581 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第704話 迷宮都市 偽花嫁の偽装結婚 1
一部不穏な会話を挟みつつ和やかに昼食を食べ終えた後、樹おじさんと私は花嫁衣裳から着替え、女官達へお礼を言ってガーグ老の工房を後にする。
明日は女官長達も式に出席するようで、早朝から着付けのため異世界の家へ来てくれるそうだ。
複雑に編みこまれた髪はそのままに、3人でホームの実家へ戻ってくる。
2人と別れた後、ブライダルショプへ2つの花嫁衣裳を返品しにいった。
電子メニュー画面の返品を押し、会計を済ませるテーブルへ衣装を置くと消えてなくなり、商品代金が返ってくる。
『手紙の人』が律義な性格で助かった。
樹おじさんの分は後で渡そう。
明日のため、兄達には『MAXポーション』を沢山作ってくれるようお願いしてある。
出席する冒険者全員へ行き渡るようにしたい。
怪我をする人も出てくるだろうから、万全な準備態勢で臨む心算だ。
雫ちゃんのお母さんは、救護班として待機する。
今回、雫ちゃんと母だけは危険なので式に出席しない。
私の花嫁姿を見たがった母は残念そうにしていたけど、式を挙げるのは樹おじさんへ変更したから出席しなくても良いと思う。
式に出る必要がなくなった私は、出席者として参加予定だ。
最悪の場合は、アシュカナ帝国人を全員アイテムBOXに収納してしまえば被害が抑えられるだろう。
まぁ、その前にガーグ老達と武闘派のメンバーが無双しそうだけどね。
敵が何人で襲撃してこようと心配はいらない筈……。
その日の夜は、いつもより早く全員が就寝する。
私は竜の卵に魔力を与えたお陰で、ぐっすりと朝まで眠る事が出来た。
日曜日、朝6時。
メンバーを連れ異世界の家へ移転。
兄と旭には、これからやってくる冒険者達を扉の魔石へ登録する作業をお願いする。
最初に到着したのは、ガーグ老達と女官長達だ。
先に樹おじさんの着付けをお願いし、私は結婚披露宴で出す心算だった料理をテーブルの上に並べ出す。
準備をしている間に、ぞくぞくと冒険者達が集まってきた。
皆、普段通り冒険者姿で完全武装している。
とても、結婚式に出席するような恰好じゃない。
アマンダさんとダンクさん、そしてダンクさんのご両親が挨拶にみえた。
「サラちゃん、お相手は何処にいるんだい?」
気になっていたのか、アマンダさんが周囲を見渡し早速尋ねてくる。
私はエルフの正装をした集団を指し、その中でも一際体格の良いご老人だと伝えた。
すると全員が唖然となり瞳を彷徨わせ、何と言って良いか分からない表情になる。
「あ~、5人の子持ちになったと聞いていたが……。もしかして、サラちゃんより子供達の方が年上なんじゃないか?」
頬を掻きつつ、ダンクさんが遠慮しながら聞いてきた。
「あっはい、そうですね。その内の2人は結婚しているから、義理の娘も2人いますよ。幸い孫はまだなので、お婆ちゃんにならなくて済みました!」
「お婆ちゃんって……」
「もっと若い者はいなかったのか? 年の差があり過ぎると思うが……」
ダンクさんの父親であるジョンさんが心配そうに言ってくれるけど、どうせ偽装結婚だから問題ない。
しかも実際、式を挙げるのは30代に見える女性化した樹おじさんだ。
「実は……、私の代役をするため産みの母がきているんです」
女性化した樹おじさんを、どう説明するか迷ったけどこれが一番いいだろうと産みの母に決めておいた。
姿変えの魔道具は禁制品のため使用した事にするのは出来ないし、50日間姿が変わらない言い訳をするのも難しい。
樹おじさんはシュウゲンさんと同じように女性化している間、摩天楼のダンジョンを攻略する予定なのだ。
「あぁ、実の母親が代役を務めるのか……」
似ていない兄妹なので、そこには皆がすんなり納得したらしい。
披露宴の準備が整う頃、花嫁衣裳を着た樹おじさんが登場し、その場が騒然となった。
私とそっくりな人物を見たら、当然驚くだろう。
会場に集まった冒険者へ事情を説明すると、皆が樹おじさんと私を交互に見て頷いていた。
視線がやや顔より下の方だったのは、気にしないでおこう。
「皆さん本日は結婚式にご出席下さり、ありがとうございます。変則的ですが、先に料理を食べて下さいね。式にはアシュカナ帝国からの襲撃が予想されるため、お酒はありませんがその分ご馳走を用意しましたから楽しんで下さい」
挨拶を済ませると、冒険者達から野太い歓声が上がる。
テーブルの上一杯に並べられた料理の数々を見て、手を叩き喜んでいた。
『ハンバーグ』・『ローストビーフ』・『唐揚げ』・『トンカツ』・『コロッケ』・数種類の『ピザ』・『ビーフシチュー』・『ツナとコーンのサラダ』・果物の盛り合わせ。
どれも、初めて食べる料理ばかりだろう。
冒険者達が美味しそうに食べ始めるのを確認し、私も衣装へ着替えようと2階の部屋に向かった。
一番奥の私の部屋では、女官長を筆頭に女性達が笑顔で迎えてくれる。
今日は花嫁衣裳ではなく、エルフの正装だからそこまで時間は掛からないだろう。
そう思ったのは間違いだった……。
-------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
-------------------------------------
明日は女官長達も式に出席するようで、早朝から着付けのため異世界の家へ来てくれるそうだ。
