自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
595 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第718話 旭 樹 再召喚 12 アマンダ嬢 2&苗木の移植

 俺が気付いたくらいだ当然、娘の護衛をする影衆達も知っているだろう。
 何の報告もないのは害がないと判断したからか?
 俺はひびきが持っている念話の魔道具を借り、ガーグ老へ連絡をした。

『ガーグ老。アマンダ嬢のパーティーメンバーは、冒険者ではないようですね。調べていますか?』

『姫様、気付きなさったか。彼女はリザルト公爵令嬢を名乗っておるが、現在の公爵に娘はいないようでの。前公爵は息子以外、全員亡くなっている記録がある。まぁ、その息子も現在行方不明で消息は分からぬが……。数百年前の公爵夫人が他国から嫁いだ第三王女という縁があり、リザルト公爵を頼ってカルドサリ王国に来たようですな。護衛と一緒なのは王族の可能性が高いとみておる。御子が迷宮都市で冒険者をする10年以上前からダンジョン攻略をしている事から、問題ないと報告せんかった』

『そうですか……。最近、迷宮都市に来た冒険者ではないのですね』

『アマンダ嬢なら心配いりませんぞ? 御子にも好意的で、何かと気に掛けておられるようだしの』

『分かりました。念のため連絡が取れるよう、私にも念話の魔道具を用意して下さい』

 ダンジョン攻略中は響と別行動になる。
 ガーグ老達は常に護衛しているだろうが、姿の見えない相手へ独り言を話していれば妻が不審に思うだろう。
 口に出さずとも会話が可能な魔道具で話した方がいい。

『明日、お渡し致そう』

 アマンダ嬢がどういった理由でカルドサリ王国へ来たのかは分からないが、10年以上前から迷宮都市で冒険者をしてるなら娘とは無関係だろう。
 前公爵が家族と一緒に亡くなっているのは、少し気になるが……。
 それに行方が分からない息子とは……、何があったんだ?
 出来れば、娘と仲の良い冒険者を疑う事はしたくないな。
 響に念話の魔道具を返し、俺達は沙良ちゃんの移転で自宅へ戻った。
 精霊王から貰った世界樹の苗木を庭に植えておこう。
 美佐子みさこさんに成長の魔法を掛けてもらえば、少しは大きくなるだろうか?
 現在20cmくらいの小さな世界樹から【エルフの秘伝薬】も作りたいしな。

 今夜も三人目を欲しがる意欲的な妻を眠りに就かせ、寝不足気味の朝を迎える。
 その後は金曜日までダンジョン攻略をし、午前中は果物採取をする妻と娘に代わり迷宮モンキーを倒しまくった。
 3時間毎に安全地帯へ戻る際、怪我人の治療をする妻へ冒険者のお礼の話を響から聞いた俺はだと触れ回る。
 こんな可愛らしい少女姿の妻へ、お礼と称し不埒ふらちな真似するのは許さない!
 夫の俺だって、まだ手を出してないんだぞ!
 20歳の妻が心配で仕方ないな。
 もういっそ3人目を作り、家で留守番してもらう方がいいか?

 ダンジョンから地上に戻り、娘の経営している3店舗の従業員へ挨拶をした。
 雇っているのは路上生活者だったと聞き、継続した支援を行っていると知る。

「優秀な娘だなぁ~」

 きっと、美佐子さんの育て方が良かったんだろう。
 娘を大切に育ててくれたのは感謝しかない。
 夕食は『製麺店』の従業員と食べるみたいだ。
 元冒険者の彼らは腕や足を失っている。
 それでも働けるようにと職を与え、住み込みで雇っていた。
 年齢層が高いのは、冒険者として活動出来ない高齢者を優先的に選んだのだと思う。
 沙良ちゃんが料理をしている間、男性陣は囲碁の相手をする。
 漢字が読めない異世界人には囲碁の方が覚えやすい。
 これは義父が一番強かった。

 夕食の『ミートパスタ』と具沢山の『シチュー』を食べながら、新しくメンバーになるセイという人物の話題が出る。
 ティーナの契約竜か……。
 本人に記憶はないようだが竜族に会うのは初めてだ。
 どんな姿をしているのか興味が湧く。
 本体が竜なら人間に変態した時は、かなり大きいんじゃないだろうか?
 あぁ、でも今は日本人姿のままだから見た目じゃ分からないかもな。

 翌日、土曜日。
 妻は沙良ちゃんと一緒に薬師ギルドへ出掛けた。
 俺も薬師ギルドに行きたい用があるんだが……。
 精霊王にしるしてもらった、ポーションを作ってほしい。
 異世界へ行くには娘の移転が必要なので、武術稽古の後が絶好の機会だ。
 
 妻が不在の間、美佐子さんに世界樹の苗木へ成長の魔法を掛けてもらおう。
 お願いすると快諾かいだくしてくれ、彼女が苗木に手をかざす。
 すると一瞬で1m程の高さに成長し、一斉に白い花を咲かせる。
 世界樹に花が咲くとは知らなかった。
 葉とは違う効能があるんだろうか?
 
「この植物……。どこかで見覚えがあるような気がするんだけど、名前が思い出せないわ。何だったかしら?」

「俺も知らないんだ。先週、ガーグ老から貰った苗木だからね」

 と言う事にしておこう。
 美佐子さんは前世で世界樹を見たのかも知れないな。
 お礼を言うと家に帰っていった。
 薬師ギルドで仕事を終えた妻達が戻ってくる。
 やけに結花ゆかの機嫌がいい。
 薬師ギルドの仕事は割がいいのか?

「おじさん。Lvは上がった?」

「おう! 30になったぞ! ダンジョンの魔物は強いなぁ」

 娘から今のLvを聞かれ、早くLv70になっておきたい俺は30と答えた。

「貴方、本当にLv30になったの? 私と一緒なんておかしいわよ!」

 おっと、そりゃまずい。

「……あれ? ステータスの見方を間違えたのかな? あぁ、Lv20の間違いだった!」 

 妻のLvを聞きあわてて訂正する。
 
「Lv20で間違いないですか? じゃあ、MPは1,638ですよね」

「Lv20で合ってるよ」

 MPの計算が面倒くさいな……。

「じゃあ、このポシェットに空間魔法をお願いします。魔力が0になると昏倒してしまうので、ステータスを確認しながら魔力回復用のハイエーテルを飲んで下さいね」

「よし、マジックバッグを作ろう」

 娘から10個のポシェットとハイエーテルを渡される。
 Lv20だと8個しか作れないから、残りはハイエーテルを飲む必要があるんだな。
 俺は数を間違えないよう慎重に空間魔法を掛けていく。
 全てのポシェットをマジックバッグにしたら、娘からお昼をご馳走ちそうすると言われ、俺だけ外食するのはしずくに悪いと思い手料理を希望した。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