自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
565 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第688話 迷宮都市 犯人の目的&子供達のお守り

 白雪姫の衣装を母にも手伝ってもらい、3人分完成させる。
 白雪姫・魔女・王子様の分は出来たので、後は小人? 役だけだ。
 型紙は既にサヨさんが起こしてくれたから、裁断と縫製は母に任せる事にした。
 あかねを連れてサヨさんを華蘭からんへ送り、父達を迎えにガーグ老の工房へ。
 対局中だったシュウゲンさんとガーグ老が終わるまでガルちゃん達と遊び、お礼のショートブレッドを渡しホームの実家に戻る。

 しずくちゃんを狙った犯人達から聞き出した情報を共有するため、兄に念話の魔道具で実家へ来てほしいと伝え、セイさんにも通信の魔道具で連絡。
 旭家は近所なのでいつきおじさんが直接呼びにいった。
 夕食前だった雫ちゃんが家へ来るなり、嬉しそうに母から献立こんだてを聞いている。
 彼女は最近、料理に興味があるらしく、母の手伝いをすると言い作り方を教えてもらっていた。
 母親の手料理から解放されたいのかな?
 雫ちゃんが料理を覚えれば、旭家の食事は格段に美味しくなるだろう。

 夕食は八宝菜・春巻き・エビチリ・棒棒鶏バンバンジー・ワカメの中華スープ。
 デザートにはダンジョン産のマンゴーを使用した、マンゴープリンも作った。
 先日中華を食べたばかりだけど、雫ちゃんが作り方を教わりたかったようで母にリクエストしたんだよね。
 勿論もちろん、樹おじさん用に鰻の蒲焼と肝焼きも出す。 
 だけど食事から10分経っても、おじさんが鰻に手を伸ばさない。
 双子達と違い苦手な訳でもないのに、どうしてかしら?

 食べないならと横から旭が取ろうとし、怒られていた。
 雫ちゃんのお母さんが強制的に、鰻の蒲焼を樹おじさんの茶碗へ載せる。
 おじさんは一瞬ひるんだ表情になり、溜め息を吐くと兄へ目配せし観念したのか口にした。
 この2人の遣り取りは何?
 不審に思いながら食事を終え、デザートのマンゴープリンを出す。
 そろそろいいだろうと思い、情報を伝えるために口を開いた。

「今日、雫ちゃんを狙った犯人達を冒険者ギルドへ引き渡してきたよ。その前に、茜が犯人達から話を聞き出した内容を伝えるね」

「あぁ、金曜日に引き渡す予定だったのを忘れていたな。オリビアさんから注意されなかったか?」

 兄が引き渡しに2日空いた件を心配したのか尋ねてくる。

「うん、特に何も言われなかったよ。それで犯人達なんだけど、レバンダリニア皇国の冒険者だった。冒険者カードを剥奪はくだつされて、カルドサリ王国に来たみたい。この国は冒険者ギルドが甘いという噂が流れているんだって。迷宮都市で雫ちゃんを狙ったのは、情報屋からどこかの国の王が冒険者の少女・・と引き換えに、大金をくれると聞いたからだと言ってた」

「何だ、その胡散うさん臭い噂は……。こりゃアシュカナ帝国が一枚んでそうな話だな。ダンジョンに呪具を設置するだけじゃなく、犯罪者まで利用しようとしてるのか」

 かなで伯父さんが帝国との関連性を示唆しさする。

「その少女の名前や特徴は伝わっているのか?」

 兄が私の事だと気付きけわしい顔になった。

「名前は知らないみたい。20代で綺麗な容姿というだけで、雫ちゃんを狙ったらしいわ」

「20代……。じゃあ、お前は対象外だな」

 どうせ、背が低いから10代半ばにしか見えないわよ!
 でも今回は狙われる条件から外れて良かったかも?

「帝国は、必要最小限の動きでカルドサリ王国に罠を仕掛けてるな。絡め手でくるのは嫌な方法だ。労せず戦力をぎ落す心算つもりか……」

 いつになく真剣な表情で父が言い募る。
 
鬱陶うっとうしい国だな。さっさと滅ぼすか……」

 1人、物騒な台詞せりふを吐く樹おじさんの言葉は聞かなかった事にしよう。
 どうしてそんなに好戦的なの?