複雑に編みこまれた髪はそのままに、3人でホームの実家へ戻ってくる。
2人と別れた後、ブライダルショプへ2つの花嫁衣裳を返品しにいった。
電子メニュー画面の返品を押し、会計を済ませるテーブルへ衣装を置くと消えてなくなり、商品代金が返ってくる。
『手紙の人』が律義な性格で助かった。
樹おじさんの分は後で渡そう。
明日のため、兄達には『MAXポーション』を沢山作ってくれるようお願いしてある。
出席する冒険者全員へ行き渡るようにしたい。
怪我をする人も出てくるだろうから、万全な準備態勢で臨む心算だ。
雫ちゃんのお母さんは、救護班として待機する。
今回、雫ちゃんと母だけは危険なので式に出席しない。
私の花嫁姿を見たがった母は残念そうにしていたけど、式を挙げるのは樹おじさんへ変更したから出席しなくても良いと思う。
式に出る必要がなくなった私は、出席者として参加予定だ。
最悪の場合は、アシュカナ帝国人を全員アイテムBOXに収納してしまえば被害が抑えられるだろう。
まぁ、その前にガーグ老達と武闘派のメンバーが無双しそうだけどね。
敵が何人で襲撃してこようと心配はいらない筈……。
その日の夜は、いつもより早く全員が就寝する。
私は竜の卵に魔力を与えたお陰で、ぐっすりと朝まで眠る事が出来た。
日曜日、朝6時。
メンバーを連れ異世界の家へ移転。
兄と旭には、これからやってくる冒険者達を扉の魔石へ登録する作業をお願いする。
最初に到着したのは、ガーグ老達と女官長達だ。
先に樹おじさんの着付けをお願いし、私は結婚披露宴で出す心算だった料理をテーブルの上に並べ出す。
準備をしている間に、ぞくぞくと冒険者達が集まってきた。
皆、普段通り冒険者姿で完全武装している。
とても、結婚式に出席するような恰好じゃない。
アマンダさんとダンクさん、そしてダンクさんのご両親が挨拶にみえた。
「サラちゃん、お相手は何処にいるんだい?」
気になっていたのか、アマンダさんが周囲を見渡し早速尋ねてくる。
私はエルフの正装をした集団を指し、その中でも一際体格の良いご老人だと伝えた。
すると全員が唖然となり瞳を彷徨わせ、何と言って良いか分からない表情になる。
「あ~、5人の子持ちになったと聞いていたが……。もしかして、サラちゃんより子供達の方が年上なんじゃないか?」
頬を掻きつつ、ダンクさんが遠慮しながら聞いてきた。
「あっはい、そうですね。その内の2人は結婚しているから、義理の娘も2人いますよ。幸い孫はまだなので、お婆ちゃんにならなくて済みました!」
「お婆ちゃんって……」
「もっと若い者はいなかったのか? 年の差があり過ぎると思うが……」
ダンクさんの父親であるジョンさんが心配そうに言ってくれるけど、どうせ偽装結婚だから問題ない。
しかも実際、式を挙げるのは30代に見える女性化した樹おじさんだ。
「実は……、私の代役をするため産みの母がきているんです」
女性化した樹おじさんを、どう説明するか迷ったけどこれが一番いいだろうと産みの母に決めておいた。
姿変えの魔道具は禁制品のため使用した事にするのは出来ないし、50日間姿が変わらない言い訳をするのも難しい。
樹おじさんはシュウゲンさんと同じように女性化している間、摩天楼のダンジョンを攻略する予定なのだ。
「あぁ、実の母親が代役を務めるのか……」
似ていない兄妹なので、そこには皆がすんなり納得したらしい。
披露宴の準備が整う頃、花嫁衣裳を着た樹おじさんが登場し、その場が騒然となった。
私とそっくりな人物を見たら、当然驚くだろう。
会場に集まった冒険者へ事情を説明すると、皆が樹おじさんと私を交互に見て頷いていた。
視線がやや顔より下の方だったのは、気にしないでおこう。
「皆さん本日は結婚式にご出席下さり、ありがとうございます。変則的ですが、先に料理を食べて下さいね。式にはアシュカナ帝国からの襲撃が予想されるため、お酒はありませんがその分ご馳走を用意しましたから楽しんで下さい」
挨拶を済ませると、冒険者達から野太い歓声が上がる。
テーブルの上一杯に並べられた料理の数々を見て、手を叩き喜んでいた。
『ハンバーグ』・『ローストビーフ』・『唐揚げ』・『トンカツ』・『コロッケ』・数種類の『ピザ』・『ビーフシチュー』・『ツナとコーンのサラダ』・果物の盛り合わせ。
どれも、初めて食べる料理ばかりだろう。
冒険者達が美味しそうに食べ始めるのを確認し、私も衣装へ着替えようと2階の部屋に向かった。
一番奥の私の部屋では、女官長を筆頭に女性達が笑顔で迎えてくれる。
今日は花嫁衣裳ではなく、エルフの正装だからそこまで時間は掛からないだろう。
そう思ったのは間違いだった……。
-------------------------------------
お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
-------------------------------------
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!
akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。
そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。
※コメディ寄りです。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
家ごと異世界ライフ
もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります
ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。
七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!!
初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。
2024年5月 書籍一巻発売
2025年7月 書籍二巻発売
2025年10月 コミカライズ連載開始
転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~
結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』
『小さいな』
『…やっと…逢えた』
『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』
『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』
地球とは別の世界、異世界“パレス”。
ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。
しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。
神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。
その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。
しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。
原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。
その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。
生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。
初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。
阿鼻叫喚のパレスの神界。
次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。
これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。
家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待!
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
小説家になろう様でも連載中です。
第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます!
よろしくお願い致します( . .)"
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~
ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。
そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。
「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
その言葉を信じて、俺は必死についていった。
だけど、自分には何もできないと思っていた。
それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。
だけどある日、彼らは言った。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。
俺も分かっていた。
だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。
「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」
そう思っていた。そのはずだった。
――だけど。
ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、
“様々な縁”が重なり、騒がしくなった。
「最強を目指すべくして生まれた存在」
「君と一緒に行かせてくれ。」
「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」
穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、
世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい――
◇小説家になろうでも同時連載中です◇