自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第747話 旭 樹 再召喚 41 人魚姫の衣装を着た息子&王宮への潜入

 娘が迎えに来るまでガーグ老達と将棋を指し、ホームの自宅へ戻る。
 夕食後、結花が少し胸が大きくなったと嬉しそうに報告してきた。
 そりゃ良かった。
 効果があれば、毎日ちゃんと美容ポーションを飲んでくれるだろう。
 それに、いつか俺が楽しむ時は大きい方がいい。

 月曜日。
 迷宮都市ダンジョン地下15階の安全地帯に到着すると、一度帰還したダンクさんのパーティーがいた。
 犯人が捕まったので攻略を再開したらしい。
 娘の結婚式まで2週間あるし、例の新しい政策が施行され市内の治安も心配する必要がなくなったからだろう。
 とはいえ何があるか分からないため、義父はしばらく一緒に行動してくれるみたいだ。
 
 1日の攻略を終え、夕食に娘が串カツと豚汁を作っている。
 串カツにはビールが欲しいが、冒険者は攻略中禁酒なんだよなぁ。
 揚げたての串カツを一口食べ、キャベツを串に刺しソースを付ける。
 串カツとキャベツの組み合わせがいい。
 珍しく味噌みそを使った豚汁に、ダンクさんが興味を示した。

「サラちゃん。変わった色のスープだな。それは『シチュー』とは違うのか?」

「えぇ、これは『豚汁』です。飲んでみます?」

 娘が豚汁をよそい、ダンクさんへ手渡している。

「おお! これは、なんだかほっとする味がする。どうせまた秘伝・・だろ?」

「はい、秘伝・・ですね~」

 異世界で使用出来る調味料を、秘伝と言い増やしているのか……。
 ダンクさんは苦笑して、それ以上の追及はしない。
 娘が披露ひろうする料理は秘伝だらけになりそうだ。
 劇の稽古が始まると、ダンクさんが息子に人魚姫の衣装を着て見せてほしいとお願いしている。
 尚人なおとは嫌がり首を横に振っていたが、妻としずくに押し切られ渋々しぶしぶ着替えにいく。
 人魚姫の衣装は下半身が魚になっているから歩けないと思い、俺も一緒にテント内へ入った。

「何で俺が、こんな衣装を……」

 尚人なおとは文句を言いながら着替え始める。
 悪いな、女顔に生まれた者の宿命だ。
 学生時代、散々女装した経験があるから気持ちは理解できるぞ。
 俺の場合は、本当に女性だった時期もあるけどな!
 人魚姫の衣装を着て金髪のかつらを付けた息子は、女性にしか見えない。
 歩けない息子を抱き上げテントから出ると、

「お兄ちゃん、可愛い~!」

「やっぱり、似合うと思ったのよ!」

 雫と妻が更に追い打ちをかける。
 似合うと言われても尚人は嬉しくないだろう。
 見られて恥ずかしいのか、顔を赤くしうつむいている。
 俺は腕に当たる感触の方が気になった。

「それにしても、お前。胸へ何をこんなに詰め込んだんだ?」

 Dカップぐらいありそうな偽乳をむと、マシュマロのような弾力がある。
 布とかじゃなさそうだ。
 本物の胸に似せるのに、えらくこだわってるな。
 これはシリコンか? ふにふにと感触を確認していたら、あせった響に止められる。
 あ~、家族設定を完全に忘れていた。
 義兄の偽乳を揉む、年上の義弟じゃないか。
 俺が息子に対し行った行為は、はたから見れば変に映るだろう。
 ダンクさんとアマンダさん達に驚かれ、やってしまったと反省した……。
 
 稽古の途中、寒そうな人魚姫の衣装を着たままの兄に雫がマントを着せている。
 異世界で転生し健康になった雫が兄の世話を甲斐甲斐かいがいしく焼く姿は微笑ましいが、少しだけ違和感を覚えた。
 今は年齢差が、それ程ないからか?
 その後、遅くまで稽古に付き合わされた息子は、半分寝落ちし賢也君に抱き抱えられていた。
 それから4日間、特に問題も起こらずダンジョン攻略を終える。
  
 土曜日。
 娘が義父と茜ちゃんを連れ王宮へ行くと聞き、響と一緒に便乗させてもらう。
 俺達は別行動して、見られる前に肖像画を盗む必要がある。
 ガーグ老に連絡し今日が決行日だと言い、王都の隠れ家へ至急合流してほしいと伝えた。
 影衆10人と娘の護衛をする万象10人が、風竜に変態したポチとタマの背に乗りやってくる。 
 王宮はガルムに騎乗しても空からの侵入対策用に張られた結界で中へ入れないから、隠れ家の地下通路を利用し娘の護衛に就くらしい。

「姫様は、この場に待機ですぞ」

「ええ、分かっています。皆さん、バレないよう注意して下さいね」

 自分だけ家に残り留守番かと思うと貧乏くじを引いた気分になる。
 こんな時は王女の身分が邪魔で仕方ない。
 部屋の扉から隠し通路へ全員が進んでいくのを見送ると暇になった。
 見張り用に残してくれたポチに、ゼリア様への手紙を運んでもらうか。
 
 魅惑みわく魔法を使う度、響に美容ポーションを飲ませていたら胸が大きくなり困るかも知れないからな。
 最初に依頼した美容効果のない物を注文しておこう。
 その旨を書いた羊皮紙をポチの足輪に収納してもらい、お使いを頼んだ。
 家でじっと待つのも時間の無駄だし、久し振りに王都観光でもしよう。
 留守番役を放棄し隠れ家を出ようとしたら、突然腕をつかまれた。

「姫様。何処どこに行かれる心算つもりかの」

 げっ! 迷彩でじい隠形おんぎょうしていたのか!
 さっき隠し通路に入っていったのを確認したのに、内緒で戻っていたらしい。

「やれやれ、そんな事だと思っておったわい。大人しくせんのは少しも変わらぬのう」

「い、いやね~。ちょっと庭に出て気分転換をしようと思っただけよ」

「まっすぐ、家の門へ向かっておったようだがの」

「それは、気のせいね!」

 ちぇっ、行動を把握されていたのか。
 仕方なく俺はガーグ老と留守番する事になった。

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