後は体術を鍛え敵の持っている武器を奪い剣術や槍術Lvを上げたよ」
何て事ないように言ってるけど、それが出来る人間はいないと思う……。
もしかして一つ目の二足歩行した魔物はサイクロプスじゃ?
祖父の血がそうさせるのか、武闘派の茜にとってダンジョンの魔物を倒すのは鍛錬の延長なのかも知れない。
それなら強くなるのに貪欲な性格の妹が、ダンジョン攻略するのを楽しかったと言うのも頷ける。
「茜は凄いわね! 私が最初に倒したのはスライムよ。それも槍で突いたら簡単に死んじゃう魔物だったし」
「私は、姉さんが冒険者をしている方が驚いた。まさか、摩天楼のダンジョンを攻略してるとは思わなかったな。それに、どうしていきなり最終階層まで来たんだ? 冒険者が攻略しているのは50階までだったろう?」
不思議そうに言われ、宝箱の中身について思い出す。
「あぁそれはね、30階で出現する宝箱の中身があまりにも酷かったからよ! ビ……スケスケの踊り子の衣装と鬼のパンツなんて、もう絶対ダンジョンマスターは日本人の男性に違いないと思い殴り込みに行ったの」
ついうっかり、兄の知らない1回目の宝箱の中身を口にしてしまいそうになり焦る。
危なかった~。
黄金色のビキニとブーメランパンツは秘密にしないと!
「宝箱? へぇ~、そんな物があるなんて知らなかったよ」
「じゃあ、やっぱり茜が宝箱の中身を操作してた訳じゃないのね。私達の運が単に悪かっただけかしら?」
「そうとも言えないんじゃない? 結果的には家族と再会出来た訳だし、『手紙の人』が会えるようにしてくれたのかも?」
旭がそう推測を口にする。
うん、まぁ茜と再会出来たのは確かに嬉しい。
残念な宝箱の中身は、その対価だと思おう。
「私、今はLv55なの。Lv60になったら2人召喚出来るから、旦那さんを呼んであげるよ」
「旦那? あぁ相棒の事か……、いやあいつは呼ばなくてもいい。それより私だけ年齢が高い方が問題だ。姉さんが再召喚し若返らせてほしい」
「旦那さんはいいの? 寂しくない?」
「ここに家族がいるから大丈夫だ」
やけにきっぱり言われ、それ以上何も聞けなくなってしまう。
13年も独りだったから旦那さんの存在を忘れてしまったのかしら?
でもそれを聞いた母の顔が真剣な表情に変わった。
「茜、それは駄目よ。子供達の中で唯一結婚しているのに、孫の顔くらい見せてちょうだい」
「母さんには、これから子供がまた増えるじゃないか」
「子供と孫は違います。取り敢えず沙良に召喚してもらった後、早崎君を呼びましょ」
「わっ、分かった。でも子供を産むのは……」
「何か言った?」
「いえ、……何でもありません」
母に詰め寄られ、旦那さんを召喚するのを了解したみたいだけど……。
どうやら茜は子供を産みたくないらしい。
旦那さんは欲しくないのかな?
ちなみに、妹夫婦は仕事の関係上で別姓にしたらしい。
旦那さんの名前は早崎 順一だ。
「じゃあ、召喚! 椎名 茜!」
後にする必要もないだろうと、私は茜を再召喚する。
茜の体が眩しく光った後は18歳になった姿で現れた。
床にひらりと例の手紙が落ちる。
私は手紙を拾い茜に手渡してあげた。
【召喚された椎名 茜様へ】と書かれた封筒
『椎名 沙良様から、召喚された方へ
すべての元凶は私です。
この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。
まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。
剣と魔法のファンタジーである所の異世界です。
椎名 沙良様にあわせ、年齢は設定させて頂きました。
また、貴方様の能力を変更致しました。
なお既に覚えた能力は、そのままとさせて頂きます。
椎名 茜様の能力
【時空魔法】
●アイテムBOX 容量無限・時間停止。
【風魔法】
●ウィンドボール 攻撃魔法。
●ウィンドウォール 防御魔法。
まずは「ステータス」と唱え、能力の確認をお勧めします。
最後に、このような不幸な目に遭わせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』
-------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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『冒険者がいる階層には移動出来ません』って、茜は51階より下には行けないという事?
「あの……、これだと茜さんは51階からしか移動出来ませんよね?」
セイさんも同じ疑問を感じたのか、今まで家族に遠慮し黙っていたようだけど質問を投げかけた。
「そこが憎い所だな。武器も防具もなくLv0の状態で、いきなり51階の魔物と戦う羽目になった。今となっては、あれも良い思い出だよ……」
その時の記憶を思い起こしたのか、茜は遠い目になって呟く。
いやいや、普通に考えて無理でしょ!
Lv0で魔物と戦うなんて無謀過ぎる!
