自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第684話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(31階・99階) 3店舗へ妹の紹介

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 午後から私達は、迷宮都市と摩天楼まてんろうのダンジョンに分かれ攻略する。
 いつもは旭を摩天楼のダンジョンに連れていくんだけど……。
 しずくちゃんが狙われたと聞いては、何も対策をしない訳にはいかない。
 いつきおじさんと雫ちゃんとお母さんの3人はLvが40しかないのだ。
 Lv上げは土曜日に行うとして、誰か高Lvのメンバーを付けた方がいいだろう。
 一番高Lvのあかね(Lv200)は、私のそばを離れるのは嫌がりそう。
 次にLvが高いシュウゲンさん(Lv175)は、迷宮都市で活動していない。
 となると、かなで伯父さん(Lv120)が適任か……。
 娘が冒険者をしているのが心配だという理由で、パーティーを組んだんだしね。

「奏伯父さん。午後から旭の代わりに、樹おじさん達と迷宮都市のダンジョンへ行ってくれませんか?」

「あぁ、勿論もちろんだ。娘と孫を危険な目に合わせる訳にはいかない。俺が付いていくから安心しろ」

「よろしくお願いします」

 犯人への対策は、これで大丈夫かな?
 雫ちゃん達を迷宮都市ダンジョン地下15階に送った後、シュウゲンさんを連れ私達は摩天楼のダンジョン31階へ移動した。
 茜は99階へ攻略に行きたいみたいけど、明日のLv上げのため生きたまま魔物を収納する必要があるから我慢してもらう。
 99階の魔物なんか出したら、速攻で兄にバレるからね。
 2人で階層を移動した件は内緒にしないと……。

 私達は大人しくテント内でこもり、暇そうな茜にDVDプレイヤーを渡し録画したTVドラマを見てもらった。
 ダンジョンマスターだった13年。
 娯楽とは無縁な生活を送っていた茜は喜び、結構楽しんでいたようだ。
 私は魔物をアイテムBOXへ収納しながら、別の作業も同時にこなす。
 シルバー達が首に掛けているポシェットを雫ちゃんがうらやましそうに見ていたから、フォレストウサギ用も作製してあげよう。
 刺繍ししゅう人参にんじんか〇ーターラビットと迷ったけど、結局どちらも入れた。
 これなら異世界の人が見ても、可愛いと思うだろう。

 あっ、でもウサギは魔物だった……。
 人参との関連性は私達しか分からないかしら?
 アレク・源五郎げんごろう・マリー用のポシェットが完成。
 樹おじさんにマジックバッグにしてもらうのは、明日Lv上げが済んだ後でしよう。
 多分Lvが5くらい上がると思う。
 5㎥の差は大きい。

 その後、2回の攻略を終え冒険者ギルドで換金を済ませる。
 茜は私が槍のLv上げの最中倒した魔物を換金し異世界のお金を初めて手にすると、金貨を丁寧に洗った後、んでいたよ……。
 私達に、その発想はなかった。
 パーティーメンバーが増えたので、各店舗へ茜を紹介しに行こう!
 まずは『肉うどん店』へ寄り、母親達に妹を紹介する。
 茜の顔を見て数人の顔が赤く染まった。
 おやおや? まさか、これは……。

「オーナー。そのっ……、妹さんは独身ですか?」

 その内の1人が気になったらしく聞いてきた。

「残念だけど、既に結婚してるの。その内、旦那さんも紹介出来ると思うわ」

 私の返事を聞いた母親達が、落胆した表情を見せる。
 子供は既にいるから、同性の茜でも問題ないのかな?
 うちのパーティーは高収入なので再婚相手には最適だろう。
 子供達にバナナを1本ずつ渡し店を出る。
 次は『製麺店』に向かい茜を紹介すると、妹だと信じてもらえず悲しかった。
 
 最後に寄った『お菓子の店』は遅い時間だったため、子供達が帰宅した後で店にはリュートさんとアリサちゃんしかいない。
 2人に茜を妹だと紹介したら、リュートさんは驚かず、一瞬だけ茜を懐かしそうに見つめた気がした。
 アリサちゃんは、「沙良お姉ちゃんの、お姉ちゃん?」と不思議そうに首をかしげる。
 私が妹だと言ったのは、綺麗に忘れられてしまったようだ。
 『肉うどん店』の母親達が驚かなかったのは、茜を見るなり品定めしていたからなのか……。
 父親似の妹は、兄と良く似ているからイケメン? だとは思うけどね!

