自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
578 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第701話 迷宮都市 地下15階&摩天楼のダンジョン(31階) 夕食の『味噌煮込みうどん』&樹おじさんの女性化

 月曜日、今日から5日間またダンジョン攻略。
 地下11・・階で兄&フォレストと別れ、私達は地下15階まで駆け抜けた。
 安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。
 ハニー達から薬草を回収し、地下16階の果物を採取したら地下10階へ移動し槍のLv上げを行う。
 アウラウネを槍で倒した後、しばらく魔石取りの練習をしていないのに気付き取り出す作業をした。
 そういえば、妹はダンジョンマスター時代に魔石取りをした経験があるんだろうか?

あかね、換金するとき魔石を取り出す必要がある魔物がいるの。昇格試験に備えて、今から練習しておいた方がいいよ」

「そうなのか? 魔物は倒してからアイテムBOXに入れるだけだったから、試しにやってみるよ」

「哺乳類系は、大抵心臓近くに魔石があるから分かりやすいと思う」

 私は次に倒したアラクネを茜に提示する。
 上半身が女性姿をしている蜘蛛くもの魔物だから、私には無理だけど……。
 解体ナイフを渡すと、妹は少し躊躇ちゅうちょした後で心臓付近にナイフを入れた。
 うわぁ~、見ているだけで嫌な気分になる。
 慣れないと駄目だけど中々難しいんだよね~。
 茜は初めての魔石取りに、顔をしかめながら体内へ手を入れ魔石を取り出した。
 まぁ、でもこれが普通の反応だろう。
 父やいつきおじさんは、魔石取りの作業に嫌悪感がなかったみたいだけど……。

 今日もりずにターンラカネリの槍を取り出し、投擲とうてきの練習をしておいた。
 父が竜騎士はこの大陸にいないと教えてくれたけど、それなら私が第一号になればいい。
 毎日魔力を与えている竜の卵が孵化ふかしたら、その背に乗り華麗かれいに槍を投げてみせよう!
 今の所、魔物にかすりもしないけどね~。
 3時間後、地下15階の安全地帯に戻りテントからホームの実家へ移転。
 母の作った昼食を食べ、シュウゲンさんを連れ摩天楼まてんろうのダンジョン31階へ移動し、私と茜はテント内で待機する。
 
 いよいよ今週日曜日は結婚式だ。
 アシュカナ帝国が、どれだけの人数をそろえ襲撃してくるか予想も付かない。
 でもこちらは武装したガーグ老達や、ダンクさんとアマンダさんのクランが総出で迎え撃つ心算つもりでいる。
 人数比は私達の方が多いはず
 異世界の家には結界の魔石が付いているため、敵は10mの塀を超える必要がある。
 やはり空を飛ぶ騎獣に乗って来るんだろうか?

 結婚式当日は、かなり早く集合時間を設定した。
 式を挙げる時間は、お昼だけど敵が襲ってきたら悠長ゆうちょうに食事している場合じゃない。
 襲撃前に、ご馳走ちそうを食べてもらう予定にしている。
 妹がテント内で漫画を読んでいる間、私はマッピングで索敵した魔物を倒しアイテムBOXへ収納していった。
 Lvが105になっているから31階の魔物をいくら倒しても、これ以上は上がらないだろうけど……。
 少しでも経験値になればいい。

 兄は、いつまで31階層を攻略するのかな?
 今までは私の安全のため、3ヶ月毎に攻略階層を上げていた。
 私がテント内から出ず魔物を倒せると知り、1ヶ月程で次の階層に移動してくれるだろうか?
 早く、冒険者がいない51階に行きたいなぁ。
 2回の攻略を終え、ポチを肩に乗せた父達が帰ってくる。
 シュウゲンさんをホームの実家へ送り、迷宮都市ダンジョン地下15階の安全地帯に戻ると怪我人がテント前で待機していた。

 おや? やけに人数が多いな……。
 それに怪我もハイポーションで治るような軽傷ばかりに見える。
 しずくちゃんのお母さんが治療に当たっているけど、旭を見た男性冒険者達が彼の前に列をなす。
 旭は疑問に思わないのか、自分の所へ来た冒険者達の怪我を治していた。
 治療後、冒険者達が手を握りお礼を伝えているんだけど……。

 これはあれかしら?
 旭の人魚姫姿を聞いた男性冒険者達が、お近付きになりたいとか?
 でも、もう兄と結婚してるよ?
 やたら手を握られお礼を言われる事に、旭は不思議そうな顔をしていた。
 それに気付いた雫ちゃんが、兄へ下心を見せる冒険者達を笑顔で牽制けんせいする。 
 立場が逆だけど、見た目は旭の方が可愛らしいからなぁ。
 悪役令嬢の彼女はキツイ顔立ちなのだ。