「茜、51階の魔物なら相当強い筈よ? 武器がないのに倒せたの?」
「幸い風魔法が使用出来たから、ウィンドウォールで防御しつつウィンドボールを何度も撃った。それで最初の内は魔法Lvを上げ、一つ目の二足歩行していた大きな魔物に狙いを定め、足を徹底的に蹴り続けた。膝を落とし立てなくなった所で、延髄にLvを上げた魔法を撃ち倒したんだ。1ヶ月も掛かり大変だったが1匹倒した後はLvが一気に50まで上がったから、その後は体術を鍛え敵の持っている武器を奪い剣術や槍術Lvを上げたよ」
何て事ないように言ってるけど、それが出来る人間はいないと思う……。
もしかして一つ目の二足歩行した魔物はサイクロプスじゃ?
祖父の血がそうさせるのか、武闘派の茜にとってダンジョンの魔物を倒すのは鍛錬の延長なのかも知れない。
それなら強くなるのに貪欲な性格の妹が、ダンジョン攻略するのを楽しかったと言うのも頷ける。
「茜は凄いわね! 私が最初に倒したのはスライムよ。それも槍で突いたら簡単に死んじゃう魔物だったし」
「私は、姉さんが冒険者をしている方が驚いた。まさか、摩天楼のダンジョンを攻略してるとは思わなかったな。それに、どうしていきなり最終階層まで来たんだ? 冒険者が攻略しているのは50階までだったろう?」
不思議そうに言われ、宝箱の中身について思い出す。
「あぁそれはね、30階で出現する宝箱の中身があまりにも酷かったからよ! ビ……スケスケの踊り子の衣装と鬼のパンツなんて、もう絶対ダンジョンマスターは日本人の男性に違いないと思い殴り込みに行ったの」
ついうっかり、兄の知らない1回目の宝箱の中身を口にしてしまいそうになり焦る。
危なかった~。
黄金色のビキニとブーメランパンツは秘密にしないと!
「宝箱? へぇ~、そんな物があるなんて知らなかったよ」
「じゃあ、やっぱり茜が宝箱の中身を操作してた訳じゃないのね。私達の運が単に悪かっただけかしら?」
「そうとも言えないんじゃない? 結果的には家族と再会出来た訳だし、『手紙の人』が会えるようにしてくれたのかも?」
旭がそう推測を口にする。
うん、まぁ茜と再会出来たのは確かに嬉しい。
残念な宝箱の中身は、その対価だと思おう。
「私、今はLv55なの。Lv60になったら2人召喚出来るから、旦那さんを呼んであげるよ」
「旦那? あぁ相棒の事か……、いやあいつは呼ばなくてもいい。それより私だけ年齢が高い方が問題だ。姉さんが再召喚し若返らせてほしい」
「旦那さんはいいの? 寂しくない?」
「ここに家族がいるから大丈夫だ」
やけにきっぱり言われ、それ以上何も聞けなくなってしまう。
13年も独りだったから旦那さんの存在を忘れてしまったのかしら?
でもそれを聞いた母の顔が真剣な表情に変わった。
「茜、それは駄目よ。子供達の中で唯一結婚しているのに、孫の顔くらい見せてちょうだい」
「母さんには、これから子供がまた増えるじゃないか」
「子供と孫は違います。取り敢えず沙良に召喚してもらった後、早崎君を呼びましょ」
「わっ、分かった。でも子供を産むのは……」
「何か言った?」
「いえ、……何でもありません」
母に詰め寄られ、旦那さんを召喚するのを了解したみたいだけど……。
どうやら茜は子供を産みたくないらしい。
旦那さんは欲しくないのかな?
ちなみに、妹夫婦は仕事の関係上で別姓にしたらしい。
旦那さんの名前は早崎 順一だ。
「じゃあ、召喚! 椎名 茜!」
後にする必要もないだろうと、私は茜を再召喚する。
茜の体が眩しく光った後は18歳になった姿で現れた。
床にひらりと例の手紙が落ちる。
私は手紙を拾い茜に手渡してあげた。
【召喚された椎名 茜様へ】と書かれた封筒
『椎名 沙良様から、召喚された方へ
すべての元凶は私です。
この責任を取り、出来うる限りの保障をさせて頂きました。
まず、いま貴方がいる世界は地球ではありません。
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椎名 沙良様にあわせ、年齢は設定させて頂きました。
また、貴方様の能力を変更致しました。
なお既に覚えた能力は、そのままとさせて頂きます。
椎名 茜様の能力
【時空魔法】
●アイテムBOX 容量無限・時間停止。
【風魔法】
●ウィンドボール 攻撃魔法。
●ウィンドウォール 防御魔法。
まずは「ステータス」と唱え、能力の確認をお勧めします。
最後に、このような不幸な目に遭わせてしまいましたが、これからの貴方の人生が幸多き事でありますよう、お祈り申し上げます。』
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