自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第733話 旭 樹 再召喚 27 隠れ家の探索&紫と赤の丸い玉

 もう少し感傷に浸っていたいが、家を抜け出した事がバレる前に戻ろう。
 ついでに隠していたヘソクリを腕輪へ収納し、再びポチをグリフォンに変態させ森の家から王都へ飛んでいく。
 それからは家で大人しく待機した。
 ポチには何度も変態させたので、念のため沙良ちゃんから貰ったハイエーテルを飲ませる。
 従魔のLvが500なら、MPも5,000はあるのか……。
 俺の従魔達は、かなり強くなったようだ。

 2人を待つ間、暇なので隠れ家の探索をしよう。
 1階はキッチンとリビング、2階には3部屋あり2部屋はひびきと俺の寝室で、もう一部屋は泊まる時に影衆達のため用意した部屋のようだ。
 王族のそばで常に隠形おんぎょうし護衛するといっても、寝る必要はある。
 交代で休んでいたのを、響は把握していたらしい。
 まぁ、少し考えれば分かるだろうけど……。
 ダンジョンで一緒にLv上げをした時、ガーグ老から聞いたのかも?
 人数が多い影衆達の部屋が一番大きく作られているが、きっとガーグ老はこの部屋を俺達に使わせるだろうな。

 そういえば、響からガーグ老達は家具職人をしていたと聞いた。
 あのご老人達に、そんな技術があったか?
 貴族仕様の芸術的な家具を作製出来るとは、到底思えないんだが……。
 2階の探索を終え1階に戻ると、タイミングよく2人が隠し扉から出てくるところだった。

「おかえりなさい。隠し通路は使用出来ましたか?」

「あぁ、崩れた場所もなく問題なかったよ」

「姫様、待たせたの。何も起きておらんか?」

「ええ、ずっと家の中にいましたわ」

 俺は、にっこり笑って何事もなかったと返事をする。
 肩に乗ったポチも、俺の意図をみ頭を上下に動かしていた。

「じゃあ帰るぞ。そろそろ沙良が迎えにくる時間だ」

 俺達は風竜へ変態したポチに乗り、迷宮都市の工房まで移動する。
 道中ガーグ老へ隠れ家用に家具の作製をお願いすると、胸を叩き「安心して任せるがよい」と言われた。
 本当に大丈夫だろうか……、ちゃんと使える物を作ってくれよ?
 沙良ちゃんと一緒にホームへ戻り、響の家で夕食をご馳走ちそうになった。
 メニューはダンジョンで獲れた帆立ほたて尽くし!
 新鮮な刺身に、熱々の帆立フライを堪能たんのうする。
 しかし、俺の前に鰻の蒲焼が置いてあるのは何の罠だ? 今日は絶対食べないぞ!
 食後、沙良ちゃんが竜の卵の石化が解除された報告をし、義祖母に見せてあげている。

「この子は混ざり竜ね。光竜と風竜とは、また珍しいわ。母親が光竜みたいだから、父親の属性で生まれた風竜に魔力を与えられなかったのよ。可哀想かわいそうに……」

 すると彼女は竜の卵にそっと触れ、涙をこぼしながら気になる言葉を言った。
 混ざり竜? 卵を見ただけで母親と父親の属性が分かるのか?
 この人の前世は、何の種族だったんだろうな。
 
「石化を解除しても、この子は育たないわ。魔力を与えられる親がいないのでは、どうしようもない」

 続く義祖母の言葉に、娘が何でもない事のように答える。
 
「あっ、私が出来るみたいです」

「えっ!?」

 それを知らない皆が驚いていた。

「方法は分かりませんが、手を触れると勝手に魔力を吸収しますよ?」

「ちなみに俺達も触れたが、魔力は吸収されなかった」

 賢也けんや君は、娘にしかその方法は出来ないと言う。
 あぁ~、これは少しまずいな。
 何かフォローをした方がよさそうだ。

「まさか……」

 義祖父と義父が、卵と沙良ちゃんを交互に見る。
 いや、それは有り得ないから!

「サラちゃんは、どうなってるんだ?」
   
 義父が娘の能力を疑問視する声を上げ、響に視線を送る。
 彼は無言で首を振り、後は任せたというポーズを見せた。
 俺頼りかよ!

「ふっ、不思議だな~。娘の能力は特殊だから、『手紙の人』が何か特別なものを与えてるかも知れないよ!」

「沙良お姉ちゃんが魔力を与えられるなら、この竜の卵はかえるんだよね?」
 
 響の代わりに答えると、しずくが後を引き継いでくれた。

「多分、大丈夫だと思うよ」

「それじゃあ、竜の赤ちゃんが生まれるの楽しみだね!」

 単純に竜の卵が孵化ふかするのを喜んでいる雫を見て、その場がなごむ。
 良かった、魔力を与えられる理由を追及されなくて……。
 そう思ったのも束の間、食事を終え自宅でのんびりしているところ響が呼びにきた。
 今度は一体何があった?
 義父と部屋に入ると、沙良ちゃんがテーブルの上で紫と赤色のビー玉を転がし遊んでいた。
 一見、何も起きてないように見える。

「娘がまた厄介やっかいな物を作ったようだ。ポーションにヒールを掛けて出来た物らしい。紫の玉は色によって違うが、HP値が増える効果がある。赤い玉も違いがあるがMP値だな。Lvを上げる以外、HPとMP値は増えないんだが……」

 しかし響の言葉を聞いて、額に手をやり天井をあおいだ。
 なんて代物しろものを!? 
 
「紫の方はポーション・ハイポーション・エクスポーション・『MAXポーション』で、赤い方はエーテルとハイエーテルだよ。増える値が違うのは、効能に比例しているからかな?」

 娘は自分が作った物の価値を知らないのか、のほほんとしている。

「で、幾つくらい値が増えるの?」

 どれくらい数値が増えるか興味津々で響に尋ねていた。
 鑑定の結果、ポーションは1、ハイポーションは5、エクスポーションは10、『MAXポーション』は50、エーテルは50、ハイエーテルは100らしい。
 MPだけじゃなくHPも増えるのか?
 巫女姫の能力が予想外すぎて言葉も出ない。

「値が100増えるのはすごいよね~。10個なら1,000増えるって事でしょ?」

「あぁ、だが使用制限が掛かっている。それぞれの玉は、1日1個しか効果がないみたいだ」

「ふ~ん。じゃあ全部使用したらHPが66、MPは150増えるのか……」

「沙良、そんな簡単な問題じゃない。Lvを上げなくても値が増えるんだぞ?」

「別に売る訳じゃないし、雫ちゃんに使ってもらえばいいと思う」

「どうしてお前は、そんな呑気のんきにしてるんだ……」

 心配を通り越し、響はあきれ返っているようだ。
 鑑定結果を疑う訳じゃないが調べた方がいい。

「響、一応試しておこう。これは飲んだらいいのか?」

「体内に入れば効果が出ると思う」

 基礎値が俺より低い響に実験台になってもらおう。

「甘いな……。飴みたいにめてもいいかも知れん」

 ステータスを確認すると、HPが50増えているそうだ。
 雫の基礎値は一番低いから、Lv上げ以外でステータスが増えるのは喜んでいいかもな。

「沙良。分かっていると思うが」

「大丈夫! ちゃんと秘密にするよ? でもパーティーメンバーの底上げになるから、皆には話した方がいいと思う」

「そうだな。HPとMPの値は高い方が安全性が増すか……」

 響は慎重に言葉を返し娘へ念を押している。
 こうして俺達は、また秘密にしなければならない問題が増えたのだった。

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