「取りえず、私達のパーティーで少女の外見に一致するメンバーは雫ちゃんと茜ね。茜は心配いらないけど、雫ちゃんは今後も狙われると思うから皆で守りましょう。ただダンクさん達を襲った冒険者はまた別みたいで、こちらも注意が必要だと思う」

「12人の冒険者か……。マジックバッグを盗んだのなら、単純に金目当ての犯行かもな。それにしてはリスクに見合わない行動だが、目先の利益に目がくらむような人間の心理は理解出来ん。なんにせよ、他領の冒険者が増えているのは確かだろうから、俺達も出来るだけ単独行動は控えよう」

 最後に兄がそう話を締めくくる。
 雫ちゃんは不安そうな顔をしていたけど、旭と樹おじさんが大丈夫だと言い肩に手を置いていた。
 私は子供達の方が心配なので、何かお守りになる物を準備しよう。

「樹おじさん。魔石にドレインの魔法を付与して下さい。あぁ、それと従魔達のポシェットをマジックバッグに、お願い出来ますか?」

 換金しない摩天楼まてんろうダンジョンに出現する魔物の魔石と、〇ーターラビットと人参の刺繍ししゅうが付いたポシェットを手渡してお願いする。
 
「分かった。魔石は明日、付与して渡そう」

「ありがとうございます」

「沙良お姉ちゃん。従魔用のポシェット作ってくれたんだ。お父さんのLvが45になったから、沢山入るね。この刺繍も可愛い~。ありがとう!」

 樹おじさんへ渡したポシェットをのぞき込み、雫ちゃんが嬉しそうにお礼を言う。
 アイテムBOX持ちのお母さんがいるから、マジックバッグはフェイク用に持っている30㎥の物だけだ。
 45㎥のマジックバッグが3個増えるので、従魔達が張り切りそうだけど……。
 アレクと源五郎げんごろうは、2人を長く乗せているから無理はしないと思う。
 樹おじさんがマリーから落ちないかだけが心配だよ。
 その後、実家を後にしそれぞれのマンションへ帰る。
 といっても全員が私の家で寝るんだけどね。
 竜の卵に魔力を与えたら就寝。

 翌日、月曜日。
 ダンジョン攻略へ行く前に樹おじさんから渡された付与魔石を、『お菓子の店』の子供達に渡しておいた。
  
「悪い人がいたら、このお守りを手にして眠るようにお願いするといいよ。1人ずつ用意したから、兄妹に渡してあげて」

「お守り? よく分からないけど、魔石を握ってお願いすればいいの?」

「ええ、きっと守ってくれるわ」

 お守りの意味が分からない子供達は、きょとんとした顔をして渡した魔石を自分達の巾着へ大事そうに入れている。
 父に鑑定してもらった魔石はドレインが30回使用出来るので、しばらくは効果を発揮するだろう。
 買い出しに外出する母親達も心配だったため、『肉うどん店』へ寄り同じ事を伝えてお守りを渡した。
 『製麺店』の従業員は、元冒険者でLvが高いから大丈夫だろう。
 痩せていた皆も今は体格が良い。
 特に麺打ちをしている人は腕が太くなっているようだしね。

 うちの従業員と子供達に手を出したら、ただじゃおかない。
 何もない状態で他国に放り出してやるから!
 マッピングの移動範囲が増えたので、現在は一度に2,200km移転が可能だ。
 アイテムBOXに収納すれば、本人の記憶がない間に他国へ移動させられる。
 何が起こったか分からない内に違う場所へ飛ばされたら、恐ろしくてカルドサリ王国には二度と戻らないだろう。

 不穏な事を考えていたら、シルバー達がすり寄ってきた。
 あぁ、心配かけちゃってごめんね。
 この子達は言葉にしない私の気持ちも読み取るから、考えていた内容が伝わてしまったみたい。
 安心させるように頭をで気分を落ち着かせると、ダンジョン攻略へ向かった。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