 治療を終えホームで休憩後は、夕食をダンクさんとアマンダさんのパーティーと一緒に食べる。
 先週、味噌みそを解禁したので今日は『味噌煮込みうどん』を2パーティーに振る舞う予定。
 具材はねぎ・卵・マジックキノコ・コカトリス肉で、蒲鉾かまぼこと揚げがないのが残念。
 リリーさんとケンさんが、材料を刻んでくれるので私は1人鍋の用意をする。
 本当は硬い『うどん』にしたかったけど、この世界の人は食べ慣れていないだろうから柔らかい方にした。
 砂糖と味醂みりんで甘く味付けをした味噌を溶き、『うどん』と具材を入れて煮込めば完成。

「こりゃ、この間のスープの色と同じだな。中に入っているのは『うどん』か……、おぉ! 『肉うどん』とは全然違う味だが、これもいいな!」

 『味噌煮込みうどん』を食べたダンクさんが、はしを器用に使用し食べた感想を言う。
 
「これは、体が温まるよ。中に入っている材料も味が染みて美味しい!」

 アマンダさんも、『味噌煮込みうどん』の味が気に入ったようだ。
 一応、火傷しないよう取り皿を渡したけど鍋から直接食べている。

「辛い物が苦手じゃなければ、これを少し掛けてみて下さい」

 そう言って小さな陶器壺に入れ替えた『七味』を取り出す。
 調理担当のリリーさんとケンさんが早速さっそく試したようだ。

「あぁ、これはよく合いますね」

 リリーさんが、追加で『七味』を掛けている。
 彼女は辛い物が平気らしい。
 ケンさんは苦手のようで、

「私は、ちょっと……」

 と言っている。
 異世界には辛い食べ物がないから、刺激が強すぎたのかも知れない。
 食事をしながら、話題は間近に迫った結婚式の件になった。 

「サラちゃん、安心おし。私達が絶対守ってみせるよ!」

 アマンダさんの男前な発言に、ダンクさんパーティーもやる気満々で手を挙げる。

「俺らが蹴散けちらしてやるからな! もう準備万端で、親父も金曜日には帰還すると手紙を寄越よこしてきたよ」

「皆さん、ありがとうございます。結婚相手の方は、かなり強いので心配はいらないと思いますが協力に感謝しますね。その分、朝食は期待して下さい!」

「ご馳走ちそうが食べられるのか? そりゃ食べた分は働かないとな!」

 ダンクさんがニヤリと笑って、その場を締めくくった。
 迷宮都市では、これほど親身になってくれる冒険者達がいる。
 私は幸せだなぁ。

 その後5日間。
 何事もなく攻略を終え、冒険者ギルドで換金を済ませホームに帰った。
 いつきおじさんは、明日女性化して実家へ来るそうだ。
 どんな姿になるのか怖いもの見たさで興味がある。
 雫ちゃんのお母さんだけは溜息を吐いていた。
 あぁ、あれから夫婦の行為はされていないらしい。
  
 翌日、土曜日。
 樹おじさんの姿を見ようと、兄達と一緒に早朝から実家へ向かう。
 少し早く来すぎたようで、まだおじさんは家にいなかった。
 父達が朝食を食べ終わる頃、チャイムが鳴る。
 私が玄関まで行き扉を開けると、そこにはリーシャにそっくりな顔をした女性がいた。
 えっ、誰!?
 
「沙良ちゃん、おはよう。この姿なら、ちゃんと代役が出来るだろう?」

「……もしかして樹おじさん?」

「あぁ、女性化の魔法は自分の思った通り・・・・・の姿になれるらしい」

 私はてっきり、顔はそのままで体だけが女性化すると思っていたので驚いた。
 ただ幼いリーシャの姿より、女性化した樹おじさんは大人の女性って感じがする。
 それに瞳の色が私と違い紫色だ。
 まるで切り裂かれていた第二王妃の肖像画みたいに……。

 父親が来た事に気付いた旭が一目見ようと走ってきて、その姿を目にし絶句ぜっくしている。
 本人から言われなければ、リーシャの母親だと思うだろう。
 そんな息子の様子に苦笑し、樹おじさんは家へ上がってきた。
 リビングで待っていた家族が樹おじさんの姿を見て立ち上がる。
 一番に口を開いたのは、シュウゲンさんだった。

「ヒルダちゃんではないか! 儂に、お礼をしに来てくれたのかの?」

 シュウゲンさんは少し混乱しているのか、ホーム内だというのを忘れてしまっているようだ。
 
「いえ、……樹です」

 その言葉を聞いたかなで伯父さんが絶叫する。

「嘘だろ!? 完全に別人じゃないか!」

「あぁ、沙良の代役が務まるな」
 
 父だけは驚いた様子を見せず、落ち着いた声でそう言ったのだった。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