自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第683話 迷宮都市 地下15階・地下28階&狙われた雫ちゃん

 ダンジョン攻略最終日の金曜。
 魔力不足で寝た後は、魔力を回復するためか眠りが深いようで夢も見ない。
 ぐっすり寝て気分良く目覚めた私は、身支度を済ませ部屋から出る。
 リビングでは既に起きていた兄がソファーへ座りTVを見ていた。
 その手には、コンビニで購入した新聞がある。
 毎日まめに日本の情報をチェックするのは、残してきた家族が心配だからだろう。

 年の離れた双子達は48歳になっているけど、小さな頃から面倒を見ていたので兄というより父親代わりだった。
 特に遥斗はるとは見た目が男性に見えないからなぁ~。
 母に似て童顔だから30代でも充分通じるし……。
 2卵性なので兄の雅人まさととは全然違う。

「お兄ちゃん、おはよう。最近、早いね~」

 私の家へ泊まるようになり、兄は起こす前からTVを見ている。

「あぁ、おはよう。ちょっと、寝る場所が狭くてな……」

 普段は旭と一緒にダブルベッドで寝ているので、1人用の布団は狭く感じるんだろうか?
 兄のコーヒーをれ5人分の朝食が完成した頃、全員がそろって席に着く。 

「頂きます!」

 純和風のメニューに、朝からあかねがご飯をお代わりする。
 年齢が若くなり食事量が増えたらしい。
 兄達と同じく、茶碗からどんぶりへ変更した方が良さそうだ。
 5合炊いたご飯は綺麗になくなった。
 冒険者の恰好かっこうに着替えたら、メンバーを連れ迷宮都市ダンジョン15階のテント内へ移転。
 テントから出て、ダンクさん・アマンダさんパーティーと挨拶を交わす。
 
「サラちゃん。新しい従魔達の首に掛かっている、この袋も作ったのか?」

 ダンクさんが目敏めざとく、キャラクター刺繍ししゅうの付いたポシェットを見ていた。

「えぇ、私が作りました。刺繍もおそろいにしたんですよ」

「そっ、そうか……。サラちゃんのセンスは独特だなぁ」

 苦笑している所を見ると、ダンクさんには猫のキャラクターの可愛さが伝わらないようだ。

「俺達は、これから地上へ帰還するよ。そのままサラちゃんの結婚式に出るから、しばらくダンジョン攻略は中止する。家に1人でいる母さんも心配だしな」

 現在妊娠中の母親のルイスさんは1人で家にいる。
 他領から冒険者が来ているなら、迷宮都市の治安も悪くなるかも知れない。
 実際、自分達が襲われたばかりなのでダンクさんも不安だろう。

「久し振りに、ゆっくりしてきて下さい。これ、ルイスさんにどうぞ」

 妊娠中はさっぱりした物が食べたいだろうと、2色のキウイフルーツを幾つか渡す。

「おっ、ありがとな!」

 そう言って、ダンクさんパーティーはテントを回収し地上へ帰還していった。
 その姿を見送った後、私達も午前中の攻略開始。
 地下16階で果物採取をし、今日は地下28階へ移動する。
 茜とセイさんが、ターンラカネリの槍を見付けようと張り切っていた。
 父とかなで伯父さんは槍に興味がないのか、安全地帯から出ず私のそばに残っている。
 午前中は兄が単独で果物採取をし旭は家族と一緒に地下15階を攻略しているので、今この階層にいるのは私と父、奏伯父さんとセイさんに茜の5人だ。
 地下28階の魔物ではLvが上がらないから、2人は攻略する気がないんだろう。

 テーブルと椅子を出し3人分のコーヒーをれ、私は減ってしまったチーズバーガーセットを作り始めた。
 周囲にハンバーグが焼ける匂いがただよい始めると、父が食べたそうにしている。
 意外とファーストフ-ドが好きなんだよね。
 母の作る料理は和食中心だから、たまには違う物も食べたいのかしら?
 でも今この大きなチーズバーガーを食べてしまったら、母の作った昼食が食べられなくなってしまう。
 私が妖精さんのお供え分だから我慢してねと言うと、がっかりしていた。
 それを隣で聞いていた奏伯父さんまで、えっ! とショックを受けた顔をするから笑いをこらえるのが大変だった。

 料理をしながら2人の討伐の様子をマッピングで確認しよう。
 セイさんと茜は、それぞれ別方向で魔物を倒しているようだ。
 Lvの高い2人は地下28階の魔物を連携して倒す必要がない。
 茜はダイアンに騎乗し、リザードマン系の魔物を優先的に探しては手にした剣で首をねる。
 父もそうだけど、武闘派は首狩り族みたいだなぁ。
 魔物だから私も見ていられるけど、人間だったらと想像するとかなり怖い。
 セイさんは、あの大槍を使用せず魔物の頭部を魔法で消し炭にし倒していた。
 
 全く問題なさそうな2人から視線を外し、引き続きポテトとナゲットを揚げていく。
 3時間後、戻ってきた2人は対象的だった。
 笑顔満面な茜と意気消沈しているセイさん。
 茜の手には、リザードマンが使用していた黄金に輝く槍があった。
 早速さっそく、父に鑑定をお願いしている。
 偽物の方が多いから期待通りとはならないと思うよ?
 セイさんは、自分で鑑定して結果を把握済みなのかな。

「茜、この槍は残念だが(偽)ターンラカネリだ」

 父の鑑定結果に唖然あぜんとした妹は、3時間で収集した槍をアイテムBOXから全て出し再び鑑定をお願いしている。
 結果は予想通り全部が(偽)ターンラカネリだった。

「ダンジョンマスターに文句を言ってやる!」

 考える事は同じらしい。

「残念だけど、このダンジョンにはダンジョンマスターがいないの。最終階層の30階には、リッチの上位種がいるだけよ」

「それなら仕方ないか……」

 出した槍をアイテムBOXへ収納した茜は不機嫌そうに腕を組む。
 (偽)ターンラカネリには私もやられたから、怒る気持ちが良く分かる。
 ダンジョンは冒険者に都合よく出来てはいないのだ。
 地下15階の安全地帯へ移動し、テントからホームの実家に戻る。
 昼食を食べながら、しずくちゃんが話題にした内容を聞き思わずお茶を吹き出してしまった。

「私を狙う冒険者が襲ってきたから、サンダーボルト・・・で撃退したの!」

 いやいや、そんな魔法はないよ!
 どうやらいつきおじさんが付与した魔石の雷を落としたらしい。
 犯人達が感電し気絶した後、妖精さんが現れ縄で簀巻すまきにしてくれたと言う。
 昨日の今日で、収穫がなかった犯人達が3人パーティーの雫ちゃんに目を付けたのか……。
 人数は6人だったと聞き、ダンクさんを襲った冒険者とは別の可能性があると考える。
 今は邪魔だからと簀巻きにされた犯人達は、雫ちゃんのお母さんのアイテムBOXに収納されているようだ。
 地上へ戻った後で、ダンクさんに犯人の顔を確認してもらおう。
 懸念けねんしていた事が現実になり、私は今後の対策をどうしようか悩み始めたのだった。 

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