 茜と再会後、1週間の攻略を終え夕食はメンバー全員で外食する事にした。
 妹のリクエストを聞き高級中華料理店へ向かう。
 本人はラーメンが食べたかったらしいけど、いくらなんでも、それじゃねぇ~。
 1人1万円のコース料理を注文し、豪華な内容の料理を楽しんだ。
 私は母の隣へ座り、お腹の中にいる香織かおりちゃんへ色々と話しかける。
 地球の料理を食べたがっていたから1品1品、味を教えてあげた。
 そんな私を見て母が笑っている。

「この子が食べられるようになるのは、まだまだ先よ? 本当に、気の早いお姉ちゃんで困るわね~」

 妊娠中の母に中華の匂いは大丈夫か心配だったけど、悪阻つわりはまだのようで問題なく完食していた。 
 夕食後、明日はLv上げをすると雫ちゃん達に伝え、メンバーを各家へ送り届ける。
 私も竜の卵に魔力をあげて就寝。

 翌日、土曜日。
 兄達と奏屋かなでやで果物を卸し、雫ちゃんのお母さんを連れ薬師ギルドへ。
 受付嬢からいつもの部屋へ案内されると、3人がポーションに浄化とヒールの魔法を掛けていく。 
 作業が終わる頃、ゼリアさんが部屋に入ってきた。
 
「ゼリアさん、おはようございます。薬草を沢山採取したので、よろしくお願いしますね」

「おはよう、サラちゃん。薬師ギルドでマジックバッグを購入したから、今日は全部買い取れるだろう」

「じゃあ、まず癒し草から出します」

「あぁ、少し待っておくれ」

 ゼリアさんが、別のマジックバッグへポーション瓶を入れテーブルを片付ける。
 何もない状態になった所で、私は癒し草を出していった。
 出した癒し草をゼリアさんがマジックバッグへ入れていく。
 次々と出すうちにゼリアさんの表情が変わる。

「あ~、サラちゃん? 一応マジックバッグ100㎥を用意したんだけどねぇ。これ以上は入らないようだよ……」

 ハニー達には1匹ずつマジックバッグを渡しているから、100㎥の量を超えてしまったらしい。
 アイテムBOXは容量無制限なので、中にどれだけ入っているか本数でしか分からないんだよね。

「えっと、じゃあ今日はこれだけで!」

「参考までに聞いておくけど、あとどれくらいの量がありそうなんだい?」

 癒し草の他にも魔力草があるんだよね~。

「多分、倍はあるかと……」

「そっ……そうかい。なら、マジックバッグをもう一つ購入しておこうかね。あぁ、それと摩天楼のダンジョンに呪具を設置しようとした帝国人が捕まったそうだよ。30階で設置前の呪具が大量に発見されたらしい。最終攻略階層の50階には呪具が設置されていたようだけど、何故なぜか魔物が1匹もいなくなり呪具として機能しなかったみたいだ。事前に送った『毒消しポーション』で解呪出来たとお礼があったから、作製者のサラちゃん達に伝えておこうと思ってね」 

「それは、役に立って良かったです! これで、呪具を設置するのをあきらめてくれるでしょうか?」

 知っている情報だったけど、初めて聞くような顔をして食い気味に返事をする。

「さて、それはどうだろうね。ただ連中も摩天楼のダンジョンへの設置は、かなり力を入れていたみたいだ。それが失敗したとなると、次は少し慎重に動くかも知れない」

 高価な呪具を、これでもかと投入した計画がご破算になったのだ。
 帝国もかなり痛手を受けただろう。
 冒険者に成りすました犯人達も全員捕まり、最早もはや帝国の関与は疑うべくもない。
 なにより、それだけの人材を育成するには時間が必要だ。
 他国に潜入し、工作活動をする事の出来る人間は多くないだろう。
 私の結婚式当日に襲ってくると考えれば、カルドサリ王国にいる帝国人の数はかなり減るに違いない。
 ゼリアさんに情報のお礼を伝え、お金を受け取り受付嬢から大量のハイエーテルを購入した後で薬師ギルドを後にした。

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